うら若き頃、自分の若さが嬉しかった。
嬉しかった、というのは変かもしれないが、何かの書類や申込書に生年月日を書くたびに誇らしいような、そんな気持ちになった。
最初に就職した職場で、30近い女性の先輩が独身でいることが心底不思議でならなかった。
「理想が高くなっちゃうんだよ、きっと」
似たような年齢の仲間と、お昼を食べながら、そんなことを言っていた。
若さとは、なんと残酷で無知で図々しいものだろうか。
25ぐらいになったら、素敵な人と結婚して、子供を生んで・・・・
お昼をつつきながら、私も彼女達も、自分のそういう未来を信じて疑わなかった。
あれから何十年。
私達は、みんなそれぞれ見事にいろいろなことがあって、ぼんやり想像していたような人生を送っている人は、あまりいない。
幸せには暮らしているけど、苦労したぶん、若気の至りであれこれ言ったことを帳消しにしてもらってもいいだろう。
そんな「嬉しい」若さに翳りが出てきたキッカケは、アイドルだった。
テレビに出てくるアイドルや芸能人が、いつのまにか私よりも若かったことに気づいたのだ。
アイドルや芸能人は、年上で当たり前だった。
昔、私は草刈正雄が好きで、「家まで行く」と言って家族を困らせたほどだ。
その草刈正雄が禿げた、と聞いた時も、失われてゆく草刈さんの若さが悲しかった(大きなお世話)。
ぽつぽつ仲間達が結婚しはじめ、子供を生み、その子供がどんどん成長していって、
もうアイドルや芸能人は年下で当たり前。
下手すれば、私の子供といってもいいような子がアイドルと言われたりした。
最初に結婚したのが29歳で、子供がいなかった私は、歳月の流れを確認する物差しが何もなかったから、
人の子供の年齢を聞いて、このまえ幼稚園だったのに・・と非常に驚く、ということを繰り返していた。
そのうち、母校の教師になる人や、母校に自分の子供を通わせる友人たちが出てきた。
結界が張ってあるようで、とても居心地が悪かったあの職員室に、同じように教師にビビっていた仲間が座っているのも想像できなかったし、
見慣れた制服を着た子供を送り出す気持ちも想像できなかった。
アイドルが年下になってしまったのを境に、若さは嬉しくもなんともなくなっていって、
何かの折に、それはもうなくなってしまったのだと気づかされる。
私の知らない間に、私はどんどん若くなくなっていき、生年月日を書くときに、切ない気持ちで書くようになり、
新聞の三面記事で、誰かの名前のあとにカッコして私と同じ年齢が書かれているのを読むと、
悪いことを見破られたようにドキリとした。
そして、ここ数年、妹が誕生日を迎えるたびに、毎年驚く。
私よりずっと若いと思っていた妹が、もうそんな年かと大変ショックである(ほっとけ! by妹)。
年をとるのは嫌ではなくなったが、数字としての年齢は、容赦なく攻撃してくる。
そういえばもうすぐ妹の誕生日だ。
いくつになるか数えるのはもうやめよう。心臓に悪いから。(だからほっとけ! by妹)
嬉しかった、というのは変かもしれないが、何かの書類や申込書に生年月日を書くたびに誇らしいような、そんな気持ちになった。
最初に就職した職場で、30近い女性の先輩が独身でいることが心底不思議でならなかった。
「理想が高くなっちゃうんだよ、きっと」
似たような年齢の仲間と、お昼を食べながら、そんなことを言っていた。
若さとは、なんと残酷で無知で図々しいものだろうか。
25ぐらいになったら、素敵な人と結婚して、子供を生んで・・・・
お昼をつつきながら、私も彼女達も、自分のそういう未来を信じて疑わなかった。
あれから何十年。
私達は、みんなそれぞれ見事にいろいろなことがあって、ぼんやり想像していたような人生を送っている人は、あまりいない。
幸せには暮らしているけど、苦労したぶん、若気の至りであれこれ言ったことを帳消しにしてもらってもいいだろう。
そんな「嬉しい」若さに翳りが出てきたキッカケは、アイドルだった。
テレビに出てくるアイドルや芸能人が、いつのまにか私よりも若かったことに気づいたのだ。
アイドルや芸能人は、年上で当たり前だった。
昔、私は草刈正雄が好きで、「家まで行く」と言って家族を困らせたほどだ。
その草刈正雄が禿げた、と聞いた時も、失われてゆく草刈さんの若さが悲しかった(大きなお世話)。
ぽつぽつ仲間達が結婚しはじめ、子供を生み、その子供がどんどん成長していって、
もうアイドルや芸能人は年下で当たり前。
下手すれば、私の子供といってもいいような子がアイドルと言われたりした。
最初に結婚したのが29歳で、子供がいなかった私は、歳月の流れを確認する物差しが何もなかったから、
人の子供の年齢を聞いて、このまえ幼稚園だったのに・・と非常に驚く、ということを繰り返していた。
そのうち、母校の教師になる人や、母校に自分の子供を通わせる友人たちが出てきた。
結界が張ってあるようで、とても居心地が悪かったあの職員室に、同じように教師にビビっていた仲間が座っているのも想像できなかったし、
見慣れた制服を着た子供を送り出す気持ちも想像できなかった。
アイドルが年下になってしまったのを境に、若さは嬉しくもなんともなくなっていって、
何かの折に、それはもうなくなってしまったのだと気づかされる。
私の知らない間に、私はどんどん若くなくなっていき、生年月日を書くときに、切ない気持ちで書くようになり、
新聞の三面記事で、誰かの名前のあとにカッコして私と同じ年齢が書かれているのを読むと、
悪いことを見破られたようにドキリとした。
そして、ここ数年、妹が誕生日を迎えるたびに、毎年驚く。
私よりずっと若いと思っていた妹が、もうそんな年かと大変ショックである(ほっとけ! by妹)。
年をとるのは嫌ではなくなったが、数字としての年齢は、容赦なく攻撃してくる。
そういえばもうすぐ妹の誕生日だ。
いくつになるか数えるのはもうやめよう。心臓に悪いから。(だからほっとけ! by妹)