落穂日記

映画や本などの感想を主に書いてます。人権問題、ボランティア活動などについてもたまに。

ひさびさに祭り

2010年06月16日 | TV
その昔「花の82年組」とゆー言葉がありましたが。
80年代といえばアイドルブーム時代。なかでもとくにこの年にデビューしたスターが多かった(中森明菜・小泉今日子・松本伊代・堀ちえみ・早見優・石川秀美・シブがき隊など)とゆーのでいつの間にかいわれるようになった言葉らしいです。
それから時は過ぎまして現在2010年。今は「82年組」とゆーと1982年生まれの売れっ子若手俳優を指すという。なんかそんな話を小耳に挟んだ。どこで挟んだかは忘れたけど。
確かに82年生まれの売れっ子若手俳優は数が多い。ドラマや映画で主役~準主役を張るクラスだけでも小栗旬・藤原竜也・成宮寛貴・瑛太・塚本高史・阿部力・高岡蒼甫・石垣佑磨・徳山秀典と、ちょこっと調べただけでこれだけいる。
前後にも売れっ子はいるが、同じ年の生まれにこれだけ集中しているのは珍しいかもしれない。

そんな82年生まれの中でもブレイクが遅かった小栗旬。
子役エキストラ出身で役者を志した時期としてはいちばん早かったのに、今のようにコンスタントにCMに出演してお茶の間に顔が定着したのはドラマ『花より男子』以降の2007年ごろから(ちなみにこちらは15歳当時に出演したCM)。
ぐりが彼を知ったのは2005年の映画『隣人13号』ですかね。芝居はうまいし、アタマちっちゃくて手脚が無茶苦茶長くて、ゲームキャラみたいなプロポーションで「誰これ?」と思ったのはなんとなく覚えてます。
それが『花男』以降はあっちゅーまにどんどこスターになっちゃいまして。20代の若さで特集上映が組まれたり、所属事務所の役員になったり、映画監督になったり。スゴイよねー。あとは大河の主役をやるか、日本アカデミー賞で主演男優賞でも獲れば完全に一丁上がり、ってとこまでいっちゃってます。

そんな小栗旬くんご出演のドキュメンタリー番組『情熱大陸』をちょっと前に某所で観る機会がありまして。
2008年に放送されたものなので超いまさらですけども。でも番組として単純におもしろかったので急に「どんな作品出てんだっけ?」と思って、続けて作品を観てみました。
とゆーわけで、ひさびさやります。祭り。小栗旬祭りです。
なのに『ごくせん』とか『花男』とか『イケパラ』とか『クローズ』とか人気作品はあくまで観ないあまのじゃくでゴメン。


『スマイル』

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昨年4月期にTBS系列で金曜10時に放送された連続ドラマ。全11話。
フィリピン人と日本人を両親に持つハーフの早川ビト(松本潤)は、仮釈放の身ながらレストラン開業を夢見て食品加工会社で働く真面目で優しい青年。失声症の少女・花(新垣結衣)と出会い惹かれあうが、違法薬物事件や集団食中毒事件など、次々と不運な出来事がビトとその周囲に降りかかる。
ようやく平静を取り戻しかけた折りに、かつてビトに無実の罪を被せ服役させた林(小栗旬)が再び現れ、彼の運命を狂わせ始める。

外国人差別、非行少年の更生、報道被害、裁判員制度、死刑制度など、日本のTVドラマにあるまじきウルトラへヴィーな要素たっぷりてんこもりのシリアスドラマ。視聴率は案の定よくなくて10%割れした回もあったり、最後の2回を残して脚本家が降板したり、大変だったんだろうなとゆー苦労の痕が如実に伺える。
ひらたくいえば詰めこみ過ぎ。バランスが非常によろしくない。序盤の違法薬物事件とかぶっちゃけいらんかったと思う。もっと主人公ひとりに話を絞って、そのぶんきっちりディテールをつくりこんだ方が説得力はあったんではないかと思う。だって中井貴一(ビトが勤める食品加工会社の顧問弁護士)ホイホイ活躍しすぎだもん。あれじゃあスーパーマンだよー。
大味だなと思ったのは林ら不良少年グループやヤクザの表現が陳腐だったのとか、法的な説明が曖昧だったとことか(再審請求制度、改名制度など)、主人公を繰り返し「日本生まれで日本人となんら変わりない生活をしている日本国籍の日本人」と表現するとことか。じゃあ外国生まれでエスニック料理食ってる外国人は差別してもええっちゅうの?みたいな。

それでもぐりはこの番組好きだし、よくやったと思う。
今の日本でここまで重いテーマを地上波ドラマで、この豪華キャストでつくれたのは単純にすごいと思うし、放送してくれてありがとうといいたい。
放送中は「主人公があまりにもかわいそうで観ていられない」などというクレームがあったそうだが、このドラマで描かれる差別を「かわいそう」という時点で既にそれが「差別」であり「偏見」なのだということを、このドラマでははっきり表現している。多くの日本人は、日本に人種差別というものがあることなど知りもしないだろう。だが外国人もふくめ確実に存在する少数者からみれば、日本にはまだまださまざまな差別が堂々と存在している。中井貴一演じる弁護士が過去に受けた差別や、今も彼を悩ませるアイデンティティの葛藤などはぐりの心にはとても痛かった。ぐりが子どものころから感じ続けてきたことをそのままいわれているような気がした。この弁護士の設定は本当にリアルで、たぶんこういう人は実際ものすごく多いだろうなと思った。

「差別」とは何か、「偏見」とは何かという難しいテーマを、誠実にわかりやすく表現しようとした意図は素直に素晴らしいと思う。
差別や偏見を受けるのは何も外国人や犯罪者だけじゃない。主人公とその同僚は元受刑者という過去からも偏見を受けるが、ヒロイン花は家族の犯罪から差別される。主人公たちの勤め先である食品加工会社は食中毒事件の疑惑から差別される。全11話を通じて、登場人物全員が、一度着せられた罪─無実の罪、他人の罪、精算されたはずの罪─を晴らそうと必死でもがき続ける。その道のあまりの険しさが悲しいし、逆にいえば、誰もがそうした立場に置かれる可能性があることをすごく丁寧に語ろうとしているともいえる。
だからこそ完成度が歯がゆいとこもあります。惜しい。このドラマは主演の松本潤と小栗旬も出てた『花男』と同じスタッフでつくられてるらしく、そーゆー気心知れたチームだからできた勢いとかもあるのかなーと思いましたが、どーでしょー。

小栗旬くんは主人公ビトに殺人の罪を着せたうえに自分でも事件を起こして服役し、出所後またしてもビトに絡んでくるとゆー「悪魔のような男」(とゆーセリフがあった)。悪役です。それも超激悪なやつ。とりあえず極悪。めちゃめちゃ怖いです。『ダークナイト』のヒース・レジャーばりとかゆったら言いすぎかしら?
しかしこんだけ悪かったら演ってておもろいやろなー。ホントにやりたい放題暴れまくりですから。相手が誰でも容赦ナシ男さん。それも手脚がやたら長いからアクションがキマるキマる。一瞬『クローズ』シリーズ観たくなったもんね。観ないけど。ヤンキー映画はこないだ『ドロップ』観たから当分いいです。
それにしてもこんだけ悪い役を嬉々として熱演するあたりがやっぱ小栗旬若干フツーじゃないと思った。この役、彼じゃないとちょっとシャレになりません。それくらい悪い。怖い。

ところで主人公があらゆる辛酸を嘗めつくす法廷もののTVドラマといえばぐり的には『拿什麼拯救你、我的愛人』ですが。これも超おもろかったよねー。
完成度の面では似たり寄ったりだと思いますが、全23話と尺を稼いだぶんと原作もので物語にまとまりがあったってゆー点では『我的愛人』の方がよかったかな。
ひさしぶりに思い出して観たくなっちゃったけど、うち今VCD観れないんだよね。ちっ。

祭り其の二

2010年06月16日 | TV
『STAND UP !!』
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2003年7月期にTBS系列で金曜10時に放送されていた連続ドラマ。全11話。
高校2年生の正平(二宮和也)・健吾(山下智久)・隼人(成宮寛貴)・功司(小栗旬)の仲良し4人組のアタマの中は常にSEXのことでいっぱい。他の同級生は全員経験済みと知って夏じゅうに童貞を卒業するぞ!と決意するが、不器用な4人にはなかなかうまくいかない。
そんなある日、11年前に引っ越していったきりだった幼馴染の少女・千絵(鈴木杏)が突然現れ・・・。

ラブコメです。全部は観てないかな?観れてないけど。だいたい観た。
7年前の作品だけど、出演者が今と比べて若い(当り前)とゆー以外に古さはとくに感じない。むしろすごく普遍的なテーマを普遍的に扱った、定番中の定番という感じ。
しかしまあ笑える。すごいおかしい。毎回爆笑っす。すーばらしー。そのうえで、10代の子にとっての(=未経験者にとっての幻想としての)SEXと、親も含めた大人が子どもに求める性認識のギャップ、少年と少女の間の溝など、埋めがたくすれ違うエッチの話を、すごく親切に丁寧に表現している。
非現実的におかしいのに実はいってることはすっごく真面目だったりして、とってもちゃんとした番組です。マジで親子向きです。けど基本はコメディだから、単純に頭カラッポにして爆笑することもできる。
終盤にヒロイン千絵のかかえた大問題が発覚して度肝を抜かれたけど、そこもうまくさらりと、でもきちっと語っててさすが堤幸彦やるなあーと思った(何様)。

このドラマの小栗旬@ブレイク前は若干影が薄い。四人の中で唯一ガチで童貞にみえる(爆)二宮和也は無口な受け身キャラなのに異常にリアルな演技力で視聴者をぐいぐいひっぱっていくパワーが強烈だし、毎回ギャルに跳び蹴りぶちかまされて「パンツ見えた♪」なんて恍惚としてる成宮寛貴のブッとんだハイテンションっぷりにも完璧に負けている。図体が大きいだけの肉体派とゆー設定が弱かったのか。観てても人物造形の中途半端さに演じ手として困ってる感がじんわり伝わってきていたたまれなかったです。ところで功司の「目を開けて寝る」とゆー設定は小栗旬のままやないかい(小栗旬は目を開けて寝る)。
ちなみにDB4(童貞・ボーイズ・4人組>滝汗)は全員左利き。全員腕時計を右手にはめてるので、画面に揃うと一瞬「え?」ってなります。設定じゃなくリアルに偶然だそーですが。

コメディだし題材は10代のSEXだけど、真剣にしっかりつくられたいい番組だと思う。視聴率がよろしくなかったのは残念でしたねー。
この番組には82年組が3人います。小栗旬と成宮寛貴の他に塚本高史。塚本高史は「100人斬りの恋愛セレブ」とゆーアホな設定がまた笑える。何の脈絡もなくいきなりマンホールから登場したり。おもろかった。

祭り其の三

2010年06月16日 | TV
『Summer Snow』
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2000年7月期にTBS系列で金曜9時に放送された連続ドラマ。全11話。
両親で事故を失い、家業の自転車店をきりもりしながら高校生の弟・純(小栗旬)と妹・知佳(池脇千鶴)を育てている夏生(堂本剛)と、近所の信用金庫に勤め始めたばかりのOL・ユキ(広末涼子)。偶然知りあい、夏生の趣味であるスキューバダイビングを通じて心を通いあわせるふたりだが、重い心臓疾患を抱えるユキにとってそれは無謀な挑戦だった。

『セカチュー』とか『いまあい』で泣ける悲恋映画やドラマが大ブームになったのは2004年。今から思えば先取りしてますね。定番ですけどね。難病とか、親のいない家庭とか。視聴率も平均18.1%で同クールトップだったよーですが、ぐりはこのドラマの存在自体知らなんだよ。なんでやろ?10年前、何やってたっけ?あたし?
それはさておき。
題材は親のいない家庭、非行、十代の妊娠、難病、臓器移植などやや重めながらも基本はほのぼのしたホームドラマ&淡いラブストーリーで、真面目一徹な好青年だがやや過保護で独善的な長男・夏生の非モテキャラからも、大人気ドラマ『ひとつ屋根の下』の影響がかなり濃く感じる作品。しかし見た目は別として堂本剛にこの役は無理があったように感じる。本人は頑張ってるんだろうけど、そもそもキャパオーバーだったのだろう。弟妹の小栗旬と池脇千鶴が演技派なだけに、アクセントも直せていない堂本剛や今井翼(知佳の彼氏で居候)や広末涼子のスキル不足がどうしても目立ってしまう。

とゆーワケで目がいくのは自然と小栗旬と池脇千鶴となる。
池脇千鶴演じる末娘はダメ彼氏の子どもを妊娠してしまい、兄たちに相談もできず悩む健気な17歳だが、家事の要を務めるしっかり者の主婦ぶりも発揮する。恋する乙女らしいところも持ちながら自立した強さもあり、あくまでも自己中で許されるヒロイン広末涼子の対極にあるキャラクターだけど、おそらく女性視聴者に支持されるのは彼女の方ではないかと思う。
小栗旬はこの番組当時役柄と同じ17歳(妹役の池脇千鶴の方が1歳年上)。難聴という障害を負いながらも素直で心優しく勉強熱心な優等生の次男坊という設定が見事にハマっている。ただし熱演のわりにはストーリー上で純が重要な回は少ないし、言語障害という設定のせいでセリフも多くなくて、なんかもったいなかったです。
10年も前なので外見的には今の小栗旬とはまったく別人です。背はもう既に今(184cm)くらいの長身だけど、一見すると同一人物とは思えないくらい印象が違う。ヘアメイクでつくった演出の部分もかなりあるにせよ、顔立ちも声音も幼くて17歳にも見えないくらい。このドラマには無名時代の塚本高史と玉山鉄二が今井翼に絡む非行少年役で登場するんだけど、彼らに比べても小栗旬のあどけなさは可憐といっていいくらいです。

ドラマとしては、やっぱり物語そのものにリアリティが弱くて、終盤かなり食傷しました。テレビだからファンタジーなのは当り前だけど、たとえば広末涼子の入院先の院長の息子(中村俊介)が心臓外科医で、広末涼子に移植手術を受けさせて一生面倒をみたい=結婚したいと思いこんでるなんて設定はまだいいとして、だからといって広末涼子が助かる=堂本剛と別れなきゃいけないなんつう構図ばっかり強調されてもついてけませんて。演じてるふたりもほとんどヤケ?みたいなゴネ方が微妙にサムい。
アイドル番組とはいえ、命を題材にしてる番組としてもうちょっと真面目にそこを追及してほしかったです。