たんぽぽの心の旅のアルバム

旅日記・観劇日記・美術館めぐり・日々の想いなどを綴るブログでしたが、最近の投稿は長引くコロナ騒動からの気づきが中心です。

花組『金色の砂漠』_ライブビューイング

2017年04月02日 17時09分02秒 | 宝塚
2017年2月5日ミュージカル三昧_宝塚
http://blog.goo.ne.jp/ahanben1339/e/481a6ba212ee1ebfd26ab67cb4af2781

 2月5日、花組東京宝塚劇場公演、『雪華抄』『金色の砂漠』千穐楽、ライブビューイングを拝見。ようやく自分自身のための備忘録。

 一昨日十数年ぶりに生で宝塚を観劇、フィナーレの大きな花を背負ってトップさんがパレードする姿に感激。明日海りおさん、顔小さくってきれいな方。すごく体が細い。トップになった頃の映像をみると、やせてしまわれたのかな。頬がこけて苦悩している表情は作品の役柄に溶け込んでいますがちょっと心配。こんな細い体で娘役さんをリフトしているのだからすごいです。20年程前、一路さんがトップになって一年ぐらいしてからやせてしまわれたのを思い出しました。安定の存在感で舞台全体を支えていた相手役ともちゃんが退団したのが大きかったかな、それだけ大きな羽を背負って舞台の真ん中に立つのは重圧なんだろうなと心配になりましたが、舞台では大変さを感じさせず余裕をもってやっているように魅せてくれるところがトップスターさんなんですね。頭の中がすっかり宝塚になっているところで、知らない方にはなんのことやらさっぱりわからない記事をまた書きます。


(公演プログラムより)

「砂漠の古代王国イスファハンは、隊商の行き交う城郭都市である。

 自分がどこから来たのかも知らず、物心つく以前からこの国の王女タルハーミネの奴隷として育てられた”ギィ”は、長じるにつれ、美しく傲慢なタルハーミネに恋心を抱くようになる。タルハーミネもまた彼を憎からず感じていたが、奴隷との恋など立場が許すはずもなく、何より自身の誇りが許さないことからギィにわざと高圧的な態度で接するのだった。奴隷でありながらも誇り高いギィは、いつか王女を恋の前に屈服させたいという思いを抱くようになる。

 イスファンの王ジャハギールには男子がなかった。そこで、第一皇女タルハーミネには北の大国ガリアの王子テオドロスを婿として迎え後継とし、第二王女ビルマーヤにはゴラーズを、第三王女シャラデハにはソナイルをと、近隣国の有力者との婚姻で、イスファハン国の力をより盤石なものとしようと考えていた。野心的なジャハギールは、もとはこの砂漠にいくつもある他の王国の庶子であったが、軍を率いてこのイスフャハンを攻め落とした。美貌のほまれ高い王妃のアムダリヤは、シャハンギールに滅ぼされた前王ハブラムの妃であったが、城が陥落した際に戦利品としてシャハンギールの妃となったのだった。タルハーミネは王妃を本当の母のように慕っていたが、ギィは、夫を殺した男の妃におさまっているアムダリヤの気が知れないと思っていた。
 
 タルハーミネとテオドロスの婚礼の日が近付き、想いを募らせたギィは王女に心を告げる。しかし、タルハーミネは、私を侮辱することは許さない、お前はいつまでもただの奴隷として私のそばにいるのだと言い放つ。一方、心優しいビルマーヤと奴隷のジャーは互いに惹かれあっていたが、ビルマーヤはジャーを守るためにゴラーズからの求婚を受ける決意をする。

 婚礼の前夜、ギィは自らの命を対価にタルハーミネに迫り、タルハーミネはその恋の駆け引きに屈してしまう。王女としての誇りを打ち砕かれたタルハーミネは、立場を捨ててギィを逃げることを覚悟する。ギィは、王国を抜け出した幼い頃からタルハーミネが憧れていた金色の砂漠をみせてやろうと約束し、二人はひととき心を通わせる。

 城門を抜け出そうとする二人の前に兵士らが立ちはだかり、二人の関係は国中の人の知るところとなる。父ジャハンギールの目の前で、奴隷との密通をあばかれ追い詰められたタルハーミネは、王家の誇りを守るため、ギィに死刑を宣告した。拷問の末、死に瀕するギィを砂漠へ逃そうと現のれた人物とは・・・。タルハーミネに裏切られ、さらにもう一つ因縁を知らされたギィの復讐心は、灼熱の砂漠で激しく渦巻き、やがてすべてを燃やし尽くしてゆく。」

 ギィ:明日海(あすみ)りお
 タルハーミネ:花乃(かの)まりお
 ジャー:芹香斗亜(せりかとあ)

 役者さんの名前と顔を知らないまま観劇しました。あでやかな日本物のショーから休憩時間の間に劇場の空間は古代の砂漠へと変貌し、お手洗いから戻ってくると舞台上では隊商の列がラクダをひいて砂漠をわっていく映像が幕に映し出されていました。行き倒れて砂漠の砂と消えていこうとしている亡骸が弔われようとしてる様子も流れていたのはインパクトがありました。プロローグの前から作品世界へと観客をひきずりこんでいく演出。映画館なのに劇場にいるかのような熱量がすでにほとばしり出ていました。

 カーテンコールの挨拶で、明日海さんが「毎日タカラジェンヌというよりは土俵入りするような力士の気持ちで臨んでいました、実際に力士になったことはないのでわからないのですが・・・。芝居とは、演技とはなにかをあらためて問われる作品でした。」とお腹をたたきながら話されました。正確ではありませんがこんな内容でした。役者に120%の力を要求してくる、『星逢一夜』に続く上田久美子さんの作品。毎日、しかも一日二回上演するのは大変なエネルギーだったと思います。

 ギィとタルハーミネの心が通い合い、二人で逃げようとしている時、死を賜って悲劇で終わるのかと思いきや、さらにどんでん返しで、タルハーミネがギィを裏切り、王国と自分の命を守るため自分を辱めたギィに死刑を宣告しギィは牢獄へ。さらにどんでん返しで、王妃アムダリヤがギィを逃すため密かに牢獄へとやってきます。アムダリヤは実はギィとジャーは、アムダリヤと前王との間に生まれた兄弟で、二人の命を守るために自分はジャハンギールの妃となったと告げてギィを解き放ちます。「母上!」なぜ自ら命を絶たなかったかとアムダリヤに詰め寄る時のギィの表情がすごかったです。牢獄から逃げ落ちたギィは砂漠の盗賊と出会い頭となって、復讐の鬼となり、仲間たちとイスファンを攻め滅ぼしにやってきます。さらにどんでん返しで、ジャハンギールを倒し今まさに王国が陥落しようとする時、ギィは金色の砂漠を追い求めて行方がわからなくなったタルハーミネを追っていきます。金色の砂漠で行き倒れようとしてるタルハーミネと再会したギィは共に砂漠の砂嵐の中に消えようとしていきます。ここで芝居が終わりかと思いきや、ショーが始まり男役さんたちが群舞のダンスを披露すると大階段には白い衣装をまとったギィとタルハーミネの姿が・・・。デュエットダンスを披露し、手をとりあって大階段をのぼっていく=昇天していく、が本当の終わりでした。

 ギィへの想いを秘めながら傲慢な態度を示すタルハーミネを花乃さんがよく演じられていると思いました。「奴隷は土や砂と同じ」と言い放つ傲慢ぶり。ギィを踏み台にする場面があるのは驚きました。男役トップスターを娘役に足で踏ませる演出、宝塚ではじめてではないのかな。こんな作品が上演できるようになったとは時の流れを感じました、もちろんいい意味で・・・。

 子ども時代のギィとタルハーミネの場面も明日海さんと花乃さんが役柄そのものになりきり衣装と声と演技でうまく演じ分けられていました。金色の砂漠を探しに出かけて行方不明になってしまったタルハーミネを探しに砂漠の砂嵐の中を彷徨うギィ。ようやくタルハーミネを見つけたものの、彼女は城へ戻ることを拒みます。奴隷であるギィは王女タルハーミネの頬を打ち城へと連れ帰ります。奴隷にぶたれ自尊心を傷つけられたタルハーミネはギィの頭をナイフで傷つけます。「お前なんかがわたしをぶったこと許さないから」と言い放つ傲慢ぶりと、テオドロスと結婚してからは氷ついた表情の下でギィへの想いに揺れ動くタルハーミネ。これまた大変なエネルギーの要る役所だったと思います。

 ギィの弟で物語の語り部としての役割も担うジャーのやわらかい感じと、ジャーを慕いながら親の決めた相手と結婚するビルマーヤの二人が緊迫した物語に展開にほっとするものを添えてくれていました。

 書き始めると長いですね。書き足りない感があるのでまた書きそうですがここらへんでおしまいにしておきます。YouTubeにダイジェスト動画あります。もしご興味あればご覧になってください。  
 https://www.youtube.com/watch?v=7J-aOd8NyMQ

 また明日から一週間の長い海へと漕ぎ出していかなければなりません。一昨日は久しぶりの観劇で心のエネルギーチャージできました。こういう時間は大切。心の宝物。また一週間が無事に過ぎていきますように・・・。

プログラムの表紙



ライブビューイング会場の映画館で




舞台写真はすべて宝塚ジャーナルより転用しています。
http://takarazuka-j.blog.jp/archives/1876148.html













1997年雪組『仮面のロマネスク』

2017年04月01日 17時46分07秒 | 宝塚
 昨夜は宝塚、花組の地方公演を観劇。『仮面のロマネスク』と『EXEITER2017』の二本立て。なんと蘭乃はなさん、壮一帆さんも観劇と、カーテンコールの挨拶で明日海さんが紹介されて客席が沸き立ちました。一時間の早退なら日給から減額されないと言われたので一時間だけ早退させてもらって、冷たい雨が降る中なんとか間に合いました。(遠かったー。)週末の仕事帰りは目がちかちかするし、きつかったですが宝塚はやっぱり楽しい、チケットが取れだけラッキー、人生の楽しみの一つ、こういう時間をもてて幸せだなあって思いました。

 『仮面のロマネスク』、初演を観ました。1997年、高嶺ふぶきさんのサヨナラ公演でした。2回は観劇したかな。高嶺さんの歌声が今も耳に残っています。エリザベートを演じたあとの、袖が大きく膨らんだドレスを着こなす花ちゃんのメルトゥイユ侯爵夫人の貫禄ぶりは半端なかったし、星奈優里さんのヴァルモン子爵に誘惑されて揺れ動くトゥールベル夫人も心に残っています。20年の歳月が流れたんですね。地方公演向きの作品としてはどうかなと思わないでもないですが、柴田先生の脚本が秀逸ないい作品だと思うので、再演されているのを知った時は嬉しかったです。過ぎた時間を思うとなんだか感慨深い。どんな結末だったかしらと思い出せないままみていましたが、ラストはヴァルモン子爵とメルトゥイユ侯爵夫人の二人だけの舞踏会。フランス革命から40年後のパリの動乱をうまくからませて、海外に逃れようとする夫人と近衛兵として国王を守るために負けるとわかっていながら戦いに出発しようとする子爵との二人だけの舞踏会。「こんな結末になるとは思わなかった」というメルトゥイユ侯爵夫人の言葉通りに、こんな結末になるとは思わなかったラスト、そうでした、こんな場面でした。初演の時は高嶺さんのサヨナラを意識した台詞を入れたのかなと思いました。トップコンビの言葉のはざまにある呼吸、信頼関係がないと成立しない場面。明日海さんと仙名さんのトップコンビお披露目ということでしたが、息のあった場面でした。明日海さんのヴァルモン子爵は可愛く色っぽい感じでした。この観劇日記はまた後日あらためて書ければと。

 まだ書けていないことたくさんあるので、少しだけ振り返りでした。宝塚はこうして少しずつ生まれ変わりながら受け継がれいくんですね。最後に大劇場、東京宝塚劇場にもぜひお越しくださいと明日海さんの挨拶があったのですが、普通にインターネットからではチケットとれません。抽選予約外れるし、発売日はネットがつながった頃には完売。どうやったら東京宝塚劇場のチケット手に入るのかなあ。

 芝居の雪組が創り上げた円熟感のあった舞台、華やかなイメージの花組が創り上げた、20年が過ぎても作品として遜色ない舞台、それぞれによきかな。リアル男女が演じると生々しすぎる内容かなと思うのですが宝塚で演じると美しい仕上がり。宝塚ならではの作品のひとつ。


 1997年雪組公演

 ヴァルモン子爵:高嶺ふぶき
 メルトゥイユ侯爵夫人:花總まり
 ダンスニー男爵:轟悠
 ジェルクール伯爵:和央ようか
 トゥールベル夫人:星奈優里
 アゾラン:安蘭けい