九条バトル !! (憲法問題のみならず、人間的なテーマならなんでも大歓迎!!)

憲法論議はいよいよ本番に。自由な掲示板です。憲法問題以外でも、人間的な話題なら何でも大歓迎。是非ひと言 !!!

ザックジャパン(145) 改めて、ゲーゲンプレス  文科系

2014年02月26日 09時21分42秒 | 文芸作品

 ドイツはドルトムントのゲーゲンプレッシング自身について解説したい。この言葉が現在このブログで、検索に最も多く引っかかる言葉だと編集部に教えられたからこれを書こうと思いたった。

① まず、クロップ監督自身の言葉を、最初の解説要点としたい。
「相手がこっちのボールを奪った瞬間こそ、相手のボールを奪う絶好機なのだ。敵の陣型が最も乱れている時だから、ボールを奪いやすい時でもある。また、その時にボールを奪えれば、即得点チャンスにもなるのだし」
 この言葉にゲーゲンプレスの全てが入っている。この語の意味自身とこのクロップの言葉とを結んでみると、意味がよく分かる。英語に言い換えた字義はカウンタープレスということであって、ボクシングのカウンターパンチが相手の拳にこちらの拳を合わせて威力を倍増させるというのとおなじ意味である。敵がボールを奪って前がかりになった瞬間こそ、敵陣形にスキが多いから、味方が前に出てボールを奪う最良の絶好機なのだということだ。

② ①の大切さを理解する必要不可欠な現代フットボール予備知識も挙げておく。現代最新型の守備とは、まずゴールを守る事(と考えるの)ではなくて、そのもっと前の段階で敵ボールを奪うことである。身方から見て高い位置で常に敵ボールを奪ってしまえば、敵がシュートを打てないという理屈だ。サッキ・ミランやバルサ以来世界がボールポゼションに拘ってきたのも同じ理屈である。敵から良くボールを奪い、パスが上手いから敵にボールを渡さないなら、ボールを持てない敵はシュートを打つ確率が極めて下がる。
 高いプレスとかコンパクトプレスとかの用語も、この事に関係している。前者は、高い位置で組織的圧倒的に敵ボールに襲いかかって奪う事。後者は、身方陣型を、DFは前に上げFWも守備に下がって前後を縦に詰め、コンパクト(コンパクトカーのコンパクトと同じ「小さいけれど中身が詰まった」という意味)陣型にして、その密集の中では敵ボールを絡め取りやすいという意味である。その際、DFを前に上げるのでカウンターを食わないように、一糸乱れぬオフサイドトラップ(オフサイドの罠)が極めて重要になる。ちなみに一例としてだが、ザックジャパンはこれがまだ下手だ。前のプレスが甘いとき、良いロングパスを通されてカウンターを食ってしまうのである。オフサイドトラップを多用するコンパクト陣型には前の協力も不可欠だというのは、このことを指している。

 ところで、以上との関係でゲーゲンプレスを述べればこうなる。まず、必ずコンパクトプレスになるということ。高いコンパクトも、CLリーグなどでは低いコンパクトもよく使うが。特に、高位のコンパクトプレスからのボール奪取、得点が上手いということだ。これが、ゲーゲンプレスの代名詞のようなものになっていると思う。

③ ゲーゲンプレッシングのやり方自身はこうである。
A ボールを奪った相手に最も近い味方は、すぐに敵ボール保持者からボールを奪いに行く。形だけではなく、本気で奪いに行くのである。
B 近くに敵の他の選手がいるその他の味方は、敵ボール保持者からのパスコースを塞ぐ。
C パスコースを塞げる敵がいない味方は、後ろからでもパスの受け手になりそうな敵を妨げに走る。あわよくば後からボールを奪ってやろうとも意図して。

④ 最後に、以上の為にドルトムントは常日頃どんな練習をしているか。木崎伸也の見てきたところをまとめてみよう。彼は、ドルトムントの秘密練習までこっそりと覗くなどと、大変な努力を積んできた。
A 以上の為の走りにつき、常日頃死に物狂いのような練習を積んでいる。ハインケス監督時代の最後にドルトムント・ゲーゲンプレスをそっくり真似してCL杯を取ったバイエルンとともに、ドルトムントは現在の世界でダントツに走るチームと言えるだろう。それも、ダッシュが多いという意味だ。
B 例えば低く構えてコンパクト陣型を作る場合でも、DFラインはおおむねペナルティーラインの2m前まで出ようとして、そのためにDFがこんな練習をしている。DFライン4人が敵ボール位置に合わせて猛烈な勢いで左右に動きつつ、1人は敵ボールにアタックに出る、と。その時必要な攻撃に出たセンターバックをMFがカバーする練習も非常に多い。よって、このチームのMF全員がDFの練習も積んでいる。
C ドルトのパスを繋ぐ攻撃は、バルサ以上に縦に速いのが特徴と言える。攻撃の特徴、練習は、敵の間に顔を出し身方パスを引き出すこと、そのためのパス&ムーブの徹底、そしてワンタッチパスの多さなどがある。合宿などでは、ハーフコートの5対5ゲームをワンタッチ限定でやり尽くすということだった。このCの全てに対する防御練習が存在するという事になり、ここにもゲーゲンプレス練習の大事なポイントがあると言える。

 最後になったが、ザックのチームコンセプトはドルトムントに非常によく似ていると言える。ザックもドルトムントと同じで、攻撃はバルセロナ、守備はアリゴサッキのミランを理想としてきたのだから、当然の事なのだ。組織規律を良く守り、よく走りもする日本人にはこの戦術が非常によく合っていると言える。

コメント (3)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする