落穂日記

映画や本などの感想を主に書いてます。人権問題、ボランティア活動などについてもたまに。

足のない鳥

2005年04月09日 | movie
『欲望の翼』
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ぐりのいちばん好きな映画のひとつ。都内最終上映と聞いて観て来ました。LDも持ってるんだけどね。
『花様年華』『2046』に続く王家衛(ウォン・カーウァイ)60年代三部作第一作。て云うか結果的に三部作になっただけのことですね。そもそもこの作品は前後2部作の予定で撮り始められたんだけど、撮影中に主演のひとりである劉嘉玲(カリーナ・ラウ)が誘拐されると云う事件がもとでパートナーの梁朝偉(トニー・レオン)が降板、役を張國榮(レスリー・チャン)と交代して撮り直しが行われたり、それに伴って台本が大幅に書換えられたりとすったもんだの末に後編の方はついにつくられなかった、と云う逸話はあまりにも有名ですね。しかし本当のところなぜ後編が撮られずじまいだったかは今もって謎です。だって誘拐されたカリーナ当人はしっかり出演してるし、結果的にこの作品は大変高い評価を得たし後編を撮るのも無理な話ではなかった筈です。
90年に公開されたこの出来損ないの二部作は、10年も挟んで続編の『花様年華』『2046』と並んで1本多い三部作になった。1本めで死んだヨディ(レスリー)は後の2本には勿論出て来ないけど、スー・リーチェン(張曼玉マギー・チャン)やミミ(カリーナ)、チャウ(トニー/『欲望〜』ではスマーク)と云った登場人物は役名もそのままかぶってるし、時代背景も同じ60年代。チャウのキャラクターは今観ると驚くほどヨディと重なってます。違いと云えばナルシストかどーか、ってくらいで。『花様年華』観直そうかな。
レスリーが鏡に向かってひとりで踊るシーンの時、「TV収録中にこのシーンを観たカーウァイが涙を流した」と云うエピソードを思い出して、急に悲しくなりました。このほっそりといかにもしなやかそうな美しい身体を24階もの高さから・・・なんでまたそんな惨いことをしたんだろう。こんなに輝いていたのに。素敵だったのに。
レスリーはこの作品で初めて金像奨主演男優賞を受賞しています。

エンターテイナー伝説

2005年04月03日 | movie
『Rey/レイ』
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グラミー賞とアカデミー賞の両方で話題になった音楽界の巨星の生涯を描いた伝記映画。こちらはとってもストレートな伝記映画です。
って当り前ですね。37歳で亡くなったボビー・ダーリンの音楽活動がわずか17年だったのに対し、レイ・チャールズのプロとしての音楽活動は実に60年にも及ぶ。ヒネリようがないですね。物語が長すぎて。
と云っても映画でもその60年の全てが語られている訳ではない。主に彼が初めてレコード会社の契約ミュージシャンになった1948年から、『我が心のジョージア』が故郷ジョージア州の州歌に選ばれた1979年までに絞られて描かれています。そこに尊敬していた母や、視力を失った過程などのエピソードが回想で織りこまれている。これだけでもいっぱいこっぱいです。盛りだくさん過ぎておなかいっぱいっす。
それでもこれはいずれつくられなくてはならない映画だったし、レイ本人が亡くなって間もない今このタイミングで世に問われたのはすごく良かったと思う。それほどレイは偉大です。ゴスペル、ブルース、ジャズと云ったもともと黒人が生み出した音楽をとりまぜて再構築したソウルの父。どれも名曲だし、ぐりにだって歌えるやさしい音楽ばかりです。
この映画で感心したのは、目が見えないと云う肉体的な障害をハンデとはしなくても、暗闇の世界で生きる絶望的な孤独感と云う本人にしか分からない苦悩が、とても丁寧に分かりやすく描かれていること。結局、人は前を向いて歩いていく生き物なのだと云うことを、強く感じさせられる映画でした。


エンターテイナー伝説

2005年04月03日 | movie
『ビヨンドtheシー』
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ぐりはボビー・ダーリンと云う人をこの映画で初めて知ったんですが、曲は聴いたことありますね。確かに。名曲かっつーとどーかな?って感じだけど、ハッピーでホットでノー天気で、いかにも古き善きアメリカン・ポップスの象徴のような音楽。結構こういうの好きです。サントラ買っちゃったよ(サントラはケビン・スペイシーが歌ってんだけどね)。
これは「ケビン・スペイシーの最高傑作」とも云われてるそーですが、彼の作品歴に全く明るくないぐりでもそれはよく分かる仕上がりです。すごい完成度。洗練されてるし、隙がないです。
この映画はただの伝記映画ではなくミュージカル映画でもあるんだけど、そのミュージカルシーンの見せ方、子どものボビーと大人のボビーが対話する形で物語が進められていくと云う構成、虚実が巧みに織り交ぜられた世界観はちょっと舞台劇っぽくてライブ感たっぷり。しかも映像もさりげなく凝っていて、映画ならではのトリッキーな編集もなかなかオシャレにキマッてます。
スペイシーの吹替えなしの歌と踊りも圧巻。10年もかけて企画制作されたと云うだけあって、その情熱の深さが窺えます。
それにしてもやっぱり人の幸せってなかなか難しいものです。ボビーは地位にも名声にも家族にも才能にも恵まれていながら、最期まで本当の幸せをつかみきれずにあがき続けた。そしてそれが彼の音楽を支えていたとも云える。そう思うと、才能って必ずしも人を幸せにしてくれるものではないんだなぁ、とも感じとれる、そんな映画でした。

ラブリーキューティー

2005年04月02日 | movie
『烈火青春(邦題『レスリー・チャン 嵐の青春』)』
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82年と云うとえーと23年前の作品ですね。
その頃はたぶんすごく前衛的な映画だったんだろうと思います。いろいろとつくり手が新鮮な表現を求めて試行錯誤した痕跡は今もはっきりと認められる。しかし前衛的であればあるほど、古くなった時はどうしようもなく古さばかりが目立ってしまう。そういうタイプの映画。
この当時の社会背景は小学生だったぐりはよく知らないんだけど、確か日本の歌や映画が香港に紹介され始めて間もない頃につくられた映画だってのはどっかで聞いたことがあります。そのせいか日本に因んだモチーフがいっぱい出て来る。歌舞伎、着物、竹の子族、コシノ姉妹もどきみたいなファッションデザイナー、果ては日本赤軍まで。
観てると最初はそういうのがいちいちこそばゆいんだけど、そのうちだんだん無感覚になって来るのが面白い。日本語の台詞が超棒読みでも、あり得ない文法で喋ってても、「それはそーゆーもんだ」みたいな感じで流しちゃう自分。前にも観たことがあるからか?っても何年も前だけどねー。
主演の張國榮(レスリー・チャン)は当時26歳。かぁーわいーですー。せいぜい20歳そこそこにしか見えないですね。愛らしい。そしてエッチっぽい。中性的で、大人にも子どもにも見えなくて、独特のおいしそうな(笑)フェロモン炸裂してます。この頃は相当遊んでたらしいけど、さぞモテたことでしょー。このぴちぴちレスリーだけでもこの映画は観る価値はある・・・かな?
あ、あとねーどーゆーワケか女性キャストの衣装がどれもこれももれなく下着同然?みたいなムボービなのばっかで、ひとりを除いて全員いわゆる“シャラポワ”状態になってました。男性の観客はなかなか目の保養になるのでは。但し巨乳は出て来ないけどね。そういやひとりだけ非“シャラポワ”状態だった、レスリーの家でいつもピアノ弾いてたメガネっ子ちゃんは一体何者だったんだろう。

報復のセレナーデ

2005年04月02日 | movie
『隣人13号』
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画面が暗い!観づらかったー。
コレたぶんHD収録だかなんだか、とにかくデジタル撮影だと思うんだけど、全編暗め、コントラスト強めのシーンが多くて見えにくい!目が疲れたよ!誰だよ撮影はよ!・・・と思ってたら知りあいだったよ(汗)。ポ、ポスプロ(後処理)が悪かったのかなぁ(笑)。
おまけにですね、音も悪い。何云ってんのか台詞が聞き取れない箇所が多かったです。まぁコレは昨今の日本映画にはよくあることなんだけどさー。
映画そのものはなかなか面白かったです。テンポが独特で。ストーリーは割りとありがちな話だけどね。しかしよくこんな話がこんなメジャープロジェクトで出来たよなぁ・・・?不思議。それくらいどーってことない話ではある。とか思うのはぐりがいじめられっ子だったからかなぁ(爆)?ええ一通りのことはヤラレてますよー。顔に傷もあるしねえ。だからってそれを気に病んだり復讐心に燃えたりはしてませんけども。だって人生にはイジメなんかよりずっとキツイこといっぱいありますしー。
何度か登場する十三の心象風景シーンが綺麗でした。小栗旬くんのCGキャラのよーに整った肉体美が堪能出来ます(笑)。若い。細い。そんで長い。
ヤンキー役の新井浩文は今回も光ってました。毎度この人は芝居が芝居に見えなくてスゴイですー。中村獅童は特に可もなく不可もなし。ぐりはどーもこのヒト好きじゃないみたいですね。なんでかは分かんないけどさ。