★★★★ 2016年/ベルギー・フランス 監督/ジャン=ピエール・ダルデンヌ リュック・ダルデンヌ
時間外で応対しなかった患者が翌日変死体で見つかる。責任を感じた女医は彼女の身元を割り出すために奔走するが。
地味な社会派に見えがちだけど、ダルデンヌ作品はどれもサスペンスとして凄く優秀。サンドラの週末然り、結末がどうなるかハラハラしつつ最後まで見入ってしまう。
女医のジェニーは自分に誠実であるために行動する。恐ろしい目にも遭うが意思を曲げない。それは取り立てて正義感が強いわけではなく、単純に言うと筋を通す、ごまかさない生き方を選ぶということだが、それがいかに難しいかを私たちは知っている。だから自分ならどうすると問うてしまうのだ。
足取りを追うごとに徐々に露わになる社会の闇。犯人が明らかになる瞬間も全くドラマティックではなく、却ってそれがとてつもなくリアル。そして、意外な人物の証言による悲しいエンディング。社会の陰に隠れた人々を浮き彫りにする、さすがダルデンヌという作品。