吉野作造(1878~1933)は政治学者・思想家。東大卒。民本主義を提唱。民主主義と区別して、主権運用の実際的な方法として規定し、政治の目的を民衆の福利に置き、政策決定は一般民衆の意向によるべき事を内容とした。政党内閣制と普通選挙法の実現を目標とし、主権論の欠如を欠点としていたが、大正デモクラシーの指導理念となった。吉野は東大の政治学教授として学生たちに望んだ学問研究の姿勢を以下に抜粋して紹介したい。
「何よりも第一に現時の学生に対して希望したきは、真理に対する従順な態度です。真理を求めてこれを我が主張とし、我が主義とせんとする熱情はなかなか盛んです。しかし一旦何物かを真理と思い込んだが最後、彼らは盲目となるのが常です。故に他により正しいものがあると教える者があっても、これに耳を傾けません。学生の真理探究の態度は多情でなくてはなりません。無節操でなくてはなりません。無節操といっては誤解を招くかも知れませんが、常により正しからんとして、いつでも態度を改めうるように用意していなくてはなりません。」
(2024年1月10日投稿)