2020年東京オリパラ競技大会組織委員会は、旭日旗を崇敬している。また、国際パラ委員会(IPC)のパーソンズ会長も旭日旗についての知識が乏しい。
2019年9月11日、韓国・文化体育観光省が、東京五輪パラで、旭日旗を競技場に持ち込む事などを禁止するよう求める書簡を、IOCに送付したと発表した。書簡で同省は旭日旗を「日本の侵略を受けた韓国や中国、東南アジアなどアジアの国々に苦痛を生じさせる明白な政治的な象徴」と指摘している。それに対し、国際パラ委員会(IPC)のパーソンズ会長は12日、「スポーツと政治を混同するつもりはない。大会とは無関係だ」と述べたという。
しかし、旭日旗は戦後一貫して、日本国の法律で定められた国旗ではない。その上でその旭日旗はナチスドイツの国旗ハーケンクロイツと同様に、アジア太平洋戦争、第2次世界大戦の時期に、神聖天皇主権大日本帝国とナチスドイツ国それぞれの国が軍事的侵略行動のシンボルとして使用したものである。もちろん、侵略の被害を受けた諸国の国民にとってはその残虐性のゆえに、負の印象を受けるものでしかない。
ハーケンクロイツは、1920年にナチス党のシンボルとなり、1935年には ヒトラーの下でドイツ国旗とされたものである。しかし敗戦後、ドイツ国はそれを廃止し、黒赤金の三色旗に改めた。以後ドイツはもちろんヨーロッパでは、ハーケンクロイツを公開の場で展示・使用する事は、民衆扇動罪で処罰しており、所持する事も禁止している。ついでながら、国歌についても改めた。
しかし、日本国では、敗戦後も国旗について法律で定めていないにもかかわらず、自民党政府が、敗戦までと同じ日の丸を、何の反省もせず国旗であるかのように、国民に押し付け、1999年8月には、国旗国歌法を制定し、日の丸を改めて初めて国旗と定めた。しかし、旭日旗についての法律は今日においても存在しない。だから旭日旗については敗戦から今日まで、自民党政府は非合法で海上自衛隊などにおいては使用させてきたという事である。
またそのため、旭日旗について(日の丸についても同じであるが)の姿勢は、かつて神聖天皇主権大日本帝国政府が国民を動員し侵略戦争を起こし残虐な悪行を、したい放題行ったアジア諸国の国民の心を思いやる謝罪の意識を、敗戦後の日本政府、また安倍自公政府はもちろん、比較的多くの国民も有していないという事であり、ドイツ国とはまったく異なる誤った道を歩んできたという事である。だから、2013年のサッカー東アジア杯におけるような事件(日本の応援団が韓国の首都の真ん中で大型旭日旗で応援した)も引き起こしたのである。そして、それに対して、安倍自公政権の菅官房長官や下村文科相までが韓国を非難罵倒したために紛糾したのである。
ついでながら、こんな的外れの気遣いをしていた事があるという事を紹介しておこう。それは、2016年に国土地理院が地図記号で、昔から使ってきた寺院を示す「卍」をやめ、別のものに変更する事を検討した事があった。理由は、「卍」記号が外国人にナチスドイツ国の国旗「ハーケンクロイツ」を連想させて、不快な思いをさせないかと心配したのである。しかし、変更に批判が出て、結局、変更は見送られたのである。