路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

 路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

【社説①・11.28】:COP29合意 脱炭素の加速へ結束を

2024-11-29 16:05:20 | 【地球温暖化・温室効果ガス・排出量取引・国連条約COP・IPCC・海水温上昇

【社説①・11.28:COP29合意 脱炭素の加速へ結束を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・11.28】:COP29合意 脱炭素の加速へ結束を

 アゼルバイジャンで開かれていた国連気候変動枠組み条約第29回締約国会議(COP29)が閉幕した。

 発展途上国の地球温暖化対策に先進国が拠出する資金額を巡って紛糾し、会期を2日間延長して、合意にこぎつけた。ただ先進国と途上国の溝は依然深く、対策前進への道程は平たんではない。 

 途上国の脱炭素化や異常気象による被害対応を支援するため、先進国は2009年、年1千億ドル(約15兆円)を拠出することを約束し、目標より2年遅れて22年に達成した。COP29では今後の支援額などの調整が焦点だった。

 先進国側は2・5倍の年2500億ドルを提示したが、途上国側は13倍の規模を要求して対立。最後は、先進国が35年までに少なくとも年3千億ドルを支援することで合意した。

 世界全体では官民合わせて年1兆3千億ドルに支援を拡大し、中国や産油国など経済力のある国にも貢献を促すことも盛り込んだ。

 しかし合意内容に対し、インドが「目の錯覚だ」と強く反対するなど、途上国や新興国の多くが失望を表明。国連のグテレス事務総長も「直面する課題に対処するため、より野心的な成果を期待していた」と不満を表した。

 世界中で気候危機が深刻化する中、肝心の温室効果ガスの排出削減を巡る議論が進まなかったのもきわめて残念だ。

 国際枠組み「パリ協定」は、産業革命前からの気温上昇を1・5度以内に抑える目標を掲げる。だが現行の対策では不十分なのは明らかで、目標達成には35年の温室ガス排出を19年比で60%減らす必要があるのに、追加策は乏しい。

 中国に次いで温室ガス排出量が多い米国の動向も懸念される。トランプ次期大統領は温暖化対策に懐疑的で、1期目にはパリ協定から離脱した。今回も再離脱を主張しているが、取り組みへの打撃は計り知れず、各国はとどまるよう働きかけを強めねばならない。

 温室ガス排出削減の機運を高めようとCOP29の会期中、カナダや欧州連合(EU)などは1・5度目標実現へ対策を強める共同宣言を発表。英国など25カ国は石炭火力発電所を新設しないと宣言した。

 だが、いずれにも日本は参加せず、脱炭素化を主導する存在感を示せなかった。トランプ氏の「米国第一主義」に対し、国際協調が重要さを増す時期だからこそ、日本は役割を発揮すべきではなかったか。

 元稿:京都新聞社 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月28日  16:05:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説②・11.26》:COP29閉幕 危うい温暖化対策の協調

2024-11-26 09:31:45 | 【地球温暖化・温室効果ガス・排出量取引・国連条約COP・IPCC・海水温上昇

《社説②・11.26》:COP29閉幕 危うい温暖化対策の協調

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説②・11.26》:COP29閉幕 危うい温暖化対策の協調 

 途上国と先進国との隔たりを改めて浮き彫りにした会議だった。

 国連気候変動枠組み条約の締約国による第29回会議(COP29)が閉幕した。

 焦点は、気象災害に備えるインフラ整備や再生可能エネルギーの導入など、途上国が進める温暖化対策への資金支援の目標額をどこまで引き上げ、それを誰が負担するのかだった。

 最終的に、先進国主導で2035年までに年3千億ドル(約46兆円)以上を支援する目標設定で落着した。現在の年1千億ドルの3倍に当たるが、途上国側は10倍の1兆ドル規模を求めていた。会期の延長を余儀なくされた上、成果文書を採択した後も批判の声が上がった。薄氷の合意である。

 COPは、気象災害や食糧難といった温暖化の影響を最も受ける途上国が先進国に直言できる場である。決裂させず、その枠組みを守った意味は大きい。

 世界全体の拠出額を官民合わせて年1兆3千億ドル以上にしていく目標も採択されている。大事なのは合意を着実に履行し、さらに踏み込んだ目標に向け、取り組みを進められるかどうかだ。

 9年前に合意した「パリ協定」の実現は厳しさを増している。産業革命前からの平均気温の上昇幅を1・5度に抑えるため、今世紀後半の温室効果ガス排出の実質ゼロを目指すとしているが、上昇傾向に歯止めがかからない。

 それなのに、石油や石炭といった化石燃料の「脱却」で合意した昨年のCOP28に比べ、熱気を欠いた感は否めない。

 開催直前の米大統領選で、温暖化に否定的なトランプ氏の返り咲きが決まった。アルゼンチンは代表団を帰国させ、日本など主だった先進国の首脳も欠席した。

 各国は来年2月までに、35年までの温室効果ガスの新たな排出削減目標を提出する。先進国がそこでどれだけ高い目標を提示できるかが対策の成否を占う鍵になる。これまでの温暖化は、先進国が排出してきた大量の温室効果ガスに起因しているからだ。

 世界第2の経済大国にして最大の排出大国である中国など、新興国や産油国の協力を促すためにも果たすべき役割は重い。

 その責任の一端を担う日本の存在感が薄い。会議中に発足した石炭火力発電所の新設に反対する有志国連合に、米国とともに参加を見送った。先進7カ国ではこの2国のみだ。政府任せにはしておけない。市民も関心を高め、政治を動かしていく必要がある。

 元稿:信濃毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月26日  09:30:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《斜面・11.25》:みんなのゴール

2024-11-26 09:31:25 | 【地球温暖化・温室効果ガス・排出量取引・国連条約COP・IPCC・海水温上昇

《斜面・11.25》:みんなのゴール

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《斜面・11.25》:みんなのゴール

 果たして合意できるのか。気をもませた国連気候変動枠組み条約の第29回締約国会議がきのう、成果文書を採択して閉幕した。途上国への対策資金の支援額を巡って意見が対立した。会期を延長し、かろうじて国際協調の体裁を守った

 ◆2035年までに先進国主導で今の3倍にあたる年約46兆円以上に引き上げるとの内容だが、…(残り445文字/全文596文字)

 ■続きを読む

 元稿:信濃毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【斜面】  2024年11月25日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・11.26】:COP29閉幕 先進国は排出責任自覚せよ

2024-11-26 07:00:50 | 【地球温暖化・温室効果ガス・排出量取引・国連条約COP・IPCC・海水温上昇

【社説・11.26】:COP29閉幕 先進国は排出責任自覚せよ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・11.26】:COP29閉幕 先進国は排出責任自覚せよ 

 アゼルバイジャンで開かれていた国連気候変動枠組み条約第29回締約国会議(COP29)は、発展途上国に向けた先進国の支援について、2035年までに官民合わせて少なくとも年3千億ドル(約46兆円)とする目標で合意した。

 現行の3倍に上るが、途上国側には年1兆ドル超を求める声もあった。国連のグテレス事務総長は「より野心的な成果を期待していた」と不満をにじませた。

 脱化石燃料の取り組みも昨年のCOP28の成果文書の確認にとどまった。産業革命以来の気温上昇を15度に抑えるという目標達成が絶望的になった危機感を反映した成果とはいえず、残念だ。

 途上国への支援金はクリーンエネルギーへの転換や異常気象による被害対応に使われる。背景には、先進国が大量に出した温室効果ガスによって、ほとんど排出しない途上国の貧困層が最初に大きな影響を受けるという不公正さがある。支援の規模が小さいとする途上国の反発は理解できる。大排出国の一つである日本も責任を自覚すべきだ。

 ただ支援金は、先進国にも簡単に出せる額ではない。どこにどんな対策が要るのかをはっきりさせることも重要だろう。支援の総額だけを突き付けられては困る面もある。

 「気候変動はうそだ」と唱え、対策の国際枠組み「パリ協定」からの離脱を表明している米国のトランプ次期大統領の存在が、議論の停滞を招いた点は否めない。

 米国が支援金を出さず、日本や欧州の負担が膨れる可能性もある。トランプ氏にこの問題の重要さを分からせる努力を国際社会は惜しんではならない。支援を確実にするため、中国や中東の産油国にも資金を出させるよう仕組みを見直す必要もある。

 このままでは地球は人が住めない場所になる。既に多くの国で夏の暑さは過酷で、大規模な風水害や干ばつが頻発する。世界の気温が15度上がると豪雨は15倍、干ばつは2倍になるという。対策は待ったなしだ。それなのに各国の足並みはそろわず、強力なリーダーもいない。将来への不安が高まる。

 日本の存在感は薄かった。議論をリードできないばかりか、今年も環境団体から不名誉な「化石賞」を先進7カ国(G7)の一員として贈られた。温暖化対策に後ろ向きな国だと改めて非難された。

 蓄積のある防災技術や、エネルギー効率化、蓄電池などの分野で日本は貢献できるのではないか。最先端技術の開発で、各国が協力する仕組みづくりを主導してほしい。

 もはや経済成長か環境保全かという二者択一ではない。猛暑や災害で経済活動が制限されることによる損失は計り知れぬ。気候変動対策が長期的には経済対策になるという認識を世界で共有すべきだ。

 気になるのは、迫る危機から目をそらし、都合の良い情報だけを信じて楽観する風潮が一部に見られる点だ。われわれには、安心して暮らせる環境を後世に残す責務がある。難問に正面から向き合う姿勢を持ち続けたい。

 元稿:中國新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月26日  07:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・11.26】:COP29閉幕/途上国との亀裂を埋めよ

2024-11-26 06:00:30 | 【地球温暖化・温室効果ガス・排出量取引・国連条約COP・IPCC・海水温上昇

【社説・11.26】:COP29閉幕/途上国との亀裂を埋めよ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・11.26】:COP29閉幕/途上国との亀裂を埋めよ 

 アゼルバイジャンで開催されていた国連気候変動枠組み条約第29回締約国会議(COP29)が閉幕した。発展途上国の地球温暖化対策のため先進国が支援する資金目標を巡って紛糾し、会期を2日間延長して、2035年までに官民合わせて少なくとも年3千億ドル(約46兆4千億円)を支援する目標で合意した。先進国と途上国が対立する中、かろうじて合意を成立させた点は評価したい。

 ただ、新興国や途上国の一部には「目標が低すぎる」などの反発が残ったままだ。国連のグテレス事務総長も「より野心的な成果を期待していた」と不満を表明した。世界で温暖化防止の取り組みが着実に進むよう、先進国は途上国との協議を継続するなど、両者間の亀裂を埋める努力を重ねなければならない。

 先進国は2009年、20年までに年1千億ドルを途上国側に支援する目標に合意し、2年遅れて22年に達成した。今回の会議では、これに続く目標の決定が焦点になっていた。

 先進国は年2500億ドルの支援額を提示し、合意に至らないまま閉幕日を迎えた。最終的に合意した額は現行目標の3倍で、世界全体では年1兆3千億ドルに拡大させることも求める内容になった。無償供与などの手段を活用しながら資金を拡大する枠組みも設けるとした。

 それでも、途上国側が求めた年数兆ドルという額との隔たりは大きい。支援の内容が、債務増加につながる貸し付けや投資を含んでいた点も反発を招いた。各途上国は豪雨や海面上昇などの異常気象で既に大きな被害を受けており、多額の復旧資金を必要としている。途上国側からみれば失望感の残る合意だったと、先進国側は自覚する必要がある。

 会議では、中国や産油国など経済力のある国に対しても資金拠出を促す点で合意した。先進各国は支援拡大に向けて、中国などとの交渉にも粘り強く取り組んでもらいたい。

 今後の懸念材料の一つは、米国の大統領に就任するトランプ氏の動向だ。産業革命前からの気温上昇を1・5度に収めるという目標を掲げる「パリ協定」からの離脱を公約に掲げている。途上国支援にも後ろ向きになれば、影響は極めて大きい。各国は国際協調の枠組みから外れないよう米国を説得すべきだ。

 日本は浅尾慶一郎環境相が出席したものの、石炭火力発電所を新設しないとする25カ国・欧州連合の宣言などに参加しなかった。存在感を十分に示せなかったのは残念だ。

 各国は来年2月までに、35年の温室効果ガス排出削減目標を国連に提出することになっている。日本政府は、世界をリードする踏み込んだ数値を表明できるかが問われる。

 元稿:神戸新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月26日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【主張①・11.26】:COP29閉幕 中印の脱途上国が必要だ

2024-11-26 05:01:50 | 【地球温暖化・温室効果ガス・排出量取引・国連条約COP・IPCC・海水温上昇

【主張①・11.26】:COP29閉幕 中印の脱途上国が必要だ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【主張①・11.26】:COP29閉幕 中印の脱途上国が必要だ 

 一挙に3倍増、3千億ドル(約46兆4千億円)に跳ね上がることになった。

 アゼルバイジャンの首都バクーで開催された国連気候変動枠組み条約第29回締約国会議(COP29)で決まった、先進国から途上国に提供する気候変動対策資金の額である。

 先進国は2035年までに年額3千億ドルの拠出達成を約束させられたのだ。地球温暖化は先進国が排出した二酸化炭素などの温室効果ガス(GHG)が原因とするのが、途上国の言い分だ。今年は対策資金額の更新年であったのに加え、近年の気象災害の多発が途上国の被害者意識を増大させ、資金要求の大合唱になったのだろう。

 だが現行の資金提供の枠組みには看過できない矛盾が根を張っている。経済大国に成長した中国は世界1位のGHG排出国であるにもかかわらず、国連気候変動枠組み条約では「途上国」の位置づけなのだ。排出量3位のインドも同様だ。

 両国は資金拠出側に加わるべきだが、COP29の成果文書には「途上国の自発的な貢献を奨励する」との無力で遺憾な表現が加えられたのみだった。

 しかも、来年1月には米国でトランプ政権が発足する。トランプ氏は脱炭素に否定的で、パリ協定からの米国の再離脱が懸念される状況だ。米国の去就が今後のCOPの機能に重大な影響を及ぼすのは間違いない。米国が退場すれば、温暖化対策を通じての中国の途上国支配が予見される。トランプ氏には、この点に留意してもらいたい。

 GHGの適切な排出削減で気温上昇と自然災害の抑制を目指すCOPの機能が、不全状態に向かっている。元来、地球温暖化問題の背景には、先進国と途上国の経済格差による南北問題が存在していたのだが、気温抑制に効果がみられないまま、支援資金のみが肥大した結果が現状であるとすれば残念だ。

 閉塞(へいそく)状況の打開には、気温上昇と自然変動の関係にも焦点を当てた科学研究の復活をはじめ、中印など新興国の「脱途上国」を軸とするCOPの制度改革が急務であろう。

 各国は来年2月までに35年までのGHG削減目標を国連に提出しなければならないが、石破茂政権には冷静な対応を求めたい。目標値の積み上げには原発の再稼働が鍵を握る。

 元稿:産経新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【主張】  2024年11月26日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①・11.26】:COP29閉幕 脱炭素の負担の担い手増やせ

2024-11-26 05:00:50 | 【地球温暖化・温室効果ガス・排出量取引・国連条約COP・IPCC・海水温上昇

【社説①・11.26】:COP29閉幕 脱炭素の負担の担い手増やせ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・11.26】:COP29閉幕 脱炭素の負担の担い手増やせ

 世界各地で異常気象が相次ぎ、地球温暖化の対策はますます切迫性を帯びている。先進国と発展途上国は立場の違いをひとまず超えて、対策の強化に努めたい。 

 アゼルバイジャンで開かれていた国連の気候変動枠組み条約第29回締約国会議(COP29)が閉幕した。今年は、先進国が発展途上国に拠出する温暖化対策の支援額が最大の焦点だった。

 再生可能エネルギーへの転換や、気温上昇に伴う災害の防止や復旧のための社会基盤整備には、どの国も巨額の費用がかかる。

 先進各国が国際機関などを通じて拠出する気候資金の裏付けがなければ、途上国は温暖化対策を進めることができない。

 今回は、途上国への支援目標について、現行の年1000億ドルから、2035年までに3倍の年3000億ドル(約46兆円)に増額することで決着した。

 途上国側は当初、1兆ドル規模の拠出を求め、インドは強い失望を表明した。とはいえ、最終的に先進国と途上国が拠出増で合意した意義は小さくない。

 合意した目標額を先進国だけでまかなうのは難しい。そもそも、09年に決めた現行目標が達成されたのは22年になってからだ。経済発展を遂げた中国や、中東の産油国にも応分の負担を求めていくことが重要である。

 米国は、バイデン政権で温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定」に復帰し、欧州と並んでCOPの議論を主導してきたが、温暖化対策に否定的なトランプ前大統領の返り咲きが決まった。パリ協定から再び離脱するのは確実だ。

 一方、米連邦政府の動きとは別に、州政府や米民間企業では、脱炭素の動きが活発化している。トランプ政権が温暖化に背を向ければ、自国の産業競争力を阻害する結果を招くのではないか。

 パリ協定は、世界の平均気温の上昇幅を産業革命前に比べ1・5度に抑えることを目標にしている。各国が温室効果ガスの削減目標を打ち出しているが、全ての国が目標を達成しても1・5度超の上昇が避けられない情勢だ。

 このため、各国は、新たな目標を来年2月までに発表する。英国は今回のCOPで、「35年に1990年比で81%削減」という高い目標を前倒しで宣言した。

 日本は2030年に、13年度比で46%削減を目標としている。35年の新目標では大幅な積み上げが期待されている。検討を急がなければならない。                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                 

 元稿:讀賣新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月26日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②・11.26】:COP29閉幕 途上国への支援着実に

2024-11-26 04:03:40 | 【地球温暖化・温室効果ガス・排出量取引・国連条約COP・IPCC・海水温上昇

【社説②・11.26】:COP29閉幕 途上国への支援着実に

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②・11.26】:COP29閉幕 途上国への支援着実に 

 アゼルバイジャンで開かれていた国連気候変動枠組み条約第29回締約国会議(COP29)が成果文書を採択し、閉幕した。
 途上国の温暖化対策に充てるため、先進国が2035年までに少なくとも年3千億ドル(約46兆4千億円)を支援する目標を盛り込んだ。現行目標の年1千億ドルから3倍となる。
 米国のトランプ次期政権は気象変動対策の国際ルール「パリ協定」から1期目に続き離脱することが確実視される。国際協調の枠組みが揺らぎかねない。
 だが温暖化は加速している。取り組みに一刻の猶予もない。海面上昇や豪雨など温暖化の被害を最も受けるのはインフラが脆弱(ぜいじゃく)な途上国だ。
 温室効果ガスを排出してきた先進国の責任は重い。被害に備えるインフラ整備や再生可能エネルギー導入など、途上国支援の確固たる体制を構築する必要がある。先進国は合意を誠実に履行しなければならない。
 資金目標を巡る先進国と途上国の主張の隔たりは大きく、一時、交渉決裂も危ぶまれたが、会期を延長して妥結に至った。
 ただ1兆ドル以上を要求していた途上国側には不満が残る。
 目標達成も見通せない。官民合わせた資金のうち、政府が拠出する無償資金の割合などは先進国側の意向で盛り込まれなかった。09年に決まった現行目標にしても、目標額に届いたのは22年が初めてだ。
 世界全体では途上国への拠出を35年までに年1兆3千億ドルに拡大するよう呼び掛けた。中国などを念頭に協力を促した格好だが、義務化は見送られた。
 中国は世界で第2位の経済大国となり、最大の排出国となった。責任を一層自覚すべきだ。
 会議自体が低調だった。肝心の脱炭素を巡る議論に進展はなく、サウジアラビアなど産油国への配慮が目立った。同じく産油国で議長国を務めたアゼルバイジャンの大統領は化石燃料を「神の恵み」だと演説した。
 米国に眠る石油や天然ガスの採掘に積極的なトランプ氏が大統領に就任すれば、産油国の声はさらに大きくなりかねない。
 日本は欧州連合(EU)などと連携して、国際協調を維持する責務があるが、存在感は薄く、目立った発信もなかった。
 参加国は35年までの新たな削減目標を来年2月までに国連に提出する。日本は高い目標を掲げるべきである。
 目標の裏付けとなるエネルギー基本計画の議論がヤマ場を迎える。石炭火発からの脱却と再生可能エネルギーの主力化に道筋を付ける必要がある。
 
 元稿:北海道新聞社 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月26日  04:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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【天風録・11.17】:コアラ40年と温暖化

2024-11-19 07:00:25 | 【地球温暖化・温室効果ガス・排出量取引・国連条約COP・IPCC・海水温上昇

【天風録・11.17】:コアラ40年と温暖化

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【天風録・11.17】:コアラ40年と温暖化

 カープの鬼門とされる中日の本拠地に出没する球団マスコットがドアラだ。名物のバック転などファンサービスに感心してきたが、元祖の珍獣コアラは見たことがなかった。名古屋市の東山動植物園を先週訪れ、対面した

 ▲ふかふかの耳に丸い目。親善のためオーストラリアから初代の2頭が来園して40年、今は11頭がいる。日中の大半は寝るらしいがユーカリをもぐもぐ食べたり、木々を歩いたりと意外に活発だ。動くたび歓声が上がる

 ▲歴代飼育員の苦労のおかげだろう。ここで生まれた38頭が元気に育ち、各地の園にも旅立った。欠かせないユーカリの安定栽培も確立し、東山ファミリーは種の保存では優等生なのだが

 ▲母国ではコアラ絶滅の危機が深刻さを増す。今は30万頭以下と、40年のスパンならほぼ半減。地球温暖化による干ばつ、山火事ですみかの森が失われたのも大きな要因だ。愛らしい姿を生で見て、何とかせねばと思う

 ▲気候変動はでっち上げ、と言い張るトランプ氏の米大統領返り咲きはコアラにも心配の種だろう。開催中の温暖化対策の世界会議も気勢が上がらない。もう人間様にはサービスするものかと珍獣たちは思い始めるかもしれない。

 元稿:中國新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【天風録】  2024年11月17日  07:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説②・11.14》:パリ協定と米国 再離脱を止めなくては

2024-11-16 09:31:30 | 【地球温暖化・温室効果ガス・排出量取引・国連条約COP・IPCC・海水温上昇

《社説②・11.14》:パリ協定と米国 再離脱を止めなくては

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説②・11.14》:パリ協定と米国 再離脱を止めなくては 

 米国は世界第2位の温室効果ガスの排出大国である。その米国が削減に後ろ向きでは温暖化対策の枠組みそのものが壊れかねない。憂慮すべき状況だ。

 国連気候変動枠組み条約の締約国が集う第29回会議(COP29)がアゼルバイジャンで始まった。最大の懸念材料に浮上しているのが、トランプ氏が大統領に返り咲く米国の動向である。

 条約に基づく対策の国際ルール「パリ協定」からの再離脱を訴え大統領選で勝利した。

 協定は、産業革命前からの気温上昇幅を1・5度に抑えるため、今世紀後半の温室効果ガス排出の実質ゼロを目指す。約200カ国の締約国がそれぞれの排出削減を強化していく約束である。

 「米国第一」を掲げるトランプ氏はこれに背を向けている。協定は国内の雇用や産業に不利益をもたらし、中国などの他国に有利になるとの主張だ。第1次政権時の2020年に離脱し、バイデン政権で復帰した経緯がある。

 トランプ氏は選挙中、石油や天然ガスといった化石燃料を「掘って、掘って、掘りまくれ」と演説した。すでに再離脱の準備を始めているという。

 トランプ氏は地球温暖化そのものを「でっち上げ」としてきた。だが、極端な豪雨や干ばつ、異常な高温に伴う健康被害など、温暖化による影響は明らかだ。

 世界気象機関(WMO)は今年1~9月の世界平均気温について、産業革命前の水準からの上昇幅が1・54度を超え、今年の平均気温は観測史上最も高くなりそうだと発表した。1・5度以内に抑えるとの協定の目標達成は険しくなってきている。

 少なくとも向こう4年間、米国が脱炭素に消極的になるのだとしたら、その影響は見過ごせないものになるだろう。

 COP29では、途上国に対して先進国が拠出する温暖化対策資金の上積みが焦点になっている。現状目標の年1千億ドル(約15兆円)を大きく上回る年数兆ドルが求められているが、どこがどう負担するのか、合意は容易でない。

 世界最大の排出国で、かつ世界第2位の経済大国なのに途上国扱いの中国、インドなどの新興国の協力を引き出すためにも、とりわけ先進諸国は国際協調の足並みを乱すべきではない。

 長期的に見て脱炭素が共通の利益になることを粘り強く説き、米国が協定にとどまるよう、日本をはじめ各国は強く働きかけていく必要がある。

 元稿:信濃毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月14日  09:30:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・11.15】:COP29 温暖化抑制へ結束を強く

2024-11-15 06:10:20 | 【地球温暖化・温室効果ガス・排出量取引・国連条約COP・IPCC・海水温上昇

【社説・11.15】:COP29 温暖化抑制へ結束を強く

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・11.15】:COP29 温暖化抑制へ結束を強く

 世界各地で記録的な大雨や洪水、猛暑による被害が起きている。地球規模の温暖化を抑えるには、現状を見据えて世界が結束し、対策を強化することが不可欠だ。

 国際的な温暖化対策を議論する国連気候変動枠組み条約第29回締約国会議(COP29)がアゼルバイジャンで開かれている。

 温暖化対策の要となるのは、国際枠組み「パリ協定」の実現だ。産業革命前からの気温上昇を「1・5度」に抑え、21世紀後半の温室効果ガス排出実質ゼロを目指す目標だが、達成は厳しい。

 世界気象機関(WMO)は、今年の世界平均気温は観測史上最も高くなる見込みだと発表した。今年1~9月の平均気温は、産業革命前と同程度である1850~1900年の推定気温に比べて上昇幅が1・54度を超えた。

 温室効果ガスの排出は2023年に史上最高レベルに達し、24年も上昇が続いているという。

 削減を急がねばならないが、条約事務局によると、各国が現在掲げる削減目標を実現できても、30年の削減幅は19年比2・6%減にとどまるという。1・5度目標の実現には43%減が必要とされ、隔たりが大きい。

 会議では、南太平洋の島国の首脳らが、温室効果ガスの早期削減を訴えている。氷床の融解や温まった海水の膨張で海面上昇が加速し、浸食や洪水で家屋の半数が失われた島国などもあるためだ。

 50年までの30年間で東京で13センチ、大阪で27センチ、海面が上昇するとの推定もある。日本にとっても人ごとではない。

 会議は発展途上国に対する国際支援も焦点だ。途上国側は再生可能エネルギー拡大などの資金が必要だとし、現状目標の年1千億ドル(約15兆円)を大幅に上回る年数兆ドルの支援を求めている。

 これには先進国側が、温室効果ガス排出大国となった中国など新興国にも拠出を期待する一方、新興国側は歴史的に多くの温室効果ガスを排出してきた先進国の責任だとして反発している。

 大量排出国の中国や米国、ドイツの首脳は今回、会議への出席を見送り、石破茂首相も欠席した。主要メンバーがそろわない中で、対策強化の流れに向け、各国が協調できるか試される。

 温暖化対策で気がかりなのは、トランプ次期米大統領の動向だ。

 米国は第1次トランプ政権の20年にパリ協定を離脱した。バイデン現政権下の21年に復帰したものの、先の大統領選ではトランプ氏が再離脱を公約し、当選した。

 気候分野の米中協力を模索するなどしてきた現政権の気候変動対策は覆る可能性が高い。

 米国がパリ協定をはじめ国際枠組みを撤退すれば影響は大きい。トランプ氏は、米国でも甚大な気象災害が起きている実態を踏まえ、冷静に判断するべきだろう。

 元稿:新潟日報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月15日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②・11.14】:COP29開幕 トランプ復権で脱炭素に暗雲

2024-11-15 05:00:10 | 【地球温暖化・温室効果ガス・排出量取引・国連条約COP・IPCC・海水温上昇

【社説②・11.14】:COP29開幕 トランプ復権で脱炭素に暗雲

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②・11.14】:COP29開幕 トランプ復権で脱炭素に暗雲

 地球温暖化を防ぐ枠組みから米国が抜けてしまえば国際協調の機運が失われ、脱炭素の取り組みは後退する。米大統領に復帰するトランプ前大統領には慎重な対応を求めたい。 

 国連の気候変動枠組み条約第29回締約国会議(COP29)が、アゼルバイジャンで始まった。

 近年、世界各地で豪雨や猛暑などの異常気象が相次ぎ、地球温暖化の脅威が顕在化している。スペインでは10月、200人以上が死亡する洪水が起きた。

 今後10年間の取り組みが、将来の気温上昇幅を大きく左右する。今回の会議は、途上国への資金支援や、各国の温室効果ガス削減目標の引き上げについて議論し、脱炭素を加速する狙いがある。

 ところが、開幕直前の米大統領選で、温暖化対策に消極的なトランプ氏が勝利し、先行きが一気に不透明になってきた。

 トランプ氏はかねて「気候変動はでっちあげだ」と述べている。1期目では、世界の平均気温上昇幅を産業革命前と比べて1・5度以内に抑えるという「パリ協定」から離脱した。

 バイデン政権で復帰したが、トランプ氏は再び離脱すると表明している。石油や天然ガスの掘削を進める方針も示している。

 米国は、世界第2位の温室効果ガス排出国である。その米国がパリ協定から再び抜ければ、今後、最大の排出国である中国に対し、排出削減や、途上国への資金支援を迫る国際的な圧力が弱まることが強く懸念される。

 ただ、米国内では、市民の環境意識の高まりを背景に、州政府や企業、金融業界などが積極的に脱炭素を進めている。ここで再生可能エネルギーへの転換が遅れれば、米国企業の技術力や競争力も損なわれるのではないか。

 COPでは長年、温室効果ガスを大量に排出してきた先進国と、影響を受けてきた途上国が対立してきた。だが近年は、途上国側にいた中国などの排出量も増えて対策を迫られるようになり、利害の調整が難しくなっている。

 また、米国の指導力が低下し、温暖化対策を主導してきた欧州でも排外主義的な急進右派が台頭したことで、温暖化対策への取り組みの勢いが失われつつある。

 こうした中、日本の役割は大きくなっている。米国や中国が責任を果たすよう説得を続けるとともに、日本自身が2050年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロにするという政府目標を達成できるよう、努力せねばならない。

 元稿:讀賣新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月14日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・11.13】:COP29/気候対策の着実な前進を

2024-11-14 06:00:10 | 【地球温暖化・温室効果ガス・排出量取引・国連条約COP・IPCC・海水温上昇

【社説・11.13】:COP29/気候対策の着実な前進を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・11.13】:COP29/気候対策の着実な前進を 

 国連の気候変動枠組み条約第29回締約国会議(COP29)が、アゼルバイジャンで開幕した。深刻さを増す地球温暖化を抑えるため、同条約に参加する約200の国と地域が出席し、22日までの日程で途上国に対する資金支援などについて話し合う。実効性のある気候変動対策に向けて、参加各国の議論を着実に前進させなければならない。

 2015年のCOP21で採択された温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」では、平均気温の上昇幅を1・5度に収めることを目指す。

 ところが欧州連合(EU)の気象情報機関の発表によると、今年の世界平均気温は1850~1900年の推定平均気温を1・55度上回り、初めて1・5度を超える見通しになった。今年夏の世界平均気温も過去最高になったとみられる。会議の参加各国は、パリ協定の目標達成が極めて厳しい状況になっているとの共通認識を持つ必要がある。

 各国は来年2月までに、2035年以降の温室効果ガス排出の削減目標を策定し、国連に報告する。条約事務局によれば、各国の30年時点の削減目標が達成されても削減幅は19年比2・6%減にとどまる。35年には19年比60%減が望ましいとされ、各国が踏み込んだ目標を掲げることが欠かせない。会議では対策強化への国際協調を進めてほしい。

 焦点になるのは、途上国の再生可能エネルギー拡大などに向けた資金支援目標だ。途上国側は今の目標である年1千億ドル(約15兆円)を大きく上回る年数兆ドルを求める。先進国が大量の温室効果ガスを排出し、途上国が海面上昇や干ばつなどの被害を受けてきた経緯がある。先進国側は負担の増加に難色を示すが、真摯(しんし)に議論に応じる責務がある。

 先進国は、経済的に急成長し、温室効果ガスを多く排出している中国などの新興国にも資金の拠出を期待する。だが会議では新興国側の反発も予想される。温暖化防止という共通の目標に近づくため、冷静に合理的な議論を深めてもらいたい。

 米大統領選で共和党のトランプ氏が勝利した結果も会議の懸念材料となっている。トランプ氏は温暖化対策に後ろ向きで、前回の大統領在任中にもパリ協定から離脱した。中国に次ぐ温室効果ガスの排出国である米国が今回も離脱となれば、影響は計り知れない。先進国としての立場を自覚すべきである。

 同様に日本にも課せられた責任も重い。国内対応を優先する石破茂首相は出席を見送る方針だ。各国首脳らが顔を合わせる中、存在感を示せないのは残念だが、先進国の一つとして、気候危機回避への議論をリードする役割が求められる。

 元稿:神戸新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月13日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・11.13】:COP29開幕 温暖化防止、改めて決意を

2024-11-13 07:00:20 | 【地球温暖化・温室効果ガス・排出量取引・国連条約COP・IPCC・海水温上昇

【社説・11.13】:COP29開幕 温暖化防止、改めて決意を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・11.13】:COP29開幕 温暖化防止、改めて決意を 

 日本列島は11月半ばなのに汗ばむ陽気の日がある。南の海は今なお台風ラッシュだ。ことしは能登半島を含め、世界中で異常気象による豪雨や猛暑、干ばつが多発した。

 その状況下で、190以上の国・地域の代表が集う国連気候変動枠組み条約第29回締約国会議(COP29)が、アゼルバイジャンで開幕した。温暖化対策の具体論を深める場でありたいが、国際協調の行方に暗雲が垂れ込める。

 化石燃料の活用を公言し、温暖化対策に否定的なトランプ氏が、米大統領選で復活当選したからだ。国際枠組みの「パリ協定」から1期目に続いて離脱する準備に入ったと伝えられる。世界2位の温室効果ガス排出国が抜ければ世界の機運の低下は明らかだ。協定に復帰した米バイデン政権と曲がりなりにも協調してきた排出量1位の中国のやる気も損なわれかねない。

 逆風はほかにもある。脱炭素化をリードする欧米諸国の選挙で右派が勢力を伸ばし、温暖化対策の後退が懸念されている。地球規模の環境などどうなっても構わないとする発想が先進国にもはびこるのは当然、看過できない。

 だからこそ気候変動に立ち向かう国際社会の決意を改めて示したい。温暖化で何が起きるのか。全ての国と地域が科学的な根拠を基に、議論を仕切り直すべきだろう。

 COP29に合わせ、世界気象機関(WMO)が公開した分析はそれだけ衝撃的だ。19月のデータを見ると2024年の世界平均気温が観測史上最高となり、温暖化指標の産業革命前と比べ、1・54度高い見通しという。

 9年前に合意されたパリ協定は将来目標として上昇幅を「15度以下」と定めた。その上限を初めて突破するのは深刻な事態に違いない。さらには23年分の世界の温室効果ガス排出量が過去最高だったとする推定もある。手をこまねいていいはずはない。

 ことしの会議はただでさえ難航が予想される。途上国の再生可能エネルギー拡大などに対する資金援助の新たな目標の設定が焦点のようだ。現状の目標、年1千億ドル(約15兆円)から10倍以上に引き上げてほしいと途上国側は主張し、先進国は難色を示す。新興国の中国やインドなどにも出させるべきだとする声も強いが、仮に米国が協定を離脱すれば、この枠組みについても一段と迷走しかねない。

 それでも各国は来年2月までに、35年以降の新たな削減目標を国連に提出しなければならない。この会議に臨む姿勢で本気度が問われよう。

 日本はどうか。毎年の会議のたびに環境団体に火力発電への依存を指弾され、旗色が良くない。今回は再生エネ拡大に向け、エネルギー貯蔵量の6倍増を目指す「有志国誓約」に加わることを打ち出すという。前向きな話とはいえ小手先の印象は拭えない。

 世界が求める再生エネ拡大に日本がもっと強く貢献し、国際世論の形成で先頭に立つ姿勢を出せないか。同盟国としてトランプ氏に直談判し、離脱を思いとどまらせるぐらいの気構えもあっていい。

 元稿:中國新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月13日  07:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【きょうの潮流・11.10】:アゼルバイジャンの首都バクーで11日から、地球温暖化対策を話し合う国際会議が開かれます。

2024-11-10 04:00:10 | 【地球温暖化・温室効果ガス・排出量取引・国連条約COP・IPCC・海水温上昇

【きょうの潮流・11.10】:アゼルバイジャンの首都バクーで11日から、地球温暖化対策を話し合う国際会議が開かれます。

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【きょうの潮流・11.10】:アゼルバイジャンの首都バクーで11日から、地球温暖化対策を話し合う国際会議が開かれます。

 アゼルバイジャンは、世界最大の塩湖カスピ海やロシア、イランなどに囲まれた地域などから成り、石油や天然ガスなど資源が豊富な国

 ▼国際会議は近年、2015年に採択された地球温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」の目標に焦点をあてて議論されています。産業革命前と比べた地球の平均気温上昇を1・5度内に抑える努力を追求するという目標です

 ▼ところが、温暖化の原因である温室効果ガスは増え続けており、国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)によると、すでに1・1度上昇。欧州連合(EU)の気象情報機関は、今年の世界平均気温が「初めて1・5度を上回り、最も暑い年になるのはほぼ確実だ」との予測を発表しました

 ▼温室効果ガスの排出削減が急務です。しかし、各国が国連に提出している削減目標を足し合わせても1・5度目標から程遠い。国連の報告書は、現状のままなら今世紀末には最大3・1度上昇すると指摘しました

 ▼その中で削減目標自体が低いと指摘される日本。国連の報告書ではその達成さえ可能性が低いと評価されました。主要7カ国(G7)で温室効果ガスの排出が多い石炭火力の廃止計画を持たない唯一の国です。政府はあの手この手で石炭火力を温存し、化石燃料に依存し続けています

 ▼これが温暖化対策に逆行することは明らかです。国際会議を日本の政策を改める機運につなげねば。

 元稿:しんぶん赤旗 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【きょうの潮流】  2024年11月11日  04:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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