Casa Galarina

映画についてのあれこれを書き殴り。映画を見れば見るほど、見ていない映画が多いことに愕然とする。

太陽

2017-10-19 | 日本映画(た行)
★★★ 2016年/日本 監督/入江悠

(WOWOW)

「散歩する侵略者」がノレなかった同じ劇団イキウメ原作。
入江ならではの長回しもあるが、やはり台詞回しなどで元ネタ舞台感を感じられてこれまたノレず。
知能も体力も劣る人類キュリオを演じる神木隆之介がミスキャストのように感じる。
また近未来のSF世界観ももう少し作り込みが欲しい。
根本的に劇団イキウメの世界観が自分の好みとは合わないんだな。
わかりやす過ぎて薄く感じるというか。そのまま映像化すると物語がチープになる。
黒沢清のようにもっと映像で観念的なものを見せないと難しいんでしょう。それでも私はノレなかったんだけど。
そして、結局どこがクライマックスだったんだろうという物足りなさ。

団地

2017-08-07 | 日本映画(た行)
★★★★☆ 2016年/日本 監督/阪本順二

(WOWOW)


大阪弁コテコテのテンポの良い悲喜劇にSF要素が加わるウルトラCひねり。
死とは?そして生とは?という哲学的なテーマを
日常の権化とも言える団地と遥かなる宇宙空間を見事につないで紡ぎだす。

団地という日常に非日常が浸食する。
いや、私たちが生きる世界こそが非日常なのだ。
密室での漢方薬作りシーンにも不思議な緊張感が走る。
そして、「そちらはどーですかああ」とくそ真面目に叫ぶ藤山直美に爆笑。
この緩急がすばらしい。
ラストの驚きの展開にも唸る。

2016年にリアルタイムで見てたら間違いなく年間BEST3入りだった。

ちはやふる 下の句

2017-08-05 | 日本映画(た行)
★★★ 2016年/日本 監督/ 小泉 徳宏

(WOWOW)

上の句を見たので仕方なく観賞。
松岡茉優の登場により、広瀬すず推しな映像も減っているので、上の句よりも楽しめた。
しかしまあ、主人公がワガママ三昧でうざいね。
おまえはいつも自分のことで忙しいのお。
次作が決まっているらしいのだが、もう見ないのは言わずもがな。

ちはやふる 上の句

2017-05-11 | 日本映画(た行)
★★★ 2016年/日本 監督/小泉 徳宏

(WOWOW)


かるた取りの体育会系迫力や、かるたという日本文化の味わいを趣向を凝らして見せてくれるのはとてもいい。
その辺のしょーもない青春ムービーとは違う。

だが、しかし。
これでもかと続く、広瀬すず押しの「決めショット」にやはりオバハンは引いてしまう。
広瀬すずちゃんって、こんなにかわいいんですぅ〜by 製作陣 アピールがしんどかった。

沈黙

2017-02-07 | 日本映画(た行)
★★★★☆ 2017年/アメリカ 監督/マーティン・スコセッシ

(映画館)

仕事で疲弊した体に鞭打ち、どうしても見たくて観賞。
どっと疲れが出た。が、作品は素晴らしかった。
ひたすら信じて死を選ぶ殉教者たちがこのご時世、自爆テロを行うイスラム原理主義者にも重なり。
信じるとは恐ろしいことだなと。私なんかますます宗教とは距離を置きたくなった。

キャスト陣の熱演は見事。塚本晋也の死の間際の演技に圧倒されたし、浅野忠信のつかみどころのない不穏な感じも良かった。
アンドリューガーフィールドもがんばってたよ。
なぜオスカーノミネートされなかったのかな。フェレイラに対面するシーン素晴らしかった。

妻は告白する

2016-11-10 | 日本映画(た行)
★★★★☆ 1961年/日本 監督/増村保造

Amazonプライムでタダで見れる幸せ。DVDレンタルより映像キレイ。愛に狂い、雨に濡れ、髪から水が滴り落ちながら、男を尋ねてくる和服姿の若尾文子の妖しさと言ったら。何度見てもいい。

転校生

2016-11-09 | 日本映画(た行)
★★★★ 1982年/日本 監督/大林宣彦

再見。大林作品では一番好きかな。それにしても、小林聡美がこんなに体張ってたとは驚き。まだ10代だと思うのだけど、バンバン脱いでてびっくりした。ラストのお別れシーンの長回しは名シーンだね。

共喰い

2014-08-27 | 日本映画(た行)
★★★ 2013年/日本 監督/青山真治
DVDにて観賞

なんとも悪趣味な映画だ。
悪趣味大好きなんだけど、悪趣味の奥にある、悲哀とか、人間の愚かさから何かこう、
深遠なものが見えて来るという作品はあるんだよね。
でも、これは違った。ただただ悪趣味なんだよね、タイトルからして。
下関の漁港そばの貧しい人々の暮らしぶり、その捌いた魚の内蔵の匂いみたいなリアリティはすごく感じられて
その辺は、北九州サーガ三部作を思わせる。場所も近いし。バスのショットで始まるのはユリイカみたいだし。
役者陣はみんなすごくいいね。光石研は最近クズみたいな父親ばっか演じていてちょっと可哀想だけど(笑)。
やっぱ、田中裕子だよなあ。樹木希林と双璧。
物語が悲惨でも、田中裕子の演技が見られたらそれでいいと思わせてくれる。
物語の悪趣味がただ悪趣味で終わるってのは、原作のせいなのかもなあ。
親父を超えられず、うじうじしている青年の話なもんで、これって村上春樹なんじゃね?と思ってしまったよ。
表現方法は真逆だけど。

探偵はBARにいる

2013-10-03 | 日本映画(た行)
★★★ 2011年/日本 監督/橋本一
(DVDにて鑑賞)

「おもろなーい」


評価が分かれている映画って、私はどっち派になるんだ?という鑑賞前の楽しみがあるのだけど、
これは残念ながらハマらんかった…。
大泉洋は割と好きな俳優で、いちばん好きな作品は「ハケンの品格」。
篠原涼子を「とっくり~~!」と叫ぶのがすごく面白かったんだけど、
この作品の洋ちゃんはダメ。
とにかく探偵ってことで、すかした演技が鼻につく。
アンタ、イケメンでもなかろうに、何カッコつけてんの?と思っちゃう。
作品全体に漂うムードも、松田龍平が出ているからということでもないけど
松田優作の「探偵物語」を思わせるムードで、なんか大泉洋が浮いて見える。

あと、小雪ね。
どうもこの人、うまいと思えない。
謎の美女ですか…。で?って感じで、何も後に残らない演技なんだよね。
そしてこの人、とても女子受けが悪いのはなんでですかね。

終の信託

2013-09-10 | 日本映画(た行)
★★★★ 2012年/日本 監督/周防正行
(WOWOWにて鑑賞)

「死に際は自分で選べるのか」

期待せずに見たせいか、それなりに満足感。
相変わらず草刈民代は下手ですが、下手なりに監督が一生懸命カバーして撮ってるのがわかりました。妻なので当たり前だけど。
医者と患者の関係を超えて信頼しあえるのは悪いことではないけど、
やはり自分の意思次第で人の命を終わらせることができる立場として、
彼女のやったことは正しかったのかどうか、考えさせられますね。
呼び出されて、受け答えしているうちに逮捕されちゃうもんなんだ…という
検察の恐ろしさも伝わりました。力作。 しかし、尺が長すぎる。

テルマエ・ロマエ

2013-01-21 | 日本映画(た行)
★★☆ 2012年/日本 監督/武内英樹
(DVDにて鑑賞)

「いつものフジテレビクオリティ」

漫画は大好きなんだけどね。
がんばってイタリアでロケしているんだけど、やっぱりこれは映画じゃない、と。
そう言うしかないよね。
豪華なスペシャルドラマです、以上。という感じかなあ。

しかも、監督が「のだめカンタービレ」の人じゃないかあ。
もう、まんま延長線じゃん。
だいたい、イタリアが舞台なのに、みんな日本語って世界観が入り込めない。
漫画ならアリなんだけど。これ、のだめの感想と全く同じ。

どのシーンがつまらないとか、脚本が盛り上がらないとか、
そういうこといちいち上げる前に映画になってないから。
だから、映画としての感想を書きようがない。それしか言えない。つまらんなあ。

冷たい熱帯魚

2011-04-08 | 日本映画(た行)
★★★★☆ 2011年/日本 監督/園子温

<梅田シネ・リーブルにて観賞>

「隣りにいる魔物」

あんまり凄すぎて、何から書いていいか、わかんない。

まあ、まず村田を演じる主演のでんでん、だね。高笑いしながら、どんどん殺して、どんどん切り刻んでいく。その桁外れの狂いっぷりに圧倒された。しかも、彼の言動が笑いを誘う。恐怖と笑いは裏表って言うけど、まさにそう。死体を始末するシーンで「吉田くーん、好きだったよぉー!」って骨に向かって叫びながら、燃えさかるドラム缶に放り込むシーンは爆笑だったな。と、同時に私は一体何を見ているんだろう?って、わからなくなった。

何より印象に残ったのが「ボディを透明にする」ってセリフ。園監督はよくこんなおかしなセリフを思いついたもんだよ、と感心していたら、これ、本当に犯人が言った言葉だった。映画を観賞後、「愛犬家殺人事件」について調べてたら、そうだった。わかった瞬間、背筋が凍ったよ。常人には思いもつかない、この奇妙なセリフ、でんでんの口からするりと自然に出ているのが怖かった。

村田の饒舌さにどんどん取りこまれていく社本。モンスターに睨まれた飼い犬になり、言われる通りに動くしかなくなっていく。人間って誰しも、他人の主張を正面から否定することのできない、弱い生き物なんだよ。堂々とした人間を目の前にしたら、そうかも知れないと思い始める。村田のまくしたてるおしゃべりは、さながら宗教のカリスマの演説のようで、従うしか道はないように錯覚してしまう。さらに恐ろしいのは、我々観客が村田や妻愛子の迷いのないハジけっぷりに清々しさを感じてしまうことだ。

「事実は起承転結の結がつまらないから、映画は変えた」と園監督が言っていたので、どんなエンディングが待ち受けているのかと思ったら、これまた強烈なエンド。救いも何もないんだけど、何を伝えたい、とか、そういうレベルを超えた映画だね。

話は全然変わるけど、こういう作品を見ると、映画の善し悪しを語ることって、とても多面的なことだなあと思わされる。いい映画だけど、つまらない。ダメな映画だけど、面白い。そういう相反した感情を引き起こすのが映画のおもしろさだ。

この作品の場合、「凄い」って言葉があふれるんだけど、じゃあ凄いからいいのかって言うと、そんなことはない。実際、本作に関しても、「凄いけどダメな映画だ」って、言う人もいるわけで、その人が基準としている「ダメ」って一体何を指してるんだろう?って、ところに興味がいったりするわけ。私は単純だから、インパクトがでかいとそれですぐにズギュンとやられちゃう(笑)。でも、インパクトでかい映画の場合、不快感が生じるってこともあるからね。あざとかったり、ウケ狙いだったりさ、そういう製作者のやったったろう的な意図が見え隠れすると、とたんにつまらなくなる。でも、この作品はすごく単純だよね。ストレートだよ。いっぱい驚かされたし。やっぱ、面白いね、園作品。解体シーンはほとんど目、つぶってたけど(笑)。

誰も守ってくれない

2011-03-07 | 日本映画(た行)
★★★ 2008年/日本 監督/君塚良一

「多すぎる視点」


重いテーマですけど、フジテレビ制作ですから、何とかエンタメにしなければなりません。その点について考慮すれば、前半部は作品としての力強さがあり、展開もスピーディで大変引き込まれるものでした。多くの方がご指摘するように、犯人逮捕の瞬間から実に手際よく加害者家族がバラバラにされていく様子は作品のツカミとしては最高の滑り出しです。

しかし、次第にテンポも悪くなり、何が言いたい映画なのか、よくわからなくなっていきます。率直に言うと、こんなにいろんな視点を盛り込む必要があるのか?ということです。加害者家族、刑事、かつての事件の被害者家族、マスコミ、ネット社会、妹の恋人…。視点の多さというのは、物事を一面的には考えられない、ということを示しているのですが、却ってポイントが絞りきれずどっちつかずになってしまうという危うさがあります。つまり、出すなら最後まで責任を持てよってことだし、この視点は入ってませんけど、というツッコミどころを生んでしまう。

最も合点がいかないのは、柳葉敏郎と石田ゆり子演じる夫婦がこの逃亡者の受け入れることに葛藤するも、一晩経ったらすんなり関係が修復されていることです。彼らが何を根拠に刑事の暴挙を受け入れようと決心したのか何の説明もなされていないし、演出から想像することもできません。「刑事と加害者家族の娘」だけの物語にすればいいものを、被害者家族、しかもその原因が刑事にありというややこしい人物登場により、三者それぞれがそれぞれに対して見せなければならない感情の起伏が描ききれず、鑑賞者は物足りないことこの上ありません。柳葉夫妻と志田未来ちゃんは、全然語り合うシーンがありませんよね。これはおかしい。

そういうわけで、なんでこの脚本が映画祭で賞を獲ったのか、甚だ疑問に感じてしまいます。君塚良一は好きな脚本家です。一番好きな作品は浅野温子が主演した「コーチ」。九十九里浜のしがない缶詰工場で繰り広げられる人情劇で再放送を含め何度も見ています。「踊る」シリーズも最初のドラマの時は、ホント面白かったなあ。本作は着想してからずいぶん長いこと取材を重ねての脚本ということですが、その長い時期の間に、あれも入れろ、これも入れろとフジテレビから横槍が入ったと考えてしまうのは私だけでしょうか。

佐々木蔵之介演じるイカれた記者が、どんなに自分の足でかけずり回っても、ネットに棲む人々に情報戦で負けてしまい愕然とする、というくだりがありますねえ。これは、面白い着眼点だと思う。でも、他の視点同様深く切り込めずに、中途半端なネタで終わっています。このテーマはこのテーマだけで、1本映画が撮れるくらいの強さを持っていると思う。欲張り過ぎですね。