朝から仕事に追われ、対人関係もゴタゴタが多く、さらに夜には2つほど宴会に顔を出さねばならないし……。
しかし、明日はいよいよ、おやじバンドのライブイベントが予定されています!
ということで、本日はテンションを高めるために、これ聴きました――
■Elegant Gypsy / Al Di Meila
アル・ディ・メオラは1974年にチック・コリアのバンド、新生リターン・トゥ・フォーエバーのレギュラーに抜擢され、一躍注目を集めたギタリスト! そのスタイルはロック系ながら、超絶技巧による猛烈な早弾きフレーズの嵐は、フュージョン全盛期の象徴でもありました。
もちろん本人の幅広い音楽的な視野も評価されるべきなんでしょうが、中でもチック・コリアと共通するラテン志向は、単なるハードロックギタリストにはない魅力を備えていました。
このアルバムは2枚目のリーダー作品で、ラテンロックのフュージョン的展開に加えて、進化したエスニック志向とハードなビートの融合が歓喜悶絶の仕上がり♪ 忽ち「ギターの聖典」になっています。
録音は1976年12月~1977年1月頃とされ、メンバーはアル・ディ・メオラ(g,per) 以下、ヤン・ハマー(key)、アンソニー・ジャクソン(el-b)、スティーヴ・ガッド(ds,per)、レニー・ホワイト(ds,per)、バリー・マイルス(key)、ミンゴ・ルイス(per,key) という超絶技巧集団を中心に、特別ゲストとしてパコ・デ・ルシア(g) が参加しています――
A-1 Flight Over Rio
甘美な思わせぶりから情熱のラテンビート、そして激烈なロックフュージョンへと劇的に盛り上がっていく演奏には、サンタナやジェフ・ベック、そしてチック・コリアやジョン・マクラフリンといった先達がやってきたことへの敬意と挑戦が感じられます。
ディ・メオラのギターからは、めくるめくフレーズが連発され、それが果てることの無い奔流となっていきますから、鬼のようなリズム隊も圧倒され気味……。しかしヤン・ハマーの鋭角的なツッコミ、暗く蠢くアンソニー・ジャクソン、ガッチリと根底を支えるミンゴ・ルイスは流石だと思います。スティーヴ・ガッド、頑張れっ!
A-2 Midnight Tango
これまた甘く、せつないラテンロックですから、たまりません♪ 哀愁のメロディを奏でるディ・メオラのギターには透明感があって、しかも幾分エキセントリックな音色にグッときます。
ミディアムで躍動的なラテンビートを出してくるリズム隊も流石で、中盤での仕掛けも難無くこなし、特にシャープで重心の低いレニー・ホワイトのドラミングは最高ですねぇ。
あぁ、この曲あたりはサンタナとの共演が聴きたくなります。
A-3 Mediterranean Sundance / 地中海の舞踏
このアルバムのハイライト!
フラメンコフュージョンとでも申しましょうか、その道の巨匠であるパコ・デルシアと生ギターで炎のデュオを聞かせるディ・メオラの物凄さ! その前段として用意されている打楽器による短いイントロも良い演出です。
このアルバムが発売された1977年はフュージョン全盛期で、それなりに批判も渦巻いていましたが、この演奏だけは万人をKOしています。
右チャンネルのディ・メオラ、左チャンネルのパコ・デルシア! 哀愁のテーマメロディを超絶技巧で過激に変奏していく展開は、まさに情熱の嵐! どこまでがアレンジか即興か、全く不明な恐ろしさが凄いですねぇ~~~♪
告白すれば、私はこの演奏でパコ・デルシアを知りました。そして忽ち虜になったというわけです。
B-1 Race With Devil On Spanish Highway
激烈なハードロックフュージョンですが、ミンゴ・ルイスのパーカッションが暴れまくりというラテンビートが恐いところ! 徹底したキメは一糸乱れず、レニー・ホワイトのドラミングは大技・小技の乱れ打ち!
聴いていてスカッとしますが、カーステレオでは危険ですよ。暴走注意! ディ・メオラのギターは左右に飛び、テンポは自在に変化していくのでした。
B-2 Lady On Rome, Sister Of Brazil
ディ・メオラが生ギターで短く演奏する、まあ次曲への繋ぎなんですが、魅惑のメロディばかりですから、たまりません。もっと長く聴きたい……。
B-3 Elegant Gypsy Suite / エレガント・ジプシー組曲
と思ったところで始るのが、この組曲です。
重厚なテーマメロディと凝ったアレンジ、ハードな演奏には疲れる瞬間もありますが、シャープなリズムのキレがありますから、ついついノセられてしまいます。
ディ・メオラのギターは甘美な音色、ドライヴしまくったフレーズの連射、怖ろしいキメ、そして変幻自在の存在感が強力です。もちろん多重録音を使っているんでしょうが、それでも圧倒的なスリルがいっぱい! 胸が熱くなるような展開です。
ということで、アルバム全体が物凄い完成度! そして全てのアレンジ&プロデュースをディ・メオラ本人がやっているんですねぇ。全く仰天させられます。
またエレキばかりでなく、生ギターも存分に聞かせてくれるところにも、リアルタイムで驚かされました。そして後にはパコ・デルシアとジョン・マクラフリンを加えた生ギタートリオまで結成し、驚愕のライブをやってしまうのでした。
あぁ、こんなにギターが弾けたらなぁ~~。
まずは「地中海の舞踏」を聴け!