たんぽぽの心の旅のアルバム

旅日記・観劇日記・美術館めぐり・日々の想いなどを綴るブログでしたが、最近の投稿は長引くコロナ騒動からの気づきが中心です。

ボッティチェリとルネサンス_フィレンツェの富と美

2015年04月25日 23時16分30秒 | 美術館めぐり
「15世紀、花の都フィレンツェでは、メディチ家をはじめ銀行家の支援を受け、芸術家が数々の傑作を生み出した。サンドロ・ボッティチェリに代表されるフィレンツェ・ルネサンスはフィレンツェ金融業の繁栄なくしては生まれなかった文化遺産ともいえる。

 本展は2011年にフィレンツェで開催され、経済と芸術の関係を切り口にしたテーマ性のある構成が好評だった「マネー&ビューティ」展をもとに、ボッティチェリ作品を加えた企画。イタリア政府の「門外不出リスト」に登録され、今回ビアチェンツァ市の協力により期間限定(3月21日-5月6日)で特別出品される<聖母子と洗礼者聖ヨハネ>ほか世界各地からボッティチェリ作品が10数点集結。これまでにない貴重な機会を、お見逃しなく!」

(文化村、フリーペーパーより。)


 四週間ぐらいに前にぶらっと行ってきました。渋谷文化村、ザ・ミュージアムは美術館ほどの広がりはありません。その空間に、金融業で財をなしたメディチ家の繁栄と共にボッティチェリの描く絵もまた豊かな光にあふれ、メディチ家の凋落を反映するかのように晩年に描いた絵はきびしさにあふれたものだったという物語が流れるように描かれている展示でした。


 縦横5メートル、修道院の壁画として描かれた「受胎告知」の場面、フィレンツェ貴族の邸宅の寝室で、白百合をもった天使ガブリエルが聖母マリアに懐妊を告げています。チラシではわかりませんが、天使ガブリエルから神の祝福を届けるかのように光が聖母マリアにふりそそいでいる、その光の筋をみることができました。目の前に用意された椅子に坐ってゆっくりとこの大きな壁画を眺めている時間、なんとも豊かで満たされるひとときでした。聖母マリアのあふれる光を受けとる様がなんともたおやかで心を落ち着かせてくれました。(どうやってイタリアから運んできたのだろう、空輸かな・・・、とっても気になります。)


「聖母子と洗礼者聖ヨハネ」も美しい絵で、いつまでも眺めていたくなるような穏やかな心持ちがしました。注文者が金融業か商人かのお金持ちで、ボッティチェリが高い報酬を受け取ったであろうことがわかる記録が残っているそうです。

 絵の展示では珍しい切り口で、わかりやすかったと思います。城田優さんがナビゲートする音声ガイドも音楽と声が展示の雰囲気にとてもあっていて素敵でした。

 天使ガブリエルが手にしている白百合は、「赤毛のアン」とつながりがあります。第14章アンの告白で、マリアの紫水晶のブローチが紛失したのはアンが持ち出したにちがいないとマリラは疑っていましたが、思いがけない所からブローチは見つかりアンの疑いは晴れます。

「この明るい結末は、第14章の中で暗示されています。庭の白百合(マドンナリリー)はぷんと甘く香った。その芳香は目に見えない風にのって戸と窓から家中に流れこみ、神の祝福の精のように、玄関ホールや室内を漂った、とあるからです。キリスト教では、マドンナ・リリーは、処女懐妊したマリアの純潔無垢の象徴とされ、ダ・ヴィンチ、ボッティチェリなどによる宗教画「受胎告知」にも、この白百合が描かれます。その芳香がグリーン・ゲイブルズに流れ、神の祝福の精のように漂った、という文章から、アンは潔白であり、疑いが晴れることが示唆されているのです。」

  (松本侑子著『赤毛のアンへの旅 秘められた愛と謎』NHK出版より)


 いろいろと整理しながら少し息抜きにぷらぷらしながらの日々。本当にこれでいいのかわかりませんが、ずっと極度の緊張感の中で過ごしてきたので、しばらくぷらぷらしないと壊れてしまうのかもしれません。心満たすものと出会いながらの回復へのプロセス・・・。

















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