太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

ドラマ

2012-01-13 11:18:26 | 日記
ここのところ、毎朝6時にウォーキングをしている。

というのも、夫がジワジワと目方を増やし、いよいよ洋服がきつくなってきたからで、早起きしてまで運動するのは面倒くさいと言っていられなくなった。

ストイック期に突入したのを機に(参照記事→「エネルギーリズム」)、一緒に1時間歩くことにした。

この時期の朝6時は、星が出ていて真っ暗だ。

早起きをしてみると、意外と多くの人が早朝から起きていることがわかる。

車の交通量もかなりのもので、それはたぶん、ホノルルにある職場や学校に行く人たちが、渋滞を避けるために早く家を出るからだ。

朝6時15分から7時45分は魔のラッシュアワーで、その時間に家を出ると、普段ならホノルルまで30分のところが、少なくとも1時間はみたほうがいい。だから8時に間に合わせるには、遅くともラッシュ前の6時に出る必要がある。

25年前にH3というフリーウェイができてから、これでもマシになったほうだという。



さて、まだ月が煌々と輝く時間に歩いていると、家々の電灯の灯った部屋内がよく見える。

ここが郊外だということもあるのだろうが、どの家もカーテンを目隠しに使うことがあまりない。

外国映画で、外から丸見えのキッチンに立つ主人公を狙う犯人とか、女性が着替えているのがバッチリ見える窓のシーンがあると、

「んなバカな。なぜカーテン閉めないのかね?いかにもワザとらしい演出するもんだ」

と思ったものだが、あれは現実に近かったということだ。



電灯も、蛍光灯や天井の照明はガレージぐらいで、白熱灯の間接照明が、一つの部屋にいくつもある場合が多い。

その温かい黄色い光に照らされた部屋では、テーブルの上に置かれた大きなシリアルの箱の横で、今日の宿題をやっているのだろうか、ノートを広げた子供がいたり、

ある部屋では、マグカップで何か飲みながら、新聞を広げている男性がいたり、

あるいはテレビの画面だけが音もなく変わっていったり、

たっぷりオレンジジュースが入っているガラスのピッチャーを、持ち上げようとしている小さな子供とかがいるのだ。



誤解を恐れずに言うと、私はそういう風景を見るのが好きだ。

けして覗き趣味ではない。(と思う)

積極的に見ようとしているわけではないし。(たぶん)



日本にいた時、夜、新幹線に乗るのが好きだった。

東京から新横浜あたりまでは建物が密集している場所が多く、高架した新幹線の窓から、オフィスで仕事をしている人たちや、飲食店や、高いマンションの各部屋が見える。

新幹線がスピードをあげてゆくうちに、一つ一つの部屋が、まるで映画のフィルムみたいに繋がって見えた。



名前も知らないどこかの誰かに、今日という日が始まって、終わってゆくのだな、と思う。

今日が人生最高の日の人もいるだろうし、生きているのが辛い人もいるだろう。

大きな心配事を抱えた人や、自分が小さく見えて切ない人や、喧嘩をして心がギザギザの人もいるかもしれない。

でも朝になり、洋々と、あるいは自分を奮い立たせてベッドを出て、食卓を囲んで食事をし、夜になって、昨日よりは幸せな、あるいは凹んだ気持ちで床につく。



人の数だけストーリーがあり、ドラマの一部である家々の生活を垣間見るとき、人間っていじらしいものだなあと思うのだ。

宿題をやっていた子供の、新聞を読んでいた男性の、今日一日がハッピーでありますようにと思ってしまう。

その子供が憎たらしかったり、挨拶しても無視するような男性だったら、とたんに悪口言い放題になるに決まってるのだが、

早朝のその時間は、私を一瞬だけ「イイヒト」にしてくれる。





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