ネオコンの揺籠は言論界であった。ベトナム戦争でアメリカが揺れ動くなか、アーヴィング・クリストルらニューヨーク在住のユダヤ系知識人・ジャーナリストがリベラル知識人や反戦を唱えるヒッピーの動きに対抗して、「反ソ」・「道徳」を声高く訴えた。
さらに60年代全米に広がった反戦運動・黒人運動の高まりが中東のパレスチナ解放闘争との連帯感情を強めイスラエルに対し批判的になるなか、彼らの心情的祖国イスラエルへの批判的傾向に強い危機感を抱いた彼らは、キッシンジャーらの交渉重視派と対照的に力による対ソ戦略を描いていた。
ネオコンの始祖アーヴィング・クリストルは「ナショナル・インタレスト」を発刊し、右派の論客を意識的に育てていった。シカゴ大学の政治哲学者シュトラウスはナチスの迫害から逃れアメリカに亡命したユダヤ人であった。「政治学は過去を解釈するのでなく、現実に惨劇が起こる前にそれを起こさせない状況を作り出すことこそ、その役割である」と主張した。彼はネオコンと直接の関わりはないが、その門下生からネオコン第二世代の有能な人材を輩出したこと、ネオコンの第二世代の世界戦略に政治的・思想的な示唆を与えたことで重要である。これも組織的にはネオコンに所属していないが、「文明の衝突」を唱えネオコンの政策・戦略に理論的根拠を与えたサミュエル・ハンチントンも重要である。
こうしてユダヤ人知識人のなかで生まれきたネオコンの第二世代は極めて組織的・統一的・戦闘的に活動するようになっていった。メディア・言論界を主戦場にしながら、それを武器に政界へも進出していくようになった。彼らは数多くのシンクタンクを主宰し、新聞・雑誌を計6紙・誌刊行している。同時にネオコン知識人を売り込むため、「ベルドール・アソシエイツ」という代理店を抱え、世界の新聞・雑誌に論文・寄稿・コラム・各種記事などを提供し、テレビのトーク番組・解説などに人材を提供している。
大衆紙「サン」をロンドンで創刊し、以後ユダヤ人脈とその資金力を背景に次々と新聞・テレビを買収し「世界のメディア王」にのし上がったルバート・マードック(母親はユダヤ人富豪ルバート・グリーンの娘、ユダヤ教の定義に従えば彼はユダヤ人、オーストリア生まれだが、今はアメリカ国籍を取得している)がネオコンの論客の受け皿となった。彼の買収したメディアの一部を列挙すると、イギリスでは老舗タイムズ、サンデー・タイムズなど、アメリカではニューヨーク・ポスト、映画会社20世紀フォックスなど、さらにフォックス・テレビを買収して一大テレビ・ネットワークを作り上げてアメリカの4大テレビネットワークの一角を形成するにいたった。こうしてネオコンの世論操作のネットワークが作られていった。この分析は私の推論で、そこまで書き込んだ著作は一つもない。しかし、ビル・クリストルの発刊した赤字続きの雑誌「ウィクリー・スタンダード」にマードックが資金を投入し刊行を維持させていること、上記の新聞・テレビにネオコンの論客をよく登場させることから類推される。さらにはアメリカ軍がバグダッド占領後、上記新聞・テレビがフセインの幹部などがシリアに逃亡している、シリア攻撃は避け難いとしきりにあほリたて、日本の新聞・テレビもその尻馬に乗って同様のニュースを流したこと、このことがネオコンの世論操作の仕組みを典型的にあらわしていたといえよう。
一方、政治的には民主党に所属し議員スタッフとして「反ソ」・「親イスラエル」の先鋒としてデタントや第二次戦略兵器削減交渉阻止に活動するが、民主党ではネオコンの極端な政策は受け入れられる見込みはなく、ましてや主流派になりえず、民主党内の活動に絶望する。
ジャーナリズム・メディア界で民主党に遅れを取っていた共和党は彼らを吸収して、言論界での勢力拡大・政策能力の強化をはかった。彼らは彼らで自らの理念達成のため民主党から共和党へ乗り換えたのである。
その背景には、ブッシュの強力な支持基盤である極めて保守的な福音主義派(キリスト教原理主義)の政策がネオコンのそれと類似性が強く、親近感を抱いていたということがある。
さらに60年代全米に広がった反戦運動・黒人運動の高まりが中東のパレスチナ解放闘争との連帯感情を強めイスラエルに対し批判的になるなか、彼らの心情的祖国イスラエルへの批判的傾向に強い危機感を抱いた彼らは、キッシンジャーらの交渉重視派と対照的に力による対ソ戦略を描いていた。
ネオコンの始祖アーヴィング・クリストルは「ナショナル・インタレスト」を発刊し、右派の論客を意識的に育てていった。シカゴ大学の政治哲学者シュトラウスはナチスの迫害から逃れアメリカに亡命したユダヤ人であった。「政治学は過去を解釈するのでなく、現実に惨劇が起こる前にそれを起こさせない状況を作り出すことこそ、その役割である」と主張した。彼はネオコンと直接の関わりはないが、その門下生からネオコン第二世代の有能な人材を輩出したこと、ネオコンの第二世代の世界戦略に政治的・思想的な示唆を与えたことで重要である。これも組織的にはネオコンに所属していないが、「文明の衝突」を唱えネオコンの政策・戦略に理論的根拠を与えたサミュエル・ハンチントンも重要である。
こうしてユダヤ人知識人のなかで生まれきたネオコンの第二世代は極めて組織的・統一的・戦闘的に活動するようになっていった。メディア・言論界を主戦場にしながら、それを武器に政界へも進出していくようになった。彼らは数多くのシンクタンクを主宰し、新聞・雑誌を計6紙・誌刊行している。同時にネオコン知識人を売り込むため、「ベルドール・アソシエイツ」という代理店を抱え、世界の新聞・雑誌に論文・寄稿・コラム・各種記事などを提供し、テレビのトーク番組・解説などに人材を提供している。
大衆紙「サン」をロンドンで創刊し、以後ユダヤ人脈とその資金力を背景に次々と新聞・テレビを買収し「世界のメディア王」にのし上がったルバート・マードック(母親はユダヤ人富豪ルバート・グリーンの娘、ユダヤ教の定義に従えば彼はユダヤ人、オーストリア生まれだが、今はアメリカ国籍を取得している)がネオコンの論客の受け皿となった。彼の買収したメディアの一部を列挙すると、イギリスでは老舗タイムズ、サンデー・タイムズなど、アメリカではニューヨーク・ポスト、映画会社20世紀フォックスなど、さらにフォックス・テレビを買収して一大テレビ・ネットワークを作り上げてアメリカの4大テレビネットワークの一角を形成するにいたった。こうしてネオコンの世論操作のネットワークが作られていった。この分析は私の推論で、そこまで書き込んだ著作は一つもない。しかし、ビル・クリストルの発刊した赤字続きの雑誌「ウィクリー・スタンダード」にマードックが資金を投入し刊行を維持させていること、上記の新聞・テレビにネオコンの論客をよく登場させることから類推される。さらにはアメリカ軍がバグダッド占領後、上記新聞・テレビがフセインの幹部などがシリアに逃亡している、シリア攻撃は避け難いとしきりにあほリたて、日本の新聞・テレビもその尻馬に乗って同様のニュースを流したこと、このことがネオコンの世論操作の仕組みを典型的にあらわしていたといえよう。
一方、政治的には民主党に所属し議員スタッフとして「反ソ」・「親イスラエル」の先鋒としてデタントや第二次戦略兵器削減交渉阻止に活動するが、民主党ではネオコンの極端な政策は受け入れられる見込みはなく、ましてや主流派になりえず、民主党内の活動に絶望する。
ジャーナリズム・メディア界で民主党に遅れを取っていた共和党は彼らを吸収して、言論界での勢力拡大・政策能力の強化をはかった。彼らは彼らで自らの理念達成のため民主党から共和党へ乗り換えたのである。
その背景には、ブッシュの強力な支持基盤である極めて保守的な福音主義派(キリスト教原理主義)の政策がネオコンのそれと類似性が強く、親近感を抱いていたということがある。