Casa Galarina

映画についてのあれこれを書き殴り。映画を見れば見るほど、見ていない映画が多いことに愕然とする。

黒蜥蜴

2018-03-31 | 日本映画(か行)
★★★★☆ 1968年/日本 監督/深作欣二

みなみ会館閉館興行にて

大阪の映画館で催された乱歩特集で一度見たことがあるのだが、フィルムの劣化激しくぶつっと途切れるところも。とはいえ、ムキムキ銅像の三島由紀夫に接吻する麗しい美輪様を見られるだけでありがたや、ありがたや。丸山明宏時代の美輪様の妖しげな魅力がたまりません。

それにゴージャスで耽美な美術が最高ですなあ。大好きなビアズリーがかなりフィーチャーされています。(版権大丈夫なのか…)うっかり忘れていたが、監督は深作欣二なんだな。いろんな俳優が明智小五郎を演じているが、木村功もなかなかキマっている。京マチ子版の黒蜥蜴見たことないので見てみたいなあ。

江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間

2018-03-31 | 日本映画(あ行)
★★★★ 1969年/日本 監督/石井輝男

みなみ会館閉館興行にて

未見の奇作。そろそろDVD買うか~と思っていたのでタイミング最高でした。長らくソフト化されていなかったので、滅茶苦茶えげつないんだろうと思ってたら、案外そうでもなく。どんな奇形が出てくるかと胸ワクワクさせてたんだけどw。

土方巽の存在感は凄いのだが、俳優ではないため、セリフもしどろもどろ。物語も脈絡なく急展開するし、大木実が明智にしては野暮ったい。とはいえ、辻褄が合うとかそういうことは問題ではなくこの悪趣味で狂った世界観がカルトたるゆえん。●が飛ぶラストは爆笑。

ロシュフォールの恋人たち

2018-03-30 | 外国映画(や・ら・わ行)
★★★★☆ 1967年/フランス 監督/ジャック・ドゥミ

みなみ会館閉館興行にて

やっぱりスクリーンで見るのは楽しい。おなじみの音楽が鳴って「来たーー!」というテンションになる。ミュージカル苦手な私としては本作のポイントはもっぱらファッション。端役のダンサーたちの衣装にいたるまでとってもステキ。

徹底的なカラーコーディネートが有名だが、たまたま町山さんの「ララランド評」の中で本作の美術担当が夫、衣装担当が妻の夫婦だと知る。なるほど、そりゃあ完璧なコラボができるよねー。それから以前も思ったんだけど、バラバラ死体の殺人犯のエピソードはどういう意味を持つのだろう。そこが気になる。

太陽を盗んだ男

2018-03-30 | 日本映画(た行)
★★★★★ 1979年/日本 監督/長谷川和彦

みなみ会館閉館興行にて

最高じゃーーー!!とにかく最高としか言いようがない。東海村原発突入シーンのコミカルさや池上季実子のお馬鹿キャラがテレビ画面で見ると滑稽なのだが、スクリーンで見ると全く気にならない。スクリーンからはみ出るパッションにただただ圧倒される至福のとき。

ジュリーのエロさとシニカルさとクールさが全部投入されてて、全邦画の最優秀主演男優賞を授けたい(勝手に)。もはや原爆を作るという娯楽作品に今の日本の配給がOKしないだろうし、数々のゲリラ撮影、常軌を逸したスタント(トラックをジャーーンプするRX-7すげえ!)など、全てが今の日本では無理!の規格外作品。

DVDでは何度も見ているのだが、スクリーンは初体験。よく、こんなもん作れたよなあと、感激で胸いっぱい。こんな凄いの作ったら、そりゃ次の作品作れないよなあ。補助椅子が出るほど、みなみ会館は大盛況。終映後に拍手がわき起こった。

悶絶!!どんでん返し

2018-03-25 | 日本映画(ま行)
★★★★☆ 1977年/日本 監督/神代辰巳

冒頭のおっぱいパブから(暗転後のクレジットの入り方も最高)アパート行って、オカマに襲われるまでの疾走感がすばらしい。やっぱり導入部の力強さって、本当に大事。突き抜けたバカバカしさにパワーを感じ、元気になる。

惜しむらくは女を殴るシーンが見ててつらいこと。時代性とは言えやはりつらい。女を殴るシーンがなければ間違いなく星5つ。

新感染 ファイナルエクスプレス

2018-03-16 | 外国映画(さ行)
★★★★ 2016年/韓国 監督/ヨン・サンホ

(U-NEXT)

列車の車両という器を存分に活かしたアイデアに感心するばかり。
猛スピードで止まらない高速車両の疾走感もいい。
途中で一旦下車、やっぱり戻る。そして、行き止まりになる。
一本調子にならず、どんどん展開がテンポよく変化する脚本が素晴らしい。
ゲットアウトが脚本賞なら、これだって取れると思う。
お約束の「自己中人間がさらに局面を悪化させる」描写もいい具合にハラハラを増長。
ラストのひねりもなかなか。親子愛と事前情報聞いていたけど、それでもうるっときた。

バルタザールどこへ行く

2018-03-15 | 外国映画(は行)
★★★★ 1966年/フランス 監督/ロベール・ブレッソン

(U-NEXT)

家畜のロバの人生を通じて、人間の醜さや愚かさを描く。
とにかくロバが可愛い。そして目が愛らしい。
ブレッソンの筆致はあくまでも淡々としており、感情移入しづらいところも多々あるが
飼い主の都合で転々するとロバ、そしてロバが離れたことを契機にロバを可愛がっていたマリーも転落していく。
ロバと女性の哀れさと周囲の男どもの愚かさが静かな怒りで対比されている。

アニー・ホール

2018-03-14 | 外国映画(あ行)
★★★★ 1977年/アメリカ 監督/ウディ・アレン

(U-NEXT)

「マンハッタン」と混同しており、今まで見ていなかったことに気づく(笑)。
長回し、観客への問いかけ、分割画面など、さまざまな試みがあふれる楽しい1本。
当時としては、映画のフォーマットからはみだした構成や、
皮肉屋アレンによるキレキレのマシンガントークで非常に革新的な作風であったのは想像に難くない。
ダイアンキートンのファッションもステキ。
大人の男女の愛と別れを軽快に描いた秀作。

泳ぐひと

2018-03-13 | 外国映画(あ行)
★★★★ 1969年/アメリカ 監督/フランク・ペリー

(U-NEXT)

1969年、バートランカスター主演。
NY郊外、丘の上の豪邸のプールに突如表われた水着姿の男、ネッド。
彼は隣接する豪邸のプール伝いに泳いで家に帰るという。
摩訶不思議なストーリーなれど、ネッドは家にたどり着けるのかというサスペンスな展開で観客を惹き付ける。
なぜ、プール伝いに家に向かうのか。次々と訪問するセレブたちは何の象徴か。そもそもネッドは狂っているのか。
すべてが暗喩に満ちており、カルト的魅力にあふれている。
自分の想像ではもどかしい部分もあったので、
観賞後に、町山さんの解説(有料配信)を聞き、いろいろと納得。
唯一無二の不思議な手触りの作品。

シェイプ・オブ・ウォーター

2018-03-12 | 外国映画(さ行)
★★★★ 2017年/アメリカ 監督/ギレルモ・デル・トロ

(映画館)

もっと、癖の強い作品かと思っていたので、ちょっと予想外。
とてもバランスの取れた作品だなあという印象。
それは、古き良きハリウッドへの目配せがやたらに多いところである。
少数意見かもしれないが、結果的にはアカデミー受けな1本になっているんじゃないだろうか。
半魚人、声なき女性、黒人、ゲイとマイノリティの配置も完璧。
個人的にはこれらのマイノリティの配置が隙がなさすぎて、逆に平凡に見える。
ただし、女性の自慰行為をごく普通の日課として描いていることや
彼らが肉体的にも結ばれることなど、チャレンジングなところも多々あり、そこはすばらしいと思う。
なるほど、彼女の首筋の傷はそうなったか。ラストの展開は感動した。


15時17分、パリ行き

2018-03-11 | 外国映画(さ行)
★★★★☆ 2018年/アメリカ 監督/クリント・イーストウッド

(映画館)

物語を伝えるとは何かを究極に追求した結果、行き着いた境地なのか。
とんでもない実験作である。
テロリストを取り押さえた当事者3人のほか、列車に乗り込んでいる乗客も本人だという。
しかし、テロリストの足元から始まるファーストカット、
幼少時代から始まるドラマにインサートされる列車内の緊迫したカットなど、
用意周到に練り上げられた構成であり、これをただの再現ドラマというのは全く当てはまらない。
スペンサーとアレクがキリスト教の厳しい学校で育てられたこと、
旅の途中での「何かの目的に向かっている」というセリフから、
キリスト教的な運命論とも捉えられかねないが、
実は当事者を起用するということによって、むしろそのドラマ性は極力抑えられ、
どんな人にも生きている意味があり、毎日は無駄ではないという普遍的なドラマに仕上がっている。
もし、これを俳優が演じたら、彼らがごく普通の若者であるということは後ろにおいやられ、もっと英雄譚になっていただろう。
軍でも落第生のそこいらのあんちゃんであるからこそ、旅の途中のダラダラ紀行も愛おしく、
プラットホームの15時17分を示す時計のカットに胸を締め付けられた。

ハッピーエンド

2018-03-10 | 外国映画(は行)
★★★☆ 2017年/ フランス・ドイツ・オーストリア 監督/ミヒャエル・ハネケ

(映画館)

いつものハネケ過ぎて面白くないといったら矛盾するだろうか。
もっとガツンと来るのを求めていたので、ちょっと肩透かし。
子どもによる動物虐待。死への憧憬。他者に寄り添う心の欠如。
といったモチーフは初期作「ベニーズビデオ」を想起させる。
ただ、ベニーズよりはエグさはぐっとダウン。
この乾いた感じがSNS時代の空虚感といえばそうなのかもしれない。
おそらく自分の母を●●したであろう、また死にたい祖父を冷ややかに見つめるだけのエヴという少女。
彼女の決定的な感情の欠如は現代を生きる我々の映し鏡である。

パルプ・フィクション

2018-03-09 | 外国映画(は行)
★★★★ 1994年/アメリカ 監督/クエンティン・タランティーノ

(WOWOW)

再見。
バラバラのピースが最後にピタッと合わさって、大カタルシスが生まれるという。
この手法は本当にいろんな作品に影響を与えてるよなあ。
そして、ユマサーマンがすごくキュートで魅力的。

しかしこれ以降、ユマがワインスタインにセクハラを受けてたのかと思うとなんともやりきれない気分になる。
また、本作の大ヒットが起爆剤でワインスタイン王国が築かれていったわけだし。
だからといって、タランティーノの作品の評価が下がるわけじゃない。
これから彼が映画人としてどういう作品を撮るか興味深い。


ワイルド・アット・ハート

2018-03-08 | 外国映画(や・ら・わ行)
★★★ 1990年/アメリカ 監督/デビッド・リンチ

(WOWOW)


再見。
久しぶりに見たら楽しめるかと思ったけど、やはり変わらずリンチで最もノレない作品。
闇社会の描き方や妖しい演出は、ほかのリンチ作品とさして変わらないんだけど
たぶん、ニコラス・ケイジに萌えないからだろうなあ。
それにこのカップルの過剰ないちゃつきが白々しく見えるんよねえ。
あと、プレスリーのラブミーテンダーだなあ。
ブレラン2049にも出てきたけど、
アメリカ人にとってのプレスリーが意味するものに感情移入できないんだなあ。

ウディ・アレンの6つの危ない物語

2018-03-07 | TVドラマ(海外)
★★(Amazonプライム)

まったく、一体どうしたというのだろう。
ウディアレン、すごくつまらない。
売れない元小説家のもとに、過激派の若い女性が訪ねてくることから始まるドタバタ劇。
いつものドタバタではあるが、キレが悪いし、ギャグも滑ってる。
何より演出のメリハリがなくて、ダラダラと始まりダラダラと終わる。
アレンはドラマには向いてないんだなあ。