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国連報告者のベネズエラ報告が無視されている 文科系

2019年03月12日 11時51分23秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
 米軍のベネズエラ介入工作、世界世論作りは、親米の南米諸国がこぞって反対したことで不可能になった。コロンビア、ブラジル、アルゼンチンなどでさえ反対したのである。親米諸国も今や、アメリカの利己主義的暴力無理押しをよく知っていて、嫌悪してきたということだろう。だが、アメリカのベネズエラ介入は、今に始まったことではなく21世紀になってずっと続いてきた執拗なものだ。以下のように、国連をさえ押さえつけて。
 以下の文章は例によって「マスコミに載らない海外記事」のサイトから取った。著者は、こんな人物だ。『元アメリカ経済政策担当財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリプス・ハワード・ニューズ・サービスとクリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。』
 日本のマスコミも、アメリカニュースだけを流していると、イラク戦争開戦の片棒担ぎと同じ悪名を冠されることになる。嘘の理由に熱狂して開戦したに等しいあのイラク戦争を思い出すべきだ。


【 ベネズエラに関する国連報告を見て見ぬふりをする売女マスコミ 2019年3月8日 Paul Craig Roberts(アメリカ、元財務次官補)

 ベネズエラには「人道的危機」偽ニュースを画策するのに、イエメンやガザの全く本物の人道的危機を売女マスコミが無視しているのは何か怪しいと思われないだろうか?
 現状を評価するため、国連からベネズエラに派遣された専門家アルフレッド・モーリス・デ・ザイヤス報告に、どの欧米マスコミも,欧米政府も全く関心を示さないのは、何かが本当に酷く腐敗していると思われないだろうか?
 ベネズエラの金、210億ドルを盗み、国を不安定化し、ベネズエラ政府を屈伏させる取り組みで制裁を課しておきながら、「国民の飢餓」をもたらしたとしてベネズエラ社会主義(本質的には石油会社国有化)を非難し、「人道的援助」で、たった2100ドルしか提供しないワシントンは、いささか度が過ぎると思われないだろうか。
 アメリカには、まっとうな印刷マスコミもTVマスコミも完全に欠如しているので、当ウェブサイトなどのインターネット・メディアが、欠けている誠実なジャーナリズム機能を負担させられることになる。
 報じられているベネズエラの飢餓や人道的危機に関して、ザイヤスはこう言っている。

 国連食糧農業機構(FAO)の2017年12月と2018年3月の報告は37カ国の食物危機をリストしている。「ベネズエラ・ボリバル共和国はリストにない。」
 「2017年、ベネズエラ・ボリバル共和国は「世界エイズ・結核・マラリア対策基金」に医療支援を求めたが、ベネズエラは「そうしたものが適格ではない、まだ高収入の国だ」というかどで嘆願は拒否された。」
 ベネズエラの「危機」は「数ある中でも、ガザ、イエメン、リビア、シリア・アラブ共和国、イラク、ハイチ、マリ、中央アフリカ共和国、南スーダン、ソマリア、あるいはミャンマーの人道的危機とは比べものにならない」。
 狙った政府の信用を失墜させるため、暴力的政権転覆を受け入れ易くすべく、人権分野での失敗が最大化される。ライバルに対して、人権が「武器として利用されて」いる。

 報告の第37段落で、デ・ザイヤスは言う。「現在の経済制裁と封鎖は、中世、降伏を強いることを狙った町の包囲攻撃に相当する。21世紀の制裁は、町だけでなく、主権を持った国家を屈服させることを狙っている。おそらく、この二つの違いは、21世紀の制裁は、犯罪行為を、人権という「建前」で正当化する印象を与えるために「偽ニュース」や攻撃宣伝やエセ人権言説を利用した世論操作が伴っていることだ。国連憲章と主権国家平等の原則に支配される対等な司法世界秩序のみならず、最有力国家を軍事力と経済力で他の国々と結び付ける地政学体制の階層を反映する上下関係の世界秩序もある。地政学的犯罪を生み出すのは、これまで全くお咎めなしですんでいる、後者の地政学体制だ。」

 ベネズエラに関する全ての言説の偏りとニセ情報の酷さに、アルフレッド・モーリス・デ・ザイヤスは懸念を表明している。報告の42番目の段落でこう指摘している。「不安をかきたてるマスコミ・キャンペーンが、見ている人々を、ベネズエラ・ボリバル共和国は「人道的危機」にあるという先入観に無理やり追い込もうとしている。自立した専門家は、「人道的危機」が軍事介入の口実として、不正に利用される究極の手口であることに留意し、誇張を警戒しなければならない。」
 「特定の国[つまりアメリカ]が、ベネズエラ紛争の平和的解決を望んでおらず、ベネズエラ国民が苦しむのを引き延ばし、状況が人道的危機の閾値に達し、政権交代を押しつける軍事介入をしようと期待しているので」政治的解決が阻止されているのだ。

 ワシントンによるベネズエラ攻撃は確立している国際法の違反だ。「国際関係における、主権国家への不干渉と内政非干渉の原則は、慣習国際法の一部であり、国連総会決議、特に2625(XXV)と3314(29)、1993年のウィーン宣言と行動計画で再確認されている。1974年、国連総会で採択された、諸国家の経済的権利・義務憲章の第32条は、いかなる国も、他国の主権的権利の行使を自国に従属させ又は他国から何らかの利益を得る目的で他国を強制するために、経済的、政治的その他いかなる形の措置も使用してはならず、またその使用を奨励してはならないと規定している。」米州機構憲章の第4章第19条は「いずれの国又は国の集団も、理由のいかんを問わず、直接又は間接に、他の国の国内又は対外の事項に干渉する権利を有しない。この原則は、武力のみでなく、国の人格又はその政治的、経済的及び文化的要素に対する他のいかなる形態による干渉又は威嚇の試みも禁止するものであると明記している。」

 決めた鋳型にはめようと圧力をかける狙いで、任務が恫喝される雰囲気があったとザイヤスは報じている。自分のペースで進めるな、こういう報告を書け、と言うアメリカから資金を得ているNGOの手紙を彼は受け取った。ベネズエラ到着前に、彼の人格に疑問を投じ、偏見があると非難するFacebookとツイッターでの宣伝攻勢が開始された。https://off-guardian.org/2019/02/09/what-the-press-hides-from-you-about-venezuela/

 ワシントンの制裁と通貨操作は地政学上の犯罪なのだから、どのような賠償が制裁被害者に支払われるべきかザイヤスは問うている。栄養失調と薬品や医療機器の欠如とで死を招きかねないワシントンの強圧措置を国際刑事裁判所が調査するよう彼は勧めている。
 「21年間で初めて、ベネズエラを訪問し報告する国連当局者だったにもかかわらず、ベネズエラ経済危機の原因に関する自分の調査は、これまでのところ、国連やマスコに無視され、人権理事会で、ほとんど議論されなかった、とデ・ザイヤスは述べている。
 「彼の報告が、ベネズエラでは政権交代が必要だという広く流布している言説に反しているので無視されたのだと彼は考えている。」
https://off-guardian.org/2019/02/09/what-the-press-hides-from-you-about-venezuela/

 ベネズエラには、金、ボーキサイトやコルタンを含め、世界最大の石油埋蔵量と豊富な他の天然資源がある。だがマドゥロ政権の下では、そうしたものにアメリカや多国籍企業が手をつけられないのだ。】
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太平洋戦争、右翼のデマに(9)慰安婦問題の史実   文科系

2019年03月12日 03時05分26秒 | 歴史・戦争責任・戦争体験など
 「右翼のデマ」の最後は、いわゆる慰安婦問題です。慰安婦に関わった当時の政府文書二通を、京都大学文学研究科教授の永井和氏が紹介していルその現物の転載です。後者の「陸軍省副官発」文書には、こんな記述さえ見られます。
『募集ニ任スル者ノ人選適切ヲ欠キ為ニ募集ノ方法、誘拐ニ類シ警察当局ニ検挙取調ヲ受クルモノアル等注意ヲ要スルモノ少ナカラサルニ就テハ』 


【 慰安婦問題、当時の関連2通達紹介  文科系2014年09月22日

 以下二つは「日本軍の慰安所政策について」(2003年発表)という論文の中に、著者の永井 和(京都大学文学研究科教授)が紹介されていたものです。一つは、1937年12月21日付で在上海日本総領事館警察署から発された「皇軍将兵慰安婦女渡来ニツキ便宜供与方依頼ノ件」。今ひとつは、この文書を受けて1938年3月4日に出された陸軍省副官発で、北支那方面軍及中支派遣軍参謀長宛通牒、陸支密第745号「軍慰安所従業婦等募集ニ関スル件」です。後者には、前に永井氏の説明をそのまま付けておきました。日付や文書名、誰が誰に出したかも、この説明の中に書いてあるからです。

『 皇軍将兵慰安婦女渡来ニツキ便宜供与方依頼ノ件
 本件ニ関シ前線各地ニ於ケル皇軍ノ進展ニ伴ヒ之カ将兵ノ慰安方ニ付関係諸機関ニ於テ考究中処頃日来当館陸軍武官室憲兵隊合議ノ結果施設ノ一端トシテ前線各地ニ軍慰安所(事実上ノ貸座敷)ヲ左記要領ニ依リ設置スルコトトナレリ
        記
領事館
 (イ)営業願出者ニ対スル許否ノ決定
 (ロ)慰安婦女ノ身許及斯業ニ対スル一般契約手続
 (ハ)渡航上ニ関スル便宜供与
 (ニ)営業主並婦女ノ身元其他ニ関シ関係諸官署間ノ照会並回答
 (ホ)着滬ト同時ニ当地ニ滞在セシメサルヲ原則トシテ許否決定ノ上直チニ憲兵隊ニ引継クモトス
憲兵隊
 (イ)領事館ヨリ引継ヲ受ケタル営業主並婦女ノ就業地輸送手続
 (ロ)営業者並稼業婦女ニ対スル保護取締
武官室
 (イ)就業場所及家屋等ノ準備
 (ロ)一般保険並検黴ニ関スル件
 
右要領ニヨリ施設ヲ急キ居ル処既ニ稼業婦女(酌婦)募集ノ為本邦内地並ニ朝鮮方面ニ旅行中ノモノアリ今後モ同様要務ニテ旅行スルモノアル筈ナルカ之等ノモノニ対シテハ当館発給ノ身分証明書中ニ事由ヲ記入シ本人ニ携帯セシメ居ルニ付乗船其他ニ付便宜供与方御取計相成度尚着滬後直ニ就業地ニ赴ク関係上募集者抱主又ハ其ノ代理者等ニハ夫々斯業ニ必要ナル書類(左記雛形)ヲ交付シ予メ書類ノ完備方指示シ置キタルモ整備ヲ缺クモノ多カルヘキヲ予想サルルト共ニ着滬後煩雑ナル手続ヲ繰返スコトナキ様致度ニ付一応携帯書類御査閲ノ上御援助相煩度此段御依頼ス
(中略)
昭和十二年十二月二十一日
         在上海日本総領事館警察署 』



『 本報告では、1996年末に新たに発掘された警察資料を用いて、この「従軍慰安婦論争」で、その解釈が争点のひとつとなった陸軍の一文書、すなわち陸軍省副官発北支那方面軍及中支派遣軍参謀長宛通牒、陸支密第745号「軍慰安所従業婦等募集ニ関スル件」(1938年3月4日付-以後副官通牒と略す)の意味を再検討する。
 まず問題の文書全文を以下に引用する(引用にあたっては、原史料に忠実であることを心がけたが、漢字は通行の字体を用いた)。

支那事変地ニ於ケル慰安所設置ノ為内地ニ於テ之カ従業婦等ヲ募集スルニ当リ、故サラニ軍部諒解等ノ名儀ヲ利用シ為ニ軍ノ威信ヲ傷ツケ且ツ一般民ノ誤解ヲ招ク虞アルモノ或ハ従軍記者、慰問者等ヲ介シテ不統制ニ募集シ社会問題ヲ惹起スル虞アルモノ或ハ募集ニ任スル者ノ人選適切ヲ欠キ為ニ募集ノ方法、誘拐ニ類シ警察当局ニ検挙取調ヲ受クルモノアル等注意ヲ要スルモノ少ナカラサルニ就テハ将来是等ノ募集等ニ当リテハ派遣軍ニ於イテ統制シ之ニ任スル人物ノ選定ヲ周到適切ニシ其実地ニ当リテハ関係地方ノ憲兵及警察当局トノ連携ヲ密ニシ次テ軍ノ威信保持上並ニ社会問題上遺漏ナキ様配慮相成度依命通牒ス』】


 さて、これを皆さんはどう読まれるでしょうか。なお、この文書関係当時の北支関連国内分募集人員については、ある女衒業者の取り調べ資料から16~30歳で3000名とありました。内地ではこうだったという公的資料の一部です。最初に日本各地の警察から、この個々の募集行動(事件)への疑惑が持ち上がって来て、それがこの文書の発端になったという所が、大きな意味を持つように僕は読みました。】


(この連載はこれで終わります。長くお読み頂いた方、有り難うございました。)
コメント (1)
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