路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

 路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

【卓上四季】:世界遺産の価値

2021-05-29 09:03:30 | 【国連・ユネスコ・世界遺産・世界有形無形文化遺産・記念物遺跡会議

【卓上四季】:世界遺産の価値

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【卓上四季】:世界遺産の価値

 「知床」の世界自然遺産登録が決まった2005年の国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産委員会で、最後通告を突きつけられた遺産があった。世界最大の中世ゴシック様式の建築で知られるドイツのケルン大聖堂だ▼ライン河畔に立つ2基の鐘楼が象徴的な大聖堂は1996年に遺産に登録されたが、開発で景観が損なわれたため、ユネスコの諮問機関が改善を勧告。登録抹消の危機にあった。景観保全のため緩衝地帯を設けるという約束をほごにされたユネスコ側の警告は当然だろう▼大聖堂周辺の再開発計画は、遺産登録による観光客増を当て込んだ高層ホテル建築などが柱だった。市当局が計画を撤回し、抹消は回避されたが、経済的利益を求めて遺産本来の価値を失うようでは本末転倒というほかない▼ユネスコの諮問機関が一昨日北海道・北東北の縄文遺跡群の世界文化遺産登録を妥当とする勧告を出した。7月の世界遺産委員会で正式に決まれば、知床に続く道内2例目の世界遺産となる▼世界遺産登録が飽和状態となる中、人類史に残る普遍性や独自性の点では厳しい目も向けられた。登録はゴールではない。その価値を守り、高める努力が一層求められる▼すでに2件の世界遺産が登録を抹消されている。人類共通の宝を前に目先の経済効果ばかりを追い求めるようなことがあれば、「ケルン大聖堂」の二の舞いとなろう。2021・5・28

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【卓上四季】  2021年05月28日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【筆洗】:「入江9号」は、北海道の入江貝塚で五十年あまり前に発掘され…

2021-05-29 08:00:45 | 【国連・ユネスコ・世界遺産・世界有形無形文化遺産・記念物遺跡会議

【筆洗】:「入江9号」は、北海道の入江貝塚で五十年あまり前に発掘され…

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【筆洗】:「入江9号」は、北海道の入江貝塚で五十年あまり前に発掘され…

 「入江9号」は、北海道の入江貝塚で五十年あまり前に発掘された縄文時代の若い女性の骨である。手足が細いことから、幼少期の病気で寝たきりであったと考えられた▼介護を受けて生きたとも思われる。医学者の鈴木隆雄さんは、手厚い保護や介助が必要な人を縄文時代の社会が受け入れていた<貴重な証人>であると、入江9号を著書で位置付けている▼「北海道・北東北の縄文遺跡群」が、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界文化遺産に登録される見通しになった。入江貝塚も青森県の三内丸山遺跡などとともに名を連ねている▼停滞と未発達の時代から、豊かな精神が息づき、技術や芸術性もある時代へ。イメージを変えてきた縄文の文化を表している遺跡群である。欧州の同じ年代の遺跡に比べ、出土する骨に、武器による傷痕が残る例は少ないという。長く平和な時代であったことの証人かもしれない▼狩猟と採集による持続可能な社会であり、気候変動にも適応してきた人々でもあったそうだ。楽園のような面ばかりでなかったようだが、現代から、学びたくなることは多い▼世界史的に高い価値がある遺跡といわれ、世界文化遺産入りは、それぞれの遺跡の地元で長く悲願であった。時をこえ、豊かな社会だったと教えてくれるあの女性にも、やさしかったであろう周囲の人々にも、喜びを伝えたくなる。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【筆洗】  2021年05月29日  07:56:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②】:新たな世界遺産 保全と活用をともに進めたい

2021-05-29 05:03:40 | 【国連・ユネスコ・世界遺産・世界有形無形文化遺産・記念物遺跡会議

【社説②】:新たな世界遺産 保全と活用をともに進めたい

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:新たな世界遺産 保全と活用をともに進めたい 

 青森市の三内丸山遺跡など「北海道・北東北の縄文遺跡群」が国連教育・科学・文化機関(ユネスコ)の世界文化遺産に登録される見通しとなった。

 「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」(鹿児島、沖縄県)は、世界自然遺産への登録がユネスコの諮問機関から勧告されている。いずれも7月の世界遺産委員会で正式に決定される。

 縄文遺跡群は約1万5000~2400年前の縄文時代の17遺跡で構成される。北東アジア最古の土器が出土した「大平山元おおだいやまもと遺跡」(青森県)や、円形に石を並べた祭祀さいし遺跡の「大湯環状列石」(秋田県)などが含まれている。

 文化庁は、採集や漁労、狩猟を基盤とした縄文人の定住生活を実証する遺跡と位置づけている。ユネスコの諮問機関も、農耕を伴わない定住社会の特徴や複雑な精神文化を示すものと評価した。

 先史時代の遺産として、縄文文化の価値が世界的に認知された意義は大きい。地元の関係者は遺跡の保全とともに、魅力を伝える取り組みを強化してほしい。

 自然遺産となる奄美大島や沖縄島北部などには、アマミノクロウサギやヤンバルクイナ、イリオモテヤマネコに代表される75の固有種を含めて、100種近い絶滅危惧種が生息している。

 諮問機関は、生物多様性を保全する上で、国際的にも重要な地域と認定した。

 独自の生態系は、温暖・多湿な亜熱帯性気候と常緑樹林によって育まれてきた。自然環境を守る地道な活動を続ける必要がある。

 国内の世界自然遺産は5件目、文化遺産は20件目となる。登録の目的は世界的な遺産を後世に伝えることにある。観光客急増による環境への負荷を防ぎ、保護と地域振興の両立を図るのは、政府や自治体など関係者の責務である。

 ユネスコの諮問機関は今回の勧告にあたり、縄文遺跡群の周辺に道路などがあることを念頭に、撤去や影響の軽減を求めた。

 奄美・沖縄についても希少種の交通事故を防ぐ対策や、西表島への観光客の制限を促している。

 世界自然遺産の屋久島(鹿児島県)や小笠原諸島(東京都)では観光客の立ち入りを制限するため、展望デッキの設置や人数規制などを行っている。先例を参考に、ルール整備を急ぐべきだ。

 自然と人間が1万年以上共生したことを体現する希有けうな遺跡や、日本を代表する豊かな生態系が人類共通の財産と認められることを喜びたい。

 元稿:讀賣新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2021年05月28日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説②》:奄美・沖縄、世界遺産へ 自然との共生学ぶ機会に

2021-05-16 02:02:35 | 【国連・ユネスコ・世界遺産・世界有形無形文化遺産・記念物遺跡会議

《社説②》:奄美・沖縄、世界遺産へ 自然との共生学ぶ機会に

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説②》:奄美・沖縄、世界遺産へ 自然との共生学ぶ機会に

 鹿児島、沖縄両県にまたがる「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」が、世界自然遺産に登録されることが確実になった。国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関が勧告した。日本で5カ所目となる。

 4島は、九州の南に連なる琉球列島に位置する。ユーラシア大陸から約200万年前までに切り離され、独自の生態系がはぐくまれてきた。

 アマミノクロウサギ、ヤンバルクイナ、イリオモテヤマネコなど固有種75種を含む100種近い絶滅危惧種が生息する。亜熱帯地域の豊かな生物多様性が「世界の宝」と評価された。後世に引き継ぐ責任が、一層増すことになる。

 3年前、推薦地の点在を理由に登録が認められず、今回は再挑戦だった。対象地域をまとめ、一体的な保全を可能にしたことが朗報につながった。アマミノクロウサギを攻撃するマングースなど外来種の駆除も進めた。

 登録にめどはついたが、課題は残る。

 勧告にあたり、諮問機関からは西表島への観光客の制限や、希少動物が車にひかれる被害の抑制を求められた。

 国内の他の自然遺産も、登録後に観光客が急増した。このため、エコツアーの活用やマイカー規制などの入域制限、啓発活動など、さまざまな対策が取られた。官民が協力して、これまでの教訓や経験を十分に生かしたい。

 この地域の大きな特徴は、地元の人たちが暮らしに役立ててきた森林が多いことだ。とりわけ奄美大島、徳之島は、手つかずの原生林が少ない。

 人の営みの近くで、貴重な生態系が守られてきた。自然との付き合い方を示すモデルといえる。環境省などが「環境文化」と呼ぶ社会のありようだ。

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2021年05月13日  02:01:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説】:沖縄・奄美世界遺産に 最高水準の保全目指そう

2021-05-15 05:10:25 | 【国連・ユネスコ・世界遺産・世界有形無形文化遺産・記念物遺跡会議

【社説】:沖縄・奄美世界遺産に 最高水準の保全目指そう

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:沖縄・奄美世界遺産に 最高水準の保全目指そう 

 国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関、国際自然保護連合(IUCN)は「奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島」(鹿児島、沖縄)を世界自然遺産に登録するよう勧告した。

 希少な固有種が生息する琉球弧の生物多様性の保全の必要性が認められたことを歓迎する。世界遺産登録の本決定に向け大きな一歩であり、世界最高レベルの保全管理を目指してほしい。
 対象になる沖縄島北部近隣に米軍北部訓練場が広がる。名護市辺野古の海域を埋め立て新たな基地建設が進められている。基地は最大の自然環境かく乱要因である。登録をきっかけに北部訓練場の全面返還と、新基地建設の中止を強く求める。
 遺産登録へ日本政府が推薦した区域は大部分が森林だ。かつて大陸とつながっていたが海面上昇で島となり、イリオモテヤマネコ、ヤンバルクイナ、アマミノクロウサギなど多くの固有種がそれぞれの島で独自の進化を遂げた。
 2018年に政府が推薦した区域は飛び地状だったため、IUCNは生態系の連続性を維持するため地域を再考するよう求め、延期を勧告した。政府は米軍北部訓練場の返還地、西表島では河川の流域などを区域に追加して推薦書を再提出した。
 この間、県希少野生動植物保護条例の施行、西表島で入島上限人数目標の設定、やんばる3村は認証ガイド導入、奄美大島のマングース駆除などの取り組みが評価されたのだろう。
 IUCN勧告は今後に向けて(1)特に西表島で観光客数の上限設定か減少措置(2)希少種の交通事故死減のための交通管理(3)河川再生戦略(4)緩衝地帯の森林伐採の適切な管理―を指摘している。指摘事項を着実に実現してほしい。
 専門家が指摘するように今後の課題として、世界遺産地域を陸域だけでなく海域に拡大し、奄美・琉球諸島の豊かな海の生物多様性を次世代に伝える取り組みが必要だ。
 一方、16年の北部訓練場の過半の返還に伴い、ヘリコプター発着帯(ヘリパッド)が残りの訓練場内に新設された。ヘリパッド運用開始以降、米軍は昼夜を問わず訓練を繰り返し、騒音や振動を引き起こしている。北部訓練場の運用が周辺環境に与える影響について玉城デニー知事は「遺産登録に影響が生じることはない」との見解を示した。認識が甘くないか。登録は保全のスタートにすぎない。
 辺野古新基地が建設されれば、北部訓練場や伊江島補助飛行場など、米軍機による米軍施設間の往来が増え環境への影響が懸念される。
 北部訓練場の返還地から放射性物質や薬きょうなど廃棄物が見つかり、過去には米退役軍人省が枯れ葉剤使用を認定している。世界遺産登録地域の最大の環境保全策は、登録地域と隣り合わせの米軍施設の全面返還である。

 元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2021年05月12日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【筆洗】:奄美大島の島唄にある「ホコラシャ」とは元は「誇らしい」とい…

2021-05-12 07:17:30 | 【国連・ユネスコ・世界遺産・世界有形無形文化遺産・記念物遺跡会議

【筆洗】:奄美大島の島唄にある「ホコラシャ」とは元は「誇らしい」とい…

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【筆洗】:奄美大島の島唄にある「ホコラシャ」とは元は「誇らしい」とい…

 奄美大島の島唄にある「ホコラシャ」とは元は「誇らしい」という意味だが、そこから「うれしい」とか「楽しい」というさまざまな喜びの感情を表現する言葉になったそうだ▼<キュウ(今日) ヌ ホコラシャ ヤ イチユリム マサリ イチムコウヌグートウニ アラシタボレ>。今日はうれしい。このうれしさはいつもより勝る。いつも、こんな日でありますように。そんな喜びの歌なのだろう▼現地ではそれこそ<イチユリム(いつもより)>大きく、その歌声が響いているか。奄美大島、徳之島、沖縄島北部、西表島が世界自然遺産に登録される見通しとなった。正式登録となれば白神山地、屋久島、知床、小笠原諸島に次いで五件目の自然遺産となる▼三年前、「登録延期勧告」を受けたが、今回、二度目の挑戦で難関を突破した。「ホコラシャ」だろう。豊かな森やアマミノクロウサギ(奄美大島、徳之島)、イリオモテヤマネコ(西表島)など希少な動植物が残る「生物多様性」が評価された▼さて、喜びの後、現地には自然遺産を守る決意と覚悟が求められる。登録となれば観光客なども増えるだろうが、それによって損なわれかねない貴重な自然をどう守っていくか。アマミノクロウサギの交通事故死なども増えていると聞く▼四島の美しい自然がこのままの姿で末永く守られるよう<アラシタボレ>と祈る。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【筆洗】  2021年05月12日  07:18:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【金口木舌】:今夜はしぶんぎ座流星群

2021-01-04 06:01:15 | 【国連・ユネスコ・世界遺産・世界有形無形文化遺産・記念物遺跡会議

【金口木舌】:今夜はしぶんぎ座流星群

『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【金口木舌】:今夜はしぶんぎ座流星群 

 「儀」には「身体動作の上で手本とすべきもの」「規範」の意味があり、儀礼や行儀などで使われる。「天文や地理にかかわる器械・模型」の意味もあり、地球儀はおなじみ

 ▼18世紀の終わり頃まで子午線観測に用いたのは象限儀(しょうげんぎ)または別名・四分儀(しぶんぎ)。円を四等分にした扇形の目盛環で、天体の高度を測る。古来、人々は星の位置から吉凶を占った
 ▼新型コロナウイルスは2019年末には、すでに中国武漢で確認されていた。当初、ここまでの展開を誰が予測できたか。21年を迎え、人々は平穏とコロナの収束を願っただろう
 ▼感染防止のための外出自粛や都市封鎖に伴い、経済は停滞した。世界の二酸化炭素排出量は20年度は前年度比8%減少との試算がある。人類の活動が制限された結果、地球の環境が改善された。当然とはいえ皮肉な現実
 ▼今夏、本島北部と西表島の世界自然遺産登録が審査される。20年はコロナ禍で審査できず、18年は米軍北部訓練場の部分返還地が推薦地に含まれないことを理由に登録延期になった。その返還地からは今も米軍廃棄物が次々と見つかる。東村高江、やんばるでも米軍機が昼夜を問わず飛び交う
 ▼「しぶんぎ座流星群」が3日深夜から見ごろだ。世界自然遺産の候補地で流星観測を楽しみ、新年の抱負を誓ってもいい。そんなひとときを米軍機がさえぎらないよう、一筋の光に願う。

 元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【金口木舌】 2021年01月03日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【ユネスコ】:「工匠の技」の無形文化遺産登録を決定

2020-12-19 06:00:00 | 【国連・ユネスコ・世界遺産・世界有形無形文化遺産・記念物遺跡会議

【ユネスコ】:「工匠の技」の無形文化遺産登録を決定

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【ユネスコ】:「工匠の技」の無形文化遺産登録を決定 

 国連教育科学文化機関(ユネスコ)は17日、オンラインで開いた政府間委員会で、日本が申請した「伝統建築工匠(こうしょう)の技 木造建造物を受け継ぐための伝統技術」の無形文化遺産登録を決めた。宮大工や左官職人らが古くから継承してきた17分野の技術の価値が世界的に認められた。能楽や和食などに続く国内22件目のユネスコ無形文化遺産となる。

 17分野は木工や左官、瓦屋根やかやぶき屋根、建具や畳の製作のほか、建物の外観や内装に施す装飾や彩色、漆塗りなど。木や草、土といった自然の素材を活用し、奈良・法隆寺に代表される日本の伝統的な建築文化を支えてきた。

 日光東照宮(栃木)や中尊寺金色堂(岩手)、白川郷・五箇山の合掌造り集落(岐阜、富山)などでも、こうした技術が生かされている。2016年の熊本地震で被災した熊本城の塀ややぐらの再建など、近年多発する自然災害からの復旧にも欠かせない。17分野は全て国の選定保存技術で、日本伝統建築技術保存会(大阪)など14の保存団体が認定されている。

 委員会は「熟練の職人が、伝統的な技能の知識を継承する後継者として、弟子たちを育成してきた」と評価する決議を採択した。決議では「近代化に伴い、このプロセスはより困難となっている」として、保護の必要性も強調。かやぶき屋根などの補修作業は地元住民も参画しており「日本人の文化的アイデンティティーを強化する機能を持つ」と称賛した。

 ユネスコの評価機関も今年11月、事前審査で同様の指摘をし登録を勧告した。

 委員会は17日、新規登録の審査を終え、中国の太極拳やフィンランドのサウナ文化の登録も決定。予定を前倒しし日本時間の19日未明、閉幕した。

 政府は次の候補に豊作祈願や厄払いの踊り「風流踊」を申請している。登録件数が多い日本の候補は2年に1回の審査となっており、22年に可否が決まる見通し。書道や華道などの将来の登録を見据え、国内の無形文化財の保護体制強化に向けた議論も進めている。(共同)

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・国連教育科学文化機関(ユネスコ)・「伝統建築工匠(こうしょう)の技 木造建造物を受け継ぐための伝統技術」の無形文化遺産登録】  2020年12月19日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【ユネスコ】:無形文化遺産に「工匠の技」伝統建築守る17技術

2020-12-18 01:49:30 | 【国連・ユネスコ・世界遺産・世界有形無形文化遺産・記念物遺跡会議

【ユネスコ】:無形文化遺産に「工匠の技」伝統建築守る17技術

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【ユネスコ】:無形文化遺産に「工匠の技」伝統建築守る17技術 

 国連教育科学文化機関(ユネスコ)は17日、オンラインで開いた政府間委員会で、日本が申請した「伝統建築工匠(こうしょう)の技 木造建造物を受け継ぐための伝統技術」の無形文化遺産登録を決めた。宮大工や左官職人らが古くから継承してきた17分野の技術の価値が世界的に認められた。委員会最終日の19日にリストに記載され、能楽や和食などに続く国内22件目のユネスコ無形文化遺産となる。

 17分野は木工や左官、瓦屋根やかやぶき屋根、建具や畳の製作のほか、建物の外観や内装に施す装飾や彩色、漆塗りなど。木や草、土といった自然の素材を活用し、奈良・法隆寺に代表される日本の伝統的な建築文化を支えてきた。

 日光東照宮(栃木)や中尊寺金色堂(岩手)、白川郷・五箇山の合掌造り集落(岐阜、富山)などでも、こうした技術が生かされている。2016年の熊本地震で被災した熊本城の塀ややぐらの再建など、近年多発する自然災害からの復旧工事にも欠かせない。

 委員会は「熟練の職人が、伝統的な技能の知識を継承する後継者として、弟子たちを育成してきた」と評価する決議を採択した。決議では「近代化に伴いこのプロセスはより困難となっている」として保護の必要性も強調。かやぶき屋根などの補修作業は地元住民も参画しており「日本人の文化的アイデンティティーを強化する機能を持つ」と称賛した。

 各国が申請した候補を事前審査するユネスコの評価機関も今年11月、同様の指摘をして登録を勧告した。

 17分野は全て国の「選定保存技術」で、日本伝統建築技術保存会(大阪)や全国社寺等屋根工事技術保存会(京都)など14の保存団体が認定されている。職人の高齢化が深刻な分野も目立ち、登録で技術の重要性が広く知られ、人材確保にもつながると期待されている。

 登録遺産の数が多い日本の候補は2年に1回の審査となっており、決定は「男鹿のナマハゲ」(秋田)を含む18年の「来訪神 仮面・仮装の神々」以来。次の候補として政府は豊作祈願や厄払いの踊り「風流踊」を申請しており、22年に可否が決まる見通し。(共同)

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・国連教育科学文化機関(ユネスコ)・「伝統建築工匠(こうしょう)の技 木造建造物を受け継ぐための伝統技術」の無形文化遺産登録】  2020年12月18日  01:49:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説】:日本遺産への挑戦 ストーリー性磨きたい

2019-09-21 09:24:05 | 【国連・ユネスコ・世界遺産・世界有形無形文化遺産・記念物遺跡会議

【社説】:日本遺産への挑戦 ストーリー性磨きたい

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:日本遺産への挑戦 ストーリー性磨きたい

 「阿仁マタギ」(北秋田市)と「おくのほそ道」(にかほ市など)の日本遺産認定に向けた申請作業が本格化している。申請は3年連続となる。訪日外国人の地方への関心は高まっており、認定されれば観光振興につながることが期待される。過去2度にわたって認定が見送られた要因をしっかりと分析し、「ラストチャンス」の思いで関係者が一丸となり、認定を勝ち取ってほしい。

 日本遺産は2015年に始まった文化庁の事業である。全国各地にある有形、無形の文化財にあらためて光を当て、観光振興など地域活性化につなげる狙いがある。来年の東京五輪・パラリンピックで訪れる外国人観光客を地方に誘導する起爆剤としての効果も見込んでいる。来年までに100件程度を認定する計画で、今年までに全国で83件が認定されている。

 認定のための審査では、文化財そのものの価値よりも、文化財の背景にある歴史や風習などを踏まえ、その魅力を際立たせるストーリー性が重視される。特に海外への情報発信を念頭に置き、外国人にも分かりやすく訴えることが求められている。このことを申請自治体はこれまで以上に自覚することが重要である。

 「阿仁マタギ」は北秋田市が単独で申請。今年は「山の恵みは山神様からの授かりもの」をテーマに、山神信仰と狩猟採集の暮らしが残る地域の文化などをアピールした。

 「おくのほそ道」は岐阜県の大垣市を代表に、にかほ市を含む14都県32市区町が申請。「日本を楽しむテキスト『おくのほそ道』―日本人の美意識を磨く旅」と題して、松尾芭蕉が残した旅の記録に基づき、芭蕉本人になりきって名所や旧跡を旅する楽しさを提案した。

 認定が見送られた要因として▽「阿仁マタギ」は学術的な要素、表現に偏りすぎた▽「おくのほそ道」は参加自治体が多く、一丸となって文化財の活用を進める姿勢がもっと必要だった―などが考えられる。過去2回の申請で学んだ教訓を十分に生かしたい。

 申請には今後3年間の事業計画も必要である。認定された後に、自治体としてどう地域活性化に取り組むのかなど、将来像を具体的に盛り込まなくてはならない。中長期的な展望が求められる。

 本県関係では秋田、能代、男鹿、由利本荘、にかほの5市を含む15道府県にまたがる「北前船寄港地・船主集落」が認定されている。認定後は連携して情報発信などを続けている。

 日本遺産の認定は来年が最終年となる可能性がある。申請の期限は1月の見通し。残された時間は決して長くはない。日本遺産への挑戦は、地域資源を見つめ直し、育てる試みである。地域の本気度が問われている。地域性を前面に独創的な物語を紡いでほしい。

 元稿:秋田魁新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2019年09月15日  09:24:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②】:北の縄文遺跡群 世界遺産へ歩み着実に

2019-08-03 05:05:05 | 【国連・ユネスコ・世界遺産・世界有形無形文化遺産・記念物遺跡会議

【社説②】:北の縄文遺跡群 世界遺産へ歩み着実に

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:北の縄文遺跡群 世界遺産へ歩み着実に 

 文化審議会が、4道県の「北海道・北東北の縄文遺跡群」を国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界文化遺産の推薦候補に選んだ。2021年の登録を目指す。

 世界遺産は既に1100件を超え、新規登録よりも登録遺産の保全へとかじが切られている。

 登録までには、ユネスコの諮問機関の約1年半にわたる審査があり、なお曲折も予想される。

 遺跡の普遍的価値と保全が問われる審査では、地元の熱意もかぎを握る。北の縄文文化の発信へ、いま一度登録の機運を高めたい。

 縄文遺跡群は、津軽海峡を挟んで同じ文化圏にあった17遺跡からなる。垣ノ島遺跡(函館)など道内4市町の6遺跡が含まれる。

 同時期の他地域と違い、本格的な農耕や牧畜を行わずに定住し、狩猟や採集、漁労文化を築いた。

 約1万年にわたる集落の変遷から、物質的・精神的な文化の成熟をたどれる希少な証拠である。この間、大規模な戦争がなかったとされるのも際立った特色だろう。

 4道県は昨年、6度目の挑戦で推薦候補入りを果たした。だが、推薦枠が年1件となり、自然遺産候補「奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島」(鹿児島、沖縄)が先行した経緯がある。

 政府は来年2月までに推薦書を提出するが、懸念材料もある。

 「奄美大島―」は外来種対策などを巡って諮問機関から登録延期勧告を受けて一度は推薦を取り下げた。こうした例は珍しくない。

 縄文遺跡群は昨年の審議会で、北東アジアの他の文化圏との違いの説明や、自治体の景観計画の不十分さが指摘されていた。

 諮問機関の審査でも、改めて問われよう。戦略性を持って、細部まで練り上げてもらいたい。

 4道県14自治体に点在するため、全体像を見せる難しさもある。

 道内では、国宝「中空土偶」を擁する函館市縄文文化交流センターを核に、隣接する垣ノ島遺跡の国内最大規模の盛土遺構の復元や、体験広場の整備が進む。

 噴火湾を望む丘には縄文の森や竪穴住居を再現した大船遺跡もあり、三内丸山遺跡(青森)などとともに縄文理解の拠点となろう。

 ただ、諮問機関は推測を含む復元には慎重とされ、従来の整備が見直しを迫られる可能性もある。

 証拠としての「真実性」と、その価値を一目で理解できる明快さを両立する工夫が必要だ。VR(仮想現実)などの活用はもちろん、遺跡群の魅力を語り、守り伝える、人材の育成が欠かせない。

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2019年07月31日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【筆洗】:古墳の形の一つである「前方後円墳」はどちらが前か。とんちんかんな質問を・・・

2019-07-08 06:10:36 | 【国連・ユネスコ・世界遺産・世界有形無形文化遺産・記念物遺跡会議

【筆洗】:古墳の形の一つである「前方後円墳」はどちらが前か。とんちんかんな質問を許されたい。

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【筆洗】:古墳の形の一つである「前方後円墳」はどちらが前か。とんちんかんな質問を許されたい。

 読んだ通りである。「方」(四角)の部分が前であって「円」の部分が後である▼それではなぜ、四角が前なのか。その古墳がかたどっている物の形と関係している。「前方後円墳」の名付け親である江戸期の儒学者、蒲生君平によると、前方後円墳は「宮車(柩車(きゅうしゃ))」の形なのだそうだ。「円」の部分に有力者がおり、四角の部分は車を引く柄と横木の衡(くびき)に見立てている。したがって車を引っ張っていく部分が前となる▼日本最大の「前方後円墳」である仁徳天皇陵古墳(大山古墳)を含む「百舌鳥(もず)・古市(ふるいち)古墳群」が六日、世界文化遺産への登録が決まった▼大阪府初の世界遺産である。世界遺産登録という車を長年引いてきた地元や関係者からは歓声が湧いていることだろう▼難しい問題もある。「古墳群」はなんといっても宮内庁が管理している「陵墓」である。世界遺産登録に観光客増、経済効果と胸をふくらませたくなるのはよく分かるが、古墳の保護管理と観光を今後、どう調和させていくかが大きな課題となる▼遺産を大切に守るのが「前」で観光利用を「後」とするのが大原則である。観光利用を前にして無理に引っ張れば、四世紀後半から五世紀後半に築造された古墳群という車は大きくきしむ。前後を混同してはならぬ。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【筆洗】  2019年07月07日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【話題のニュース】:仁徳天皇陵、世界遺産へ ユネスコ機関が登録勧告

2019-05-14 01:03:30 | 【国連・ユネスコ・世界遺産・世界有形無形文化遺産・記念物遺跡会議

【話題のニュース】:仁徳天皇陵、世界遺産へ ユネスコ機関が登録勧告

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【話題のニュース】:仁徳天皇陵、世界遺産へ ユネスコ機関が登録勧告 

 国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関は13日、日本最大の前方後円墳「仁徳天皇陵古墳」(大山古墳、堺市)を含む大阪府南部の「百舌鳥・古市古墳群」を世界文化遺産に登録するよう勧告した。全49基の古墳が対象。文化庁が14日未明、発表した。6月30日~7月10日にアゼルバイジャンで開かれるユネスコ世界遺産委員会で正式に決まる見通しで、天皇や皇族が葬られた「陵墓」が世界遺産になるのは初めて。令和に入り最初の世界遺産となる。

 堺市の百舌鳥古墳群。右上は仁徳天皇陵古墳、左下は履中天皇陵古墳

 堺市の百舌鳥古墳群。右上は仁徳天皇陵古墳、左下は履中天皇陵古墳

 登録されれば日本の世界遺産は文化19、自然4の計23件となる。文化遺産の登録は、2013年の「富士山」以降7年連続。(共同)

 元稿:東京新聞社 主要ニュース 社会 【話題のニュース・国連教育科学文化機関(ユネスコ)・大阪府南部の「百舌鳥・古市古墳群」を世界文化遺産に登録するよう勧告】  2019年05月14日  01:03:00  これは参考資料です。転載等は各自で判断下さい。

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【ユネスコの諮問機関】:仁徳天皇陵古墳が世界遺産へ 13年富士山以来に

2019-05-14 00:40:30 | 【国連・ユネスコ・世界遺産・世界有形無形文化遺産・記念物遺跡会議

【国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関】:仁徳天皇陵古墳が世界遺産へ 13年富士山以来に

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関】:仁徳天皇陵古墳が世界遺産へ 13年富士山以来に 

 国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関は13日、日本最大の前方後円墳「仁徳天皇陵古墳」(大山古墳、堺市)を含む大阪府南部の「百舌鳥・古市古墳群」を世界文化遺産に登録するよう勧告した。6月30日~7月10日にアゼルバイジャンで開かれるユネスコ世界遺産委員会で正式に決まる見通しで、天皇や皇族が葬られた「陵墓」が世界遺産になるのは初めて。令和に入り最初の世界遺産となる。

 登録されれば日本の世界遺産は文化19、自然4の計23件となる。文化遺産の登録は、2013年の「富士山」以降7年連続。

 古墳群は4世紀後半から5世紀後半までに築造された49基で構成。墳丘の長さ486メートルで「世界最大級の墳墓」とも呼ばれる仁徳天皇陵古墳をはじめ、425メートルの前方後円墳「応神天皇陵古墳」(誉田御廟山(こんだごびょうやま)古墳、羽曳野市)から数十メートル規模の円墳まである。一部は国史跡として保護し、陵墓などは宮内庁が保全管理している。

 政府は、巨大古墳を含め、形や大きさも多彩な墳墓が集中して残る世界的にもまれな事例だと強調。「墳墓が権力を象徴した時代の政治・文化を伝える物証」として18年、ユネスコに推薦した。

 世界遺産委は21カ国の代表が協議して登録の可否を決めるが、諮問機関の勧告を尊重するのが通例となっている。

 仁徳天皇陵古墳など一部の名称を巡っては、被葬者が特定できていないとして学会などに異論もあるが、推薦書は宮内庁が陵墓として管理していることを踏まえ「天皇陵古墳」と表記した。

 20年には、政府が推薦した自然遺産候補「奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島」(鹿児島、沖縄)の登録審査が予定されている。(共同)

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・国連教育科学文化機関(ユネスコ)大阪府南部の「百舌鳥・古市古墳群」を世界文化遺産に登録するよう勧告  2019年05月14日  00:40:00  これは参考資料です。転載等は各自で判断下さい。

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【デスク日記】:ユネスコの無形文化遺産

2019-02-17 06:00:20 | 【国連・ユネスコ・世界遺産・世界有形無形文化遺産・記念物遺跡会議

【デスク日記】:ユネスコの無形文化遺産

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【デスク日記】:ユネスコの無形文化遺産 

 ユネスコの無形文化遺産、博多祇園山笠の舁(か)き山が初めて海を渡ったのは1980年、ハワイ・ホノルル市だった。舁き手が締め込み姿と知った主催者に「セクシー過ぎる」と難色を示されたが、「カメハメハ大王の像も締め込みでっしょう」と説き伏せた。

 海外遠征には地元からも物言いがついた。「山笠はイベントにあらず」。舁き山を博多の外で披露することをためらう気風も残っていた。

 遠征を思い立ったのは福岡青年会議所。賛同者と資金集めに苦労していたメンバーに、助っ人が現れた。中洲流の故川原俊夫さん。メンバーを伴って福岡商工会議所の会頭に直談判、寄付をもらった。

 進取の精神で、伝統の祭りに新たな風を吹き込んだ若手経営者たち。彼らの良き理解者だった川原さんはめんたいこ「ふくや」の創業者だ。常に前向きで人情味あふれる人柄を、上映中の映画「めんたいぴりり」で博多華丸さんが好演している。 (手嶋秀剛)

 =2019/02/14付 西日本新聞朝刊=

 元稿:西日本新聞社 朝刊 主要ニュース オピニオン 【デスク日記】 2019年02月14日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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