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自治体行政が住民自治(主権)否定、首長による憲法尊重擁護義務に背く職権濫用、安倍政権の立憲主義否定と連動

2023-05-02 16:43:09 | 自治体

 2017年4月には、各地の地方自治体で、憲法で保障された権利に基づいてなされてきた各種のアピール活動が行政によって否定され排除される事態が発生している。

 その共通する理由内容は、それぞれの自治体行政の恣意的で浅薄な判断と見做されても仕方のないようなものであり、憲法が住民(国民)に保障する、「思想及び良心の自由」や「集会・結社・表現の自由」などの諸権利を自治体行政(公務員)は尊重擁護しなければならない(第99条)と課している規定に基づいて判断したものとはまったく考えられないものである。そしてそのような憲法に基づかない判断によって、主権者である住民が合法的にその意思を表明し訴えるアピール活動に対して抑圧妨害阻止の姿勢対応をとっており、それは自治体行政(知事、市長など公務員)が住民の権利を統制剥奪し、「住民自治(主権)」を形骸化空洞化させようとするものであり立憲主義を否定する意図をもつものであるといってよい。また重要な点は、この自治体行政の動きは、それぞれ独自に行われているものではなく、国会(国民の代表)や国民を無視して政策を強行している安倍自公政権と強い関係をもち、自治体行政の権限(権力)を強化し、住民(国民)の自治(主権)を制限剥奪し、住民(国民)に対して行政が指導命令的上位に立つように自治体の性格を改造する事を目的として行われている事である。

 福井市では、県庁前の交差点歩道で平日昼間、反原発の市民団体が県公安委員会の許可を得て5年ほど前から続けてきた反原発を訴えるアピール活動に対して、が文書で「活動の音量が大きくて不快」「横断幕やのぼりは美観上好ましくない」「通行の妨げ」といった「苦情」が寄せられているとして、活動を自粛するように要請している。

 この場合、県は「アピール活動に対する苦情」が寄せられた事を理由として「アピール活動」の自粛を要請しているが、県自身が「アピール活動」を単なる迷惑行為の対象とみなして対応処理していると見做す事ができる。そこに根本的な問題が存在する。アピール活動は一般的に「大きな音量、横断幕やのぼりは当たり前」である。また憲法で保障された権利に基づいたものである。この件では、県行政に対して、時間を限定し許可を得て実施されてきた合法的なアピール活動である。にもかかわらず県が法的根拠もなく、自粛を要請したという事は、「アピール活動」に対する理解に乏しいという事ではもちろんなく、県はその「苦情」を「アピール活動」よりも尊重しているのであり、そしてその「苦情」を口実にして意図的に「アピール活動」を抑圧妨害阻止しようとしていると考えるべきである。つまり、福井県(県知事)は「原発推進」の姿勢をとっている事が背景にあり、安倍自公政権と結託した行為であり、「反原発アピール活動」は不愉快で阻止禁止すべきものなのである。さらにいえば、住民自治(主権)を否定し自治体行政(知事)主権に転換させようとする重大な問題と考えるべきである。

 石川県金沢市は、金沢市の市民団体「石川県憲法を守る会」が5月3日の憲法記念日に同市庁舎前広場で開催しようとした「護憲集会」の申請を不許可にした。

 市は、広場が工事で一時使用できなくなる前の2014年まで、例年集会を認めていた。ところが今年2017年は、4月14日付で不許可を通知したため、「守る会」は会場変更を余儀なくされた。市によると不許可の理由は、「市庁舎管理規則の示威行為に当たる。集会内容に政府への批判が含まれる。市の中立性を確保するため。」という。

 この場合も、これまで許可されていたものが突然不許可とされたところに市行政(市長)に対する不信感を感じるが、不許可理由も憲法に照らして論理的に説明できない極めて恣意的なものであり、護憲集会に対する意図的な妨害阻止行為であるとしか考えられない。上記の「政府への批判が含まれる」「示威行為に当たる」「市の中立性の確保」などを不許可の理由にする姿勢は、憲法に定めた理念に基づき住民(国民)の権利を保障する事を目的として行政を実施しているとは思えないものである。

 住民(国民)が政府への批判も含めて自己の意見意志を表明する事に対して自治体行政(市長)はどのような法的根拠に基づいて否定できるのか。自治体行政(公務員)は憲法以外にその存在根拠はない。「中立性の確保」という一見もっとらしく思わせる理由についても、恣意的で極めて政治的な偏向した自治体行政の意志を押し通すためのごまかし以外の何物でもない。「中立」とは「誰をも利せず何も主張しない、どのような行動もとらない」という事を意味しており、判断や行動する際の基準にはなり得ず、関わりあいを避けるために使われているだけだからである。住民(国民)の自治と権利の保障と、そのために自治体行政が奉仕支援する事を定めた憲法を無視否定しているからこそ上記のような対応をとれるのである。これも自治体行政(市長)が住民(国民)自治を統制し、「住民(国民)主権」を抑圧否定し「自治体行政(市長)主権」へ変質させようとしている事を見抜くべきである。

 群馬県では県立近代美術館で、2017年4月23日から展示予定であった、県内の「朝鮮人犠牲者追悼碑」をモチーフにした作品「群馬県朝鮮人強制連行追悼碑」が、同館の指導で撤去された。

(2017年5月10日投稿)

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石川県金沢市役所前広場使用不許可で「新広場訴訟」提起する「石川県憲法を守る会」:地方自治体が安倍自公政府の下部翼賛請負機関に。

2023-05-02 13:58:51 | 自治体

 2018年8月11日に石川県教育会館で開催された、「『大東亜聖戦大碑』の撤去を求め、戦争の美化を許さない会」の第18回集会における「石川県憲法を守る会」事務局長の報告を以下に伝えたい。

「現在の改憲運動戦争遂行時代の体制とそのイデオロギーが本来の日本の姿で、それが欧米によって奪われたので、取り戻さなければならないとの歴史認識を持っていると思う。このような中で、国家の秩序に民は従わなければならないという発想が、全国各地に様々な形で表れています。その一例が金沢市役所前広場の使用不許可問題で、2014年、自衛隊の軍事示威行動に反対する集会を市役所前広場で行おうとしたが、金沢市は安倍自公政府の立場に反対する集会は認められないと使用不許可にした。これに対して裁判で闘ったが最高裁で却下(2017年8月3日)されてしまった。これまで毎年5月3日に市役所前広場で護憲集会を開いてきた。憲法を守る事は市の事務事業に準ずるものとして許可してきたが、2016年に市は使用不許可にし、今年も不許可にした。この時、金沢市は広場の管理規則を改訂し、条例ではなく、当局の裁量による内規で、特定の主義主張に基づいて行う示威行為を規制するとして、それに該当するかどうか事前ヒヤリングを行ってきた。政治的主張の内容を審査すると称し、事前ヒヤリングという事前検閲を行ってきた。これは表現の自由や集会の自由を定めた憲法21条が禁じている内容規制と事前検閲に抵触するものであり、また、今まで認められてきたものが、それも護憲集会まで不許可にしたのは看過できないと新たな訴訟『新広場訴訟』を提起し口頭弁論を積み重ねている」以上。

 なお、「石川県憲法を守る会」は今年は2018年4月6日、市に使用許可を申請した。19日に市から聞き取りがあった際、「昨年と同様の内容を予定しているが、昨年とは異なり街宣車、のぼり旗及びプラカード、横断幕、拡声器などは使用しない」とする書面を提出した。それに対し市は市庁舎等管理規則で禁じる「特定の政策、主義又は意見に賛成し、又は反対する目的で個人又は団体で威力又は気勢を他に示す等の示威行為」にあたるなどとして20日に不許可とした。

(2018年10月22日投稿) 

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