半藤一利著『昭和史』の「昭和史20年の教訓」に学ぶ。以下抜粋。
1、国民的熱狂を作ってはいけない。時の勢いに駆り立てられてはいけない。
2、最大の危機において日本人は抽象的な観念論を非常に好み、具体的な理性的な方法論をまったく検討しようとしない。自分にとって望ましい目標を先ず設定し、実に上手な作文で壮大な空中楼閣を描くのが得意。物事は自分の希望するように動くと考える。
3、日本型タコツボ社会における小集団主義の弊害がある。陸軍大学校優等卒の集まった陸軍参謀本部作戦課が絶対的な権力を持ち、その他の部署でどんな貴重な情報を得て来ようが、一切認めない。海軍軍令部でも作戦課がそう。参謀本部と軍令部は、小集団エリート主義の弊害をそのままそっくり出した。
4、ポツダム宣言の受諾が意思の表明でしかなく、終戦はきちんと降伏文書の調印をしなければ完璧なものにならないという、国際的常識を、日本人は理解していなかった、常に主観的思考による独善に陥っていた。
5、何か事が起こった時に、対症療法的な、すぐに成果を求める短兵急な発想が次から次へと展開された。その場その場のごまかし的な方策で処理する。時間的空間的な広い意味での大局観がない、複眼的な考え方がほとんど不在であった。
政治的指導者も軍事的指導者も、日本をリードしてきた人々は、根拠なき自己過信に陥っていた。そして、その結果、まずくいった時の底知れぬ無責任。
(2023年10月28日投稿)