中国で「デスノート」の禁止取締りが行われているそうです。
でも、出回っているのは、DVDも本も海賊版でしょう? そういう取締りを強化する方が先だと思うんですけど……。
尤も先日行った上海~マレー出張では、そういうブツをゲットしてきたんで、大きな事も言えない私ですが。
ということで、本日は――
■Hot Line / Bill Barron (Savoy)
モダンジャズの名門レーベルのひとつであるサボイは、主流派をメインにしつつも、相当に先鋭的なミュージシャンを録音していました。
本日の主役=ビル・バロンも、結局は大成しなかったものの、一時は期待されたテナーサックス奏者だったようです。まあ、現在はケニー・バロン(p) の実兄として知られているかもしれませんが、残されたレコードを聴いてみると、確かにジャズの本質に根ざした素晴らしさを感じます。
このアルバムは、多分、ビル・バロンの3枚目のリーダー盤でしょう。
録音は1962年3月31日、メンバーはビル・バロン(ts)、実弟のケニー・バロン(p)、ラリー・リドレイ(b)、アンドリュー・シリル(ds) に加えて、特別にブッカー・アーヴィン(ts) が参加しています――
A-1 Bill's Boogie
A-2 Groovin'
A-3 Now's The Time
B-1 A Cool One
B-2 Jelly Roll
B-3 Playhouse March
B-4 Work Song
上記のような演目は、ほとんどがブルースを主体にした熱気溢れるハードバップです。しかもビル・バロンとブッカー・アーヴィンのテナーサックスが、音色、フレーズともに酷似し過ぎています。そして私の所有盤がモノラル仕様ということもあって、聞き分けが非常に困難というか、鑑賞する度に自分の耳の悪さを痛感させられます。
う~ん、それにしても各々の演奏には、ムンムンするような猥雑で黒~い空気が充満していますね。
例えばリズム隊の定型リフが全体をリードするような「Bill's Boogie」や「Jelly Roll」は、粘液体質の演奏が満喫出来ますし、タイトルどおりにマーチテンポの「Playhouse March」でもリズム隊の強靭さが印象的です。
しかし、その中のお目当てであるケニー・バロンの出番は、ほとんどありません。つまり演奏の大部分が2人のテナーサックス奏者のアドリブばっかり! しかもスタイルと音色が似通っていますから、鬱陶しい限りです。
まあ、そのあたりが快感になる瞬間も確かにあるんですが、曲想も似通ったものばかりですから、キツイです。あぁ、これじゃ、売れないよなぁ……。
その中ではアダレイ兄弟のヒット曲「Work Song」が、素直なテーマ吹奏とグルーヴィな演奏で、なかなか和みます。それと埃っぽいようなドライブ感が痛快な「Now's The Time」も、バンドメンバー全員の意地の張り合いのようなところがあって、面白い出来だと思います。
ということで、ほとんど白昼の残月のような鬱陶しいアルバムなんですが、これがある時になると妙に聴きたくなるという、麻薬盤です。けっして万人向けとは言えない作品ですが、たまには良いかと思います。