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大日本帝国議会では、「民族優性保護法案」が5度提出されていた

2024-10-30 23:19:43 | ハンセン病

 1996年6月18日国会は、1948年9月から実施された「優生保護法」の一部「不良な子孫の出生を防止する」を「削除」し、法律名称を「改称」した「母体保護法」を成立させた。ところで「優生思想」に関連して神聖天皇主権大日本帝国政府では、1931年には日本医師会が「遺伝の濃厚な疾患について断種の法的規制を」とする答申を政府に出していた。そして、その3年後の1933年第65回帝国議会からは、34年第67回帝国議会、36年第70回帝国議会、37年第73回帝国議会、38年第74回帝国議会と帝国議会に「民族優生保護法案」が提出されていたが、いずれも成立しなかったという歴史が存在した事を紹介したい。

第65回第67回議会での法案内容は以下の通りであった。

目的」は、「民族の優生を保護助長し、悪種遺伝を防止根絶する」とし、

対象」は、➀殺人、強盗その他狂暴な犯罪者で、その悪質を遺伝すべきと認められる者 ➁精神狂症、遺伝的脳脊髄病、早発性痴呆症等で、その症状により、これら悪疾を遺伝すべきと認められる者 ③諸種の中毒症、ヒステリー、遺伝性不具、結核病、頼病等の重症者その他優生学上不正常児以外は産めないと認められる者

手術方法」は、「保性断種

人口妊娠中絶」は、「断種対象者の悪種を懐妊した者に対しては、法医審判を経て堕胎させる」

結婚制限」は、「断種対象者で断種法の施術を受けない者又は梅毒淋疾の帯患者で完全に治癒していない者は婚姻できない。全て婚姻しようとする者は、法律上の条件を具備した旨の当該官公吏の証明書及び医師の健康診断書を提出して婚姻許可証を受けなければならない」

罰則」は、「以下の各号に該当する者は、1年以下の禁固又は500円以下の罰金に処す。➀本人が欺罔して結婚したとき ➁本人又は家族が虚偽の申立をしたとき ③故なく本法の手術を拒んだとき ④許可証なく婚姻したとき

施行日」は、「勅令をもって定める」

第70回第73回第74回議会での法案内容は以下の通りであった。

目的」は、我が民族の優秀なる素質を保護し、悪質遺伝を防遏する」

対象」は、「精神薄弱者、癲癇者、精神乖離症者、躁鬱病者、ハンチントン氏舞踏病者、強度な病的人格者、遺伝性盲者、聾者又は強度な身体的畸形者で、これら劣等な素質を遺伝するおそれ顕著なる者」

手術方法」は、「断種(精子又は卵の輸精管又は輸卵管を通過することを不可能ならしめる手術」

申請者」は、「➀本人 ➁戸主、法定代理人又は保佐人、官公立の精神病院、刑務所、矯正院又は教護院の長戸主、官公立の精神病院等の長の場合は本人の同意を要す、ただし本人が無能力者のときはその配偶者、法定代理人又は保佐人の同意で可」

審査機関」は、「優生診定委員会(保健衛生に従事する官吏及び医師若干名で組織、厚生大臣※が任命又は嘱託)」(※第70回議会提出法案では内務大臣)

手続」は、「地方長官は、申請を受けたときは、優生診定委員会の議に付し、優生診定委員会は3月内に断種の適否に関する協議をなし、その結果を厚生大臣※に具申しなければならない。厚生大臣※は、断種を適当とする旨の具申を受けたときは、1月以内に指定する場所において、任命された医師に断種手術を行わせなければならない」(※第70回議会提出法案では内務大臣)

報告」は、「断種の手術をした医師は、手術後30日以内に手術の結果及び経過を厚生大臣※及び優生診定委員会に報告しなければならない」(※第70回議会提出法案はでは内務大臣)

罰則」は、「秘密を守る義務に違反した者は、6月以下の懲役又は500円以下の罰金に処す」

施行日」は、「勅令をもって定める」

以上である。

これより後、神聖天皇主権大日本帝国政府は、1940年に「国民優生法」を成立させ、1941年7月1日には「国民優生法」を施行する。

(2024年10月30日投稿)

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