Casa Galarina

映画についてのあれこれを書き殴り。映画を見れば見るほど、見ていない映画が多いことに愕然とする。

パリ、ただよう花

2014-01-12 | 外国映画(は行)
★★★ 2011年/中国・フランス 監督/ロウ・イエ
(映画館にて鑑賞)

「孤独な中国人」

好きな男を追ってパリにやってきた中国人教師、花。
彼に突然別れを切り出され、動揺している時に、
作業員のマチューにナンパされ、あげくは暴漢される。
しかし、花は何事もなかったのようにマチューとつきあい始め、
互いの肉体をむさぼり続け、泥沼の関係になってゆく。
とまあ、プロット自体は私の大好物なんですが、男と女ののっぴきならない駆け引きとか、
どうしようもない気持ちとか、そういうことは実はあまり関係なくて
おそらく、これは中国という国、そのものを花を通して描いている作品ではないかと思うのです。
そう思い始めると、とたんにつまらなくなってしまったんですよね。
「預言者」に主演していたタハール・ラヒム。
コイツが本当にどうしようもない男でねえ。
彼の言い分はことごとく無茶苦茶なんです。
そんな男の言うことを黙って受け入れる花という女は何者なのか。
最後の最後になって、彼女の来し方もわかってくるわけですが、
いかんせん中国の社会文化とか、国際的な立ち位置とかに興味のない私は
あまり共感できなかった。
私はもっと、ドッロドロでずぶずぶの男と女を見たかったんですけど。
それから全編手持ちカメラ。120分もですよ。これは本当に疲れた。
当分、作品説明に「手持ちカメラで~」と書いてある映画は観ません。

永遠の0

2014-01-08 | 日本映画(あ行)
★★★★ 2013年/日本 監督/山崎貴
(映画館にて鑑賞)

「死にたくなかった男の死に様」

現代シーンの演出がね、もうベタすぎて、勘弁。
「三丁目の夕日」で有名な山崎監督ですけど、あんな感じですよね。
もちろん、CGの方の手腕を買われてだろうけど、
現代と戦時中と監督を分ければ良かったんじゃないのと思ってしまう。
特に、三浦春馬演じる孫の心の移り変わりが物足りない。
吹石一恵もなあ。この人、いつ見ても同じ演技に見える。
現代パートでは田中眠の存在感が出色で、この人がいなかったらもうぐずぐず。

一方、戦中シーンは井上真央以外は(笑)とても良かった。
CGも迫力ありました。
とにかく岡田くんがカッコいいね。ラストカットも好きです。
同僚の中では新井浩文が良かったなあ。やっぱ、この人はスクリーンで映えるわ。
濱田岳は最近邦画に出すぎだよ-。飽きてきた。

「家族のために死なない」と決めていたのに、最終的には特攻に散った。
散りざるを得なかった。
それが戦争であるということ。その虚しさ、やるせなさが十分伝わったことに★4つです。
となりのおじさん、号泣してました。

捜査官X

2014-01-07 | 外国映画(さ行)
★★★☆ 2011年/香港・中国 監督/ピーター・チャン
(DVDにて鑑賞)

「邦題ひどすぎ」

1912年の中国ののどかな山村が舞台で、
後半はドニー・イェンのアクションがてんこ盛りで
タイトルの「捜査官X」はないでしょうが。
まず、その時代、捜査官って言わないし!
「X」の意味が全くもってわからんし!
どこをどう見たら、こんな邦題になるのでしょうか?
付けた人は映画を観たのでしょうか?
近年まれに見る悲惨な邦題だな。

タイトルが迷走してしまったことは少なからず理解はできる。
金城武演じる刑事が謎を妄想するときに現場のスローモーション映像が浮かぶくだりは
何だか「シャーロック・ホームズ」みたいだし、
村人が刑事を追い出すようなところは金田一シリーズみたいだし、
後半は一転してバリバリカンフー映画になるし。
何だかもの凄くごった煮なんですよね。
まあ、その辺がこの映画の魅力でもあるんだけど。

中国の田舎の風景はすごく美しくていい。屋根の上で牛を飼うんだね。びっくりしたよ。
ドニー・イェンのアクションは相変わらずカッコ良くて、よかったです。
まあ、B級とも言えなくはない中途半端な映画なんだけど、
やはりアクションシーンのクオリティの高さは凄い。
タン・ウェイも無事に女優業してたんだね(笑)。良かった。

ゼロ・グラビティ

2014-01-06 | 外国映画(さ行)
★★★★☆ 2013年/アメリカ 監督/アルフォンソ・キュアロン
(映画館にて鑑賞)

「究極の脱出劇」

最初にプロットを聞いた時はそんな話で120分持つのか!?ってことだったんだけど、
最後まで目が離せませんでした。(実際の尺は91分だったが。笑)
冒頭に、船外作業をしているふたりの会話からして、
マイクを通してはあはあとした息づかいが漏れてくるんですが、
なぜかそこで、私も息が苦しくて、酸素が少ないような錯覚に陥ってしまいました。
完全に宇宙空間に同化。
苦しいよー、酸素がないよーという状態で見続けたので、ラストシーンに思いっきり深呼吸してしまった。
どんだけ、入りこんでんねん、ワタシ。

どうして、こんなに高評価かと言うと、
ライアンが必死で脱出を試みるも次々と苦難が立ちはだかり、諦めていた時にある出来事が起きる。
その出来事にとても胸を打たれたからなんです。
決して、信心深いわけでもないし、神を信じるわけでもない。

言葉にするのがとても難しいのだけど、
宇宙空間だからこそ起きる神秘的な体験。
それは奇跡なのか、幻覚なのか。
または極限状態にあったライアンの脳から彼女の網膜に発せられた科学的な現象なのか。
もちろん、答えはわからないのだけど、この出来事が起きてから、
ラストまでもう、それはそれは涙が止まらなかったのでした。

さんかく

2014-01-05 | 日本映画(さ行)
★★★★☆ 2010年/日本 監督/吉田恵輔
(DVDにて鑑賞)

「見事な方向転換」

彼女の妹にフラフラしちゃうどうしようもない30男の話がメインストリームだと思っていたら、
あれよあれよという間に違う流れに乗せられ、予想外の物語が展開し始めた。
しれっと話の方向性を変えていく、その饒舌な語り口がお見事。
まさか、こんな展開が待っていたとは。
とぼけた顔してやってくれたな!って感じで、デビュー作「机のなかみ」の鮮やかなどんでん返しを思わせる。
冒頭、佳代が親友から妖しげな商品の勧誘を受けることから物語は始まり、
これは今後の展開の種まきかと思わせておいて、ところがどっこい、そっちじゃないんだよねってか。
してやられたわ~~~。

ロリコン、ストーカー、マルチ商法と奇抜なアイテムが並ぶが
見かけは普通の暮らし、普通の男女のすれ違い。
この組み合わせ方が絶妙。

中3の女の子にフラフラしてしまう百瀬は確かに痛いのだが、
私は「仕方ないんでないの?」と思うわけ。
同じ部屋でブラジャーも付けずに短パンで足を投げ出すオンナの方が悪いよ。
正直この桃って子、ものすごくムカつくもんなあ。
その後の展開も含めて。確信犯だしさ。

とにかく登場人物はみんなイタイのだけど、
そのイタさの描写を面白可笑しく見せる映画ではなく、
あくまでも何となくそこいら辺にいそうな普通の人の物語のように、
スイスイと物語が流れていく、語りの巧さにに唸るのでありました。

毎日かあさん

2014-01-04 | 日本映画(ま行)
★★★★ 2011年/日本 監督/小林聖太郎
(DVDにて鑑賞)

「夫を看取る」


「あまちゃん」の春子の元ネタはここだったのかあ。
豪快なかあちゃんっぷりの小泉今日子が楽しい。
殴る、蹴る、罵る。子どもの頭もパシーン!と一発。

時々漫画は読んでいたのだけど、長男くんのアホっぷりの描写は、
自分の息子なのに、よくぞここまで書けるもんだと感心しておりましたが、
映画でも、どんくさくてアホでマヌケなガキとして描かれており、清々しいです。
この子役の男の子がいい味出してる。

元夫婦の共演という、観客の先入観もうまい具合に彩りを付けている。
憎みたいけど憎めない。離れがたい夫婦というよりも、同士としてのふたりの関係性。
小泉今日子と永瀬正敏もそうなのではないかという想像と共に物語は愉快に進む。

しかし、アル中を脱したものの、癌が見つかり余命幾ばくもないとわかってからは、
俳優、永瀬正敏の独壇場。
壮絶な痩せっぷりに役者魂を見ました。良作。

キル・ビル vol.2

2014-01-03 | 外国映画(か行)
★★★★ 2004年/アメリカ 監督/クエンティン・タランティーノ
(DVDにて鑑賞)

「vol.1とは、また違う趣で」

vol.1の謎をしっかり完結してスッキリ。
中国の導師に弟子入り修行なんてのもは、カンフー映画をいろいろ見てきたからこそ笑える。
やっぱ修行シーンがないと、カンフーじゃないよね。
パイ・メイなる導師が、なんべんすんねん!というくらいあごひげを触るのがおかしい。

後はダリル・ハンナとの決闘シーンがものすごくいい。
狭いトレーラーの中で次々と繰り出されるアクションシーン。非常に見応えありました。

ビルの娘が寝る前に見るビデオが「子連れ狼」って(笑)。

キル・ビル vol.1

2014-01-02 | 外国映画(か行)
★★★★ 2003年/アメリカ 監督/クエンティン・タランティーノ
(DVDにて鑑賞)

「笑って許せるようになりました」

公開当初に見た時は、國村隼の頭が吹っ飛んで目を覆い、
ルーシー・リュウの「やっちまいなー」でずっこけて、こりゃダメだってんで、すっかり観賞者としての
テンションがだだ下がりになってしまい、どうにもこうにも楽しめなかった。
しかし、あれから幾年月。
カンフー映画もホラー映画もそれなりに見てきて、ずいぶん楽しめるようになりました。

やっぱり、映画は観る側の受け入れる体勢というのが大事なのだね。
ユエン・ウーピンのアクション演出もすごく良くて。
初見時にはそこにはサッパリ思いが行かなかったなあ。
それにしても、タランティーノの「日本映画LOVE」が微笑ましいですなあ。
私は千葉真一のファンだったから、「影の軍団」を見直したくなった(笑)。

舟を編む

2014-01-01 | 日本映画(は行)
★★★★ 2013年/日本 監督/石井裕也
(DVDにて鑑賞)

「夫婦の物語の側面には物足りなさ」

いい話だな。うん。
小さな小さなことを15年間積み上げて、辞書という舟を大海原に放つのさ。
地味な仕事が大きな輝きを見せることに、働くことのすばらしさも感じさせてくれる。
松田龍平のイケテない男もいい演技だ。
オダギリくんのこういう軽い役もいいね。

しかし、宮崎あおいがなあ。。
演技が悪いということではなく、この夫婦の味が伝わってこないのさ。
まじめくんの仕事っぷりのストーリーがいい分、
夫婦の物語にサイドストーリーとしての輝きがないんだよね。
妻が板前という特殊な職業に就いている分、何かそこに面白さを見つけたかったんだけど。