太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

やっぱり厚釜

2020-06-25 13:45:02 | 日記
8月1日から、ハワイは旅行客を受け入れるという発表があった。
ただし、フライトの72時間前までの、コロナウィルス陰性である証明書があれば、という条件付きで。
その証明書がなくてもハワイには来れるけど、その場合は14日間はホテルから出られない。
この証明書付きの受け入れは、アラスカ州がすでに実施しているが
聞くところによると、コロナウィルスの検査自体、長くて5日間は自粛生活を強いられるとかで
そんなめんどくさいことまでしてハワイに来る人が、果たしてどのぐらいいるんだろうか、と思ってしまう。

すっかり働かない生活が心地よくなってしまった私は、
仕事再開となっても、お客が来ないために、今のところ週に2日だけ働けばよいことになって、
願わくばこれができる限り続いてくれるよう、ひそかに願っている。
職場のオーナーや、観光業についている人には絶対に聞かせられない。


突然だけど炊飯器の話。


ハワイに住み始めた時、義両親が使っていた炊飯器を使わせてもらっていた。
それは炊飯器というより、キャンプで使う飯盒に近いシロモノで
押せばON、戻ればOFFという、たったひとつだけスイッチのついた、
10~15分ぐらいでお米が炊けてしまうものであった。
むろん、お釜なんかペッコペコの電気釜。
1年に1度ぐらいしか電気釜を使わない義両親は、それを20年以上使っている。

6年前に我が家を建てた時、これでようやくまっとうな炊飯器が買えると思っていたら、
シュートメがどこからか新しい電気釜を持って来て
「いただきものだけど、使ってちょうだい」
というではないか。
まさに義両親が使っているのと、ほぼ同じ飯盒タイプの電気釜だ。

小心者の私は、それを断ることもできず、渋々使っていた。
そんなとき、日本人の友人の家に行ったら、日本の炊飯器がキッチンの床に無造作に置いてあった。
もっとたくさん炊けるものに替えるので、それはもう処分するという。
喜び勇んでもらってきて、シュートメに
「〇〇がどうしてももらってくれというので、もらってきた」
と言い訳めいたことまで言い(どこまでも小心者)、そっちに切り替えた。

さすが、日本製の炊飯器は小さくてもお釜が厚い。
その炊飯器で炊くと、いつものお米が数倍も美味しい。
タイマーだってついてる。
炊きあがるのに40分ぐらいかかるけど、日本じゃそれが普通だった。
永遠にそれを使い続けたかったのに、半年もしないうちに壊れてしまった。

そこで、新しい炊飯器を買いに行ったのだが、
日本の厚釜の立派な炊飯器は、4、5万円ぐらいする。
他の機能がついてなくていいから、とにかく日本製でお手頃価格のものを、
と探していると、タイガー製の4合炊きの炊飯器が6000円ぐらいで売られていた。
もちろん、私は飛びついてそれを買った。

私は今でも、あのときの自分に言いたいと思う。

なぜ中身を出して確認しなかったか。


確かに、外側の昭和な感じの花柄が気になった、といえば気になった。
花柄は好きじゃないが、普段は棚の中にしまっておくのでいいと思った。
昭和な感じも、ここが外国だからだろうと思った。
しかし、それは見た目こそ炊飯器の顔をしているが、あの飯盒みたいな電気釜と
なんら変わりはないもので、
スイッチはひとつ、それもONだけで、コンセントから電源を抜かなければいつまでも保温になっているという、OFFのないスイッチ。
当然、10~15分ぐらいで炊けてしまい、毎回、香ばしくもなんともない、
単なるオコゲが底にできる。
タイガー製とはいっても、日本の外で作られた、外国用のタイガーに違いない。



我が家とて、月に1度お米を炊けばいいほうで、
もう何年もそれを使っているが壊れない。
美味しいお米を買っているのに、飯盒電気釜がそれをまずくしていることに矛盾を感じつつ、
壊れないものを処分することもできない。
もしかして、死ぬまで壊れないんじゃないかとさえ思う。

「やっぱりお米は厚釜で炊かないとなァ」
そうつぶやきながら、舌打ちしたいような気持でペッコペコの薄釜を洗うのである。