かっては食糧生産量が必要な量を上回っていたのに、今はかなりの量が不足。
国際援助に頼っている北朝鮮。
多数の餓死者が出たのに、金さんの支配は微動だにしなかった。
いまでも国民が飢えている一方、ピョンヤン市民は豊かな暮らし。
一体、北朝鮮の経済はどうなっているのだろうか?
そんな疑問に答えてくれる本が「北朝鮮経済のカラクリ」
そのなかから幾つかのポイントを紹介します。
北朝鮮の経済の大きな特徴は3つの独自の経済があること。
①労働党を軸とした経済。これが普通の経済。
②軍の経済。
軍に認められた兵糧米の徴収。
兵士をつかっての農園や工場の経営。
地下資源の輸出など貿易。
武器の製造・輸出。通常兵器からミサイルまで。
金正日さんの「先軍政治」で勢力が大きくなった。
普通の経済に負けない規模に成長。
③金さんファミリー経済。
貿易や金融。労働者の輸出(賃金のピンハネ)。
ケソン工業団地などの給料の90%を吸い上げる。
偽札・アヘンの輸出。
年間の北朝鮮のGDPに相当する規模とも。
最近の一番大きな変化。
配給経済が崩壊。(ソ連の崩壊などで経済支援が無くなる。
中国からは援助ではなく対価を求められるようになった。)
ヤミ経済(市場経済)が実質的な経済活動の中心に。
存在を認めざるを得なくなった。
これまでも数度、統制経済に戻そうとしたが悉く失敗。
今は中国から機械、生活用品などを輸入。
農産物や地下資源の輸出という経済構造。
金ファミリーと同じくらいお金持ちも出現。
お金と言う市場経済が金体制の土台を侵食し始めている。
最近実施されたデノミは、この裕福な階層の資金を取り上げようとしたもの。
結果は、裕福な層の資金はドルや元なのでデノミの影響はなし。
インフレを引き起こし、富裕層の資産価値をあげ、庶民を困らせただけ。
もう一つは中国の態度。
体制崩壊は望まないが、核開発には厳しい制裁も。
最近、金さんがファミリーの叔父を粛清した背景は?
権力闘争の裏には、経済をどうしていくのか?
というビジョンの対立がありそう。
市場経済へ舵をきった叔父さんの粛清でも市場経済の流れを止められない。
国内は国境地帯も賄賂が横行。お金次第で中国との間を自由に往来。
市場経済が金さんの支配体制の土台を腐らせている。
金正日さんが目標にしていたのはタイのような王政とも。
それが実現すれば、大きな混乱も起らないであろうが・・・
それよりも、韓国の朴大統領が側近に殺されたように、暗殺の可能性が高いかも・・・