【金口木舌・12.14】:韓国の事態に学ぶなら
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【金口木舌・12.14】:韓国の事態に学ぶなら
立法・司法・行政の一部や全てを軍に移管させる「戒厳」。市民生活は大きく制限され、自由は二の次に。その言葉を知ったのは、米国映画「マーシャル・ロー」(1998年)だ。題名は戒厳令を意味する
▼大学ではこの映画を引き合いに戒厳について学び、長く軍政が続いた韓国で過去に何度も出されたことを知った。それでも、歴史上の出来事だとしか捉えられなかった
▼その考えが一変した。K―popなどで身近な存在となった韓国で3日、尹錫悦大統領が「非常戒厳」を宣布した。自分の身に降りかかるかもしれないと感じたのは私だけではないはずだ
▼戦後の日本国憲法には戒厳令に関する規定はない。ただ、同様の効果が見込まれるのが、自民党が憲法改定で掲げる緊急事態条項の導入だ。韓国の事態を受け、改めて賛否両論の意見が飛び交っている
▼緊急事態条項は、戦争や大規模災害といった非常事態に対処するため政府の権限を強化する規定だ。尹大統領による権力の乱用は、野党多数で早期収束したにすぎない。隣国で起きた騒動に学ぶのなら、整備すべきは権力を制限する規定ではないか。
元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【金口木舌】 2024年12月14日 04:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます