2016年11月25日は、国連「女性に対する暴力撤廃の国際デー」です。
2014年の事務総長メッセージは、
「性的暴力とジェンダーに基づく暴力は、女性と女児が経験しているグローバルで組織的な不平等を最も極端な形で示すものです。女性に対する暴力は、地理的、社会経済的、文化的境界を越えて、インターネットでのいじめに至るまで、身体的または性的な暴力を受けているのが現状です。
今年だけでも、200人を超える女児がナイジェリアで誘拐されたほか、イラクの女性たちも、紛争下でレイプや性的奴隷制が横行している事を赤裸々に証言しています。また、インドでは2人の女生徒がレイプを受け、殺害された末に、木に吊るされるという事件が発生する一方で、米国では、スポーツ・チームや大学のキャンパス内で性的暴力事件が起きました。」と述べています。
このような傾向は、日本社会においてもよそ事ではありません。最近の沖縄県での、米軍関係者による女性暴行殺害事件は周知の事ですが、近年では、大学生による性暴力事件も頻繁に起きています。
また、国民が「まさか」と思われるところでも起きています。それは、東日本大震災の被災地です。
2011年7月には、宮城県気仙沼市の避難所で、ボランティアの女性への強姦致傷事件が起きています。避難所で寝ていた女性を刃物で脅し殴るなどして強姦しようとしたのです。その際『ボランティアなんだから体を提供しろ』と言ったといわれるが、12月、男は懲役3年6カ月の実刑となっています。
また、東日本大震災女性支援ネットワークが実施した調査では、DV、強姦、強姦未遂、わいせつ行為、のぞき、ストーカー行為など、計82件が報告されています。
ウィメンズネット・こうべの調査では、「避難所で物資の搬入に関わっていた男性から性的関係を強要された」という事例が報告されています。
内閣府が被災3県で行っている女性の悩み・暴力相談事業には、性暴力被害の相談が、12年2月~16年3月に計125件報告されています。
厚労省などの補助事業よりそいホットラインへ寄せられた相談は、14年度には39件であったという。
冒頭の国連事務総長メッセージは、以下のように訴えています。
「女性と女児に対する暴力を防止し、これを終わらせる責任は一人一人にありますが、そのためにはまず、このような暴力の継続を許している差別の文化に挑まなければなりません。私たちは、ジェンダーに対するネガティブな固定観念や態度を打ち砕き、差別や搾取を防ぎ、終わらせるための法律を導入、施行するとともに、虐待行為を目にした時は常に、これに立ち向かわなければなりません。すべての暴力行為を非難し、職場と家庭の両方で平等を確立し、女性と女児の日々の経験を変えていく事が必要なのです。………
私たち全員に果たすべき役割があります。私は皆様に、それぞれの役割を果たすようお願いします。家庭で、コミュニティで、各国で、そして国際舞台で私たちが力を合わせれば、差別と不処罰に挑むだけでなく、女性と女児に対する暴力という恥ずべき行為を全世界で助長したり、無視したり、容認したりしている考え方や慣習に終止符を打つ事もできるのです。」
(2017年11月24日投稿)