Casa Galarina

映画についてのあれこれを書き殴り。映画を見れば見るほど、見ていない映画が多いことに愕然とする。

危険なメソッド

2012-11-21 | 外国映画(か行)
★★★★ 2012年/イギリス/ドイツ/カナダ/スイス 監督/デビッド・クローネンバーグ
(TOHOシネマズ梅田にて観賞)


「お尻ペンペン」


素材が大好物なだけに、かなり期待して行ったんですけど、
クローネンバーグの割にはあっさりした仕上がりだなあという印象。
マゾヒスティックな悦びに浸る美しい患者をフロイトとユングが取り合うなんてネタ、
どんなエロティックな表現が待ち受けているんだろうと勝手に期待しちゃうじゃないですかあ。
そしたら、お尻ペンペン程度なんだもんなあ、勝手に盛り上がっていた自分が悲しい。
しかも、フロイトとはそんな関係にならないし、ちょっと映画の宣伝に誘導されすぎました。

私は心理学とか大好きなので楽しめましたけど、このジャンルに興味の薄い人は面白いかな?
三角関係のごたごたもそんなに深くは描かれませんしね、ドラマ的な盛り上がりも乏しいです。
「SHAME」といい、どうもマイケル・ファスベンダーを使うとアカデミックな方向にいってしまうのかなあ。
このネタなら、もっといやらしくて淫靡な世界でもいいと思うんだけど、
マイケルの醸し出すムードがそうはさせないというか。

でもユングがシンクロニシティーとか神話とか、ややオカルト的なものも受け入れようとするのに対して、
フロイトが心理学は全て科学的な視座に立たねばならないと対立していくくだりは非常に面白いんですよ。
どうせなら、こちらの対立を深掘りしても良かったんではないかなと思いますね。
ユングがラストに見るヨーロッパが血の海に流される夢は予知夢なワケですからね、
彼にはそういう能力もあったのかと思うと、もう少しその辺の物語も見てみたかったなあと思います。

そうそうウィーンのベルヴェデーレ宮殿が出てくるのですが、とても美しい。
ここに行ってみたくなりました。