Casa Galarina

映画についてのあれこれを書き殴り。映画を見れば見るほど、見ていない映画が多いことに愕然とする。

燃えよドラゴン

2013-06-26 | 外国映画(ま行)
★★★★ 1973年/アメリカ 監督/ロバート・クローズ
(映画館にて鑑賞)午前10時の映画祭

「鏡の間の名シーン」

恥ずかしながらの初観賞。
午前10時の映画祭でかかる名作映画というのは、とにかくテーマ音楽がいい。
聞き慣れたあの曲を映画館で聴くと格別。
私は特にブルース・リーに深い思い入れがあるわけではないんだけど、
あのあまりにも有名なテーマ曲が冒頭大音量で鳴った途端、とってもワクワクしてしまった。

大勢のエキストラたちの空手の突きが全然なってないとか、突っ込みどころも満載。
でも、やはりブルース・リーの存在感は抜群なんだな。

ラストの鏡の間での格闘シーンが名シーンと言われるのも納得。
全面ガラス張りの壁面にリーの姿がきらきらと映っては消え。
クンフーをただ格闘として見せるのではなく、
ひとつの美しいアートとして観客に楽しんでもらおうという意欲が大いに伝わってくるシークエンスでした。

リアル~完全なる首長竜の日~

2013-06-25 | 日本映画(や・ら・わ行)
★★★★ 20013年/日本 監督/黒沢清
(映画館にて鑑賞)

「御用達俳優勢揃い」

あの黒沢清がメジャー作品を撮ったということで、興味津々でスクリーン観賞。
それにしても、変なタイトルだなあ(笑)。と思ってたらこれ原作があるんですね。

前半はいつもの黒沢節でファンとしてはそれなりに満足。
パースの歪んだ部屋や中谷美紀の無機質感やフィロソフィカルゾンビなる者たちの不気味さなど、
この調子じゃ普通の観客はついてこれんだろうなあと余計な心配をしてしまう。
漫画の中の変死体が突然現れるシーンでは、
レディースデーでついでに来ちゃったような前列のオバサンたちがのけぞってた。

しかし、ラスト30分くらいあたりから、なんで首長竜?という物語そのものの疑問とか、
CGバリバリの恐竜が暴れまくるとか、どうにもこうにもノレなくなってくる。
原作ものだからしょうがないのかなあ。

全体的に見れば中谷美紀がいたから何とか緊張感を保てていたように感じる。
小泉今日子やオダギリジョーなど、黒沢作品におなじみの面々。
超メジャー級の俳優ながら、黒沢作品に出ると何だか居心地悪いというか、
どうも存在そのものが亡霊みたいに見えて実体がつかめない感じとか、
いわゆる黒沢作品の特徴的なものが醸し出されていた。
で、やっぱり主役は綾瀬はるかが適任ではなかったなと思うのである。

イノセント・ガーデン

2013-06-20 | 外国映画(あ行)
★★★★ 2013年/アメリカ 監督/パク・チャヌク
(映画館にて鑑賞)


「血の系譜」


とにもかくにもミア・ワシコウスカ、ニコール・キッドマン、マシュー・グードのキャスティングが完璧。
この3人しかいないでしょうというハマりっぷりで、見ていて気持ちいい。
そして、ハリウッドに進出したパク・チャヌクですが、いつも通り彼らしい映像美が満載。
惜しむらくは本国で撮ってきた粘着質な感じが薄まっていることでしょうか。
ちょっと洗練されすぎかも。
脚本は別人なので、ストーリーとしてもキレイに収まりすぎという感じも否めません。

まあ、アメリカでは彼の過剰さが抑えられたのかも知れず、
そういう意味ではより広い観客層に受け入れてもらえるのかも知れません。

しかし、堂々とした映画の面構えがすばらしいですね。
かなりアブノーマルなテーマですけど、言い訳を一切せず描ききっている。
監督の自身の現れだと思います。

華麗なるギャツビー

2013-06-19 | 外国映画(か行)
★★★☆ 2013年/アメリカ 監督/バズ・ラーマン
(映画館にて鑑賞)

「このパーティには行きたい」

バブル世代なもんで、狂喜乱舞のパーティーのシーンはかなりテンション上がりました。
飲めや歌えやの大騒ぎでセレブもひっきりなしに現れて、しかもタダ。
これは私も参加したい!

オリジナルを見ていないので、どんな話だか全く知らずに観賞。
そうかあ、こういうストーリーなんだ。
男って、ロマンチストでバカだねえ。
でも、この役レオで本当に良かったんだろうか。
後半にかけての成り上がりの哀愁みたいなのが全然伝わってこなかった。
あまりに前半のパーティーシーンの余韻が凄いのと、
レオの演技がオレ様過ぎて。
キャリー・マリガンもそこまでして追いかける深窓の令嬢には見えんよなあ。
1920年代のアメリカの光と影をもっと感じたかったかも。

くちづけ

2013-06-14 | 日本映画(か行)
★★★☆ 2013年/日本 監督/堤幸彦
(映画館にて鑑賞)

「堤幸彦…」

貫地谷しほり初主演作ということで鑑賞。
大まかなストーリーは知っていたので、
難しい役どころを各役者陣がどう演じるのかを見るのが醍醐味だろう。
そういう視点では貫地谷しほりはもちろん、うーやんを演じる宅間孝行が秀逸。
もちろん彼が主催する劇団でこの役をやり続けているわけだから巧いのはもちろんなんだけど、
宅間孝行演じるうーやんを見ることで本作を見る意義の半分くらいはあるかも知れないなあ。

それにしてもやはり私は堤幸彦との相性が悪い。
彼の演出はどれもこれも私の感性にはフィットしない。
そもそも「東京セレソンデラックス」での舞台の映画化だから、何となく気配が舞台っぽくなるのはわかる。
しかし、右手から人が入って左手に人が抜けるというような、
いかにも舞台の客を意識した役者の動きを映画にそのまま持ってくる意味はあるんだろうか。
見るに進むに連れて、これは堤監督がわざと舞台っぽい感じをそのまま映画に持ってきているとしか考えられなくなる。
しかし、映画には映画にしかできない演出とかカメラがあって、
映画を見に来る客は舞台を見たくて来るのではなく映画を見たくて来るわけで。
果たしてこの演出でいいのか?と頭の中がモヤモヤしてくるのです。
そして、ラストの悲しいシークエンスになって、なぜか突然映画にしかできない、
俳優の周りをカメラがぐるぐる回るという暴挙をやってのける。そこで、この演出!?
ううむ、監督の意図が終始わからない作品でした。
お話は考えさせられるし、問題定義するにはチカラのあるストーリーでした。

世界にひとつのプレイブック

2013-06-11 | 外国映画(さ行)
★★★ 2012年/アメリカ 監督/デヴィッド・O・ラッセル
(DVDにて鑑賞)

「Where's the silver lining?」


小さい世界でいじいじ、ぐずぐずやってる人間模様を描いた邦画が大好きです。
そのグダグダした日常の中にはっと気づかされる物事の真理とか、人間の愛しさとか、
そういうものがキラッと光ったら、もうそれでいい。見てきた甲斐があったよ、と思う。
(こと映画鑑賞においては、マゾ体質なんだな。サービス過剰な作品は胸焼けしてくるし)

最近は、アメリカ映画でもこうしたちまちま系の作品が多いのだけど、本作もその一つ。
いつになったら、何がキラッと光るのだろうと思って見ていたのだけど、正直私には何も光らず終了という感じ。
皮肉にも原題に含まれる「silver lining」とは雲の縁が銀色に輝く様だそうだけど、
ストーリーでも、演出でも、この作品の中でsilver liningを見つけることはできなかったです。

別れた妻が忘れられない、事故で死んだ夫が忘れられない。
そもそも、このふたりのトラウマが似通っていること自体、設定的に広がりがないんだよね。
主要キャストはみんなご近所さん。で、そこに何か「異物」が絡んで来て、小さい世界が崩壊するのかというとそういうこともない。
一応、ご近所同士で賭博に絡んだケンカ沙汰は起きるんだけど、それは崩壊でも何でもないしさ。
閉ざされた心を解放する手段がこれまた社交ダンス。
しかも、ダンスコンテストの10点満点の5点が取れたらOKっていう、その中途半端さは何なんだ。

アメリカ映画ではよくあることなんだけど、最初から「心に病がある」と断定した上で物語が始まるでしょう?
どうして、いきなり物語を閉じるところから始めるんだと不可解に思う。
それは何でもかんでもカウンセリングに通っちゃうアメリカの文化があるから仕方ないのかも知れないんだけどさ、
「この人は病気ですよ」から始めたら、じゃあ「どうやって直るんでしょう?」しか、観客の見方はできないわけよ。

どうにもこうにも全てが想定内。「心に傷のある~」を前に押し出されると、描き方が甘い。
むしろ、第一印象は最悪だったオトコとオンナが結ばれる、と言った方がよっぽど私にはフィットするんだけど。

愛と誠

2013-06-10 | 日本映画(あ行)
★★☆ 2012年/日本 監督/三池崇史
(DVDにて鑑賞)

「原作ファンとか関係なく」

完璧にリアル世代です。しかも、ヒデキファン。もちろん、当時の映画見に行きました。
漫画もオールタイムマイベストに入るくらい大好きです。全巻そろえるために、今は亡き大阪球場まわりの古書街練り歩きました。

つーわけで、原作ファンだから、原作をなめんなよ!と怒るかということ、全くそんなことはないんですよ。
音楽のレベルの低さにノレない。ただ、それだけです。
ヘタっぷりを笑い飛ばせばいいんでしょうか。私には無理でした。
漫画チックなバカバカしい演出なのに、歌もダンスもめちゃくちゃうまいじゃん!という路線だといけるんですけど。
「スキヤキウエスタンジャンゴ」はすっごい面白かったのになあ。

オブリビオン

2013-06-05 | 外国映画(あ行)
★★★★ 2013年/アメリカ 監督/ジョセフ・コシンスキー
(映画館にて鑑賞)

「メカのデザインがいい」

物語の展開が今風のハリウッドSFっぽくないところがとても好感が持てます。
主人公夫婦以外、周りに誰も住んでいないという設定もあると思うのですが、
終始物語が静かに進みます。
砂漠の中の基地、移動ポッドなどのメカニックデザインも私は好きですね。

オチはSFを見慣れた人なら推測できる範囲なのかも知れないけど、
私はすっかり騙されました。
それからオルガ・キュリレンコとアンドレア・ライズブロー。
トム・クルーズを取り巻くこのふたりの女性が。
登場人物が少ない中で、きりっとした存在感を出している。

オチの部分である事件はぜひとも映像で見たかったんですけど、
それがちょっとでもメディアに流れたら完全にネタバレですよね。

SFでは王道かも知れませんが、人間のアイデンティティーの問題をきちんと描いているのも良かったです。