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書評「シリア情勢」  文科系

2018年05月14日 08時33分01秒 | 文化一般、書評・マスコミ評など
朝鮮半島がひとまず、と観えたら、「中東・積年のアメリカ・イラン問題」がにわかに世界最前線としてクローズアップされてきた。今や、トランプ政権最重要のブレーンの一人・娘婿ジャレド・クシュナー(有名なイヴァンカの夫)はユダヤ教徒。トランプ政権発足後すぐにエルサレム首都宣言とか、トランプとサウジ新皇太子との相互訪問とかが起こったのも、このクシュナーの助言もあってとか。そして、今の中東問題を理解するのに不可欠なのが、長年続いた米英のシリアへのこだわり。これらのことは、ここでも紹介したトランプ政権初の内幕物「炎と怒り」(この本の内容紹介は、今年4月8日から5回連載があります)の通りです。

 去年7月に掲載した4回連載の書評、内容紹介を再掲します。


『 書評 「シリア情勢」(1)  文科系 2017年07月16日

 青山弘之著「シリア情勢 終わらない人道危機」(17年3月22日第一刷発行)の要約第一回目である。東京外大アラビア語科と一橋大学院社会学研究科を出て、日本貿易振興会付属アジア経済研究所などを経られた、シリア研究30年という東京外語大教授という方だ。
 この本全6章と「はじめに」「おわりに」の8つのうち、今日は「はじめに」と1章を要約する。ここはこの本の概要が最もよく分かる箇所だ。世界を騒がせているが日本政府は冷淡な難民問題の最大震源地。かつ、イラクと並ぶ21世紀の悲惨極まりない世界史的大事件国。こういう地点には、現代世界史が集約されているということも可能と愚考した


 はじめに

 ダマスカスという世界最古都市の一つを有し、かつては中東随一の安定、強国を誇ったシリア。その面影は、2011年3月「アラブの春」(この作者が括弧付きで使う言葉は全て、「そう呼んでよいのか?」という疑問符付きと、ご理解頂きたい)の失敗以来すっかり消えてしまった。47万人が亡くなり、190万人が傷を負った。636万人の国内難民と、311万人の国外難民とを合わせると、全国民の46%が家を追われたことになる。
 この悲劇の根本的な原因の一つは確かに、このこと。シリア・アサド政権の初動の誤りである。過剰防衛弾圧と述べても良い。ただし、通常言われる所の「内戦」とか「自由と人権を求めた反政府派」などという通常解釈も頂けない。内乱の最大主役、イスラーム国とかヌスラ戦線とかはシリア内部の反乱などとは言えないからである。シリアへの米軍空爆は、2014年8月にイラクで起こった翌9月にシリアでも始まったものであるし、2015年9月にロシアが大々的に始めた空爆が、結局この「内乱」を終わらせる雲行きになっている。2015年はまた、シリア内乱がイスラム国による世界的テロ事件として広がった年でもある。

 シリア研究30年の筆者として、この「内戦」をば、可能な限り「冷静」、「冷淡」に記述してみたいと、述べていた。


 第1章 シリアをめぐる地政学

 シリアの「内戦」は、以下のような5段階を辿った。「民主化」「政治化」「軍事化」「国際問題化」「アル=カイーダ化」である。そのそれぞれを記述していこう。

 まず当初の「民主化」は、以下のようにハイジャックされた。
 シリアの「民主化」勢力は強い政権に対して小さかったが、2011年8月の「血のラマダーン」で1000人ほどの国民が虐殺されると、一挙に急進化した。「アラブの春」のどこでも軍の離反が起こり、シリアも例外ではなかったが、2~6万とも推計される「自由シリア軍」では、すぐに海外亡命が始まっている。以降、反政権政治勢力3派による「政治闘争化」していくのだが、これらのうちクルド民族関連を除いては通常の社会生活とはほとんど接点を持たず、海外在住でお金持ちの「ホテル革命家」など夢想家たちの団体ともいえる。
 シリア国民連合は、カタールはドーハでアメリカの金と支援により結成されたものだし、国民調整委員会はダマスカスで結成されたが、古くからのアラブ主義者、マルクス主義者などから成っていた。民主統一党だけが、5万人の人民防衛隊や女性防衛隊を持つなど社会との接点を持っているが、これはクルド民族主義政党なのである。

 この政治化混乱は2011年後半から内乱に発展していき、政府支配地がどんどん縮小されていく。諸外国の猛烈な「援助」があったからだ。①欧米とサウジ、カタール、トルコなど「シリアの友グループ」は、政権を一方的に否定し、「国民を保護する」と介入したし、②ロシア、イラン、中国は、「国家主権は尊重されねばならぬ」という立場だった。③インド、ブラジル、南アフリカ(今で言うBRICS諸国の一角である)は、アサドの過剰防衛を批判はしたが、国家主権尊重という立場であった。
 世界史的に見てシリアの地政学的位置が極めて大きいから、こういう事態になったという側面がある。まず、東アラブ地区というのは、反米・反イスラエルのアラブ最前線基地であった。冷戦終結後に米の強大化から、親イラン・ロシアの性格を強めた。レバノンのヒズボラ、パレスティナ諸派とも結びついていく。ロシアは、地中海唯一の海軍基地をシリア内に有しているし、2015年以降にはラタキア県フマイミール航空基地に空軍部隊を常駐させている。イランとは、1979年王制打倒革命以降フセイン・イラクを共通の敵とした味方同士である。
 つまり、各国がせめぎ合う地点における前線基地として、「それぞれの正義」が飛び交って来た国なのである。「自由と人権」「国家主権」そうして残ったのが「テロとの戦い」。

 この混乱の中でそもそも一体、誰が「悪」なのだろう。
 アル=カーイダとは総司令部という意味だが、イスラム原理主義に基づくこの組織はアフガンにおいてビンラディンが創始し、ザワーヒリーを現指導者としている。この性格は以下の通りである。
 ① 既存社会を全否定し、イスラム化を図る。
 ② ①の前衛部隊として武装化を進め、ジハードを行う。
 ③ 目標はイスラム法に基づくカリフ制度の復興である。
 なお、著者はこの勢力は他の反政府派とは全く違うとして、こう断定している。この点は極めて興味深い。
『懐古趣味や「神意」を引き合いに出して展開される利己主義がそれを下支えしている点で異彩を放っていた』

 シリアのアル=カイダはヌスラ戦線とイスラーム国が主だが、これ以外にもいわゆる過激派は多く、また、無数の反政権派軍事勢力からこの二つへの流入流出も多いのである。なお、「自由」「人権」よりも、「イスラーム」を提唱した方が義援金や武器取得で有利という特徴が存在し続けてきたのも大きな特徴だ。
 外国人戦闘員の数は、2015年末の推計で約100カ国から3万人。多い国はこんな所である。チュニジア6000人、サウジ2500人、ロシア2400人、トルコ2100人、ヨルダン2000人などだ。なお、これらの外国人戦闘員はサウジ、カタール、トルコなどに潜入支援をされて、トルコ、ヨルダン経由などでやってくる。


(あと数回続きます。途切れ途切れになるとは思いますが、頑張ります。なんせ21世紀世界史の最大悲劇の一つですから) 』
コメント (2)
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ロシアW杯での理想的な戦い方 1970

2018年05月14日 00時00分28秒 | Weblog
一応これを先に書いておく。あくまで個人的な希望として。

相手の3ヵ国は日本よりも格上になる。当然主導権は相手が持つ場面が多くなるだろう。
そんな中で前監督のハリルはCBやSBからワントップの大迫にボールを放り込んで後は個人技で何とかしてくれというサッカーをやっていた。ウクライナ戦でもベンチから盛んに『蹴れ!蹴れ!』と声が飛んでいました。
しかし、こうしたサッカーが何とか通用したのはアジア予選数試合だけ。ハイチやマリ、ウクライナ辺りのディフェンダー達には日本レベルの放り込みは全く通用しませんでした。挙げ句には日本と同じく監督更迭した韓国相手にも惨敗。
格上相手にはこの戦い方が正しいとするハリル信者の夢を打ち砕きました。

そりゃそうなんだよw
格上チームからしたら格下チームが策もろくに考えず放り込んでくれる程、守備的にラクな試合は無い。又、韓国からすれば日本が5年前の自分達のようなサッカーを始めたぞと喜んだと思うよ。
そして、ハリル監督のサッカーが致命的だったのは、もうひとつ。相手攻撃時にマンツーマンでDFすること。この前フィジカルがどーのこーのって話が出たが、そのフィジカルの差がモロに出るのがこのマンツーマンDF。
結局は上記のチームにいい様に攻撃され失点を重ねた。
このままロシアに行ったら果たして何点失点するのだろうという状態迄堕ちた。

そして解任。

但しハリル前監督にも良かった点はある。その最大のものは、とにかく代表チームのメンバーを取っ替え引っ替えしたこと。メンバーを固定してあんなサッカーやってたらそれこそ向こう5年位は立ち直れなかったw

さて、西野監督に交代した代表だが、テストマッチがありません。まあメンバー発表直前に1試合あるがこんなもんは参考にはならない。監督がどんなサッカーをやるかは発表されるメンバーを見ないと分からない。
但し、推測は出来る。ハリル監督に通用しないと烙印を押された繋ぎのサッカーのメンバーが重用されるだろう。
で、そうしたメンバーを中心にどんな戦いをロシア大会でやってくれるのが理想的か。

ツートップでFWとMFが攻撃を組み立てて欲しいんだよね。格上相手に只でさえ数が少ない攻撃の場面で、ハリルのような放り込みやってたらパス1回で攻撃終了なんだから。ウクライナ戦でそんな場面が何度もあった。マリ戦でも。だから丁寧にボールを回せばいい。同じ相手にボールを奪われるにしても、こうやって時間を掛ける攻撃をやっていれば相手のスタミナは確実に消耗する。そこから相手にもミスが生まれる。

ザック時代と違うのは、乾というリーガーでも屈指のドリブラーもいる。今ドイツでブレーク中の若い伊藤君もドリブラー。パスだけでは無くドリブルからの崩しも日本にはある。寧ろ今やそれが最大の武器になるかも知れないレベルにある。
そして、そもそも大迫の能力をポスト役だけで終わらせるワントップがおかしいんだけどね。彼のパス能力、シュートのスキルはツートップの方が確実に活かせる。宇佐美と組ませればお互いにパス交換からシュート迄持っていけるスキルは十分にある。

少なくともウクライナ戦迄の様に少ない攻撃機会を訳の分からないロングボール1本で終わらせる程マヌケな攻撃にはならない。
今回のW杯で鍵になるのは日本の攻撃だろう。コロンビア、セネガル、ポーランド相手に失点するのは仕方無い。ゼロで押さえろと考える方が無理な相談。ましてアジア予選でもその後のテストマッチでも失点を重ねているわけだから本番だけ上手くいくと思うのがアホらしい。だから、それよりも如何に攻撃の時間を増やして尚且つ得点出来るかが鍵になる。

ま、殆ど試合に出ていない香川は選ばないで欲しいんだよな~w
香川を選ぶ位ならまだ遠藤を選んだ方がマシだ。FKもあるから。
ブラジル大会でフラフラ持ち場放棄して惨敗の最大の戦犯の香川は何とかメンバー外でお願いしたいところなんだよね。
コメント (23)
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