2017年6月21日、石川県の谷本正憲知事(1994年~)が、金沢市内のホテルで開かれた県町長会総会の意見交換の場で、北朝鮮のミサイルに関して、北陸電力志賀原発を狙うなら「兵糧攻めにして、北朝鮮国民を餓死させなければいけない」と発言したという。
記者団の取材においても、「北朝鮮にはとんでもないリーダーがいる。北朝鮮国民を生活困窮に追いやれば内部から崩壊する。国民が痛みを感じる制裁を加えないといけない」と話したという。しかしまた22日、「過激な発言といえば、それは反省しなければいかんと思う。人命は尊重されなければいかんから」と撤回したという。
ちなみに知事は6月20日、県内へのミサイル落下を想定した避難訓練を実施する方針を明確にしている。
ところで、総会での発言を知って、呆れてしまった。近年は、安倍政権の常識が「これまでの国民の常識とはまったく異なる」ものである事が明白となっているが、その変質に沿って、自治体首長のなかにも、安倍政権と気脈を通じる自治体首長が増加(大阪府知事・市長、島根県知事など)し、自己の正体を負い目を感じる事無く正義ぶり積極的にアピールするようになったといえる。これはとりもなおさず、その自治体行政が「ミニ安倍政権」である(あった)事を公表したという事を意味している。谷本県知事も今回その一人である事を全国に公表アピールしたという事を意味している。
だから、今回の発言は、谷本知事の「思慮分別が乏しい」事に原因があり、そのため「軽率」な発言をしたという単なる「失言」ではなく(この場合でも知事を務める思考理解分析能力を有していないと見做すべきで、辞任を迫るべきである)、石川県民はもちろん日本全国民に対し、北朝鮮という国は「何をするかわからない非常識な国」だという「印象」を植え付けるための「操作」、つまり「印象操作」を目的として意図的に行われた発言であり、北朝鮮に対する「恐怖」を捏造し煽る発言と見なさなければ真実を見誤る事になる。安倍政権の「印象操作」手法は、自己の責任や罪を敵対する者に擦り付け、貶める事により、自己を有利に導こうとするものである。結局バレるのであるが性格の歪んだ子どもが罪を逃れようとしてよく使う手である。子どもの評価はさらに悪くなり、自身の成長のきっかけを失うのであるが。
6月23日から安倍政権は、北朝鮮の弾道ミサイル攻撃を受けた場合の避難方法について国民に対し、全国民放43局で2週間、テレビCMなどで知らせるとともに、新聞(全国紙と地方紙の70紙)にも掲載するという。ちなみに4億円の税金が使われるという。ついでながら2週間は、東京都議選の期間と重なっているのは安倍政権にたくらみ(自民党を利する)があると考えて間違いはないだろう。
ところで、谷本知事の治める石川県の金沢市にある「石川護国神社」前には、2000年8月に「大東亜聖戦大碑」という大きな文字が刻まれた「石碑」が建てられたのを知っていますか。また、毎年その前で「大東亜聖戦祭」が開催されてきているのを知っていますか。そして、「聖戦大碑撤去の会」が県(谷本知事)に対しその石碑を撤去させる運動を続けてきている事を知っていますか。今回の発言はその谷本知事の発言なのです。
「聖戦大碑護持会」はどのような意志に基づいて大碑を建てたのかを彼らの言葉(『大東亜青年塾』開塾アピール)で紹介しよう。それは、
「大東亜聖戦大碑の建立は、戦後米占領軍による日本弱体化謀略により大きく歪められた歴史、即ち「我国は過去の一時期無謀な侵略行為により、アジア諸国に多大な迷惑と損害を与えた」という終戦50年に於ける、村山以降歴代首相の歴史無知による大間違いの8月15日談話に集約される自虐歴史観への痛撃であり、真実と日本民族の誇りを取戻すためである。しかし、建立しただけで放置されるならば国民の大多数を占める謀略に長く汚染された人々の非日亡国濁流に押し流され、聖戦祭は年毎に衰微し、大碑も又いつの日か過去の遺跡となり兼ねない。これは大碑応募の多数を占める高年者物故と共に加速する事必定である。これを防ぎ祖国の正気発祥の拠点として未来永劫大碑を護持し時代を担う日本青少年を、真実の歴史認識へ覚醒せしめ子々孫々に至るまで吾が民族の正義人道使命と大道を伝え、大碑護持及び建立精神を伝承する誇りある青少年育成のため、この塾を開くものであり国の行く末と子孫を憂える各位の深い御理解と御協力を心からお願いする次第である。」
ちなみに、「南京大虐殺」に関わった日本軍の半分は、福井、石川、富山の3県の兵で構成された第9師団であるのだが、「大東亜聖戦大碑」がなぜ石川県に建立されたのかを考えると、大碑を建立した会の人々は「日本会議」の前身の「日本を守る会」です。その「日本会議」所属の石川県の地方議員数は、県議会13名、市町議会24名、合計37名で北陸では一番多いのです。これが大きな理由であろう。
そして、それをベースにして2014年2月に、石川県議会で日本で初めての「憲法改正の意見書」を採択したのである。石川県(谷本知事)と安倍首相自民党政権とは深い関りをもっているのである。