斎藤元彦兵庫県知事の疑惑告発文書問題で、県議会の調査特別委員会(百条委員会)が5日開かれ、参考人として出席した上智大の奥山俊宏教授は告発文書に公益通報が含まれていることは明らかだと指摘し、斎藤氏らの対応は「公益通報者保護法に違反する」との見方を示した。文書を作成した元県幹部の男性について斎藤氏が「公務員失格」と記者会見で発言したことも「いわば公開パワハラ。許されない」と批判した。

兵庫県議会の百条委員会。右奥は参考人招致で発言する上智大の奥山俊宏教授(共同)兵庫県議会の百条委員会。右奥は参考人招致で発言する上智大の奥山俊宏教授(共同)

 午後には贈答品受領疑惑も含めた検証が始まり、側近幹部や県の特別弁護士ら数人を尋問する。出頭予定だった前総務部長は体調不良などを訴え、欠席が認められた。

 6日は午前に副知事を辞職した片山安孝氏、午後に斎藤氏の尋問がある。日本維新の会は証言内容を踏まえ斎藤氏への不信任決議案を出すかどうか判断すると表明しており、県議会最大会派の自民党も6日夜に総会を開き対応を協議する。

 文書は元県幹部の男性が作成したもので斎藤氏のパワハラなど疑惑7項目を列挙。男性は関係者や報道機関に配布後、県の公益通報窓口にも通報したが、通報者への不利益な扱いを禁じる公益通報者保護法の対象とされず、懲戒処分を受けた後に死亡した。

 「公益通報に当たらない」とする斎藤氏の主張について、奥山教授は「公益通報者保護法について誤解に基づいているものが一部ある」と指摘。通報窓口を県内部ではなく外部の弁護士事務所などに置くべきだとした。

 文書には斎藤氏の「おねだり体質」も挙げられ、地元企業からコーヒーメーカーを受領したり、協定を結んだ企業からロードバイクを贈られたりしたなどと記載。職員アンケートでも革の高級ジャンパーを関係者に要求したとの証言があった。(共同)