路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

 路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

【なるほドリ・ワイド】:アサリの産地偽装=回答・野呂賢治

2022-05-01 06:00:00 | 【水産資源・海洋環境・漁業・水産加工・缶詰・調査捕鯨・鰻・鮪・鮨・回転寿司】:

【なるほドリ・ワイド】:アサリの産地偽装=回答・野呂賢治

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【なるほドリ・ワイド】:アサリの産地偽装=回答・野呂賢治

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 中国や韓国から輸入(ゆにゅう)されたアサリが「熊本県産」と偽装(ぎそう)されて大量に流通していた問題で、熊本県や消費者庁、農林水産省が再発防止に乗り出しました。産地偽装が横行(おうこう)した背景や県独自のトレーサビリティー(生産流通(りゅうつう)履歴(りれき))制度、偽装の温床(おんしょう)になったといわれる食品表示法の「長いところルール」見直しなどについて解説します。残り2054文字(全文2248文字)

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 元稿:毎日新聞社 西部朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【なるほドリ・ワイド】  2022年05月01日  06:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説】:諫早湾閉め切り25年 有明海再生、国の責務だ

2022-04-30 07:05:50 | 【水産資源・海洋環境・漁業・水産加工・缶詰・調査捕鯨・鰻・鮪・鮨・回転寿司】:

【社説】:諫早湾閉め切り25年 有明海再生、国の責務だ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:諫早湾閉め切り25年 有明海再生、国の責務だ 

 長崎県での国営諫早湾干拓事業で、約7キロの堤防が閉め切られて、今月で25年になる。

 地元では混迷が続く。漁場悪化に悩む漁業者は排水門の開門を求め、片や干拓地の塩害を懸念する営農者は反対し、複数の訴訟が起こされた。おまけに「開門」「開門しない」といった正反対の司法判断が併存するため、溝は深まっている。

 3月には、開門を命じた唯一の確定判決を無効とする判断を福岡高裁が示した。別の関連訴訟で最高裁は「開門しない」と判断しており、ねじれていた司法判断が今後、「非開門」で統一される見通しとなっている。

 たとえ統一されたとしても、絡まった糸を解きほぐすのは難しい。もはや裁判だけでは限界があろう。そうなったのは国の責任だ。地元の分断解消に向け努力しなければならない。

 有明海の諫早湾干拓は、平地の少ない長崎県に広大な水田を造るという、戦後の食糧難の頃の構想が発端。その後、目的は農地造成と高潮対策に変わり、1986年に国が事業計画を決定した。97年4月、疑問や反対の声を押し切って堤防を閉め切った。排水門に設置された鋼鉄製の板が相次いで落とされる光景は「ギロチン」と呼ばれ、衝撃的だった。「止まらない公共事業」の象徴ともなった。

 総事業費は約2530億円に上る。堤防内に約670ヘクタールの農地と、農業用水を供給する調整池約2600ヘクタールを整備した。

 営農者は、耕作面積が全国平均の数倍の規模で野菜や花などを栽培しているという。半面、「宝の海」といわれた有明海では赤潮が頻発し、特産の高級二枚貝タイラギが激減、ノリの色落ちが続いている。

 司法判断のねじれは、福岡高裁が2010年に開門を命じたのがきっかけ。当時の民主党政権は上告せず「開門」判決が確定したが、別の裁判で開門を認めない判決が後に示された。

 政権交代後、国は「事情が変わった」として14年に開門の強制執行禁止を求め、今回の訴訟を起こした。一、二審を経て最高裁は19年、事情の変化に関する審理が尽くされていないとして、高裁に差し戻した。

 そして、今回の福岡高裁の判決である。開門を命じた確定判決の効力を否定した。国の言い分を認めたとはいえ、「付言」で注文も付けている。「双方当事者とも求める有明海の再生に向けての施策の検討と、その調整のための協議を継続、加速させる必要がある」と指摘。統一的解決のための尽力を関係者も含めて、強く期待している。

 国は、重く受け止めなければならない。「開門」判決が確定したのに実行しなかったのは、国だからだ。湾閉め切りと漁場悪化との関連を解明する機会を逃してしまった。

 福岡高裁からの和解の呼び掛けにも応じなかった。「開門の余地を残した協議の席には着けない」として、漁業者に歩み寄るきっかけを自ら放棄した。

 そもそも、干拓の必要性を十分検討したのか。他の多くの公共事業と同様、進めること自体が目的になっていなかったか。環境への影響調査は十分か…。

 政府はまず、こうした疑問に答えなければならない。その上で従来の硬直した姿勢を改め、漁業への影響を直視し、有明海の再生に乗り出すべきだ。

 元稿:中國新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2022年04月30日  07:05:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説②》:日露サケ・マス交渉妥結 漁業守る取り組み継続を

2022-04-27 02:05:40 | 【水産資源・海洋環境・漁業・水産加工・缶詰・調査捕鯨・鰻・鮪・鮨・回転寿司】:

《社説②》:日露サケ・マス交渉妥結 漁業守る取り組み継続を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説②》:日露サケ・マス交渉妥結 漁業守る取り組み継続を

 サケ・マス漁に関する日露の交渉が妥結した。ウクライナ情勢が緊迫化する中、交渉の行方が心配されたが、日本の漁獲枠は昨年と同規模になることが固まった。

 日露の漁業交渉は、民間の協定に基づくものも含めて主に四つある。妥結したのは、日本の200カイリ水域で国内の漁船が水揚げするサケ・マスに関するものだ。例年、春に交渉している。

 サケ・マスの場合、自国の海で漁をしても漁業者側は産卵場所のある川の所在国に協力費などを支払う必要がある。国連海洋法条約が所在国の権利を認める「母川(ぼせん)国主義」をとっているためだ。

 今回の交渉で、日本側が所在国であるロシア側に支払う協力費の下限は2億円となった。漁獲量の低迷を反映し、昨年から6000万円引き下げられた。水産庁はサケ・マスの資源管理などに充てられると説明している。 

 日露間では今後、歯舞群島・貝殻島周辺の昆布漁を巡る交渉が行われる。北方領土周辺で秋に予定されるホッケ漁などの手続きも必要となる。年末には双方の水域で相手国にサンマやサバなどの漁獲量を割り当てる交渉も控える。

 日本が「固有の領土」と主張する北方領土の周辺水域で漁業活動が円滑に行えるよう政府はロシア側と交渉を続ける必要がある。 

 交渉以外にも、気がかりなことがある。ロシア当局が日本の漁船に乗り込んで操業違反の有無を調べる「臨検」が近年、増えているという。

 昨年5~6月には日本の漁船が一時拿捕(だほ)・連行され、政府がロシア側に乗組員の即時釈放を要求する事案も起きた。今後も漁船の安全に十分目配りすべきだ。

 ウクライナ侵攻を受けて、日本は欧米とともにロシアに強力な経済制裁を科している。非人道的な戦争を一刻も早く終結させるために、今後も圧力をかけ続けることが不可欠となる。

 一方で、日本の漁業者や国民に与える悪影響を抑える努力も必要だ。ロシア側と交渉を続け、漁業などの分野で関係を維持していく際には、国際社会の理解を得ることも重要になる。

 政府には、交渉の経緯や結果などを丁寧に説明することが求められる。

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【社説①】:サケ・マス交渉 漁業権益守る努力必要

2022-04-26 05:05:25 | 【水産資源・海洋環境・漁業・水産加工・缶詰・調査捕鯨・鰻・鮪・鮨・回転寿司】:

【社説①】:サケ・マス交渉 漁業権益守る努力必要

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:サケ・マス交渉 漁業権益守る努力必要 

 日本が200カイリ内で行うサケ・マス流し網漁に関するロシアとの政府間交渉が妥結した。漁獲量上限は前年同様2050トンという。

 漁獲実績に応じロシア側に支払う協力費は2億~3億13万円となった。不漁が続き、日本側の要求で下限額は6千万円下がった。

 サケ・マスは産卵した川のある国に資源の利益があり、日本の水域でもソ連時代の1985年から両国で操業条件を決めていた。

 ロシアのウクライナ侵攻では日本も経済制裁を科す。国際法違反の侵略戦争を続けるロシアとの交渉自体に批判の声もあるだろう。

 だが漁業権益は守る必要がある。協力費の利用対象もロシアの水産研究などに限定するという。

 今後は北方領土周辺の漁業交渉が続く。政府は漁業者の権利と安全を守る努力を続けてほしい。

 水産庁によると25日に正式署名し、来月初旬から操業が始まる見通しだ。交渉長期化で遅れたが、盛漁期には間に合いそうだ。

 この漁で取れるシロザケはトキシラズと呼ばれ、脂がのった高級魚として全国的に人気がある。

 今年は根室市などの19隻が出漁準備中だ。好漁を期待したい。

 昨年は7月までの漁期で漁獲は31隻で652トンだった。近年は地球温暖化の影響からか不漁傾向で協力費負担が重くなっていた。

 6月には北方領土・貝殻島周辺コンブ漁を控え、近く民間ベースの交渉が予想される。秋以降も北方四島周辺水域での安全操業や、双方の200カイリ内での操業条件を決める地先沖合漁業が続く。

 今回の決着が道を開いたことになり、その点は評価したい。

 気がかりなのはロシア側の出方だ。水産庁は今回「純粋に漁業分野だけに関する協議を行えた」と言うが、ウクライナ情勢次第で対応を変える恐れは否定できない。

 2014年のロシアのクリミア併合でも日本はG7に追随し制裁を実施したが、16年からロシア200カイリ内で日本漁船のサケ・マス流し網漁が禁止された。資源保護が名目だが報復との見方もある。

 今回は日本を「非友好国」と名指ししており、一連の交渉が妥結してもロシアによる過剰な取り締まりや拿捕(だほ)の懸念は拭えない。

 国は漁業者の安全を守るため、周辺に目を光らせつつ、連絡ルートは確保してほしい。

 経済制裁の中で漁業交渉をなぜ例外とするのか、国民に説明し理解を得ることも大切だ。各国に「抜け道」と映らぬよう可能な限り交渉経緯の透明化も求めたい。

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2022年04月24日  05:05:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【特集 気候変動】:手遅れになる前に… カキ養殖に忍び寄る影響

2022-04-19 04:30:30 | 【水産資源・海洋環境・漁業・水産加工・缶詰・調査捕鯨・鰻・鮪・鮨・回転寿司】:

【特集 気候変動】:手遅れになる前に… カキ養殖に忍び寄る影響

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【特集 気候変動】:手遅れになる前に… カキ養殖に忍び寄る影響 

 日本のカキ養殖の現場で気候変動の影響が表れ始めている。二酸化炭素(CO2)濃度上昇に伴う「海洋酸性化」が進行し、一時的にカキの生育に適さないレベルに達していることが初めて確認されたと北海道大の研究者らのチームが発表した。今のところカキの生育への影響はみられないが、関係者は観測と対策の重要性を訴えている。

水揚げされたカキ=東広島市で2012年10月1日午前9時40分、竹内紀臣撮影

 「海洋酸性化はじわじわと進行している現象で、『気づいたときには手遅れ』となってしまうことが怖い」。日本のマガキ生産額の約8割を占める宮城、岡山、広島の3県の養殖海域での調査や分析に参加した藤井賢彦・北海道大准教授(環境科学・海洋学)は話す。

 海洋酸性化は、大気中のCO2を海洋が吸収して、現在は弱アルカリ性の海水の酸性化が長期にわたって進行する現象。国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の報告書(2013年)によると、数値が小さいほど酸性度が高いことを示す「水素イオン指数(pH)」は、CO2増加により海の表層水で産業革命前に比べて0・1程度低下した。酸性度が高くなると、貝や甲殻類などは炭酸カルシウムの殻や骨格などを作りにくくなる。米国西海岸では05~09年、海洋酸性化の影響とみられる養殖マガキの幼生大量死が発生し、世界的に注目が集まった。

酸性度などの観測機器を設置する様子=岡山県備前市で(日本財団提供)

 日本での調査は、日本財団とNPO法人「里海づくり研究会議」が中心となって進める「海洋酸性化適応プロジェクト」の一環。3県の養殖場や周辺海域で、20年8月(広島県は21年6月)~21年12月、pHや、生物の炭酸カルシウムの作りやすさを示す「アラゴナイト飽和度」を調べた。アラゴナイト飽和度はpHや水温などから算出するもので、値が1を下回ると化学的に炭酸カルシウムを作れなくなるとされる。

岡山県で採取したマガキの幼生。右下のスケールは0・2ミリ=NPO法人里海づくり研究会議・田中丈裕氏提供

 

 米国のマガキ幼生の飼育実験によると、アラゴナイト飽和度が1・5という指標を下回ると、殻の形の異常などの悪影響が出始めるとされる。今回の観測・分析での最低値は、岡山で0・6、宮城では1・4。広島も1以下になるときがあり、3海域すべてで1・5を下回る場合があることが確認された。藤井准教授によると、夏に大雨が降った後などに一時的にpHやアラゴナイト飽和度が下がることがあった。大雨で淡水が流入して塩分濃度が低下したり、流れ込んだ有機物を微生物が分解する過程でCO2が発生したりしたことで、短期的にアラゴナイト飽和度が1・5を下回った可能性があるという。長期的にはアラゴナイト飽和度は、海洋酸性化によって押し下げられ低下傾向にあるとみられる。

 ただし、3海域のうち最もアラゴナイト飽和度が低くなることがあった岡山でも、マガキの幼生に殻の異常などの被害は見られなかった。藤井准教授は「自然環境ではpH以外の要素も複合的に関わる。日本沿岸のpH観測態勢も充実すべきだ」と話す。

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《社説②》:諫早湾閉め切り25年 暮らし翻弄した国の責任

2022-04-19 02:02:20 | 【水産資源・海洋環境・漁業・水産加工・缶詰・調査捕鯨・鰻・鮪・鮨・回転寿司】:

《社説②》:諫早湾閉め切り25年 暮らし翻弄した国の責任

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説②》:諫早湾閉め切り25年 暮らし翻弄した国の責任 

 国が長崎県で実施した干拓事業により、諫早湾が潮受け堤防で閉め切られてから25年がたった。

 堤防の排水門を開けるかどうかの問題は、いまだに解決していない。地域に根ざした人々の暮らしは、翻弄(ほんろう)され続けている。

 「宝の海」と呼ばれた有明海で赤潮が頻繁に発生するようになった。高級貝のタイラギが取れなくなり、ノリの色落ちも深刻だ。 

 一方で、干拓地には大規模な区画の農地が整備され、タマネギやレタスなどが栽培されている。

 漁業者は、堤防による閉め切りが不漁の原因だとして開門を求めている。営農者は開門すれば塩害が起きるなどと反対している。

 それぞれが裁判を起こし、開門を命じる判決と禁じる判決が、いずれも確定した。割れた司法判断により、混迷は深まった。 

 こうした事態を生じさせた責任は国にある。

 干拓事業は1950年代、コメ増産のため構想された。時代が変わり、必要性がなくなったにもかかわらず、高潮対策などの防災目的を前面に出して着工した。「事業ありき」と言わざるを得ない。

 開門命令判決は12年前、当時の菅直人首相が受け入れる決断をしたことで確定した。だが政府は、営農者らが納得できる対策を打ち出せず、判決に従わなかった。 

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2022年04月14日  02:01:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【特集 ウクライナ侵攻】:サケ・マス、出漁できず 日露交渉停滞 北海道の漁業者「祈るだけ」

2022-04-10 09:20:30 | 【水産資源・海洋環境・漁業・水産加工・缶詰・調査捕鯨・鰻・鮪・鮨・回転寿司】:

【特集 ウクライナ侵攻】:サケ・マス、出漁できず 日露交渉停滞 北海道の漁業者「祈るだけ」

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【特集 ウクライナ侵攻】:サケ・マス、出漁できず 日露交渉停滞 北海道の漁業者「祈るだけ」 

 日本の200カイリ内に出漁するサケ・マス流し網漁が10日に解禁される予定だったが、ロシアによるウクライナ侵攻の影響で日露政府間の漁業交渉が開かれず、漁業者が出漁できない状況にある。漁業者からは「1日でも早く出られるよう、ただ祈るだけ」とため息が漏れる。【本間浩昭】

漁業交渉すら始まらないため、漁港の外れで陸にあげられたままの小型サケ・マス漁船=根室市の歯舞漁港で2022年4月9日午前10時13分、本間浩昭撮影

 9日、北海道根室市の歯舞漁港。例年であれば、脂の乗ったシロザケやカラフトマスを求めて出漁する小型サケ・マス漁船が、大漁旗や日の丸を掲げて10日午前0時を「いまだ遅し」と待ち受ける光景がある。だが、今年は岸壁にサケ・マス漁船の姿はなく、漁港の外れで陸にあげられたままだ。 

 日本の200カイリ内で操業するのにロシアとの漁業交渉が必要なのは、生まれた川を有する国に管轄権がある「母川国主義」による。春先から初夏にかけて日本の排他的経済水域(EEZ)内に回遊して来るサケ類の9割以上は、ロシアの川で生まれたものとされる。1992年以降は、日本200カイリ内の小型サケ・マス漁もロシア側に漁業協力費を支払う形で行われるようになった。

 漁業協力費や漁獲割当量などの操業条件は原則として毎年春、操業に先だつ漁業交渉で決められてきた。新型コロナウイルス感染拡大により過去2年はオンライン会議となったが、今年は開催のめどすら立っていない。ロシアによるウクライナ侵攻が、戦場とは遠く離れた日本での出漁を阻んでいる形だ。 

 水産庁の神谷(こうや)崇長官は3月7日の参院予算委員会で「交渉を実施すべく調整する」と答弁したが、ロシア側から前向きの回答は「ない」とされる。太平洋小型さけ・ます漁業協会(札幌市)の菅原豊専務は「情報がなく、やきもきしているが、とにかく早期に交渉してほしい。漁期を逃せば魚はいなくなってしまう」と焦る。

 交渉を行うべく調整が行われているとの報道もあるが、仮に交渉に入れたとしても、相手は日本を「非友好国」に指定したロシアだ。政府も8日に、在日ロシア大使館の外交官らに国外退去を求めている。こうした情勢下で「漁業交渉が開けるのか」と懐疑的な声も漏れる。盛漁期となる4月下旬に間に合うかどうかさえ見通せない。

家族らに見送られて日本200カイリの漁場に出漁するサケ・マス小型船=根室市の歯舞漁港で2021年4月10日午前0時、本間浩昭撮影 

 サケ・マス漁はここ数年、不漁が続いている。昨年操業した小型船も満足な漁獲がなかった。小型船は最盛期には172隻を数えたが、今年は昨年より12隻少ない19隻が出漁を予定するのみだ。

 出漁準備をほぼ整えているという根室市内の漁業者の一人は「4~6年に1度、どんと取れる年もあり、今年あたり豊漁かもしれないと期待していた」とこぼす。「日本の200カイリ内で操業するのに、漁業協力金を払わなければならないというのは腑(ふ)に落ちなかったが、当時はその分、多く水揚げすれば何とでもなった。でも、不漁続きの近年は違う。本当に魚がいないんだ」と遠い目をした。

 そして、「それにしても、遠く離れた地での戦争の影響だよ。とんだとばっちりだ」と、うなだれた。

 元稿:毎日新聞社 北海道のニュース 【企業・産業】  2022年04月10日  09:20:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【迫る】:水族館館長のレジェンド 安部義孝さん(その1) 古代魚から生命を学ぶ

2022-04-03 02:05:20 | 【水産資源・海洋環境・漁業・水産加工・缶詰・調査捕鯨・鰻・鮪・鮨・回転寿司】:

【迫る】:水族館館長のレジェンド 安部義孝さん(その1) 古代魚から生命を学ぶ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【迫る】:水族館館長のレジェンド 安部義孝さん(その1) 古代魚から生命を学ぶ 

 薄暗い展示室に足を踏み入れ右側に並んだ水槽をのぞくと、オーストラリアハイギョやシロチョウザメ、スポッテッドガーなど「生きた化石」と呼ばれる古代魚がゆったりと泳いでいた。奥に進んで目に映ったのは、体長1メートルを超えるシーラカンスの標本だ。

アクアマリンふくしまの名誉館長、安部義孝さん。葛西臨海水族園のマグロの水槽を眺めながら、1989年の同園開園に尽力した思い出を振り返った=東京都江戸川区で2021年12月12日、吉田航太撮影

 アクアマリンふくしまの名誉館長、安部義孝さん。葛西臨海水族園のマグロの水槽を眺めながら、1989年の同園開園に尽力した思い出を振り返った=東京都江戸川区で2021年12月12日、吉田航太撮影

 水族館「アクアマリンふくしま」(福島県いわき市)は、訪れた人に地球誕生からの46億年の歴史を意識してもらいながら、生命の進化がどんなものかをたどってもらう「生きた博物館」ならではの演出で、私たちを迎えてくれる。水族館の定番のイルカショーはない。

 「新型コロナ禍と東日本大震災。この10年余りで2度もハイギョたちから『生命の進化』を考えさせられるとは」。2021年暮れ、名誉館長を務める安部義孝さん(81)と東京都内で会うと、自然災害とパンデミック(世界的大流行)を進化に結び付けて語り始めた。残り1576文字(全文1943文字)

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 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【連載・私が思う日本】  2022年04月03日  02:02:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【迫る】:水族館館長のレジェンド 安部義孝さん(その2止) イルカショー、頼らない

2022-04-03 02:05:10 | 【水産資源・海洋環境・漁業・水産加工・缶詰・調査捕鯨・鰻・鮪・鮨・回転寿司】:

【迫る】:水族館館長のレジェンド 安部義孝さん(その2止) イルカショー、頼らない

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【迫る】:水族館館長のレジェンド 安部義孝さん(その2止) イルカショー、頼らない 

 新しい水族館を東京湾に面した葛西臨海公園に造る――。上野動物園の開園100周年に合わせ、鈴木俊一東京都知事(当時)の肝煎りの計画がスタートしたのは1981年。そのバトンを安部義孝さん(81)は85年春に引き継いだ。

 

葛西臨海水族園の園長を務めた安部義孝さん(右)。現在の園長、錦織一臣さんと意見を交わしながら今後の水族館の在り方を模索する=東京都江戸川区の同園で2021年12月12日、吉田航太撮影

 葛西臨海水族園の園長を務めた安部義孝さん(右)。現在の園長、錦織一臣さんと意見を交わしながら今後の水族館の在り方を模索する=東京都江戸川区の同園で2021年12月12日、吉田航太撮影

 時代を問わず、水族館の人気アトラクションと言えば「イルカショー」「ラッコの展示」「ダイバーによる餌付けショー」が定番。経営側からは「三種の神器」と呼ばれ「神器なくして経営は難しい」というのが「業界」の常識だった。

 85年秋、安部さんもイルカショーを盛り込んだ葛西臨海水族園の計画をまとめようとした。だが、鈴木知事に報告を上げると「新しい水族館としてどこが日本一? どこが世界一なの? 総花的だ」と一蹴された。残り2796文字(全文3110文字)

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【社説】:アサリ産地偽装 流通履歴の透明化急げ

2022-02-15 06:45:50 | 【水産資源・海洋環境・漁業・水産加工・缶詰・調査捕鯨・鰻・鮪・鮨・回転寿司】:

【社説】:アサリ産地偽装 流通履歴の透明化急げ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:アサリ産地偽装 流通履歴の透明化急げ 

 熊本県産として流通していたアサリの大半が外国産だったことが、農林水産省の調査で明るみに出た。外国産より高値が付く国産と偽り、業者が不当な利益を上げていたとみられる。

 熊本県は県産アサリの出荷を先週から停止し、流通経路の調査に乗り出した。警察の捜査も進められているもようだ。

 産地偽装は「食の安全」への信頼も損ないかねない。消費者の目は厳しく、アサリだけでなく、熊本産ハマグリも大量返品される事態になっている。政府や熊本県、水産業界は深刻に受け止め、消費者の信頼を裏切る行為を根絶せねばならない。

 農水省の調査によると、昨年10~12月のアサリの国内販売は3138トンで、うち2485トンを「熊本県産」が占めていた。

 熊本県内の2020年のアサリ漁獲量はわずか21トンで、漁獲量の100倍を超す販売量はどうみてもおかしい。農水省がDNA型を調べると31サンプル中30サンプルで外国産の混入が確認された。外国産を熊本県産と偽っていたのは間違いない。

 日本農林規格(JAS)法の例外規定が隠れみのになっている。JAS法は収穫地を「原産地」とするのが原則だが、日本で育てる「畜養」期間が長い場合は外国産でも「国産」と表示することを認めている。

 原産地より、生育した環境や期間が重要になるケースが少なくないからだ。分かりやすい例として、松阪牛の肥育や、カキやホタテの養殖などがある。

 だがアサリは稚貝を長年「畜養」することはなく、価格調整のために1、2週間浜置きするのがせいぜいという。アサリに「畜養」の例外規定を認めないようにすべきではないか。

 外国産を「畜養」したと装うより、はるかに悪質なケースもあった。外国産のラベルを貼り替えただけの「熊本県産」である。不正を働いた業者は熊本県内とは限らず、全容解明にはなお時間がかかるだろう。

 国産と外国産の価格差も、不正の背景にある。中国産アサリからは人体への安全基準を超す農薬が検出されることがあり、消費者は食の安全の観点から購入を敬遠しがちだからだ。

 実際1キロ当たり600円を超す国産との価格差は、400円以上もある。年間輸入量2万6千トンの中国産全てが国産と偽って売られたとすれば、業者には100億円もの不当な利ざやが転がり込む計算になる。

 それに比べると罰則は極めて軽いと言えよう。不正競争防止法違反罪に問われても、罰則は5年以下の懲役か500万円以下の罰金にすぎない。宇部市の水産会社による14年の事件を思い出す。不正に得た金額は数億円とみられるのに、首謀者に言い渡されたのは執行猶予付き有罪判決と罰金50万円だった。

 不正は取り締まりとのいたちごっこではない。政府が例外規定の「抜け道」を改めないからこそ、罰則以上の巨利を得ようと業者は不正をやめないのだ。

 産地偽装は消費者、漁業者双方の利益を損なう犯罪行為である。政府は再発を許さない厳格な罰則を設けねばならない。

 流通履歴を透明化することも必要だ。トレーサビリティー(生産流通履歴)が牛肉や米には導入されている。「畜養」を認めるのであれば、アサリにも導入を検討すべきだ。

 元稿:中國新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2022年02月15日  06:45:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【天風録】:正直に限る

2022-02-03 06:59:50 | 【水産資源・海洋環境・漁業・水産加工・缶詰・調査捕鯨・鰻・鮪・鮨・回転寿司】:

【天風録】:正直に限る

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【天風録】:正直に限る

  野駆けの帰り道。おなかをすかせた殿様は、目黒の農家で庶民の味覚、焼きさんまを分けてもらう。脂の乗ったそのおいしさが忘れられず、宴(うたげ)の席でもサンマが食べたいと求めるが…。おなじみの落語「目黒のさんま」である▲オチは殿が言い放つこんなせりふ。「さんまは目黒に限る」。目黒をサンマの名産地だと思い込んでいる世間知らずをあらわにし、笑いを誘う。そんな勘違いなら笑っても済ませられるが、欺かれては笑うに笑えない▲熊本県産をうたって出回るアサリの大半に外国産が混入している可能性がある―。驚きの事実が、農林水産省の調査で発覚した。中国や韓国からの輸入ものが熊本県産と偽装され、店頭に並んでいた▲安心・安全を求めて、わざわざ国内産を選ぶ消費者は多いはず。食への信頼を揺るがす許されない行為だ。実際の漁獲量をはるかに上回る「熊本県産アサリ」が流通していれば、いずればれると分かるだろうに、なぜ▲県知事から緊急出荷停止宣言が出され、まじめにやってきた漁業者や流通業者にとっては、とばっちりだ。イメージダウンはれっきとした熊本県産品にも及ぶだろう。信頼を取り戻すには、「商いは正直に限る」。

 元稿:中國新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【天風録】  2022年02月03日  06:59:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【編集日誌】:年越しの魚

2021-12-31 08:30:03 | 【水産資源・海洋環境・漁業・水産加工・缶詰・調査捕鯨・鰻・鮪・鮨・回転寿司】:

【編集日誌】:年越しの魚

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【編集日誌】:年越しの魚 

 年末年始、県内の各家庭では、どんな料理が食卓を彩るのだろう。こんな質問を本紙「ライフ」面で読者にしたところ、寄せられたお便りに共通していたものの一つが、大みそかの魚だった

 ▼会津では焼いた塩ザケ、浜通りではカレイの煮付け。ともに大みそかに神棚へ供え、家族で食べる伝統の年越し料理だ。中通りでは郡山名物コイの甘露煮も挙がったが、県北からは「カレイです」とのお便りが多かった

 ▼サケとカレイが年越しの魚になった理由は、いくつか考えられる。寒い時期に脂がのって、おいしい。サケは日本海、カレイは太平洋から、それぞれ輸送しやすい地域へ広まったのだろう

 ▼お便りの中には味わい深い一文も見つけた。「明治生まれの祖母は大みそか、紅さかなに白飯が食べられるのが何よりのごちそうだったと言ってましたよ」。紅さかなはサケを指すが、子持ちガレイも、白身に卵の赤が映える。おめでたい紅白である

 ▼そんなシンプルだが特別な食卓で、食事のできるありがたさをかみしめたのが、大みそかの魚の原点のような気がする。コロナ禍で平穏とは言えなかった今年の最後の一日。きょうまでやってこられた幸せを先人にならい、かみしめてみる。

 元稿:福島民友新聞社 朝刊 ニュースセレクト 社説・解説・コラム 【編集日誌】  2021年12月31日 08:30:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

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【二極化・格差社会の真相】:エビなどの甲殻類にも波及してきた動物保護の行方

2021-12-22 06:18:50 | 【水産資源・海洋環境・漁業・水産加工・缶詰・調査捕鯨・鰻・鮪・鮨・回転寿司】:

【二極化・格差社会の真相】:エビなどの甲殻類にも波及してきた動物保護の行方

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【二極化・格差社会の真相】:エビなどの甲殻類にも波及してきた動物保護の行方

 いずれ日本人は伊勢エビの「生け造り」や、イカの「踊り食い」を味わえなくされるかもしれない。というのも──。

 ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)が先月、カニやロブスターなど一部の甲殻類と、タコ、イカなどの頭足類には苦痛を感じる「知覚」があるとして、「極端な調理法」の禁止を提言した。膨大な研究成果を精査した結果という。

英米の価値観と一致しない文化は排除されるのか(写真は、エビ漁)/(C)共同通信社

 英米の価値観と一致しない文化は排除されるのか(写真は、エビ漁)/(C)共同通信社

 英国政府の求めに応じた。脊椎動物の知覚を認める動物福祉法改正案の審議を前に、甲殻類なども対象にすべきとする動物保護団体の主張を受けた動きで、はたして法案は報告に沿って修正された。

 「飲食業や漁業に直接の影響はない」と、政府は説明している。国内法である限り、英国民が諒とするならそれでよい。内政干渉は許されない。

 懸念されるのは世界、さらには日本への影響だ。英国は動物愛護の“先進国”。LSEのニュースリリースによると、しかも今回、担当した准教授は、特に頭足類の知覚を確認できた意義を強調し、こう述べているという。

 「人間がほぼ完全に無視してきたこれら無脊椎動物を保護することは、英国が動物の福祉をリードする一つの方法です」

 欧米でしばしば“残酷料理”呼ばわりされるのは、日本料理だけではない。「酔っぱらいエビ」などの中華料理も、だ。

 とすれば英国動物福祉法改正の成り行きは、コロナ禍で激化した東アジア人差別の拡大再生産に通じかねず、中国包囲網としての西側経済安全保障にも利用される可能性を否定できない。後者のニュアンスが強まれば、日本はあらがいにくくなる。

 かつて英国に留学していた時の苦い見聞を思い出す。国際経済秩序の講義のゲストだった多国籍企業の幹部が、「最も厄介なカントリー・リスクは?」と問われて、「Culture(文化)だ」と吐き捨てていた。

 「食」もまた、まぎれもない文化である。とはいえ生け造りや踊り食いは巨大資本によるビッグビジネスではないし、専門の職人も多数派ではない。

 英米の価値観と一致しない文化は往々に、「無理に延命させても多数派の利益にはつながらない」などと、新自由主義の論理でも排除されがちだ。捕鯨の問題がそうだった。

 なるほど生きたまま調理される食材たちは気の毒だ。だが、では調理される前に殺される牛や豚はハッピーか。人間が、とりあえずアングロサクソンが一も二もなく取り組むべきは、エビやイカの痛みなどよりも、戦争の廃絶ではないのか。

斎藤貴男
著者のコラム一覧
 ■斎藤貴男 ジャーナリスト

 1958年生まれ。早大卒。イギリス・バーミンガム大学で修士号(国際学MA)取得。日本工業新聞、プレジデント、週刊文春の記者などを経てフリーに。「戦争経済大国」(河出書房新社)、「日本が壊れていく」(ちくま新書)、「『明治礼賛』の正体」(岩波ブックレット)など著書多数。

 元稿:日刊ゲンダイ 主要ニュース 政治・社会 【政治ニュース】  2021年12月22日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

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【主張】:マグロ漁獲枠拡大 魚食文化で資源を守ろう

2021-12-21 05:03:24 | 【水産資源・海洋環境・漁業・水産加工・缶詰・調査捕鯨・鰻・鮪・鮨・回転寿司】:

【主張】:マグロ漁獲枠拡大 魚食文化で資源を守ろう

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【主張】:マグロ漁獲枠拡大 魚食文化で資源を守ろう 

 日本人はマグロ好きだ。とりわけ本マグロとも呼ばれるクロマグロの人気が高い。

 日本や米国、中国、オーストラリアなど26カ国・地域が参加する中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)で、太平洋クロマグロの漁獲枠を来年から従来の15%増とすることが決まった。

 太平洋クロマグロは乱獲による絶滅の恐れがあるとして、漁獲量に年間の上限が設定されていたが、今回の増枠で日本の漁獲枠は4882トンから5614トンに増加した。

 6年前に導入された漁獲規制の努力が功を奏し、国際的な管理下でクロマグロの資源が回復に向かい始めたことを評価したい。

 成長すると体重約400キロにもなるクロマグロは、すしネタや刺し身など生食用に人気がある高級魚だ。漁獲枠の拡大は関係者の間で明るいニュースとなっている。市価の低下も期待される。

 ただし、近年のマグロ類の消費のされ方に目を向けると、手放しで喜んでばかりはいられない課題が見えてくる。

 まずは日本の魚食文化の衰退だ。周囲を海に囲まれたわが国には季節の流れの中で「旬」を迎える沿岸魚を上手においしく食する知恵があった。

 それがマグロやサケへの偏りで変容を遂げた。その余波は沿岸漁業の不振にも影響し、日本の水産業の前途に影を落とすことになっている。沿岸や沖合の多様な海の幸の活用を図りたい。

 大西洋クロマグロにも資源の回復傾向がうかがえるが、油断は禁物だ。マグロ類は栄養も豊富であるために世界的な健康食ブームの一翼を担う存在となっている。

 国際会議による協議で資源の復調傾向が確認されたが、クロマグロの資源量は低水準を完全には脱していない。油断すればたちまち乱獲状態に後戻りしてしまう。参加国ごとの正確な漁獲量の報告が不可欠だ。関係各国は危機意識の持続性を保ちたい。

 併せてマグロの食べ過ぎを改めることも必要だ。日本が世界一の消費国であることに批判の声があることを忘れてはならない。

 マグロ人気が高まる一方で沿岸魚は次第に食卓から遠のいている。この対照的な消費動向に、家庭で魚を包丁でさばけなくなっていることが関係しているとすれば、これはゆゆしき問題だ。

 元稿:産経新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム  【主張】  2021年12月19日 05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①】:不漁と温暖化 魚食文化を守るには

2021-09-26 07:07:40 | 【水産資源・海洋環境・漁業・水産加工・缶詰・調査捕鯨・鰻・鮪・鮨・回転寿司】:

【社説①】:不漁と温暖化 魚食文化を守るには

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:不漁と温暖化 魚食文化を守るには 

 ここ数年、秋の味覚サンマの不漁が続く。先月中旬、主力の棒受け網漁小型船による初水揚げがあった北海道厚岸町では、店頭で一匹三千五百円の高値がついた。
 水産研究・教育機構の予想によると、北海道から千葉県沖に来遊するサンマの量は、過去最低だった昨年を上回りはするものの、二番目に少なかった一昨年を下回る見込みという。
 サンマは、高温が苦手である。北太平洋で成長したサンマの群れは、寒流の親潮に乗って南下し、秋になると、北海道から三陸沖へとやって来るのが常だった。
 ところが気象庁によると、日本近海の年平均海面水温は、地球温暖化の影響により、この百年間で一・一六度上昇した。世界平均の〇・五六度を大きく上回る。
 このため、高温を嫌うサンマの群れが日本近海に近づけず、排他的経済水域(EEZ)外の公海に滞留。中国や台湾の大型船がそれらを取っていく。かくしてサンマは、高級魚となりつつある。
 温暖化による海の異変、漁の異変は、サンマだけにとどまらない。水産庁によると、サンマ、サケ、スルメイカの合計漁獲量は、二〇一四年から一九年にかけて七割以上落ち込んだ。サケについては環境の変化による放流地への回帰率の低下、スルメイカの場合は産卵域の縮小が要因だ。
 一方、暖かい海を好むブリやサワラの分布域が北上し、北海道でブリの漁獲が急増中。九州沿岸では、海藻が消失する磯焼けが広がって、藻場を成育場所とするイセエビやアワビが減っている。
 瀬戸内海には二枚貝を捕食するエイの仲間が熱帯域から入り込み、アサリの食害が深刻化。陸奥湾ではホタテガイが大量斃死(へいし)するなど、影響は広域に及んでいる。
 政府も不漁の要因は気候変動であると認め、当面は、例えばサンマ漁師が資源量の増えているマイワシなども狙えるような多目的漁船の導入を図るなどして漁業の維持を図りつつ、長期的には、漁船の電化、水素化を目指すなど漁業の脱炭素化を急ぐ方針だ。
 「プラスチック汚染の問題もあり、海はかつてない大激変にさらされている。日本の魚食文化が危ない」と漁業環境に詳しい大手水産会社の元幹部は警鐘を鳴らす。
 魚食文化の持続可能性を維持するためにも、脱炭素社会の構築は急務なのである。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2021年09月11日  07:11:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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