【社説・11.12】:第2次石破内閣 丁寧な政権運営心がけよ
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・11.12】:第2次石破内閣 丁寧な政権運営心がけよ
ようやく本格的な始動となる。内閣には、国民生活と向き合い、野党とも丁寧に合意を形成する政権運営を求めたい。
衆院選を受けた特別国会が11日召集され、自民党総裁の石破茂氏が衆院本会議での首相指名選挙で、立憲民主党の野田佳彦代表との決選投票の末、首相に選出された。同日夜、公明党との連立で第2次石破内閣を発足させた。
第1次内閣は発足8日後に衆院が解散され、実績はほとんどない。第2次内閣は、衆院選で落選した2氏を含む3閣僚が交代し、他の閣僚は再任した。石破内閣の力量が試されるのはこれからだ。
ただ、衆院で与党は過半数に届かず、法案審議や予算成立など野党との合意がなくては進まない。厳しい政権運営を強いられる。
首相指名選挙の決選投票でも石破氏は過半数を得られなかった。
衆院で17ある常任委員長ポストを巡っては、衆院選前は与党が15を占めていたが、八つが野党に配分される。中でも重要ポストである予算委員長は立民に割り当てられ、野党が30年ぶりに予算審議の主導権を握ることになる。
自民党派閥裏金事件に伴う「政治とカネ」の問題の集中審議など、徹底追及される場面も多くなると想定される。
政治改革について首相は、野田代表、国民民主党の玉木雄一郎代表と個別に会談し、年内に見込まれる臨時国会での与野党合意を目指す考えを示した。
首相は裏金議員の政治倫理審査会出席も促した。党内での指導力も問われるだろう。
国民の厳しい目が注がれていることは、衆院選の結果が示した通りだ。今度こそ裏金事件の解明と、国民が納得できる政治改革の断行を急がねばならない。
政権安定に向けて自民は、議席を大幅に増やし、キャスチングボートを握る国民民主を取り込もうとする姿勢があらわだ。
2024年度補正予算案を、既に自民と公明に国民民主が加わった3党で協議している。政策ごとに野党と連携する「部分連合」への試金石になると見込まれる。
政権維持には必要だが、単に数合わせであってはならない。国民本位の政策の実行が欠かせない。
補正予算案は、生活支援策などを盛った経済対策が軸となる。年収が103万円を超えると所得税が発生する「年収の壁」については、国民民主が金額の引き上げが実現しなければ政権に協力しないと言明し、明記される方向だ。
政治が停滞し、国民生活に影響を及ぼしてはならない。内外に課題が山積している中で、首相に求められるのは野党の主張を広く聞き、熟議に基づく政権運営に努めることだ。
政権維持に汲々(きゅうきゅう)として、かじ取りを誤ることのないようにしてもらいたい。
元稿:新潟日報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2024年11月12日 06:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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