Casa Galarina

映画についてのあれこれを書き殴り。映画を見れば見るほど、見ていない映画が多いことに愕然とする。

愛の亡霊

2017-11-30 | 日本映画(あ行)
★★★★☆ 1978年/日本 監督/大島渚

(Netflix)

再見。
「愛のコリーダ」を意識したタイトルだが「怪談」的な幻想に満ちた映像でかなり趣きが異なる。
しかし、これはこれで魅力的な作品。
日焼けした肌が汗でねっとり輝く吉行和子と藤竜也が美しく、
夫の幽霊に苦しめられ地獄に落ちる2人の物語に引き込まれる
美術の戸田重昌、音楽の武満徹。2人がいればこの時代の映画はほとんど傑作。
思い返すと愛のコリーダは武満徹ではなく、もし彼が担当していればもっと違う映画になったのにと思う。
さて本作、長年見直したかったが機会に恵まれず、なんとNetflixで発見した。
愛のコリーダなど大島渚が何作かあり。Netflix凄いです 。

ノクターナル・アニマルズ

2017-11-29 | 外国映画(な行)
★★★★ 2017年/アメリカ 監督/トム・フォード

(映画館)

冒頭シークエンスが圧倒的だけに、どんなすげえ映画が始まるんだと期待高まるが、
南部の荒野で繰り広げられる小説にどうも入り込めず。。。
また、エイミーアダムス、モード系ファッションが似合わない。
それはテキサス出身ゆえのあか抜けなさの表現かもしれんが、
アート界に生きる人間としてはファッションこそキャラクターを雄弁に物語るアイテムのはず。
でも、どうも着させられてる感が否めない。それが気になって気になって。

結局は、ふられた女への腹いせ小説だったのか、と思うとそこにも好感持てず。
しかし、ラストの展開含め、様々な読みができる作品だけに
しばらく経つとじわじわ面白さがこみ上げるから摩訶不思議。
「シングルマン」もそうだったなあ。後から効いてくる作品。

天国と地獄

2017-11-28 | 日本映画(た行)
★★★★ 1963年/日本 監督/黒澤明

(CS)

徹底して計算しつくされたカメラワークが光る前半の舞台劇で閉塞感を表現し、
後半は一転して新幹線こだま貸切の身代金受け渡しシーンなど
ダイナミックに物語が動く見事な構成でサスペンス超大作としての見応えも抜群。
シネスコだし、パートカラーだし、こだまの一発取りとか映像表現の最先端をいってるのはすごいです。
がしかし。
犯人は極刑に値すると断罪する展開は納得できない
死刑にするために犯人を泳がせるってのはどうなの。
あいつは極刑に値するって仲代、おまえ何様なのさ。と心でつぶやく。
弱き者に容赦ない黒澤目線には共感できない なあ。

蜘蛛巣城

2017-11-26 | 日本映画(か行)
★★★★★ 1957年/日本 監督/黒澤明

(CS)

能の様式美を取り入れた作劇が古風というよりむしろスタイリッシュで大感動。
富士の山麓に作った壮大なセットもすごい。が、とにもかくにも三船だろう。
目をひんむいて叫び、狂いゆく三船の美しさと演者としてのスケール感に圧倒される。
そして三船に負けないほど、山田五十鈴が鬼気迫る演技で応える。
俺を殺す気かと三船が本気で怒ったというラストの弓矢のシーンの凄みは言葉にならない。大傑作。

裸足の季節

2017-11-23 | 外国映画(は行)
★★★☆ 2016年/フランス・トルコ・ドイツ 監督/デニズ・ガムゼ・エルギュベン

(WOWOW)

男の子と遊べない、外出しないように家に柵を張られる、無理矢理処女検査を受けさせられるなど、
北トルコの女性への差別的言動の乱れ打ちにクラクラ。
こうした偏見に対する反抗、あきらめ、運命への拒絶を
リアリティをもって描く意義深い作品ではあるのだが、
どうしても美人姉妹じゃないとダメか?
キラキラした映像じゃないとダメか?という疑問がぬぐえない。
どんなにすばらしいアニメ作品でも
少女のスカート丈がびっくりするほど短いときに感じる、あの嫌悪感と同じ。
美人姉妹だから可哀想だと観客はより感情移入できるのか?
いつもの屈折した私の感情に悩まされる。

予兆 散歩する侵略者

2017-11-22 | TVドラマ(日本)
映画版のスピンオフで全5回。
映画では概念を抜かれてスッキリするような人もいたけど、
こちらは完全に人間として欠落する。
映画は舞台がもとなんで、元の要素がいじれない部分もあったと思いますが、
こちらのスピンオフはリングの高橋洋と組んで黒沢節全開なのが面白かった。
いつもの黒沢的ホラー表現もこちらに軍配。「愛」とかに寄せてないのもいいね。

また黒沢映画で開花した怖い微笑みの東出昌大が最高。
黒沢清って役者の素材をちゃんと見抜いてホラー的に使うのがほんとうまい。
「降霊」の草薙剛もすごい不気味だったし。

ハウスオブカード シーズン2

2017-11-21 | TVドラマ(海外)
どんな手を使っても大統領に上り詰めんとすフランクとクレアの悪行。
ここまで執念深いとある意味爽快。
自身の学生時代のレイプ事件を発端に、クレアを通じて自立とは、
強く生きるとはといったフェミニズムにますますスポットが当てられるのも面白い。
フランク自ら●●に手を染めるって、どうなのよ?と思わずにはいられないが、
こんな奴が大統領まで上り詰めるのかと思うとぞっとする。
そして、資金洗浄とか政治劇の中身がイマイチわからんww。
が、でもめちゃ面白いぞ。相変わらず映像のクオリティが高過ぎ。1シーズンの予算が100億円だもんなあ。

ブレードランナー2049

2017-11-20 | 外国映画(は行)
★★★★★ 2017年/アメリカ 監督/ドゥニ・ビルヌーブ

(映画館)

これはキューブリックなのか?キューブリックに挑戦しているのか?とテンションMAX。
駄目ポイントもあるが、それだけでOK。
実は前作を傑作たらしめたハードボイルドタッチが個人的には好みではないのだ。
しかし本作は最初から人間を人間たらしめているのは何かという根源的な問いかけの孤独な旅であり、
この世界観にどっぷり没入してしまった。
また、最近「記憶」についての作品が好きで、個人的な興味とも合致したのも大きい。
これほどハードル高い仕事をやってのけたヴィルヌーブは偉いよ。
公開当初に大きなスクリーンで見るべきだったと大後悔。

打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?

2017-11-19 | 日本映画(あ行)
★★★★ 1993年/日本 監督/岩井俊二

(Amazonプライム)

伝説的傑作などと言われながら、なかなか見る機会がなかった1本。
Amazonプライム様々だねー。
少女愛炸裂シーンには引いてしまうのだが
番組企画の「ifもしも」という設定をうまく利用して、青春の切なさをうまく描いている。
中学生ではなく小学生というのが肝だろう。
女を受け止めることで見えてくることがあるのさ。小学生でもね。
若い頃に本作を見た男性がいつまでも引きずっているという気持ちは、よおくわかる。
それにしても、男子たちの幼さが際立つね。意図的なキャスティングだろうけど。

ミツバチのささやき

2017-11-18 | 外国映画(ま行)
★★★★☆ 1973年/スペイン 監督/ビクトル・エリセ

(CS)

再見。
フランコ政権下、恐怖に支配されるスペインを無垢な少女アナの幻想的な体験を通じて描く。
これでもかと描かれる死のイメージ。
アナがあまりに純粋で無防備であるゆえに不穏さも際立つ。
陽光降り注ぐリビングで、死んだフリをする少女のカットにぞっとする。
美しいのだが不気味。これぞスペイン産の味わい。

キャロル

2017-11-17 | 外国映画(か行)
★★★★☆ 2016年/アメリカ 監督/トッド・ヘインズ

(WOWOW)

初めて会ったときの「見つけた」と言わんばかりのKブランシェットの眼差しの凄さよ。
宝塚男役さながらの立ち姿、振る舞いの凛々しさにやられた。
そして、1950年代のNYの街並、衣装、何もかもが美しくて溜め息。
見つめ合うことで愛を紡ぐ極上のメロドラマを堪能。
この年、主演女優賞はブリーラーソンがとったけど、これはケイトブランシェットでしょう。
格が違いすぎるわ。何も言わなくても立ってるだけでいろいろわかるし伝わる。この貫禄は何なのだ。

グッドフェローズ

2017-11-16 | 外国映画(か行)
★★★☆ 1990年/アメリカ 監督/マーティン・スコセッシ

(Amazonプライム)

マフィアのやりたい放題のバカ騒ぎをリズムの良い演出で一気に見せる。
笑いながらいきなり撃つみたいな狂気の描き方も面白い。
しかし、巷の絶賛ほどはノレず。なんでかなあ。
そもそもギャング映画好きじゃないのとデニーロの立ち位置が中途半端に感じられたからかなあ。
レイリオッタがクラブの裏口から入る長回しのシーンとか、ジョーペシのキレ芸とか、
後世のいろんな映画に影響を与えたんだなあというのは、よくわかる。
だからか、どこかで見た感を感じもあってノレなかったのかも。
本当はこっちが先だったんだろうけど。

ジャック・リーチャー NEVER GO BACK

2017-11-15 | 外国映画(さ行)
★★★ 2016年/アメリカ 監督/エドワード・ズウィック

(Amazonプライム)

エドワード・ズウィック真面目過ぎるよー。
前作「アウトロー」のとっぽい感じが何とも言えん雰囲気を醸し出していたのにさあ。
これじゃごく普通のアクション映画だわ。
せっかくMIシリーズとは異なる方向性を前作で提示したのにもったいない。

パディントン

2017-11-14 | 外国映画(は行)
★★★★ 2016年/イギリス 監督/ポール・キング

(WOWOW)

期待以上の秀作。
ロンドンに降り立つパディントンは移民の象徴でもあり、
そんな彼が世界と衝突しながらも認められ、家族を得て行く。
マイノリティが社会と衝突するテーマはアメリカにも多くあるが、
イギリス映画の方が品のいい皮肉が利いてて好きだ。
また、CG多用映画は好きじゃないけど、これは楽しくていい。
なにせロンドンの街並が美しい。
どうしてロンドンって見ていてこんなにウキウキするんだろうか。

ロスト・バケーション

2017-11-13 | 日本映画(や・ら・わ行)
★★★☆ 2016年/アメリカ 監督/ジャウム・コレット=セラ

(WOWOW)

87分というコンパクトさがいいね。
そしてさまざまな表情をとらえる海の映像が本当に美しい。
サメに立ち向かうブレイク・ライヴリーも美しい(めっちゃタイプだわ~)。
ラストのサメ撃退はちょっとありえない展開っぽいが、必死の攻防は見応えあった