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「読書会報告、その1」、三国陽夫著「黒字亡国」その③ 文科系

2006年05月20日 11時06分58秒 | Weblog
他方アメリカはと言えば、国を挙げての借金繁栄、いわゆるバブル好景気という状況が続いてきた。
「アメリカの家計、企業、政府、金融機関部門が金融・資本市場から資金を調達している額を名目GDP比でみると、現実に史上最高の水準となっていまもなお記録を更新している。(中略)アメリカの負債の増加は、主として家計の住宅ローンが牽引している」(P61)
「日本が輸出代金の黒字分を国内に円で持ちかえらないことを前提に、アメリカの繁栄は成り立っている。(中略)アメリカでは『赤字による繁栄は日本の円高恐怖症に支えられている』と分析されている」(P63)
「アメリカでは、日本に支払った金がそっくり戻り、本来失うべきベースマネー(中央銀行券とそこの当座預金の合計額を指し、銀行の信用創造の基礎、つまりベースとなる通貨)が回復する。(中略)アメリカでは過剰流動性が発生し、カネがあふれる」(P129)
「この動きは、ヨーロッパ某国の友人の言葉を借りると、日本名義のクレジットカードをアメリカに無制限に使わせているようなものだ、ということになる。夫婦の関係にこれを置き換えてみると分かりやすい。(中略)悪妻と呼ばれても、妻には妻の言い分はある。夫婦間の話し合いは十分になされており、夫が妻にクレジットカードを渡している限り、好きな買い物をするだけ、ということになる」(P126)
さて、こういう事態解決の展望はどう書いてあるか。以下の事実を見ても、もの凄い難問であることは確かなのだ。日米の貿易状況を正しく反映した円高ドル安に戻そうとすれば、日本の円換算ドル資産が激減する。ドルの比率が高い日本の対外資産は04年末434兆円にも上っているというそのドル資産が。形としては米国債などの債券投資、株式投資、融資などなどの目減りである。この点の是正が始まりかけているというような歴史的現時点においては、例えば行く末に関わってこんな心配を語る人がいる。
「日本の黒字以上に、『ドル基軸通貨体制』が維持可能かどうかが心配だ。米国の経常赤字は2005年に8000億ドルを超え、1兆ドルに達しようとしている。どう考えても大きすぎる。最近、米国の有名な投資家が海外株式投資を勧めている。今回のドル安が、歯止めのないドル暴落への転換点になる可能性もある。今のままでは、日本の海外資産は激減しかねない」(高尾義一・朝日ライフアセットマネジメント常務執行役員。5月17日毎日新聞掲載)
アメリカのバブル弾け、激烈な不況、日本大被害が目の前にあるというわけだ。こういう事態を避けるためにということでアメリカとの共存共栄の道もあると、こんなふうに皮肉っぽく語る人もいることをこの著作はまた述べている。
「日本の経済関係者の間で時として、『ここまできたら日本にとっての唯一の選択肢は通貨のドル化である』という自嘲的な会話が交わされる。仮に自国通貨としての円を放棄してドルを採用すれば、為替リスクもなくなり、輸出で稼ぎ出した黒字をそのままドルで持ち続けても、なんら問題は起きない。しかし、通貨のドル化とは、いわば日本がアメリカの一つの州になることにほかならない」(P184)
さて、「米州になるのではない独立国日本を再確立していく」問題解決策は存在するのか。あると見てもそれは可能なのか。

                           (その④に続く)
コメント (3)
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