「タダほど怖い物はない」という言葉があるが、安倍自公政権が進めている「高等教育無償化」の真の狙いを見抜き阻止しよう。その狙いとは憲法第23条に定められている「学問の自由(大学の自治)」を形骸化させる事なのである。つまり、支援する事により、大学の運営や学生の研究内容に介入し、政府の意に沿うように統制し、政権の基盤を強化する事を狙っているのである。その支援には国民の「税金」を私物化して。
国立大学協会が開いた総会でも、批判が相次いで出された。協会が問題としているのは、授業料減免などの支援策を受けようとする場合に、政府が条件を付けており、実務家教員による授業や、外部理事の数を一定割合以上である事を求めているからである。つまり、政府が大学の自治運営や、学生の研究内容への介入を条件としているからである。大学協会総会での批判の内容は、
協会長の京都大学総長・山際寿一氏は「大学の自治運営に対する介入だ。大学改革と言いながら、手入れをしている気がしてならない」とし、同副会長の筑波大学学長・永田恭介氏は「実行のため、学生を担保に使うような改革はひじょうに品が悪い」としている。
「無償化」という詐欺的手法を見抜き、「政府の大学教育への介入」を許してはならない。安倍自公政権の国民を馬鹿にした悪質な権謀術数(目的のためには手段を選ばず)の手法に騙されてはいけない。
ついでながら、この手法は、敗戦までの大日本帝国政府による植民地支配の常套手法であり、安倍自公政権の体質のルーツがここにある事を確認しておこう。
最後に、敗戦までの大日本帝国政府による、大学の自治・学問の自由に対する弾圧の歴史の一部も改めて確認しておこう。
滝川幸辰 京都帝大教授(刑法学) 『刑法読本』などがマルクス主義的と非難され、休職処分(1933年滝川事件)
美濃部達吉 東京帝大教授(憲法学) 明治憲法体制を支えていた天皇機関説は反国体的と非難(1935年天皇機関説事件)
矢内原忠雄 東京帝大教授(植民政策学) 政府の大陸政策を批判。著書が反戦思想として攻撃され辞職(1937年矢内原事件)
河合栄次郎 東京帝大教授(経済学) 『ファシズム批判』『時局と自由主義』など発禁のうえ、休職処分(1938年発禁、1939年休職)
津田左右吉 早大教授(歴史学) 古代史の科学的解明が皇室の尊厳を冒すとして『神代史の研究』など発禁(1940年)
(2018年2月1日投稿)