敬愛する先輩・大西五郎さんから、市議選に関する新聞報道についての
注文が届きましたので、転載します。
新聞は相変わらずの勝ち負け予測報道に陥っている
有権者の要望を党と候補者に問い質すことが新聞の役割
2011.3.7 大西 五郎
「減税日本」が過半数を制するかどうかに焦点を当てた新聞
3月7日の月曜日に中日、毎日、読売が一斉に名古屋市議選についての
世論調査の結果を発表しました。
中日は「『減税』過半数は困難 自民競り、民主が追う」、
毎日は「減税日本第1党の勢い 自民、民主離す」、
読売は「『減税日本に投票』28% 自民17%、民主14%」というもので
(毎日は共同通信の調査結果)、いずれも減税日本が優位というものでした。
しかし告示前に「減税日本が過半数を制するか」という各社の予測よりは
減税日本に対する有権者の投票意欲は低いという調査結果でした。
告示当日の各紙夕刊は、中日が「河村たかし市長が過半数を目指して擁立する
地域政党『減税日本』の候補者が、過半数の三十八議席以上を取るのかどうかが焦点」、
朝日が「躍進を狙う地域政党に対し、既成政党の前職らが議席の維持を図る。
リコールの成立をふまえ、『地方議会のあり方』を最大の争点に激戦がスタート」、
毎日が「河村たかし市長率いる地域政党『減税日本』が過半数を奪うかや、
既成政党が解散前の議席を守れるかが焦点」、
読売も(名古屋では夕刊を発行していないので5日朝刊で)
「河村たかし市長率いる地域政党『減税日本』が過半数を確保できるかや、
既成政党が解散前の勢力をどれだけ維持できるかが焦点」というものでした。
新聞は減税など河村三大公約の選択、有権者は別の基準で選択
新聞は、河村市長の三大公約の市民税10%減税の恒久化、議員報酬の半減、
地域委員会の全市への拡大が有権者の投票先選択の基準になるだろうとして、
立候補者に「河村市長三大公約をどう思うか」というアンケート調査を行って、
その結果を紙面で報じたりしています。
しかし皮肉なことに、世論調査の結果では、有権者は別の選択基準を
持っていることが明らかになりました。
中日の「市議を選ぶ基準は(なんですか)」の質問に、
最も多かった回答は「市全体の課題に熱心に取り組んでくれる」の31.5%、
次に多かったのが「地域の課題に熱心に取り組んでくれる」26.0%で、
「河村市長の公約に賛成してくれそう」は16.0%しかありませんでした。
毎日(共同)の「新市議に最も取り組んでほしい政策(二つまで)」では、
「医療・福祉」47,1%、「景気・雇用対策」41.2%で、
「議員報酬削減など議会改革」は30.7%、「減税」は19.8%でした。
読売の「今回の選挙で争点として特に重視したい問題は(複数回答)」に、
「医療・福祉政策」が66%、「景気・雇用対策」65%、「市議報酬削減」64%で、
「市民税減税」は52%でした。
新聞が想定した「選挙の争点」と有権者が「候補者に望むこと」とは
完全にズレていることが明らかになりました。
候補者に有権者の要望にどう応えるかを質すべきだ
毎日が候補者アンケートで「減税、報酬、地域委員会」について
候補者の態度を質した後、「実現したい政策」も聞いていましたが、
回答の紹介は20字1行の1課題だけでした。
河村市長の政策への賛否だけでなく、有権者の要望を候補者にぶつけ、
その回答を紙面で詳しく報じ、有権者に選択の材料を提供するのが
マスコミ・ジャーナリズムの役割です。
やはり生活に結びつくことに有権者の関心は向いているんですよね。
河村さんは自転車に乗っているけれども、生活にはあまり関心がないんだ。
ホンネは総理大臣だものね。
しかし、今回は上手に風を掴まえたかな・・・・らくせき