参院選で与党がしきりに経済政策の対案を出せと叫んでいる。「三本の矢」の大失敗を認めず、さらに期限を伸ばすといいながら。言わば相撲の土俵を自分でどんどん広げることによって、負けを認めない相撲取りのようなものだ。それでも、以下この政策は今後も失敗するという、いわばこの失敗の必然性と、中長期間かかってもこれが必要なのだという対案らしきものを示したい。突きつけられた問題が質的な問題なのだから、今までのやり方では悪循環になるだけだと示しつつ。
① 今の世界経済の諸困難は「100年に1度の危機」ともいわれたものを引き継いでいる、言わばどん詰まり状態。新自由主義という供給サイドに偏った世界経済が長期間かかって積み上げてきた帰結なのであって、これを続けるのか否かという中長期的・世界的解決しか道はないと考える。なんとなれば、現在世界が突きつけられているのが以下のような課題なのであるから。
② 世界的な失業者、不安定雇用者、相対的貧困者などの大群をどうするか。この大群を、中産階級の世界的没落によって放置して来たのだから、景気などは根本的に回復する訳もない状態である。ましてや、世界的な法人税減税や、「脱税」までも進めてきて、代わりにこの大群からの大衆課税に頼った赤字国家では、所得再配分機能の程度などたかが知れているという問題もある。
③ ①②の状況がありながら日米のように赤字の国家予算を軍事費に注ぎ込み続けるなら、なお袋小路に入るだけだ。それはアメリカの国家累積赤字が8000兆円もあることで、既に誰の目にも明らかである。この8000兆円が言わば、上記①、②の墓場、帰結とも言える。
④こうして、以下のような中長期目標を掲げるしか道はないと考える。世界的に法人減税競争を止めて、ちゃんと税を取る。そういう、累進課税に組み直す。同時に、世界的一斉に賃金を上げるなり、労働時間を短縮するなりして、就職口を作り一般消費を増やすことによる経済の良循環を目指す。つまり、そういうイニシアティブを日米両大国などがきちんと取っていく。日本政府も「賃金を上げて欲しい」と口だけでは言ってきたのだし、オバマも「所属国家から税逃れができる道があるのがいけない」と語っていたはずだ。こういう問題意識だけは少なくとも、日米現両政権にさえ存在するのである。あとはこういうことを具体的に進められる政権をつくることだろう。