先ほど、以下のようなコメントを書いた。僕が最近よく書いている「米世界制覇と米中衝突」のエントリーに付けて。「9条」に釣られてここに良く来るネトウヨ諸君が「陰謀論」好きだからである。相手を、「陰謀論だ」と宣告して、批判できた気になっていることも含めて。以下のこのコメントをもう少し深めて続きを書いてみたくなった。
【 追加の一言 (文科系)2019-03-24 09:10:52
ここに書いたアメリカの世界戦略方向、文中の「アメリカが作りつつある現世界のこういう方向、見方」について、重大な追加の一言を。
これは、いわゆる陰謀というものでは全くない。陰謀というからには、「いつから、誰たちがこういう陰謀を企てたものを言うのか」というしっかりした定義が必要だからである。そもそも人類史の未来に関わるこんな大きな長期にわたる「戦略」など、だれが計画できるものでもないのである。アメリカの歴史的対外行動のいろんな物が合わさって、現在の計画ができてきたということであって、未来に向かっては、これも明日重大な変更が加えられるかも知れないのである。
文中の一例を挙げて例えば、アメリカは以下のこのことを承知していたか?
「イラク戦争、シリア内乱はアメリカが起こしたものだが、そこの難民があれほど大々的にヨーロッパ諸国、その政治を乱し、ポピュリズムを伸ばすという事に繋がっていくから、アメリカにとって好都合である」と。
確かに一部の人はこういう可能性在りと十分に知っていたとは思う。だからこそ文中に、僕はこう書いた。
『難民は、イラク、シリア、北アフリカなどから生まれているが、全てアメリカの軍事侵食の産物、結果と言える。単なる結果か、ヨーロッパを大混乱させる目的意識を持って難民を生み出したかは判別できないにしても。ただし、近年のアメリカ自身にこういう国際的経験があったことは確かである。アメリカ金融などが中南米諸国を上に述べたように荒らす度に、アメリカへの移民が急増していたという事実である』
歴史上ずるずると起こってくるある大事件を、最初から計画的だったように語るのが、陰謀論。が、長期にわたる世界史的な出来事には、たとえ陰謀が絡んだとしても、それが全部ではないどころか、おそらく事件の本質的なことでも、かならずしもない。
太平洋戦争やイラク戦争ももちろん、陰謀では説明できない。なによりも、戦争途中も含めて、どこかで引き返す道もあったはずなのだから。そこが歴史の難しい所、人間の努力のやりがいもある、ということなのだろう。 】
そもそも陰謀と証明しようとするからには、ある事件のどの部分が陰謀なのかをはっきりさせねばならないが、長期にわたる世界史的事件などでは、これ自身が難しすぎるはずだ。太平洋戦争ひとつとっても、これを満州事変からの続きと観る人と、日米戦争からだけ観る人とでは、全く「陰謀の対象領域」自身が違うのである。同じものを観ても、観る対象領域が違えばその本質でさえ変わってくるのである。そんなことも分からず、踏まえずに「陰謀(論)」だと決めつけてみても何かまともなことを論じ、反論できたことには全くならないだろう。
陰謀論と同じような論理として、宿命論とか目的論とかがある。何かの現象を結果から見て、こういう目的、宿命のためにこの人々は動いてきたと論ずる論法である。そういう「事実認定」をすれば当然、人は未来もそう動くということになる。例えば、人類に争いばかりを観る人が、「明日も全く同じように争っていく。人類社会の戦争は無くならない」という社会ダーウィニズムに陥るような誤りだと思う。人に罪だけを、あるいは愛だけを観れば、性悪説、性善説が生まれるようなものだろう。
同じように、陰謀論の論理、やり口は実に単純であってこういうものだ。ある事件の原因(のすべて)を、その事件の最初に関わっていた主要人物の心の中に求めたというだけのこと、目的論的な論理だ。人類史の出来事は、宿命論、陰謀説など、目的論的に説明できるような単純なものは何一つ存在しないと言って良いと思う。ごくごく単純な事件、凶悪犯にも、生い立ちなどの情状酌量もありうるようなものだろう。最近の日本の裁判は、世界でも珍しく情状酌量がどんどん薄くなっているようだが・・・・。
【 追加の一言 (文科系)2019-03-24 09:10:52
ここに書いたアメリカの世界戦略方向、文中の「アメリカが作りつつある現世界のこういう方向、見方」について、重大な追加の一言を。
これは、いわゆる陰謀というものでは全くない。陰謀というからには、「いつから、誰たちがこういう陰謀を企てたものを言うのか」というしっかりした定義が必要だからである。そもそも人類史の未来に関わるこんな大きな長期にわたる「戦略」など、だれが計画できるものでもないのである。アメリカの歴史的対外行動のいろんな物が合わさって、現在の計画ができてきたということであって、未来に向かっては、これも明日重大な変更が加えられるかも知れないのである。
文中の一例を挙げて例えば、アメリカは以下のこのことを承知していたか?
「イラク戦争、シリア内乱はアメリカが起こしたものだが、そこの難民があれほど大々的にヨーロッパ諸国、その政治を乱し、ポピュリズムを伸ばすという事に繋がっていくから、アメリカにとって好都合である」と。
確かに一部の人はこういう可能性在りと十分に知っていたとは思う。だからこそ文中に、僕はこう書いた。
『難民は、イラク、シリア、北アフリカなどから生まれているが、全てアメリカの軍事侵食の産物、結果と言える。単なる結果か、ヨーロッパを大混乱させる目的意識を持って難民を生み出したかは判別できないにしても。ただし、近年のアメリカ自身にこういう国際的経験があったことは確かである。アメリカ金融などが中南米諸国を上に述べたように荒らす度に、アメリカへの移民が急増していたという事実である』
歴史上ずるずると起こってくるある大事件を、最初から計画的だったように語るのが、陰謀論。が、長期にわたる世界史的な出来事には、たとえ陰謀が絡んだとしても、それが全部ではないどころか、おそらく事件の本質的なことでも、かならずしもない。
太平洋戦争やイラク戦争ももちろん、陰謀では説明できない。なによりも、戦争途中も含めて、どこかで引き返す道もあったはずなのだから。そこが歴史の難しい所、人間の努力のやりがいもある、ということなのだろう。 】
そもそも陰謀と証明しようとするからには、ある事件のどの部分が陰謀なのかをはっきりさせねばならないが、長期にわたる世界史的事件などでは、これ自身が難しすぎるはずだ。太平洋戦争ひとつとっても、これを満州事変からの続きと観る人と、日米戦争からだけ観る人とでは、全く「陰謀の対象領域」自身が違うのである。同じものを観ても、観る対象領域が違えばその本質でさえ変わってくるのである。そんなことも分からず、踏まえずに「陰謀(論)」だと決めつけてみても何かまともなことを論じ、反論できたことには全くならないだろう。
陰謀論と同じような論理として、宿命論とか目的論とかがある。何かの現象を結果から見て、こういう目的、宿命のためにこの人々は動いてきたと論ずる論法である。そういう「事実認定」をすれば当然、人は未来もそう動くということになる。例えば、人類に争いばかりを観る人が、「明日も全く同じように争っていく。人類社会の戦争は無くならない」という社会ダーウィニズムに陥るような誤りだと思う。人に罪だけを、あるいは愛だけを観れば、性悪説、性善説が生まれるようなものだろう。
同じように、陰謀論の論理、やり口は実に単純であってこういうものだ。ある事件の原因(のすべて)を、その事件の最初に関わっていた主要人物の心の中に求めたというだけのこと、目的論的な論理だ。人類史の出来事は、宿命論、陰謀説など、目的論的に説明できるような単純なものは何一つ存在しないと言って良いと思う。ごくごく単純な事件、凶悪犯にも、生い立ちなどの情状酌量もありうるようなものだろう。最近の日本の裁判は、世界でも珍しく情状酌量がどんどん薄くなっているようだが・・・・。