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国会図書館ギャラリー等の紹介 千里眼

2006年12月11日 20時06分12秒 | Weblog
 日本国憲法の制定過程についての投稿をするために、いろいろと文献にあたるなかで、私が最も参考にしたのは、国家巣図書館の電子展示「日本国憲法の成立」というサイトであった。この国会図書館の電子展示には、どのようなサイトがあるのか調べてみた。

 国会図書館では、この電子展示を「ギャラリー」と総称し、9つのサイトからなる。「日本の暦」、「蔵書印の世界」、「江戸時代の植物誌」のような文化的なものもあるが、日本近現代政治史にかかわる内容のものは、以下に示す3つがある。国会図書館のホームページの紹介文を付して、次に示す。

<ギャラリー>
 ギャラリーでは当館所蔵のユニークな資料を中心に、わかりやすい解説を加え、電子展示会として紹介しています。なお、「日本の記憶」としているものは日本の歴史と文化に関する企画を総合テーマとして製作しているものです。

<史料による日本の近代>
 当館の憲政資料室が所蔵する手稿や書翰を中心に、近代日本の政治史に関わる代表的な史料を紹介します。平成18年7月から提供しています。

<日本国憲法の誕生>
 この展示会では、日本国憲法の制定過程に関する貴重な資料を解説・展示しています。平成16年5月に全面的にリニューアルし、提供しています。

<憲政史料 (日本近現代政治史史料)>
 国立国会図書館の憲政資料室では、幕末期から現在に至るまでの政治家が手許に置いていた文書類(日記、書翰、執務資料等)を所蔵している。憲政資料と呼ばれるこれら資料の中から代表的なものを時代別、テーマ別に電子展示するとともに、旧蔵者別に整理された各資料群のうち、一部の目録を実験的に階層構造から閲覧できるようにしている。

 覗いてみた私の印象を記すと、「憲政史料 (日本近現代政治史史料)」は、ものたりない。所蔵する膨大な史料からごく一部、代表的なものだけを抽出しているのだが、もっと多数掲載してほしかったというのが、私の率直な感想である。史料現物の写真が添付してあるが、その中身は読み取れない。やはり「日本国憲法の誕生」と同じように、テキスト文を付けてほしかった。
 
 「日本憲法の誕生」が、最も優れている。史料選択も納得できるし、その史料に添付している解説を繋ぐと、そのまま日本国憲法成立概史になる。その文章もよく推敲されていて、政治的中立を意識して書かれているのであろうが、非常によくまとまったものに仕上がっている。相当詳しい年表も添付されている。何よりも有難いのは、テキストとして、その史料の文章がインターネットで読めることだ。

 「史料による日本の近代」は、「日本憲法の誕生」と同じスタイルで作られている。日本近代史という膨大な内容なので、やむをえないのだろうが、きわめて限られた史料しか収録されてない。現在のサイトでも大変な数の史料になるが、その数倍の史料を収録するともっと使いでがあったのにと思う。テキストとして収録されている史料そのもの引用も、ほんの一部分の引用にとどまっていて、ものたりない。

 これらのサイトを見るためには、国会図書館のホームページを呼び出すと、その最初のページの真ん中に、飾りつきで「ギャラリー」という文字がある。そこをクリックすると、電子展示の9つの項目が出てくる。

 このブログに参加するようになる前は、インターネットを利用することを私はほとんどしていない。部屋の構造との関係で、無線ランの電波が弱くインターネットとの接続が出来たり、出来なかったり、なので。このブログに参加するようになってから利用して見て、その便利さに心を動かされた。日本の近現代史にかかわるホームページやサイトをよく覗いたが、玉石混交なのだ。とてつもない右翼のものが多いのに驚いた。その中で、推薦できるものをここに紹介する。皆さんは私よりよく利用されていると思うので、よく承知されている方が多いと思うが。よい内容と思っても、作成者がはっきりしないものは除いた。

 「Sato Labo」。愛媛大学政策情報科の佐藤智秋氏のホームページ。
 総務省統計局の各種統計がすべて収録されている。例えば、国政調査、人口推計、労働力調査、小売物価統計調査、などなど27種類の統計である。簡単な解説を付記し、グラフ処理もされており、利用しやすくなっている。一部写真版のみのままのものもあるが。多くは、エクセルを使って数値をきちんと入力するというものすごい手間をかけて作成している。学生・助手を使って入力させたのであろうが、頭の下がる思いがする。統計リンク集が付記されており、必要に応じて他の統計サイトにアクセスできるようになっている。

 「先ず 菊次郎より始めよ」。志村菊次郎氏のホームページ。
 これもすごい内容である。志村氏は盧溝橋事件から南京事件までを念頭に作成に入ったのであるが、まだ盧溝橋事件の部分しか完成していない。
 関連部隊の戦闘詳報・業務日誌、上部指揮官の臨戦令(命令)、に始まり、関連人物の手記・日誌などの史料を克明に収集し、収録している。関連する諸文献や著作は無視し、生の史料のみを収録しているのだ。その上で、時間的経過を追った詳細な年表を作成し載せている。よくここまでの作業をやれたものだと敬服する。

「田村のホームページ」。松山大学の田村ゆずる氏のホームページ。
 専門分野は法学ではないかと思うが、日本の近現代史にかかわる内容の項目も多い。諸事件についての内容を簡単に掴むのには便利である。

「ゆうのページ」。
 このホームページの作成者は、本名を名乗っていない。非常にレベルの高い学者であることは想定できるので、紹介することにした。外国の文献も古本屋やその他の方法で収集していることから、その想定は正しいと思う。
第一部 小さな資料集、第二部 南京事件をめぐる俗論、第三部 東中野氏の徹底検証、第四部 日中戦争への視点、以上の四部構成になっている。
 史料そのものの部分的収録も役に立つが、このホームページの最大の特徴は、保守系論客の文献の引用と、それを批判する文献を対比して収録している点にある。論点を整理して載せている。それゆえ要領よく把握できるので利用価値は高い。ただし、元文献に当たったうえで利用すべきであろう。
コメント (2)
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