昨7日、標記のことで新たな数字が発表された。癌と確定が33人へ、「がんの疑い」が41人と、合計74人である。今回一次検査を受けたのは254,000人で、その中から1,796人が二次検査を受け、その結果である。これでもなお調査検討委員会はこう言い張っているということだ。
『現時点では放射線の影響は考えにくい』
『症状がない人も含めた未知の調査で、比較できない』
以下の旧稿を再読すると、改めてこんなことも分かった。去年8月、11月、この2月と、このように増えてきたのである。確定が、18から26から33人へ。癌の疑いが25から33から41人へ。
ちなみに、2013年11月27日のここにこんな拙稿を書いた。11月26日の日刊ゲンダイの紹介として。
『今月中旬、「県民健康管理調査」検討委員会が、福島第1原発事故発生当時に18歳以下だった子どもの甲状腺検査の結果を発表した。それによると、検査を受けた22万人のうち、がんが確定した人は前回8月から8人増えて26人、疑いありも8人増の33人だ。59人に甲状腺がんやその疑いがあったという。一般的に小児甲状腺がんは100万人あたり1~3人といわれているから、ジワジワと増えていることが分かる』
さて、これでもフクシマの影響を頑強に拒むって、一体どういうことなのだろう。検討委員会のその言い分は「症状がない人も調査対象としているから、未知の領域で、比べる数字がない」ということのようだが、普通に考えれば逆ではないか。症状がない人も対象とした無差別調査からこれだけの患者がいて、なお同一分母数からの発生率が急激に増えているということなのである。国立癌センターの10代の甲状腺癌「発現率」(発生率なのかどうか。二つは厳密に区別されて、発生の方が多いと行ってきたはずだ)は百万人に1~9人となっているそうだが、フクシマの多さは一目瞭然である。百万人に換算したら、300人発病というもの凄い割合になるのだ。
前回書いた日刊ゲンダイの記事を改めて、続けたい。
【 「隠された被曝」の著者で、内部被曝の危険性を研究する琉球大の矢ケ崎克馬名誉教授はこう言う。
「チェルノブイリでは、原発事故が起きた1986年4月の翌年から甲状腺がんと一般のがんの症例数が増加しました。当時もIAEAや国際放射線防護委員会(ICRP)は、放射線の影響を否定しています。急激に増えるのは5年目で、2~3年では影響は出ないとしたのです。しかし、それは全く科学的ではない。事故前のがんの推移と事故後の推移の統計を見ると、明らかに87年以降の上昇率が高く、増え方が違うのです」
5年というのは“ピークが来る時期”に過ぎないのだ。
「被曝量が多いほど、がんになるまでの期間は短いのです。福島の汚染地帯の人口密度は、チェルノブイリより14倍ほど高い。がんの患者数もチェルノブイリの10~20倍に膨らむ危険性もあります」(矢ケ崎氏)
チェルノブイリ周辺では、事故から20年で4000人以上の甲状腺がんが発症したとされる。その10倍なら4万人、20倍なら8万人だ。少なくとも健康被害の“完全ブロック”はできていない。】
調査検討委員会運営方針はもはや、「国策捜査」めいてきたと断じるしかない。国策なら国策として、正々堂々と「その中身」で国民を説得すべきだと思う。「何があっても、こういう理由で原発は続けたい」と。ここに至ってまでそうしないのは、愚民政策と言える。秘密保護法もこのように使われると思うと、将来が思いやられるというものだ。
ちなみにまた、本日の中日新聞にはこんな記事もあった。『高濃度汚染を長期未公表』『「高すぎ」誤計測と解釈』。2号機前2地点で猛毒ストロンチウムが、東電が公表してきた値の10倍に跳ね上がったのだそうだ。東電のニュースはもう憂うつなものばかりである。罪の後出し。罪の積み重ね。犯罪確信犯的「ミス」などなど。それでも誰も罰されていないのだから、良い解決は何も、どんどん望めなくなっていくようだ。神も仏もないものか。