Casa Galarina

映画についてのあれこれを書き殴り。映画を見れば見るほど、見ていない映画が多いことに愕然とする。

ナイト・マネジャー

2020-08-31 | TVドラマ(海外)
★★★☆

監督スザンネビアということで観賞。原作ジョンルカレなんで硬派なスパイものかと思いきやめっちゃトムヒ祭り。あっちでもこっちでも女に惚れられてまあよくこれでスパイ稼業できますね…という感じだが、スパイ映画らしく世界の名所を巡る豪華な映像は見応えあり。

潜入班のトップが中年女でしかも妊婦というのが面白い。大きなお腹で陣頭指揮を取り、時に危険な場面にも潜入。トムヒのモテぶり以上にそんなことある?という奇抜な設定だが、そこはオスカー女優オリビアコールマンが貫禄の演技。決して折れない信念の強い女性トップを堂々と魅せてくれる。

ナイブズ・アウト 名探偵と刃の館の秘密

2020-08-31 | 外国映画(な行)
★★★ 2019年/アメリカ 監督/ライアン・ジョンソン

高評価も多い中、自分にはピンと来ず。大邸宅での大金持ちの殺人事件となると、もろにクリスティ。ライアンジョンソンもその世界観を目指したようだけど、ミステリーとしては物足りないなあ。ポワロでもなくミスメープルでもない、独自の探偵像をもっと追求して欲しかった。

アンカット・ダイヤモンド

2020-08-29 | 外国映画(あ行)
★★★ 2019年/アメリカ 監督/ジョシュ・サフディ ベニー・サフディ

なんなの、このわちゃわちゃ感。 クセのあるエレクトロサウンドと暴走する主人公。80年代の角川映画っぽいなあと思ったり。 欲望むき出しでその場しのぎで生きる男。珍しい生き物の人間観察のように観賞。しかしこんな落ちつきない奴、近くにおったらめっちゃ嫌です。

ベター・コウル・ソウル シーズン5まで一気完走

2020-08-27 | TVドラマ(海外)
★★★★☆

予兆、暗喩、心理描写といった行間の演出が芳醇でため息。日本のドラマに圧倒的に足りないもの。 アルバカーキの砂漠地帯のロングショットも圧倒的。おっさんどもの不器用な生き様が胸に迫る。ソウル、マイク両看板を取り巻く人々も魅力的。

ブレイキングバッドはウォルターがあまりに利己的で後半ノレず。断然こちらが好きだ。思うように生きられないソウルの人生。自業自得な面もあるけど憎めない。キャラクター造形が本当に緻密。ソウルと歩むことを決めたキムはダークサイドに落ちるのか。今はソウルよりキムに完全に感情移入。S6いつ!?

美しい星 

2020-08-26 | 日本映画(あ行)
★★★★ 2017年/日本 監督/吉田大八

ちょ、何これ。すっごい変なのにすっごい面白い! 矢継ぎ早に切り替わるカットに大真面目に繰り出す宇宙ポーズ、そしてヘンテコ話を荘厳に彩る劇伴。バランスが神がかってる。バランス崩れると目も当てられないトンデモ映画だよ。こんなの吉田大八にしか撮れない。ちょっと感動。

オープンエンドなのに、いやオープンエンドゆえか、リアルSFだと宇宙人襲来物だし、ファンタジーだと大杉一家の妄想で、どちらの解釈でも破綻なく物語が成立。原作未読ですがこれはどれくらい脚色しているのでしょうか。俄然読みたくなりました。それにしても音楽がいい。そして蔵之介が宇宙人っぽい!

ストレンジャー・シングス S3

2020-08-21 | TVドラマ(海外)
★★★☆

ハリーポッター+ジュラシックパーク。子供たちの成長を見守りつつ、容赦ない異世界の怪物とのバトルに興奮。ショッピングモール、ロシア軍秘密基地、移動遊園地と潤沢な予算だからできる舞台セットの作り込みがすごい。ただ役者陣が少々オーバーアクトのが気になる。

だから私は推しました 

2020-08-21 | TVドラマ(日本)
★★★★

地下アイドルをOLが推す設定が発明。20代後半の女の自意識が露わになるのが見ていて辛いが、一方演出やカメラは実にクールで引いた視線。そのバランスが絶妙。 アイドル、宝塚、二次元…。なぜ人は誰かを推すのか。奇抜な設定だから描ける人間の根本心理。秀逸。

オリジナル脚本というのが本当にすばらしい。マウンティング合戦に疲れた女が何かをきっかけに自身を解放する話はいろいろあるがそれが地下アイドルとは。初回冒頭に主人公は逮捕されていることが明示され、時間を遡るミステリー仕立ての語りもうまい。さすが森下佳子。全部さらけだす桜井ユキも最高。

きみの鳥はうたえる

2020-08-19 | 日本映画(か行)
★★★★ 2018年/日本 監督/三宅唱

男ふたりに女がひとり。心地いい3人の関係。でもそれは長くは続かない。突然炎のごとく函館編。熱情もファムファタルもここにはないけど。なーんも考えずにテキトーに生きてる。そのダラダラが愛おしい。たゆたうような甘やかな時間。壊さないでと困り顔の女のクロースアップ。

石橋静河も柄本佑も、こうした日常系の日本映画の小品には欠かせない存在で自然体の演技がとてもいいが、私は染谷将太に釘付け。このつかみどころのなさは、誰にも真似できない。本作では何の賞にもノミネートされてないのかな? 彼が出てきただけで確実に空気感が変わる。

アルプススタンドのはしの方

2020-08-18 | 日本映画(あ行)
★★★☆  2020年/日本 監督/城定秀夫

高校野球は部活の花形。全ての者から応援される高校球児とスタンドのはしにいる自分たち。 嫉妬、後悔、気後れ…。4人の高校生が抱えるわだかまりが試合の流れと共に溶けていく。真夏のあの日、僕たちは何かを手にし、いつもの日常へと帰っていった。人生は続く。

青春映画の良作に間違いなしとした上で言いたい。これは甲子園で撮影するべきだったと。甲子園特有の空気感が映し出されていたら、もっと中心とはしのコントラスト、青春の切なさが浮かび上がったはずだ。そして、あのラストシーンも光り輝いた。阪神甲子園球場、なんで撮影許可出さなかったんだ!

ジョーンの秘密

2020-08-10 | 外国映画(さ行)
★★★★ 2018年/イギリス 監督/トレバー・ナン

英国の女性科学者が原爆情報をソ連に流した。世界の平和のために。 ジョーンは確かに男に翻弄されたが彼女の行動は科学者としての矜持。それを正義として世界は認識するのか。抑止力は本当に有効か。広島、長崎も言及され日本人には決して他人事ではない物語。考えさせられる秀作。

完全ノーマークだったが掘り出し物。現在と過去を行き来する構成もスムーズでケンブリッジ大学の風景も美しい。実話ベースだが脚色部分も多いはず。しかし、すでに核兵器が存在する今、使わないために何をするべきか考えるきっかけには十分。出演時間短いがジュディデンチの演技には惚れ惚れ。さすが。

ガス燈

2020-08-08 | 外国映画(か行)
★★★★★ 1944年/アメリカ 監督/ジョージ・キューカー

実に恐ろしい。ホラーと言ってもいい。 「おかしいのはお前だ」 その刷り込みが妻を狂気に追いやる。現代の家庭内DVと地続きゆえに全く古臭さを感じさせない。夫の一つひとつの言動は今で言うところのソシオパスだが、これほどリアルに緻密に描けている作品があるだろうか。傑作。

精神的に追い詰められるヒロインのイングリット・バーグマンの美しさよ。同様のサスペンスを多く作ったヒッチコックが本作を撮ったらどうなっただろう。 「誰も私を信じない」系には名作が多いが、本作を見ると他が霞んでしまう。ガスライティングという心理学用語が生まれたのも納得の完璧な逸品。

アンダー・ザ・シルバーレイク

2020-08-07 | 外国映画(あ行)
★★★★ 2018年/アメリカ 監督/デビッド・ロバート・ミッチェル

これすっごい好き。犬殺し、陰謀論、妖しげなパーティ。ハリウッドの闇を幻惑的な映像と往年のハリウッド作を思わせるドラマティックな音楽で描く。フクロウ女はリンチだし、追い込まれる男はヒッチコックだね。でも、モノマネにならず独自の世界観がある。

世の中の全ては富豪が操っていて、世界は暗号に満ちている!とかいうネタ大好物です。最後までわからないことも多いし、すっごい変な映画だけどムードに持っていかれる。こういうのは撮れない人には絶対撮れない。サブカル業界人のAガーフィールド。ストイックな役よりこっちのヨレヨレしてる方が好き



シンプル・フェイバー

2020-08-03 | 外国映画(さ行)
★★★ 2018年/アメリカ 監督/ポール・フェイグ

湊かなえみたいなママ友を巡るイヤミスみたいな話か?と思いつつ見るが、全てが中途半端でがっかり。ジャンルレスというより、ポイントレス。結局、作品の核は何だったのかさっぱりわからず。 見どころはブレイク・ライブリーのメンズライクなファッション。ケイト様も顔負け。

東京流れ者 

2020-08-01 | 日本映画(た行)
★★★ 1966年/日本 監督/鈴木清順

スタイリッシな映像美とヤクザの流れ者、歌謡曲という取り合わせが唯一無二の世界観。冒頭モノクロームで始まり、ピンポイントの赤。その後も奇抜な色彩感覚で見る者を惑わせる。アクションあり、ミュージカルあり、枠にとらわれない自由奔放さ。1966鈴木清順。ノリに乗った1本だが、このテイストが自分の好みにどハマりかというとそうでもなく。