Casa Galarina

映画についてのあれこれを書き殴り。映画を見れば見るほど、見ていない映画が多いことに愕然とする。

キャバレー

2019-03-26 | 外国映画(か行)

★★★★★ 1972年/アメリカ 監督/ボブ・フォッシー

ミュージカルが苦手なこととジャケットカバーを見てなんとなく避けてた1本だったが、なんとまあこれは大傑作だった。もっと早く見ておけば良かった名作案件ってやつですね。1920年代のベルリン。退廃的な文化が花開き、自由を謳歌する人々。しかし、ナチスの暗い影が忍び寄ってきている。煌びやかなショーの影でオーナーが党員にリンチされているのが数秒感の映像でインサートされるなど、まさに「忍び寄る」というのがふさわしいナチスの描き方が秀逸。そして、クラブキットカットで繰り広げられるショーがどれもこれもすばらしくて感動。MCを演じるジョエル・グレイのパフォーマンスもすばらしいけど、時折インサートされる白い厚化粧の彼のアップが不穏さを掻き立てる。このアングラ感満載のショーがたまらない。ヴィスコンティの「地獄に堕ちた勇者ども」を思い出した。そして、ライザミネリのラストの「キャバレー」。いやあもう泣くね、これは。


運び屋

2019-03-08 | 外国映画(は行)
★★★★ 2018年/アメリカ 監督/クリント・イーストウッド

草原でゆらゆらと揺れるリリーのショットから始まり、実にするすると気持ちよく物語が進む。ドラッグの運び屋の話だというのに、実にユーモラスでこのどうしようもないジジイを微笑ましく見てしまう。いやあ、なんと心地よい話運びなのだろうか。家族をないがしろにしてきた自分の愚かさに気づき、ラストもリリーで終わる円環構造。いやあ、いい映画を見たという余韻に…おいおい待てよ。よく考えるとこのジジイ、酷いからね!娘の結婚式すっぽかすわ、他のオンナとイチャイチャするわ。何だよこのオッサン!でも演出のテンポは最高だったよな〜。さすが、御大としか言いようがない。

女王陛下のお気に入り

2019-03-07 | 外国映画(さ行)
★★★★☆ 2018年/アイルランド・イギリス・アメリカ 監督/ヨルゴス・ランティモス

ロブスターのときも思ったけど、なんでヨルゴス・ランティモスってこんなビッグネームキャスティングできるのかしら? オリビア・コールマン、エマ・ストーン、レイチェル・ワイズの三つ巴の演技合戦がすばらしい。オリビア・コールマンがオスカーを獲ったけど、私はエマストーンに感服。昨年オスカー獲ってなお、本作では脱いでますから。すげえや。バリーリンドンを思わせる照明を使わない美しい宮殿内の撮影や衣装はスクリーンで見るべきもの。そして、ヨルゴス・ランティモスらしい意地悪でひねった視点。魚眼レンズで斜めに切り取る映像が奇妙でとてもいい。そして、17匹のうさぎのアイロニー。絢爛豪華な舞台に憎悪まみれる人間の悲喜劇。とても見応えありました。