トマス・モア(1478~1535)はイギリスの政治家であり人文主義者であった。思想的にはエラスムスと密接な交渉があった。カトリック教徒として大法官を務めたが、国王ヘンリー8世の離婚に反対し死刑にされた。彼の著『ユートピア』は無階級社会を理想とし、「第1次囲い込み(エンクロージャー)」など、イギリスの拝金主義を助長する政治と社会を徹底的に風刺、批判した。そこには今日の日本を独善的に支配する安倍以降岸田に至る自公政権の政治を彷彿とさせる内容があり、その一部を以下に紹介しよう。
「今日、至る所に栄えている『国家(政府)』をつらつら考えてみますと、情けない事に、私は、自己の利益を国家(政府)の名によって得ようとする金持ち達の陰謀のほかは何も見る事ができません。彼らは、先ず、どうしたら不正に搔き集めたものを失う恐れなく安全に保持できるか、そして次には、どうしたらできるだけ少ない金で、貧民の労力を雇って、それを濫用する事ができるか、という事についてのあらゆる手段と奸策を工夫し案出するのです。」
(2024年1月10日投稿)