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ペンス米副大統領の発言が示す、安倍政権以降がめざしている新しい日本国の形(国体)

2022-12-18 23:03:47 | 米国の世界戦略

 2018年2月7日、ペンス米副大統領は安倍首相と首相官邸で会談した。そこでは、首相が「関係国に北朝鮮のほほえみ外交に目を奪われてはならない事を訴えていく事で一致した」とし、「日米韓の強固な協力関係」の重要性を強調したという。それに対し、トランプ政権ペンス副大統領は「すべての選択肢をテーブルの上に置く」として、軍事攻撃も排除しない方針を改めて示したが、日本国民にとってそれより重要と考えるべき発言をしている。それは、「日米軍事同盟について日本の役割を拡大しようとしている安倍首相の努力に感謝する」と述べた事である。

 また、翌日の2月8日、米軍横田基地での在日米軍兵士たちに対する演説の中では、上記と同様に日本国民に関係する重要な発言として、「全ての選択肢はテーブルの上にある。米軍と自衛隊は(日本)国民とその生活を守るための準備を整えるだろう」と発言している事である。

 つまり、トランプ政権ペンス副大統領と安倍政権は、北朝鮮に対して、軍事攻撃も辞さない事、その際に日米軍事同盟(日米安保条約)における日本(自衛隊)の役割を拡大する事の確認をしているという事なのである。

 そして、その戦略の内容こそが、トランプ政権が2月2日に発表した「核戦略の見直し」(NPR)なのである。それは、世界122カ国の賛成で採択された核兵器禁止条約に対して「国際的な安全保障環境の変化という前提を無視した、まったく非現実的な核兵器廃絶の期待に駆られている」という批判や、あらゆる核実験を禁じる包括的核実験禁止条約(CTBT)の批准も目指さないとしたり、「米国は深刻な技術的、地政学的な問題が起きた場合、速やかに核実験を再開できるようにする」とか、「通常兵器やサイバー攻撃などを受けた場合にも核兵器で報復する可能性がある」とも主張し、核兵器の役割を拡大増強させている。

 つまり、トランプ米政権を批判したり、反発反抗し従属しない存在に対して、彼は「抑止力」という言葉で世界の眼を欺き核兵器という「軍事力」によって圧倒・威圧・威嚇し、恐怖を抱かせ沈黙させ己の意思に従わせようという目論見なのである。「力こそ正義」という時代錯誤の価値観でこれからの世界を牛耳ろうとしているのである。

 そして、このトランプ政権に対する安倍政権の姿勢は、たとえば2月3日には河野太郎外相が「NPRは米国による抑止力の実効性の確保と日本を含む同盟国に対する拡大抑止への関与を明確にした」として「高く評価する」と発表した。また、「政府には国民の平和と安全を現実的に守らなければいけないという責務がある」(これは国民を欺くための口実である)とし、「核抑止と核軍縮は相反するものではない」と、核兵器禁止条約に参加しない態度を示した時点から、誰もがもうすでに信じていない矛盾した理屈を今なお白々しく述べているのである。また、安倍首相はすでに1月30日の衆院予算委員会において、「核兵器による米国の抑止力を維持していく事が必要不可欠だ。核兵器禁止条約は核抑止そのものを否定しており、政府としては条約に参加する事はできないと言わざるを得ない」との答弁で明確に表明している。安倍自公政権のめざす新しい日本国の形(国体)がここに示されているのである。

 そして、その仕上げが、「憲法改正」なのである。2月6日の衆院予算委員会での首相の発言「憲法は国の形、理想を語るものである」はそのような意味を表しているのである。

(2018年2月11日投稿) 

 

 

 

 

 

 


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