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偽りの原発会計

2023-08-22 14:04:56 | 原発

 原子力資料情報室の連続ウェブ講座第6回(2021年9月21日)で講演した金森絵里・立命館大学教授(会計学)によると、原発の「廃炉会計」は会計として成立していないという。以下に講座要旨を紹介したい。

電源別発電コストで、原子力は2020年に11.5円、2030年に11.7円と試算しているが、高レベル放射性廃棄物最終処分費用は0円としている。政府は現時点で分からない金額を限りなく安く見積もっており、実際には10万年後までの処分費用がいくらになるか会計学者も計算不能であり、原発は安いという主張は欺瞞である。

 「東京電力を潰すと福島への責任が果たせない」という主張があるが、東京電力は2011年の事故から2年間は赤字であったが、13年からは黒字に転じ自己資本率はV字回復した。事故後一度も債務超過にはならず、事故前に約2兆円だった純資産は2021年3月には約3兆円となっている。

 「廃炉を円滑に進める会計制度」は、総括原価方式から託送料金へと変わった。廃炉に資産性をもたせるため、料金回収のための料金回収が必要という循環論法に陥っている。電気料金に廃炉会計を乗せるために新しい会計制度を作った事が問題である。会計の自立性が喪失し、廃炉会計は会計として成立しておらず、原発推進を正当化するために会計を利用している。

(2023年8月22日投稿)

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東海再処理廃止措置技術開発センター(旧東海再処理施設)の廃止作業終了は70年後(2088年)?費用は税金計9900億円

2023-08-22 12:30:30 | 原発

 2020年11月15日付の毎日新聞によると、日本原子力研究開発機構再処理廃止措置技術センター(旧東海再処理施設)は、2018年から廃止作業を進めているが、終了まで計70年かかると見ており、完了は2088年頃と計画している。

 東海再処理施設1981年に稼働を開始した。この施設が建設されたのは、核燃料をリサイクルする「核燃料サイクル政策」を政府が推し進める上で、使用済み核燃料から再利用できるプルトニウムを取り出す技術を確立するためであった。各原発などから使用済み核燃料を計1180㌧を受け入れた。プルトニウムを取り出すと高レベルの放射性廃液生じるので、ガラスに閉じ込めて核のゴミにする「ガラス固化」の技術開発もしていた。

 しかし、2011年の東京電力福島第1原発事故に伴い、安全対策の強化を迫られた。稼働し続けるには1000億円以上と見られる対策費が必要な事から、「原子力機構」は経済性を考慮して廃止を決めた。

 2018年から廃止作業を進めながら、施設内の機器類を解体するための研究や技術開発もしている。「原子力機構」は廃止作業終了まで計70年かかると見ており、完了は2088年頃と計画している。かかる費用は9900億円にのぼり、すべて税金で賄われる。

 原子力規制委員会の事務局を担う原子力規制庁の幹部は「ガラス固化はトラブルが相次いでおり、溶融炉の建設や解体にも相当の労力がいる。こうした懸念を考えると、100年以上かかってもおかしくない」と話す。

 加えて、ガラス固化された核のゴミは持って行く場がなく、最終処理場はこれから決める。その上、機器類の解体などで生じた廃棄物のうちプルトニウムなどが付着したものは、処分方法が具体的に決まっていない。NPO法人「原子力資料情報室」伴英幸共同代表は「再処理施設の廃止作業には、あとさき考えずに核燃料サイクル政策を推進した矛盾が浮かび上がっている」と指摘する。

 見通しが立っているとは言い難い再処理施設の廃止作業。技術が確立されないまま、青森県六ケ所村では日本原燃が再処理工場の本格的な稼働を目指している。

(2020年12月14日投稿)

 

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