落穂日記

映画や本などの感想を主に書いてます。人権問題、ボランティア活動などについてもたまに。

名もなきアフリカの地で

2003年08月21日 | movie
『名もなきアフリカの地で』
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『ビヨンド・サイレンス』で聴覚障害者を両親に持つ音楽家志望の少女の成長を描いたカロリーヌ・リンクの作品。日本ではめったに公開されないドイツ映画ですが、リンク作品はデビューの『ビヨンド…』、『点子ちゃんとアントン』、そしてこの『…アフリカ…』の3作品が公開されていずれもヒットしてます。ラインナップを見れば分かる通り、子どもの描写において定評のある監督です。

私はあまのじゃくなので、可愛い子どもが出て来てやたらこれみよがしににその可愛さを振りかざす映画が大嫌いで(同じ意味で綺麗な女優さんの綺麗さを必要以上に強調した映画や、かっこいい男優さんのプロモみたいな男気映画もキライっす)、普段は子ども主役の映画はあんまり見ない方です。だって子どもが可愛いのなんて当り前のことなんだから、そんなことにわざわざお金なんか払って観に行くのなんてバカバカしいし、そういう個人的な思い入れは観てて肩が凝るだけ、退屈なだけです。
でもリンク作品なら信用して観ます。なぜか。

リンク氏が妙齢の女性だからかもしれませんが、主役の子どもに対する視線が非常にクールと云うか、フラットなんですよね。変な思い入れの押し付けが全然無くて、とっても自然。不必要なクローズアップも長回しも涙の安売りも無し。ちゃんとストーリーに集中して映画が見れる。そんでストーリーがまたちゃんとしてる。要は子どもの可愛いさに甘えたつくり方をしてないんだよね。

この映画は実話が元になってるそうですが、観てて途中で実話だと云うことを忘れそうになるくらいリアルでシンプルな映画です。故意に劇的な演出をせず、全体には非常に抑制の効いた映画なんですが、出演者の魅力やクルーの努力が不思議と効果的なほど印象に残ります。
そして内容盛り沢山で結構長い話にも関わらずとてもまとまりが良い。ある意味ではドイツらしい映画とも云えます。
父親役のメラープ・ニニッゼも可愛いくてかっこよかったけど、私はオウア(現地人の料理人)役のシデーデ・オンユーロがすごく気に入りました。男前だったよ。うん。