2021年3月5日、松井一郎大阪市長(維新の会代表)が、3月末での定年退職の東山潔・市財政局長の後任として、大阪府の阿形公基・財務部長を起用する事を明らかにした。
松井氏は東山氏に対して、彼が昨年の大阪都構想住民投票の直前に、大阪市を四つに分割すればコスト増になるとの試算を示した事や毎日新聞から提供された記事の草稿を公文書と判断しながら廃棄したなどとして減給の懲戒処分を下していた。しかし、この件については冤罪的な見方があるとともに、松井市長の意に反する市職員に対する「見懲らし」的な「恐怖政治」的効果を狙ったものと見る事もできる。このような対応は近年、自公政権の常套手法となっているが、それとお友達である「維新の会」もついに見倣い始めたともいえる。
また、東山氏の後任として、今回初めて、財政部門のトップに市以外からの人材である大阪府の財務部長・阿形氏を起用したのは、都構想住民投票においては、維新の会が敗北したが、それを受け入れずどんな手を使ってでも「府市一元化」を実現しようと、民主主義政治においては「禁じ手」である住民の意思を問う必要のない、議会の議席数(数の力)だけを利用して強引に条例制定する事によって実現しようとしているが、公表した今回の人事方針はこの条例を先取りして実施しようとするものであり、行政で重要な財政部分において府が権限を掌握し予算決定をしやすく(市は予算に対する自治権を喪失)するためのシステム整備の一環と考えられる。
(2021年3月9日投稿)