路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

 路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

【社説②】:「軍艦島」遺産 歴史全体語る努力こそ

2023-10-02 07:33:40 | 【国連・ユネスコ・世界遺産・世界有形無形文化遺産・記念物遺跡会議

【社説②】:「軍艦島」遺産 歴史全体語る努力こそ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:「軍艦島」遺産 歴史全体語る努力こそ

 国連教育科学文化機関(ユネスコ)世界遺産委員会が、長崎市の端島(はしま)(通称・軍艦島)を含む文化遺産「明治日本の産業革命遺産」に関する日本の取り組みを認める決議を採択した。

 朝鮮半島出身労働者に関する説明が不十分と指摘した2021年の決議から一転した形だが、韓国など関係国との対話の継続も促しており、日本政府は引き続き誠実な対応に努める必要がある。
 
 産業革命遺産が15年に登録される際、韓国が軍艦島の炭鉱などでの朝鮮半島出身者の強制労働を理由に反対したため、日本側は「犠牲者を記憶にとどめるために適切な対応を取る」と約束した。
 
 日本政府は「産業遺産情報センター」を東京都内に設置したが、朝鮮半島出身労働者への差別的対応はなかったとする元島民の証言を紹介したため、韓国側が反発。ユネスコも21年の決議で日本側の説明に不備があるとして「強い遺憾」を表明していた。
 
 今回の決議は、同センターに犠牲者を追悼するコーナーを設置するなど戦時徴用を巡る展示を充実させた日本側の対応を評価する一方、調査や検証をさらに行い、24年12月までに追加報告するよう求めてもいる。
 
 これは、ユネスコが日本の対応にお墨付きを与えたわけでなく、今後も対応を注視する姿勢を示したことを意味する。
 
 韓国政府は「遺産の全体的な歴史を理解できるよう解説を強化する、という自らの約束を履行するよう期待する」と表明した。
 
 尹錫悦(ユンソンニョル)政権は日韓関係の強化を重視しており表現は控えめだが、負の側面を含む歴史の全体像を提示する取り組みを続けるよう、日本政府に求めている。
 
 日本が来年の遺産登録を目指す「佐渡島(さど)の金山」(新潟)でも韓国側は徴用問題を指摘する。日本側には「日韓の関係改善が進み、影響は限定的」との楽観論もあるが、日本側の対応次第で韓国が態度を硬化させる可能性はある。
 
 自国の歴史観だけに拘泥すれば国際的な理解は得られまい。日本政府には引き続き丁寧な説明と対話継続の努力を求めたい。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2023年10月02日  07:32:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【世界遺産】:小笠原・母島の木刈ったか、2人書類送検「釣りをしたくて海岸に抜ける道をつくった」

2022-04-18 12:12:30 | 【国連・ユネスコ・世界遺産・世界有形無形文化遺産・記念物遺跡会議

【世界遺産】:小笠原・母島の木刈ったか、2人書類送検「釣りをしたくて海岸に抜ける道をつくった」

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【世界遺産】:小笠原・母島の木刈ったか、2人書類送検「釣りをしたくて海岸に抜ける道をつくった」

 世界自然遺産・小笠原諸島(東京都小笠原村)の母島で固有種「オガサワラビロウ」などの樹木を刈ったり折ったりしたとして、警視庁生活環境課は18日、自然公園法違反の疑いで、いずれも同村母島在住で、ペンション従業員の男性(28)と土木作業員の男性(25)を書類送検した。小笠原諸島は国立公園に指定されている。

 同課によると、2人は釣り仲間で、2、3年前に村外から移住した。母島はルアー釣りをする人に「聖地」とされており「釣りをしたくて、のこぎりやなたで山道から海岸に抜ける道をつくった」と供述している。

 書類送検容疑は昨年9月、2回にわたって母島の国立公園特別保護地区で約230メートルにわたり、オガサワラビロウや、環境省のレッドリストで絶滅危惧2類に指定されている「ヒメフトモモ」など9種類17本を刈るなどして傷つけた疑い。

 地元の現地ガイドが発見し、都などを通じて警視庁に連絡した。(共同)

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・世界自然遺産・小笠原諸島(東京都小笠原村)の母島で固有種「オガサワラビロウ」などの樹木を刈ったり折ったりしたとして、警視庁生活環境課は18日、自然公園法違反の疑いで】  2022年04月18日  12:12:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【話題】:安倍のせいで「佐渡金山」世界遺産は逆に絶望的に! ■歴史修正主義宣伝と影響力誇示のためだけに“安倍フォン”かけまくり関係者に圧力

2022-02-19 23:50:20 | 【国連・ユネスコ・世界遺産・世界有形無形文化遺産・記念物遺跡会議

【話題】:安倍のせいで「佐渡金山」世界遺産は逆に絶望的に!  ■歴史修正主義宣伝と影響力誇示のためだけに“安倍フォン”かけまくり関係者に圧力

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【話題】:安倍のせいで「佐渡金山」世界遺産は逆に絶望的に!  ■歴史修正主義宣伝と影響力誇示のためだけに“安倍フォン”かけまくり関係者に圧力 

 2023年の世界文化遺産登録を目指す国内候補に選ばれた「佐渡島の金山」(新潟県佐渡市)について、政府がユネスコへの推薦を「見送る」とした報道から一転、28日、岸田文雄首相は「本年申請をおこない、早期に議論を開始することが登録実現への近道であるという結論に至った」と公表、ユネスコへ推薦すると表明した。

 岸田首相は「変わったとか(方針を)転換したとの指摘は当たらない」と述べたが、安倍晋三・元首相からのゴリ押しに屈したことは一目瞭然だ。

安倍のせいで「佐渡金山」世界遺産は逆に絶望的に! 歴史修正主義宣伝と影響力誇示のためだけに安倍フォンかけまくり関係者に圧力の画像1

安倍晋三Facebookより

 佐渡金山は昨年末の2021年12月28日に文化庁が文化審議会においてが国内候補に選定されたと発表したのだが、この決定に対し、佐渡金山は戦時中に朝鮮人の強制労働がおこなわれた歴史があることから韓国政府が反発。外務省も「登録が見込めない」という理由からユネスコへの推薦に消極的な姿勢を示していた。

 ところが、急に安倍元首相がしゃしゃり出るようになり、「(韓国に)ファクトベースでしっかり反論すべきだ」「論戦を避けた形で申請しないのは間違っている」などと主張。自民党政調会長である高市早苗氏やネトウヨ論客たちも一斉に岸田バッシングを開始し、ついに岸田首相は見送りの方針を一転させたのだ。

 だが、暗澹とさせられるのは、今回のユネスコ推薦決定に対し、ネトウヨたちだけではなく、マスコミや世論からも「安倍元首相や高市氏の主張は当然」「韓国が政治問題化させているだけ」という声があがり、「岸田首相が弱腰すぎた」などと安倍元首相のゴリ押しを評価する向きがあることだ。

 まったく何を言っているんだか、という話だろう。まず、そもそも岸田首相や外務省がユネスコへの推薦に消極的だったのは、戦時中の朝鮮人強制労働の歴史を重く見たとか、そういう理由ではまったくなく、自分たちの「二枚舌」が国際的に問題となることを見越した上での判断だった。

 というのも、日本政府は2015年に中国が世界記憶遺産(現・世界の記憶)に申請した「南京大虐殺の文書」が登録されたことや2016年に日中韓などの民間団体が旧日本軍「従軍慰安婦」にかんする資料を申請したことに対して「政治利用されている」などと猛反発し、ユネスコに審査方法の見直しを要求。2017年には日本政府の強い反対によって慰安婦関係資料の登録判断が延期され、登録申請の受付も中断させていた。そうしたことを受けて、ユネスコの執行委員会は2021年4月、加盟国による異議申し立てを認め、関係国が無期限で対話するなど「加盟国の反対がある限り遺産登録を見合わせる」という制度改革案を承認したのだ。

 つまり、日本政府が南京大虐殺や従軍慰安婦にかんする文書・資料の登録・申請に猛反発し、加盟国の反対があれば遺産登録を見合わせられるという制度をユネスコに導入させたというのに、今回は韓国から反対の声があがっていることも無視して推薦しようというのだ。

 今回は世界文化遺産への登録をめざすもので「世界の記憶」とは制度が異なるが、無論、「言っていることとやっていることが違う」とユネスコや国際社会から反感を買うのは火を見るより明らか。だからこそ、外務省は佐渡金山のユネスコ推薦に消極的だったのだ。現に、〈外務省内では、「今回は日本が逆の立場になり、韓国の反発がある中で推薦すれば国際社会の信用を失いかねない」との判断も働いた〉(読売新聞20日付)といい、今回の推薦決定を受けて、〈韓国が反発する中で推薦することで「日本のこれまでの主張と整合性がとれなくなる」(外務省幹部)との懸念が出ている〉(毎日新聞29日付)という。

 ◆「明治日本の産業革命遺産」では、「徴用の実施」をきちんと説明すると言いながら約束を反故に

 しかも、問題はこれだけではない。世界遺産登録をめぐっては、日本側はユネスコの世界遺産委員会との約束を堂々と破り、昨年には世界遺産委員会が「強い遺憾を示す」とする決議を採択しているからだ。

 問題となっているのは、2015年に当時の安倍首相の肝いりによって世界遺産に登録された「明治日本の産業革命遺産」。この世界遺産登録には韓国が反発していたが、日本側は朝鮮人徴用工について〈意思に反して連れて来られ、厳しい環境の下で働かされた多くの朝鮮半島出身者等がいたこと〉を認め、〈第二次世界大戦中に日本政府としても徴用政策を実施していたことについて理解できるような措置を講じる〉(内閣官房「産業遺産情報センターの在り方等について(第一報告書))」)と約束していた。

 ところが、世界遺産登録後の2017年に日本側がユネスコへ提出した「保全状況報告書」では、朝鮮人徴用工について「戦前、戦中、戦後にかけて日本の産業を支えた多くの朝鮮半島出身者がいた」という記述で強制連行や過酷労働の実態を矮小化。2019年に出された「保全状況報告書」では朝鮮人徴用工について一切触れないという下劣な手に出た。

 さらに、「徴用政策を実施していたことについて理解できるような措置を講じる」という約束から設置された「産業遺産情報センター」の一般公開では、徴用工の置かれた過酷な状況を説明するどころか、父親が軍艦島炭鉱で働いていたという人の「いじめられたとか、指さされて『あれは朝鮮人ぞ』とは全く聞いたことがない」という証言を紹介、給与やボーナスが支払われていた物証などを展示したのだ。

 あらためて言っておくが、戦時中の朝鮮人強制連行は、当事者の証言だけでなく、公文書を含んだ史料がいくつも残っている歴史的事実だ。また周知のように、徴用工は企業によって、一部、日本人と変わらない待遇を受けているケースもあったが、大半が日本人とまったく違う劣悪な環境で働かされ、虐待や暴力を受けていたこ。そのことは、戦時中の日本政府の文書など公文書にも記録されている客観的事実だ。

 ところが、同センターはそうした事実をほとんど無視して、逆にごく一部のケースを強調して強制労働の否定を宣伝したのだ。

 当然、こうした展示実態をユネスコの世界遺産委員会も問題視。2021年7月の報告書では、「産業遺産情報センター」への専門家の現地視察を踏まえて、「朝鮮半島出身者らが意思に反して連れてこられ労働を強いられたと認識するのは難しそうだという強い印象が残った」と指摘。そして、2021年7月22日に世界遺産委員会は朝鮮半島出身者らが強いられた労働についての説明が不十分なままだと判断し、「強い遺憾を示す」とする決議を全会一致で採択。「意思に反して連れてこられ、厳しい環境の下で働かされた多くの朝鮮半島出身者らがいたことや、日本政府の徴用政策について理解できるような措置」を考慮することを迫ったのだ。

 だが、このユネスコの決議に対しても、当時の加藤勝信官房長官は「約束した措置を含め誠実に実行し、履行してきた」と反論。まるで反省がないという絶句するような態度をとったのである。

 ◆安倍は自らネトウヨ用語の「歴史戦」を宣言! おかげで佐渡金山の世界遺産登録は絶望的に

 ユネスコとの約束を反故にして、突きつけられた決議に真摯に向き合うこともないのに、平然と次の世界文化遺産候補を推薦することは、怒りを買う行為にほかならない。しかも、前述したように「加盟国の反対がある限り遺産登録を見合わせる」という制度変更を要求してきたくせに、今度は加盟国から反発が起こっている案件を推薦しようというのだ。こんな不誠実な態度、下劣な二枚舌を使えば、国際社会は呆れ返り、すでにガタ落ちしている信頼はさらに失墜し、相手にされないのは目に見えている。外務省が消極的だったのは当たり前の話だろう。

 ところが、安倍元首相はこうした国際的な常識もおかまいなし。ここぞとばかりに佐渡金山のユネスコ推薦をゴリ押ししたのである。 

 言っておくが、安倍首相の目的は、「世界遺産登録によって佐渡金山の価値を広めたい」というようなものではまったくない。なぜなら、安倍首相がやろうとしているのはまったく逆の結果を生むものだからだ。

 もし、日本が本気で佐渡金山の登録をめざすのであれば、まずは「明治日本の産業革命遺産」に対して出された決議に基づいて「産業遺産情報センター」の展示を見直し、国際社会にその姿勢を示すのが先決だし、さらに今回の佐渡金山の推薦も「江戸時代の手掘りの伝統手工業遺産に対するものだ」(高市早苗政調会長の発言)などとただ反発するのではなく、佐渡金山における戦時中の強制労働の実態についてもしっかりと認めた上で韓国と対話することが必要だ。

 そうした努力もしないまま、強引に佐渡金山の世界遺産登録を主張しても、ユネスコがそれに応じることは、まずありえないだろう。それだけではない。一度世界遺産への登録が不可能と判断された推薦候補がその後、登録された例はない。 

 つまり、安倍元首相のこのゴリ押しによって、佐渡金山は今回だけでなく、将来にわたっても世界遺産登録が難しくなる可能性が高いのだ。

 しかし、安倍元首相は、そんなことはどうでもいいのだろう。なぜなら、安倍元首相やネトウヨの目的は、佐渡金山の世界遺産登録ではなく、今回の問題を朝鮮人強制労働の事実を否定する「歴史修正」に利用しようというものにすぎないからだ。

 事実、安倍元首相が勢いづいたのは、佐渡金山が国内候補に決定して韓国から反発を受けて以降のこと。しかも、27日には自身のFacebookでこう主張していた。

「(韓国側に)歴史戦を挑まれている以上、避けることはできない」

 周知のように、「歴史戦」という言葉は先の戦争を肯定する歴史修正主義者の言論拠点である産経新聞が生み出したネトウヨ用語。そんな言葉を堂々と使ったことからも、「徴用工問題は絶対に認めない」という、歴史的事実を捻じ曲げるためだけにユネスコへの推薦をゴリ押ししたのは明らかだ。

 ◆安倍の頭の中は「ネトウヨ趣味」と「政治力維持」だけ、関係者に「安倍フォン」かけまくり

 そもそも、佐渡金山の世界遺産登録の大きな阻害要因となっている「明治日本の産業革命遺産」をめぐる国際公約破りや、「産業遺産情報センター」での歴史修正主義宣伝も、安倍元首相の意向に基づくものといわれている。

 実際、安倍元首相は2020年、「産業遺産情報センター」を視察した際、Twitterで展示パネルの「戦時中の長崎造船所 徴用工に支払われていた給与+ボーナス」写真を貼り付けた上で〈当時の彼らの労働に対する待遇が本当はどうであったかを物語る貴重な資料〉〈いわれなき中傷への反撃はファクトを示す事が一番〉などと主張していた。

 当時、本サイトでは、安倍元首相が挙げた資料が徴用工の差別的待遇や強制労働を否定する「ファクト」ではけっしてなく、元徴用工の人びとが証言している強制動員・強制労働や差別的な扱いを「いわれなき中傷」などと決めつけている主張こそがフェイクであることを歴史的資料・証言に基づいて検証したが(既報参照→https://lite-ra.com/2020/10/post-5682.html)、安倍元首相は今回の佐渡金山をめぐっても、同じようなフェイク宣伝をやろうとしているのだろう。

 佐渡鉱山では長崎の端島をはじめとする地域と同様、朝鮮人が強制的に連行された上で危険な労働を強いられていたことが指摘されており、それは新潟県が編纂した通史でも記述されている事実だが、安倍元首相は佐渡金山の世界遺産登録働きかけ運動によって、同じように徴用工の強制労働、虐待否定を展開するはずだ。

 しかも、安倍元首相には、今回のユネスコへの推薦問題を歴史修正に利用しているだけではなく、自身の政治的影響力を誇示する目的もある。

 実際、外務省が今回のユネスコへの推薦に消極的な姿勢を見せると、安倍元首相は安倍派の会合で「論戦を避ける形で登録を申請しないというのは間違っている」「しっかりとファクトベースで反論していくことが最も大切だ」と発言。これは〈推薦を見送れば、党内の安倍氏に近い議員らが首相を見放しかねないとのメッセージ〉(朝日新聞29日付)だったが、じつは安倍元首相は裏でも策動。息のかかった関係官僚やメディア関係者に次々と「安倍フォン」をかけまくり、「世論を盛り上げろ」と指示していたという。

 安倍元首相は最近、自分と距離を置こうとする岸田首相に対して焦っていたというが、そんななかで持ち上がった今回の問題は、自分の政治力を岸田首相に見せつける絶好のチャンスだった。安倍元首相は昨年の総裁選でも自分の影響力を誇示して岸田氏を服従させるべく、高市支持を呼びかける「安倍フォン」を発動させたが、今回も同じように岸田首相を揺さぶろうと必死になっていたのだ。

 そして、安倍元首相の目論見どおり事は運び、岸田首相は完全に屈服。NHK読売新聞までもついに産経用語の「歴史戦」という文言まで用いて推薦することを後押しし、世間も「弱腰の岸田」「安倍元首相の主張はもっとも」などと評価しているのだ。つまり、すべては安倍元首相の思うツボとなったわけだ。

 だが、繰り返すが、今回の決定は「約束破りな上、二枚舌を使う」という国際社会からの信頼を失墜させる自殺行為にほかならず、日本が歴史修正主義による“ならず者国家”だと印象づけるだけの、愚行以外の何ものでもない。世界遺産登録をめぐって「歴史戦」などというネトウヨ用語が飛び交う状況こそが異常なのだと強く言っておきたい。(編集部

 元稿:LITERA・リテラ(本と雑誌の知を再発見) 主要ニュース 社会 【中国・韓国】  2022年01月30日  08:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

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【筆洗】:北朝鮮・中国国境の長白山脈の主峰は朝鮮名で白頭山(ペクトゥ…

2022-02-14 07:28:20 | 【国連・ユネスコ・世界遺産・世界有形無形文化遺産・記念物遺跡会議

【筆洗】:北朝鮮・中国国境の長白山脈の主峰は朝鮮名で白頭山(ペクトゥ…

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【筆洗】:北朝鮮・中国国境の長白山脈の主峰は朝鮮名で白頭山(ペクトゥ…

 北朝鮮・中国国境の長白山脈の主峰は朝鮮名で白頭山(ペクトゥサン)。標高二、七四四メートルである

 ▼朝鮮半島が日本の植民地だったころ、金日成氏が抗日パルチザン闘争の拠点とした。北朝鮮は「聖地」とあがめる

 ▼朝鮮民族発祥の地といわれ、韓国人観光客も中国経由で多く訪れる。南北間が融和ムードだった三年ほど前には、両首脳が一緒に登った

 ▼さて今週末、日本では立春も過ぎたというのに日本海側を中心にまとまった雪が降るらしいが、この聖なる山が原因に絡むよう。大陸からの冷たい風が長白山脈で二手に分かれ、日本海上で合流してできる日本海寒帯気団収束帯(JPCZ)が昨日、現れたと伝えられた。帯状の雪雲を断続的に発生させる。暮れに滋賀県彦根市などで降った大雪もJPCZがもたらしたというから、警戒が必要である

 ▼白頭山は過去に何度か噴火したが、一〇〇〇年ごろの噴火では火山灰が日本にも降った。東北や北海道で数センチの厚さで堆積しているという

 ▼北朝鮮は最近も、北京で「平和の祭典」が開幕するのを忘れたかのようにミサイルを放った。韓国は、日本が「佐渡島の金山」を世界文化遺産に推薦することに反発している。半島との不仲解消は容易でないが、向き合うのが宿命。寒気も灰もやってくる近さは変えられない。気に入らないからといって「風上にもおけない」と怒るだけではいけないだろう。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【筆洗】  2022年02月05日  07:05:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【卓上四季】:人類共通の宝

2022-02-14 05:05:15 | 【国連・ユネスコ・世界遺産・世界有形無形文化遺産・記念物遺跡会議

【卓上四季】:人類共通の宝

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【卓上四季】:人類共通の宝

 水門が崩壊し水が引いた湖底から現れたのは、古代ローマの都市だった。圧倒的な景観を前に怪盗ルパン三世は言う。「まさに人類の宝ってやつさ。俺のポケットには大きすぎらあ」。宮崎駿監督の映画「カリオストロの城」の佳境である

 ▼世界遺産条約採択は映画公開の7年前、1972年のこと。「全人類のための世界の遺産として保存する」という前文の意義を体現したかのようなセリフだった

 ▼条約の端緒はダム建設で水没の危機にあったエジプトのヌビア遺跡群の救済だった。国連教育科学文化機関(ユネスコ)の呼び掛けに国際社会が応じ、歴史的移築が実現したのも、人類全体の宝だったからということを忘れてはなるまい

 ▼日本政府が佐渡金山の世界遺産登録に向けた推薦書提出を決めた。「強制労働があった」と反発する韓国との対話は不可欠。近年はアウシュビッツなど負の遺産の意義も見直されており、議論を深める機会となろう

 ▼気がかりなのは「日本国の名誉に関わる」と登録目的を履き違えた言動である。世界遺産は当該国に保護の義務を課すもので登録数を競う国別対抗戦ではない。それでは五輪のメダル数に拘泥するのと同じである

 ▼政府が推薦見送り方針を転換したのは与党内の激しい反発があったからだとか。万一世界遺産の意義をポケットに入れるような不届きあらば、ユネスコも重い腰を上げざるを得まい。2022・2・11

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【卓上四季】  2022年02月11日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②】:佐渡金山の推薦 負の歴史も含め遺産だ

2022-02-08 05:05:40 | 【国連・ユネスコ・世界遺産・世界有形無形文化遺産・記念物遺跡会議

【社説②】:佐渡金山の推薦 負の歴史も含め遺産だ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:佐渡金山の推薦 負の歴史も含め遺産だ 

 政府は世界文化遺産に新潟県の「佐渡島(さど)の金山」を推薦することを決め、国連教育科学文化機関(ユネスコ)に推薦書を出した。

 佐渡金山は江戸時代に各国の鉱山が機械化する中、手作業で採掘して世界最大級の金の産出量を誇った。ユネスコの諮問機関が現地を調査した上で来年夏には登録の可否が決まる。

 ただ、韓国は戦時中に朝鮮半島出身者が強制労働させられた現場だとして撤回を求めている。佐渡金山での強制動員は新潟県史など地元の文献にも明記される。

 ユネスコの理念は教育や文化を通じて差別をなくし、平和と人権を尊重する精神をつくることだ。世界遺産については人類共通の遺産として保護するため、加盟国の対話と合意を重視している。

 政府は登録を目指すなら、この理念を踏まえて歴史の負の側面に誠実に向き合い、韓国に丁寧に説明していく必要がある。

 韓国が反対する背景には、2015年に世界遺産登録された長崎市の端島(はしま)(通称・軍艦島)などの「明治日本の産業革命遺産」を巡る経緯がある。

 佐渡と同様、韓国が戦時の強制動員を理由に反対していたため、日本はユネスコ世界遺産委員会で登録に際し、犠牲者を記憶にとどめる措置を取ると表明した。

 だがユネスコ側は昨年夏、日本の対応が不十分だとして、改善を求める決議を採択した。

 政府はまず産業革命遺産について真摯(しんし)に対応し、国際的な約束を果たすことが欠かせない。

 ユネスコは昨年、世界の記憶(世界記憶遺産)に関して反対国があれば登録されない制度を導入した。中国による「南京大虐殺」登録を機に日本が主導したものだ。

 別の遺産とはいえ、韓国の反発を無視すれば整合性が取れまい。

 こうした状況から政府は当初、佐渡金山の推薦を見送る方針だった。ところが安倍晋三元首相ら自民党の保守派から見送るべきではないとの声が高まり、岸田文雄首相は一転して推薦を表明した。

 佐渡金山の推薦内容は江戸時代までのため、保守派らは戦時中のことは無関係と主張する。

 だがユネスコ側は展示に社会的、歴史的な背景まで幅広く反映することを求めている。他国の炭鉱遺産などでは移民らの過酷な労働も記録し、展示している。

 佐渡金山の価値が高いと主張するのであれば、歴史全体を隠さず提示して理解を求めてこそ、世界遺産にふさわしいと言えよう。

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2022年02月08日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説①》:佐渡島の金山 「歴史戦」を争うむなしさ

2022-02-04 09:30:40 | 【国連・ユネスコ・世界遺産・世界有形無形文化遺産・記念物遺跡会議

《社説①》:佐渡島の金山 「歴史戦」を争うむなしさ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①》:佐渡島の金山 「歴史戦」を争うむなしさ 

 岸田文雄政権がきのう、世界文化遺産に、新潟県の「佐(さ)渡島(ど)の金山」を推薦した。

 平安時代から砂金が採れたと伝わる。江戸時代には山を削り、大量の水で流して砂金を採る「大流し」という技術を取り入れた。世界に例のない遺構が残る。

 韓国政府は、戦時中に朝鮮半島の人々が「強制労働させられた現場だ」と抗議している。摩擦を避けるため、岸田政権も推薦を見送るとみられていた。

 決定前、安倍晋三元首相は「歴史戦を挑まれている以上、避けることはできない」と主張した。自民党の高市早苗政調会長も「日本の名誉に関わる」と訴えた。

 日韓の対立をあおるような一部保守派による発言は、新潟の人たちの長年の悲願達成にかえって水を差しかねない。

 2015年に長崎市の端島(軍艦島)などが世界遺産に登録された際も、韓国は同様に、強制労働の歴史を挙げて反対した。

 この時は、日本が「犠牲者を記憶にとどめる対応を取る」と約束し理解を得た。なのに、差別的な対応はなかったとの証言内容を展示し、反発を強めた。国連教育科学文化機関(ユネスコ)世界文化遺産委員会は昨年、日本の説明は不十分とする決議を採択した。

 安倍政権は、朝鮮半島出身者に対する強制動員の問題を「1965年の日韓請求権協定で解決済みだ」と繰り返してきた。適切な対応を文在寅政権に迫り、通商分野で報復。韓国も応酬し、関係は悪化の一途をたどった。

 菅義偉前政権も、この路線を踏襲した。佐渡金山に向けられた韓国の非難は、積もり積もった不信の表れとも受け取れる。

 岸田首相が推薦見送りを翻したのは、夏の参院選を前に保守層の離反を警戒したためという。事実なら、あまりに主体性がない。

 「登録実現」が首相の本心なら「歴史戦」と決め付ける加害性の否定と距離を置くべきだ。尊厳の回復を求めている韓国の人々に応え得る、元徴用工、元従軍慰安婦問題の真の解決策を両国で探らなくてはならない。

 北朝鮮の核・ミサイル開発や日本人拉致の問題を打開し、米中の対立を抑えるためにも、韓国との関係改善が急がれる。

 ユネスコの審査は関係国の対話を重視する。折り合わなければ、無期延期もあり得る。「韓国の主張は受け入れられない」とする岸田政権が膠着(こうちゃく)を引きずれば、遺産登録を励みとする地元の人々を結局は裏切ることになる。

 元稿:信濃毎日新聞社 朝刊 ニュースセレクト 社説・解説・コラム 【社説】  2022年02月02日  09:31:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【政界地獄耳】:ユネスコ見送り 安倍元首相恫喝の皮肉/01.28

2022-02-03 07:13:20 | 【国連・ユネスコ・世界遺産・世界有形無形文化遺産・記念物遺跡会議

【政界地獄耳】:ユネスコ見送り 安倍元首相恫喝の皮肉/01.28

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【政界地獄耳】:ユネスコ見送り 安倍元首相恫喝の皮肉/01.28 

 ★政府は佐渡の金山遺跡のユネスコ世界記憶遺産登録申請を見送った。政府が弱腰なのは戦時中、朝鮮半島の出身者が大勢、過酷な強制労働の被害に遭った場所だと韓国政府が反発を強めているからだ。元首相・安倍晋三は20日、安倍派の会合で「論戦を避ける形で登録を申請しないというのは間違っている」「しっかりとファクトベースで反論していくことが最も大切」と岸田政権の対応を批判した。

 ★だが、もう1つ背景がある。なぜ日本政府が見送ったかといえば15年、当時の安倍政権の要求でユネスコは昨年から世界記憶遺産登録当時、反対する国がある場合は審査を中断して期限を決めず対話するよう制度を改めた。日本が要求して決めた制度のために韓国が反対することは必至で登録される見通しが立たないとの判断から岸田政権は断念したということになる。

 ★日本政府のユネスコへの制度改定は15年、中国が「南京大虐殺の文書」などの登録に安倍政権が強く反発したことから始まる。日中間の認識に相当の違いがある事柄を中国側だけの主張に基づいての登録は不公正と訴えたのだ。当時の官房長官・菅義偉はユネスコへの分担金・拠出金の支払い停止にまで言及した。それでも登録が決まったことに日本政府が猛然とかみついた末にできた新制度ということになる。安倍政権はまっとうな主張をしたつもりだったろうが、国際社会は自国に都合いい歴史だけを評価しようとするわがままとカネを止めるというどう喝に厳しく反応。この新制度では中国や韓国に関わりのある世界記憶遺産は関係国との決着がつくまで登録できないことになるだろうし、それは日本政府の考えだということになる。目先の感情は歴史の前ではひとたまりもない。(K)※敬称略

政界地獄耳

 政治の世界では日々どんなことが起きているのでしょう。表面だけではわからない政界の裏の裏まで情報を集めて、問題点に切り込む文字通り「地獄耳」のコラム。けして一般紙では読むことができません。きょうも話題騒然です。(文中は敬称略)

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【コラム・政界地獄耳】  2022年01月28日  08:04:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

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【社説】:「佐渡島の金山」推薦 普遍的価値、どう伝える

2022-02-03 06:59:55 | 【国連・ユネスコ・世界遺産・世界有形無形文化遺産・記念物遺跡会議

【社説】:「佐渡島の金山」推薦 普遍的価値、どう伝える

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:「佐渡島の金山」推薦 普遍的価値、どう伝える 

 新潟県にある「佐渡島(さど)の金山」を世界文化遺産に登録するよう求めて、政府は国連教育科学文化機関(ユネスコ)に推薦書を提出した。ユネスコ世界遺産委員会の審査を受け、2023年度の登録を目指すという。

 これに対し、韓国が朝鮮半島出身者が強制労働させられていた場所だとして強く反発しており、登録への道は険しいと言わざるを得ない。日韓関係がさらに悪化する懸念も強い。

 軍事的な圧力を強める中国や北朝鮮をにらみ、米国を加えた日韓の連携強化が求められる重要な時期である。

 岸田文雄首相は自ら述べたように「冷静で丁寧な議論、対話」を基本に、遺跡の持つ「普遍的な価値」への理解が広がるよう、誠実に対応すべきだ。

 佐渡金山は、二つの鉱山遺跡で構成され、江戸時代の17世紀には世界最大級の金の産出量を誇った。採取から精錬まで手工業で行われていた時代の遺跡は世界でも例がない。

 新潟県や佐渡市は20年以上も登録を目指して活動を続けてきた。しかし国の文化審議会が昨年末に候補に選定するよう答申すると、韓国が歴史問題を理由に強く反発。現状では登録は困難だとして、首相も一時は推薦を見送る意向だったという。

 それが一転したのは、安倍晋三元首相ら自民党内から推薦を迫る突き上げがあったためとされる。安倍氏は「歴史戦を挑まれている以上、避けることはできない」と主張し、高市早苗政調会長も「国家の名誉に関わる問題だ」と訴えた。

 首相としては夏の参院選を控え、「弱腰」との批判が強まり、保守支持層の離反を招く事態を避けたかったのだろう。

 今回推薦された対象は、江戸時代の金の生産システムである。戦時中の強制労働被害の歴史問題とは切り離して、金山の持つ文化的価値の観点から登録の是非を議論するのが筋だとの声もある。さらに政治的な争点化にこだわる韓国側の対応も受け入れがたい。

 しかし、日本側も旧植民地時代の負の歴史と正面から向き合う姿勢を示さなければ、国際的な理解は広がらないのではないか。日韓対立をあおり、文化を政治利用するような発言とは一線を画すべきだ。

 韓国が強硬に反対する姿勢の根元には、15年に登録された「明治日本の産業革命遺産」を巡る経緯がある。

 韓国はこのときも、長崎市の端島(はしま)=通称・軍艦島=などで強制労働があったとして登録に強く反対した。政府は韓国側の主張に対応する形で、世界遺産委員会で「犠牲者を記憶にとどめるために適切な対応をとる」と約束し、登録にこぎ着けた。

 ところが20年に開設した「産業遺産情報センター」の展示には、朝鮮半島出身者への差別はなかったとする証言などが含まれ、韓国側が再び反発を強めた。さらに昨年の世界遺産委員会では、日本側の対応が不十分だとして「強い遺憾」を示す決議が採択されている。

 ユネスコの審査は近年、関係国間の対話を重視する。日韓対立が続けば、2国間協議を促されて審査が滞る懸念もある。韓国との関係改善を進めるためにも、まず産業革命遺産についてきちんと対応し、国際社会への約束を果たす必要がある。

 元稿:中國新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2022年02月03日  06:59:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【岸田首相】:安倍のせいで「佐渡金山」世界遺産は逆に絶望的に! 

2022-01-31 08:10:50 | 【国連・ユネスコ・世界遺産・世界有形無形文化遺産・記念物遺跡会議

【岸田首相】:安倍のせいで「佐渡金山」世界遺産は逆に絶望的に!  ■歴史修正主義宣伝と影響力誇示のためだけに“安倍フォン”かけまくり関係者に圧力

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【岸田首相】:安倍のせいで「佐渡金山」世界遺産は逆に絶望的に!  ■歴史修正主義宣伝と影響力誇示のためだけに“安倍フォン”かけまくり関係者に圧力 

 2023年の世界文化遺産登録を目指す国内候補に選ばれた「佐渡島の金山」(新潟県佐渡市)について、政府がユネスコへの推薦を「見送る」とした報道から一転、28日、岸田文雄首相は「本年申請をおこない、早期に議論を開始することが登録実現への近道であるという結論に至った」と公表、ユネスコへ推薦すると表明した。

安倍のせいで「佐渡金山」世界遺産は逆に絶望的に! 歴史修正主義宣伝と影響力誇示のためだけに安倍フォンかけまくり関係者に圧力の画像1

              安倍晋三Facebookより

 岸田首相は「変わったとか(方針を)転換したとの指摘は当たらない」と述べたが、安倍晋三・元首相からのゴリ押しに屈したことは一目瞭然だ。

 佐渡金山は昨年末の2021年12月28日に文化庁が文化審議会においてが国内候補に選定されたと発表したのだが、この決定に対し、佐渡金山は戦時中に朝鮮人の強制労働がおこなわれた歴史があることから韓国政府が反発。外務省も「登録が見込めない」という理由からユネスコへの推薦に消極的な姿勢を示していた。

 ところが、急に安倍元首相がしゃしゃり出るようになり、「(韓国に)ファクトベースでしっかり反論すべきだ」「論戦を避けた形で申請しないのは間違っている」などと主張。自民党政調会長である高市早苗氏やネトウヨ論客たちも一斉に岸田バッシングを開始し、ついに岸田首相は見送りの方針を一転させたのだ。

 だが、暗澹とさせられるのは、今回のユネスコ推薦決定に対し、ネトウヨたちだけではなく、マスコミや世論からも「安倍元首相や高市氏の主張は当然」「韓国が政治問題化させているだけ」という声があがり、「岸田首相が弱腰すぎた」などと安倍元首相のゴリ押しを評価する向きがあることだ。

 まったく何を言っているんだか、という話だろう。まず、そもそも岸田首相や外務省がユネスコへの推薦に消極的だったのは、戦時中の朝鮮人強制労働の歴史を重く見たとか、そういう理由ではまったくなく、自分たちの「二枚舌」が国際的に問題となることを見越した上での判断だった。

 というのも、日本政府は2015年に中国が世界記憶遺産(現・世界の記憶)に申請した「南京大虐殺の文書」が登録されたことや2016年に日中韓などの民間団体が旧日本軍「従軍慰安婦」にかんする資料を申請したことに対して「政治利用されている」などと猛反発し、ユネスコに審査方法の見直しを要求。2017年には日本政府の強い反対によって慰安婦関係資料の登録判断が延期され、登録申請の受付も中断させていた。そうしたことを受けて、ユネスコの執行委員会は2021年4月、加盟国による異議申し立てを認め、関係国が無期限で対話するなど「加盟国の反対がある限り遺産登録を見合わせる」という制度改革案を承認したのだ。

 つまり、日本政府が南京大虐殺や従軍慰安婦にかんする文書・資料の登録・申請に猛反発し、加盟国の反対があれば遺産登録を見合わせられるという制度をユネスコに導入させたというのに、今回は韓国から反対の声があがっていることも無視して推薦しようというのだ。

 今回は世界文化遺産への登録をめざすもので「世界の記憶」とは制度が異なるが、無論、「言っていることとやっていることが違う」とユネスコや国際社会から反感を買うのは火を見るより明らか。だからこそ、外務省は佐渡金山のユネスコ推薦に消極的だったのだ。現に、〈外務省内では、「今回は日本が逆の立場になり、韓国の反発がある中で推薦すれば国際社会の信用を失いかねない」との判断も働いた〉(読売新聞20日付)といい、今回の推薦決定を受けて、〈韓国が反発する中で推薦することで「日本のこれまでの主張と整合性がとれなくなる」(外務省幹部)との懸念が出ている〉(毎日新聞29日付)という。 

 ◆「明治日本の産業革命遺産」では、「徴用の実施」をきちんと説明すると言いながら約束を反故に

 しかも、問題はこれだけではない。世界遺産登録をめぐっては、日本側はユネスコの世界遺産委員会との約束を堂々と破り、昨年には世界遺産委員会が「強い遺憾を示す」とする決議を採択しているからだ。

 問題となっているのは、2015年に当時の安倍首相の肝いりによって世界遺産に登録された「明治日本の産業革命遺産」。この世界遺産登録には韓国が反発していたが、日本側は朝鮮人徴用工について〈意思に反して連れて来られ、厳しい環境の下で働かされた多くの朝鮮半島出身者等がいたこと〉を認め、〈第二次世界大戦中に日本政府としても徴用政策を実施していたことについて理解できるような措置を講じる〉(内閣官房「産業遺産情報センターの在り方等について(第一報告書))」)と約束していた。

 ところが、世界遺産登録後の2017年に日本側がユネスコへ提出した「保全状況報告書」では、朝鮮人徴用工について「戦前、戦中、戦後にかけて日本の産業を支えた多くの朝鮮半島出身者がいた」という記述で強制連行や過酷労働の実態を矮小化。2019年に出された「保全状況報告書」では朝鮮人徴用工について一切触れないという下劣な手に出た。

 さらに、「徴用政策を実施していたことについて理解できるような措置を講じる」という約束から設置された「産業遺産情報センター」の一般公開では、徴用工の置かれた過酷な状況を説明するどころか、父親が軍艦島炭鉱で働いていたという人の「いじめられたとか、指さされて『あれは朝鮮人ぞ』とは全く聞いたことがない」という証言を紹介、給与やボーナスが支払われていた物証などを展示したのだ。

 あらためて言っておくが、戦時中の朝鮮人強制連行は、当事者の証言だけでなく、公文書を含んだ史料がいくつも残っている歴史的事実だ。また周知のように、徴用工は企業によって、一部、日本人と変わらない待遇を受けているケースもあったが、大半が日本人とまったく違う劣悪な環境で働かされ、虐待や暴力を受けていたこ。そのことは、戦時中の日本政府の文書など公文書にも記録されている客観的事実だ。

 ところが、同センターはそうした事実をほとんど無視して、逆にごく一部のケースを強調して強制労働の否定を宣伝したのだ。

 当然、こうした展示実態をユネスコの世界遺産委員会も問題視。2021年7月の報告書では、「産業遺産情報センター」への専門家の現地視察を踏まえて、「朝鮮半島出身者らが意思に反して連れてこられ労働を強いられたと認識するのは難しそうだという強い印象が残った」と指摘。そして、2021年7月22日に世界遺産委員会は朝鮮半島出身者らが強いられた労働についての説明が不十分なままだと判断し、「強い遺憾を示す」とする決議を全会一致で採択。「意思に反して連れてこられ、厳しい環境の下で働かされた多くの朝鮮半島出身者らがいたことや、日本政府の徴用政策について理解できるような措置」を考慮することを迫ったのだ。

 だが、このユネスコの決議に対しても、当時の加藤勝信官房長官は「約束した措置を含め誠実に実行し、履行してきた」と反論。まるで反省がないという絶句するような態度をとったのである。

 ◆安倍は自らネトウヨ用語の「歴史戦」を宣言! おかげで佐渡金山の世界遺産登録は絶望的に

 ユネスコとの約束を反故にして、突きつけられた決議に真摯に向き合うこともないのに、平然と次の世界文化遺産候補を推薦することは、怒りを買う行為にほかならない。しかも、前述したように「加盟国の反対がある限り遺産登録を見合わせる」という制度変更を要求してきたくせに、今度は加盟国から反発が起こっている案件を推薦しようというのだ。こんな不誠実な態度、下劣な二枚舌を使えば、国際社会は呆れ返り、すでにガタ落ちしている信頼はさらに失墜し、相手にされないのは目に見えている。外務省が消極的だったのは当たり前の話だろう。

 ところが、安倍元首相はこうした国際的な常識もおかまいなし。ここぞとばかりに佐渡金山のユネスコ推薦をゴリ押ししたのである。 

 言っておくが、安倍首相の目的は、「世界遺産登録によって佐渡金山の価値を広めたい」というようなものではまったくない。なぜなら、安倍首相がやろうとしているのはまったく逆の結果を生むものだからだ。

 もし、日本が本気で佐渡金山の登録をめざすのであれば、まずは「明治日本の産業革命遺産」に対して出された決議に基づいて「産業遺産情報センター」の展示を見直し、国際社会にその姿勢を示すのが先決だし、さらに今回の佐渡金山の推薦も「江戸時代の手掘りの伝統手工業遺産に対するものだ」(高市早苗政調会長の発言)などとただ反発するのではなく、佐渡金山における戦時中の強制労働の実態についてもしっかりと認めた上で韓国と対話することが必要だ。

 そうした努力もしないまま、強引に佐渡金山の世界遺産登録を主張しても、ユネスコがそれに応じることは、まずありえないだろう。それだけではない。一度世界遺産への登録が不可能と判断された推薦候補がその後、登録された例はない。  

 つまり、安倍元首相のこのゴリ押しによって、佐渡金山は今回だけでなく、将来にわたっても世界遺産登録が難しくなる可能性が高いのだ。

 しかし、安倍元首相は、そんなことはどうでもいいのだろう。なぜなら、安倍元首相やネトウヨの目的は、佐渡金山の世界遺産登録ではなく、今回の問題を朝鮮人強制労働の事実を否定する「歴史修正」に利用しようというものにすぎないからだ。

 事実、安倍元首相が勢いづいたのは、佐渡金山が国内候補に決定して韓国から反発を受けて以降のこと。しかも、27日には自身のFacebookでこう主張していた。

 「(韓国側に)歴史戦を挑まれている以上、避けることはできない」

 周知のように、「歴史戦」という言葉は先の戦争を肯定する歴史修正主義者の言論拠点である産経新聞が生み出したネトウヨ用語。そんな言葉を堂々と使ったことからも、「徴用工問題は絶対に認めない」という、歴史的事実を捻じ曲げるためだけにユネスコへの推薦をゴリ押ししたのは明らかだ。

 ◆安倍の頭の中は「ネトウヨ趣味」と「政治力維持」だけ、関係者に「安倍フォン」かけまくり

 そもそも、佐渡金山の世界遺産登録の大きな阻害要因となっている「明治日本の産業革命遺産」をめぐる国際公約破りや、「産業遺産情報センター」での歴史修正主義宣伝も、安倍元首相の意向に基づくものといわれている。

 実際、安倍元首相は2020年、「産業遺産情報センター」を視察した際、Twitterで展示パネルの「戦時中の長崎造船所 徴用工に支払われていた給与+ボーナス」写真を貼り付けた上で〈当時の彼らの労働に対する待遇が本当はどうであったかを物語る貴重な資料〉〈いわれなき中傷への反撃はファクトを示す事が一番〉などと主張していた。 

 当時、本サイトでは、安倍元首相が挙げた資料が徴用工の差別的待遇や強制労働を否定する「ファクト」ではけっしてなく、元徴用工の人びとが証言している強制動員・強制労働や差別的な扱いを「いわれなき中傷」などと決めつけている主張こそがフェイクであることを歴史的資料・証言に基づいて検証したが(既報参照→https://lite-ra.com/2020/10/post-5682.html)、安倍元首相は今回の佐渡金山をめぐっても、同じようなフェイク宣伝をやろうとしているのだろう。

 佐渡鉱山では長崎の端島をはじめとする地域と同様、朝鮮人が強制的に連行された上で危険な労働を強いられていたことが指摘されており、それは新潟県が編纂した通史でも記述されている事実だが、安倍元首相は佐渡金山の世界遺産登録働きかけ運動によって、同じように徴用工の強制労働、虐待否定を展開するはずだ。

 しかも、安倍元首相には、今回のユネスコへの推薦問題を歴史修正に利用しているだけではなく、自身の政治的影響力を誇示する目的もある。 

 実際、外務省が今回のユネスコへの推薦に消極的な姿勢を見せると、安倍元首相は安倍派の会合で「論戦を避ける形で登録を申請しないというのは間違っている」「しっかりとファクトベースで反論していくことが最も大切だ」と発言。これは〈推薦を見送れば、党内の安倍氏に近い議員らが首相を見放しかねないとのメッセージ〉(朝日新聞29日付)だったが、じつは安倍元首相は裏でも策動。息のかかった関係官僚やメディア関係者に次々と「安倍フォン」をかけまくり、「世論を盛り上げろ」と指示していたという。

 安倍元首相は最近、自分と距離を置こうとする岸田首相に対して焦っていたというが、そんななかで持ち上がった今回の問題は、自分の政治力を岸田首相に見せつける絶好のチャンスだった。安倍元首相は昨年の総裁選でも自分の影響力を誇示して岸田氏を服従させるべく、高市支持を呼びかける「安倍フォン」を発動させたが、今回も同じように岸田首相を揺さぶろうと必死になっていたのだ。

 そして、安倍元首相の目論見どおり事は運び、岸田首相は完全に屈服。NHK読売新聞までもついに産経用語の「歴史戦」という文言まで用いて推薦することを後押しし、世間も「弱腰の岸田」「安倍元首相の主張はもっとも」などと評価しているのだ。つまり、すべては安倍元首相の思うツボとなったわけだ。

 だが、繰り返すが、今回の決定は「約束破りな上、二枚舌を使う」という国際社会からの信頼を失墜させる自殺行為にほかならず、日本が歴史修正主義による“ならず者国家”だと印象づけるだけの、愚行以外の何ものでもない。世界遺産登録をめぐって「歴史戦」などというネトウヨ用語が飛び交う状況こそが異常なのだと強く言っておきたい。(編集部

 元稿:LITERA・リテラ(本と雑誌の知を再発見) 主要ニュース 社会 【中国・韓国】  2022年01月30日  08:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

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【新潟県】:佐渡金山巡り、花角知事が苦言 世界遺産推薦未定の政府に

2022-01-19 12:11:30 | 【国連・ユネスコ・世界遺産・世界有形無形文化遺産・記念物遺跡会議

【新潟県】:佐渡金山巡り、花角知事が苦言 世界遺産推薦未定の政府に

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【新潟県】:佐渡金山巡り、花角知事が苦言 世界遺産推薦未定の政府に

 国の文化審議会が世界文化遺産登録の候補に選んだ「佐渡島の金山」を巡り、新潟県の花角英世知事は19日の記者会見で、国連教育科学文化機関(ユネスコ)への推薦を正式決定していない政府に対し「不適当ではないか。棚上げや先送りはしないでもらいたい」と苦言を呈した。

 7日、末松文科相(中央右)に要望書を手渡す新潟県の花角英世知事(同左)=文科省

 7日、末松文科相(中央右)に要望書を手渡す新潟県の花角英世知事(同左)=文科省

 文化審議会は昨年末、佐渡金山を推薦候補に選定した。しかし、かつて朝鮮半島出身者が強制労働させられたと主張する韓国が反発。2023年に審査を受ける候補の推薦書提出期限が2月1日に迫る中、政府は「総合的に検討している」などとし、推薦決定を留保している。(共同通信)

 元稿:東京新聞社 主要ニュース 政治 【地方自治・新潟県・国の文化審議会が世界文化遺産登録の候補に選んだ「佐渡島の金山」】  2022年01月19日  12:11:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②】:ユネスコ決議 「遺憾」解消する説明を

2021-08-02 07:02:30 | 【国連・ユネスコ・世界遺産・世界有形無形文化遺産・記念物遺跡会議

【社説②】:ユネスコ決議 「遺憾」解消する説明を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:ユネスコ決議 「遺憾」解消する説明を 

 日本の世界文化遺産に関する説明を巡り、国連機関が不十分だとして「強い遺憾」を表明した。日本政府は謙虚に耳を傾け、見直しを進めてほしい。
 
 軍艦島=写真=の愛称で知られる長崎県の端島(はしま)炭坑などの「明治日本の産業革命遺産」は、国連教育科学文化機関(ユネスコ)世界遺産委員会によって、世界文化遺産として登録された。
 
 これを受け、日本政府は昨年、「産業遺産情報センター」(東京都新宿区)を開設。遺産に関する情報発信を始めたが、展示内容に関する論議が絶えず、ユネスコは専門家による調査チームを日本に派遣し、報告書をまとめた。
 
 これを土台に出された決議は、徴用された朝鮮人労働者を巡る同センターの説明に不備があると結論付けた。例えば軍艦島についての展示は、中国や朝鮮半島から多くの労働者が動員されたと伝えているが、日本人からの差別はなかったなどとする元島民の証言を大きく紹介している。
 
 日本政府は当時支配下にあった朝鮮半島出身者は日本国民として「徴用」し「国際法に違反する強制労働ではない」と主張する。展示内容もこれを踏まえたものだ。
 
 しかし動員の合法性を主張する前に、言葉も十分通じないまま地下の深い場所で、長時間労働に従事した若者たちの気持ちを想起する必要があるのではないか。
 
 そもそも日本のユネスコ大使は登録に当たり、一部施設で過酷な条件下で労働させられていたことを理解できる措置を取ると表明していた。現状は、この約束を守っているとは言えまい。
 
 製鉄所や炭鉱といった近代の産業遺産には、強制労働などの「負の側面」が必ずある。そうした証言も集め、教訓として世界に向けて伝えることが、むしろ遺産としての価値を高めるはずだ。
 
 調査チームの報告書は、犠牲者を記憶するための展示や、当事国間の対話継続を求めている。日本政府は誠実に実行してほしい。
 
 情報センターの役割は、産業遺産の全体像を次世代に語り継ぐことだ。歴史や法律論争の場にしてはならない。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2021年07月29日  07:20:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【世界文化遺産】:「北海道・北東北の縄文遺跡群」、古代に学ぶ持続可能社会のあり方

2021-07-12 07:00:30 | 【国連・ユネスコ・世界遺産・世界有形無形文化遺産・記念物遺跡会議

【世界文化遺産】:「北海道・北東北の縄文遺跡群」、古代に学ぶ持続可能社会のあり方

『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【世界文化遺産】:「北海道・北東北の縄文遺跡群」、古代に学ぶ持続可能社会のあり方 

 北海道と東北3県(青森、岩手、秋田)に点在する「北海道・北東北の縄文遺跡群」が、16日から行われる世界遺産委員会で「世界文化遺産」に登録される見通しだ。

 道内での世界遺産は05年の自然遺産「知床」に続き2例目。推進活動を続けてきた「北海道・北東北の縄文遺跡群の世界遺産登録をめざす道民会議(北の縄文道民会議)」の戎谷侑男事務局長(75)に、世界遺産登録の意義と価値、今後について聞いた。【聞き手=奥村晶治】

遺跡群の冊子を手にする北の縄文道民会議・戎谷事務局長(撮影・奥村晶治)遺跡群の冊子を手にする北の縄文道民会議・戎谷事務局長(撮影・奥村晶治)

大船遺跡(JOMON ARCHIVES提供)大船遺跡(JOMON ARCHIVES提供)

垣ノ島遺跡(JOMON ARCHIVES提供)垣ノ島遺跡(JOMON ARCHIVES提供)

   ◇   ◇   ◇

 世界遺産への夢がもうすぐ実現する。国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関が5月に「北海道・北東北の縄文遺跡群」を世界文化遺産に登録するよう勧告し、今月16~31日にオンライン開催される世界遺産委員会で正式に決まる見通しだ。

 -長きにわたる取り組みが今、実ろうとしている

 戎谷氏 想像を絶するほどうれしい話。今回の世界遺産委員会では、「奄美大島・徳之島、沖縄島北部及び西表島」の自然遺産とともに決まるのではと思っています。南と北で、大きなうねりが始まろうとしている。日本にとっても明るいニュースです。

 -世界文化遺産になる意義と価値は

 戎谷氏 縄文文化は自然と共生しながら1万年もの長きにわたって続いた日本独自の文化。狩猟、漁労、採集を基盤とし、無駄に余分なものを捕らず、争いのない平和な時代だったと思います。いま世界中で推し進められている持続可能(サスティナビリティー)な社会を、すでに実現していたという意味では驚くべきこと。縄文文化の持つ精神性や畏敬の念など、私たちがいま学ぶべきことはたくさんあると考えています。

 -北海道の新たな観光資源としての期待も高まるのでは

 戎谷氏 北海道の遺跡群は函館、洞爺、伊達、千歳に点在し、この点と点を結んだルートを「縄文街道」として期待しています。間違いなく地域の活性化につながります。ほかにも北海道には、登録されていない貴重な遺跡が礼文やオホーツク、余市や小樽などにもあります。この機会に「縄文北海道」として一大観光振興地域に発展していくかもしれません。2030年に新幹線が札幌まで延伸されると、さらに可能性が広がっていくと思います。 

 -これからの課題、準備すべきことなどは

 戎谷氏 まずは観光地としての受け入れ態勢を整えなければいけません。駐車場や休憩場(トイレ)、渋滞を緩和する迂回(うかい)路の整備、それにお土産店なども必要ですね。何十万人もの観光客が訪れますから。皮肉なことに、このコロナ禍で、準備期間ができているという前向きな捉え方もできます。

 -地域の活性化やビジネスチャンスにつながる可能性は

 戎谷氏 すでに飲食店では縄文カレーや鍋、スイーツ、弁当などが販売されています。縄文をキーワードにしたTシャツやトートバッグなど各種グッズの販売も好調に伸びています。「世界遺産」というこの4文字が、どれだけ地域に財をもたらすか。これは私の持論ですが、発掘されたものは偶然ではなく、必然的に、会いたくて、見てほしくて出てきているのだと思います。発掘された遺跡などは閉まっておくのではなく、できるだけ「見える化」してほしいというのが私の願いです。縄文文化という日本の、世界の宝を通じ、みんなで盛り上がっていければと思います。

◆戎谷侑男(えびすたに・ゆきお)1946年(昭21)3月24日、滝川市生まれ。北海道中央バスグループの旅行会社シィービーツアーズ代表を経て、今年4月から北海道中央バス観光事業推進本部副部長兼シィービーツアーズカンパニーディレクターに就任。たきかわ観光協会副会長、NPO法人北海道遺産協議会理事などを務める。

◆北海道・北東北遺跡群 約1万5000~2400年前の縄文時代の遺跡で、青森市の三内丸山遺跡など北海道、青森、岩手、秋田にある集落や墓地、祭祀(さいし)儀礼の場である環状列石などを17の遺跡で構成されている。北海道は「垣ノ島遺跡」「大船遺跡」(ともに函館市)、「高砂貝塚」「入江貝塚」(ともに洞爺湖町)、「北黄金貝塚」(伊達市)、「キウス周堤墓群」(千歳市)の6遺跡。縄文時代は、ヨーロッパでは、旧石器時代から鉄器時代、古代ローマ帝国成立までの時代に相当する。

<世界遺産への歩み>

 02年 北海道、青森、岩手、秋田の4知事サミットで「北の縄文文化回廊づくり構想」が提唱

 07年 4道県で「北海道・北東北の縄文遺跡群」の世界文化遺産推進を確認

 08年 「北の縄文文化を発信する会」が発足

 12年 「北海道・北東北の縄文遺跡群の世界遺産登録をめざす道民会議」結成

 19年 文化庁の文化審議会が「北海道・北東北の縄文遺跡群」を世界文化遺産の推薦候補に決定

 21年 世界遺産委員会の諮問機関であるイコモス(国際記念物遺跡会議)が世界遺産一覧表への「記載」適当と勧告

 ◆世界遺産

  72年にユネスコ総会で採択された世界遺産条約に基づき、78年から登録が始まった。ガラパゴス諸島(エクアドル)イエローストン国立公園(米国)などが第1号。日本は93年の「白神山地」「屋久島」「法隆寺地域の仏教建造物」「姫路城」から登録が始まった。現登録数は世界で1121件(文化869件、自然213件、複合39件)で日本は23件。

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・北海道と東北3県(青森、岩手、秋田)に点在する「北海道・北東北の縄文遺跡群】  2021年07月12日  07:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【縄文遺跡群】:道と4市町が協議会 7月にも 世界遺産へ準備

2021-05-31 06:05:30 | 【国連・ユネスコ・世界遺産・世界有形無形文化遺産・記念物遺跡会議

【縄文遺跡群】:道と4市町が協議会 7月にも 世界遺産へ準備

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【縄文遺跡群】:道と4市町が協議会 7月にも 世界遺産へ準備

 「北海道・北東北の縄文遺跡群」の世界文化遺産登録が確実になったことを受け、道は道内に関連遺跡がある4市町と、遺跡群のPRや観光客の受け入れ態勢整備などで連携する協議会を、7月中旬にも発足させる。同月の世界遺産登録正式決定を見据え、準備を加速させる。

 協議会は、道と函館市、伊達市、千歳市、胆振管内洞爺湖町でつくる予定。遺産の保全や活用、広報に関する取り組みを協議する予定で、詳細は今後詰める。道の担当者は「遺産を最大限生かすには自治体間の連携が重要」と話す。

 広報も本格化させる。道は当初、9月20~24日に道内で開催予定だった体験型観光の国際イベント「アドベンチャー・トラベル・ワールド・サミット」で、世界各地の旅行会社やメディアに縄文遺跡群を大々的にPRする予定だったが、同サミットは新型コロナウイルス感染拡大の影響でオンライン開催に。道は遺跡の紹介動画を作るほか、登録記念フォーラムのオンライン開催も企画している。

 元稿:北海道新聞社 主要ニュース 社会 【話題・「北海道・北東北の縄文遺跡群」の世界文化遺産登録が確実】  2021年05月31日  06:05:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②】:「縄文」世界遺産 価値伝える工夫が重要

2021-05-29 09:03:35 | 【国連・ユネスコ・世界遺産・世界有形無形文化遺産・記念物遺跡会議

【社説②】:「縄文」世界遺産 価値伝える工夫が重要

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:「縄文」世界遺産 価値伝える工夫が重要 

 道内と青森、岩手、秋田3県にまたがる「北海道・北東北の縄文遺跡群」が、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界文化遺産に登録される見通しとなった。

 正式に決まれば文化遺産としては国内20番目、道内の世界遺産では知床に次いで二つ目となる。

 対象となった遺跡群は、農耕を伴わず、狩猟や採集を基盤として長い年月定住を続けた縄文人の生活や文化を物語る。その独自性が人類共通の宝として評価された。

 関係者の粘り強い努力がようやく実を結ぶ。7月に予定される正式決定を心から期待したい。

 忘れてならないのは、遺跡群を守りつつ価値をしっかり伝えていくことだ。コロナ禍の収束を見据えて工夫を重ねる必要がある。

 縄文遺跡群は、大船遺跡(函館市)や北黄金貝塚(伊達市)など道内6遺跡と、縄文最大級の集落跡の三内丸山遺跡(青森市)などの計17遺跡で構成する。

 環状列石や共同墓地、貝塚といった多様な遺跡を含み、草創期から晩期まで1万年以上あった縄文時代の全ての時期を網羅する。

 ユネスコの諮問機関・国際記念物遺跡会議(イコモス)が世界遺産への登録を勧告した。

 イコモスは「先史時代における農耕を伴わない定住社会や複雑な精神文化を示す」と評価した。自然と共生しながら定住を長期間続けた点で世界的にまれという。

 縄文文化の特質はアイヌ文化にも受け継がれたと言われる。黒曜石などの遺物から津軽海峡を挟む広範囲の交易があったことも判明している。ただ未解明の部分は多く、多面的な研究を待ちたい。

 世界遺産登録を目指す動きは、4道県の知事サミットなどをきっかけに行政側から始まったものの、国内選考で落選を重ねた。

 大きな理由は、縄文遺跡は全国に存在するのに道内と北東北に限定する根拠が明確ではなかったことだ。イコモスの審査は今回通過したが、そうした経緯があったことに留意すべきだろう。

 17遺跡は広大なエリアに散在する。それだけに自治体間で連携して、見学者の周遊ルートの構築や遺跡群の総体的価値を説明する努力が今後も必要になる。

 それぞれの遺跡で展示や解説の充実に取り組みたい。知識や力量に富むガイドを養成することに加え、映像や画像などデジタル技術の活用も考えられる。

 遺跡の保全を最優先しつつ、官民が力を合わせて地域の活性化へ遺産を活用する道を探りたい。

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2021年05月28日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

 

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