Casa Galarina

映画についてのあれこれを書き殴り。映画を見れば見るほど、見ていない映画が多いことに愕然とする。

真実

2021-01-11 | 外国映画(さ行)
★★★☆ 2019年/日本・フランス 監督/是枝裕和

ドヌーブの実人生と映画内の役がオーバーラップする…のが果たして映画としての面白みになるのだろうか。母と娘の関係性を描く本筋にファビエンヌが撮影中の映画の物語が入れ子構造のように重なる。ここに絞った方が良かったと感じる。実名出しのあれこれが雑音に感じた。
イーサン・ホークなんてすごい無駄遣いじゃない?残念。



ゼイリブ

2021-01-09 | 外国映画(さ行)
★★★☆ 2020年/アメリカ 監督/ジョン・カーペンター

サングラスをかけると見えてくる宇宙人による支配社会。地球人は完全に骨抜きにされ底辺で生きている。格差社会に価値観の分断。無能な政府にOBEYする我ら、彼らに金目的に擦り寄る人々、コロナ禍というのに高騰する株価。まさに今見るべき、B級と侮れぬ普遍的な問題を突きつける作品。

主人公の言うことをなかなか信じない友人フランク。サングラスをかける、かけないで延々殴り合い。このくだりはB級ならではのグダグダ感とも取れるが、自分の信じる価値観がひっくり返されるのを人は何としても拒むことを表しているようにも思える。


スウィング・キッズ

2020-12-28 | 外国映画(さ行)
★★★★ 2018年/韓国 監督/カン・ヒョンチョル

ファッキン、イデオロギー。本当にそうだよ。音楽に、ダンスに人は等しく熱狂し、エモーションを共有しあえる存在なのになぜその愚かな行為を繰り返す?タップシーンの凄さに息を呑みスタオベしたも束の間、訪れる悲劇。悲惨な現実を突きつけつつ、見事なエンタメに昇華した1本。

ただ…。前半部のベタなコメディ演出。緩急のつけ方として作り手が意識的にやっているのは承知だが、自分は好みじゃない。サニーもその辺がノレなかったところで。あれをなくすと映画の個性が失われるのかもしれないが、やはりそこは好き嫌いの範疇ということになるだろう。

幸せへのまわり道

2020-12-26 | 外国映画(さ行)
★★★★ 2019年/アメリカ 監督/マリエル・ヘラー

取材する側が取材される側の導きによってヒーリングされるという実に奇妙な話。何度もインサートされるジオラマや番組内ミュージカルなど、一体自分は何を見せられているのだという感覚に。映画の語り口は無限ということを知らしめる。ハートフルな感じかと思ってたら全然違う。

怒りを抑えるにはどうすればいいか。聖人君子みたいなフレッドも欠落があり、良く生きるための努力をしている。それしてもだ。トムハンクスのあの作り笑顔が頭から離れない。フレッドの複雑な内面を感じさせるトムハンクスの演技が味わい深い。

市民ケーン

2020-12-15 | 外国映画(さ行)
★★★★☆ 1941年/アメリカ 監督/オーソン・ウェルズ

Mank見る前に復習。

新聞王ケーンの波乱万丈の人生を描く不朽の名作。久しぶりに見たが、語り口のうまさに感動。特にシーンの繋ぎ方。シーンの切り替え時に心情の変化や時の経過が即座にわかる。パンフォーカス、ロングテイク、CG合成。誰もやらなかったことがここから始まった。まさに映画作りの教科書。

シカゴ7裁判

2020-10-19 | 外国映画(さ行)
★★★★ 2020年/アメリカ 監督/アーロン・ソーキン

裁判が進むに連れ明かされるデモの経緯。時系列を行き来させ、裁判の行方と暴動の行方、両方にハラハラさせられる語り口が上手い。個人の主張を国家や警察が阻む時、私たちはどうすればいいのか。BlackLivesMatter、香港デモ、そして日本でも。現在進行形の問題として突きつける力作。

ただ配役に関しては少し馴染めない部分も。特にヒールを演じるジョセフゴードンレビットと活動家のエディレッドメイン。今までのイメージとは違う役だからこそ何かインパクトを残して欲しかったがハマっていない印象。対してサシャ・バロン・コーエン、おいしい所をかっさらう。さすがです。

search/サーチ

2020-09-04 | 外国映画(さ行)
★★★★ 2018年/アメリカ 監督/アニーシュ・チャガンティ

公開時にいたく感動し、ネトフリで再鑑賞。PC画面だからこそ、複数物語を同時進行させ観客に理解させられる。これやっぱ大発明じゃない?カットを切り替える必要ないんだもん。しかも、PC画面に寄ったり、引いたりすることで情報の強弱をつけて観客をエモーショナルにさせるのが巧い。

ジョーンの秘密

2020-08-10 | 外国映画(さ行)
★★★★ 2018年/イギリス 監督/トレバー・ナン

英国の女性科学者が原爆情報をソ連に流した。世界の平和のために。 ジョーンは確かに男に翻弄されたが彼女の行動は科学者としての矜持。それを正義として世界は認識するのか。抑止力は本当に有効か。広島、長崎も言及され日本人には決して他人事ではない物語。考えさせられる秀作。

完全ノーマークだったが掘り出し物。現在と過去を行き来する構成もスムーズでケンブリッジ大学の風景も美しい。実話ベースだが脚色部分も多いはず。しかし、すでに核兵器が存在する今、使わないために何をするべきか考えるきっかけには十分。出演時間短いがジュディデンチの演技には惚れ惚れ。さすが。

シンプル・フェイバー

2020-08-03 | 外国映画(さ行)
★★★ 2018年/アメリカ 監督/ポール・フェイグ

湊かなえみたいなママ友を巡るイヤミスみたいな話か?と思いつつ見るが、全てが中途半端でがっかり。ジャンルレスというより、ポイントレス。結局、作品の核は何だったのかさっぱりわからず。 見どころはブレイク・ライブリーのメンズライクなファッション。ケイト様も顔負け。

地獄の逃避行

2020-07-23 | 外国映画(さ行)
★★★ 1973年/アメリカ 監督/テレンス・マリック

テレンスマリックデビュー作。 男女の逃避行作品は多数あるが、本作はマーティン・シーンとシシー・スペイセクの取合せが絶妙。 ジェームスディーンに似ている(裏を返せば顔しか取り柄がない)清掃員マーティン、無垢をまとったファムファタルのシシー。2人の眩しいほどの若さが魅力。

SKIN スキン

2020-07-06 | 外国映画(さ行)
★★★★ 2019年/アメリカ 監督/ガイ・ナティーブ

人は孤独と貧困から逃れるため、いともたやすく差別主義者になってしまう。愛に気付けた事は幸運だが、それはまた地獄の始まり。普通の生活を手に入れるにはあまりに罪深き所業の数々。1つずつ消し去るタトゥーはこれ迄の罪の1つずつ。激痛に耐え未来の扉を叩く。希望はある。

己の罪にもがく主人公の生き様は確かに壮絶だが彼らを転向させる黒人運動家の、その忍耐強さに感銘を受けた。本作で登場シーンは少ないがぜひ彼の視点からの物語も見てみたい。そして初めて出会った少年少女にタバコを与え「ママと呼んで」と言う、そういう悪魔は日本の都会の闇にもうじゃうじゃいる。

ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語

2020-06-30 | 外国映画(さ行)
★★★★☆ 2019年/アメリカ 監督/グレタ・ガーウィグ

自分の生き方は自分で選ぼう。そしてどの選択もあなたが選んだ生き方だから輝いている。全ての女性にふり注ぐ賛歌であり、女性たちの背中を押す応援歌。結婚とは。自立とは。押し付けられるのではなく、問いかけ続けよう。いざゆかん、前へ。

結婚が女の幸せなんて全く思ってやしない。でも恋の成就にも一喜一憂しちゃうこのアンビバレンツな気持ち! そんな悶えもまあるく収め、若草物語、続若草物語、そしてオルコット自身の物語を融合させる見事な脚本。イケ散らかしてるシャラメも眼福。自粛明け一発目が本作で本当に良かった。

13th -憲法修正第13条-

2020-06-24 | 外国映画(さ行)
★★★★ 2016年/アメリカ 監督/エバ・デュバーネイ

人種差別と大量投獄。現代アメリカでは黒人問題がシステム化され、歯止めの効かない悪循環を生んでいる。発端は国民に自由を保証する13条に追加されたたった1行の「犯罪者は適用外」。一度修正した憲法も一度作ったシステムも元に戻すのは至難の業だ。断じて他人事ではない。

どのNetlixドキュメンタリーを見ても思うのだが、企画に合った音楽やわかりやすいインフォグラフィックを用いて、問題に詳しくない人も飽きないよう編集されていることに感心する。これらがなければただの証言集になり、退屈な人も出てくるはず。伝える仕事をする人にはとても勉強になると思う。

ザ・バニシング -消失-

2020-06-20 | 外国映画(さ行)
★★★★☆ 1988年/オランダ・フランス 監督/ジョルジュ・シュルイツァー

サイコキラーの心の闇が怖いのか。彼女の最期が怖いのか。伝説のサイコサスペンスと聞いて、いろいろ想像しながら身構えて見たが…。思ってもいない斜め上から来たよ!一番恐ろしいのは知りたい気持ち…。これは後からじわじわ来る。しばらくコーヒー飲むたび身震いしそう。

愛する人が突然いなくなるという恐怖は誰にでも想像できるので、余計にこの展開が怖い。特に子育てしてる人はそうじゃないだろうか?高速のSAで1人でトイレに行く息子を見て心がざわついたことは何度もある。失った側の人間の内面に迫った問題作。

ザ・バニシング 消失

2020-06-18 | 外国映画(さ行)
★★★★ 2019年/アメリカ 監督/

サイコキラーの心の闇が怖いのか。彼女の最期が怖いのか。伝説のサイコサスペンスと聞いて、いろいろ想像しながら身構えて見たが…。思ってもいない斜め上から来たよ!一番恐ろしいのは知りたい気持ち…。これは後からじわじわ来る。しばらくコーヒー飲むたび身震いしそう。

愛する人が突然いなくなるという恐怖は誰にでも想像できるので、余計にこの展開が怖い。特に子育てしてる人はそうじゃないだろうか?高速のSAで1人でトイレに行く息子を見て心がざわついたことは何度もある。失った側の人間の内面に迫った問題作。